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開高健ノンフィクション賞の「デス・ゾーン」を読んで思ったこと

2021-03-01 09:57:45 | 徒然日記

エベレスト登山に何度も挑戦して、

最期は滑落して亡くなった栗城史多さんについて書かれた本を読みました。

 

読んだ直後は

栗城さんはエベレストという世界最高峰の山に挑戦するのに

体の準備をおろそかにして、山をなめていたのかな

という栗城さんに対する感想を持ちました。

 

その後、時間が経つにつれ、いろいろなことを思いました。

この本を読むと栗城さんは登山家ではありません。

登山家でないのならなぜエベレストに何度も挑戦したのか。

ただ目立ちたいだけなら、命をかける必要はないと思います。

でも栗城さんの人生ですから、vorinがそれに対して批評をすべきではありません。

 

パートナーも読んだのでどう思ったか聞いたところ、

彼から強烈な劣等感を感じる。

本当は登れるのに、あえて登らなかったのではないか。

リストカットを繰り返す人のように注目を浴び続けたかったのではないか。

との見解でした。

 

栗城さんの心に問題があることは確かでしょう。

未熟な部分であったり、満たされないものがあり、

自分ではどうすればよいか分からないまま生きていたのかもしれません。

 

まあ、それは彼の人生であり、

自分で問題を克服していかなければ誰も助けてくれないことなので、

それに気が付けなかったことが

自殺に近い死につながったように思います。

 

栗城さんの人生そのものに何を言うこともありませんが、

vorinはこの本を書いた河野啓氏に違和感を覚えました。

 

彼はまだ無名だった栗城さんを発掘した人です。

密着取材を行い、ドキュメンタリー番組を制作しました。

ネットでは見る人が限定されますが、

テレビに出れば注目度は大幅にアップします。

近寄ってくる危険な人も増えます。

 

栗城さんが登山家とはちがう立場だということに気が付かず、

彼のやっていることの裏取りもしないで、

彼を持ち上げてしまった責任は河野氏にあります。

本の中に少しだけその点についての反省がありました。

 

もともと魅力的な人柄もあり、有名にもなったことから、

栗城さんは多くのお金を集めることに成功し、

短期間で何度もエベレストに行くことができました。

 

登山家や冒険家の本を読むと、資金集めが大変であることが必ず書かれています。

日本に戻ってアルバイトに明け暮れ、スポンサー探しで頭を下げて回り、

目標金額が貯まったら挑戦する。

 

もし栗城さんがテレビに出なかったら

エベレストは1回の挑戦に数千万円かかるので、

何度も挑戦することはなかったかもしれません。

 

テレビ局のディレクターである河野氏が面白そうな題材を見つけて飛びつくのは仕方がないのかもしれませんが、

河野氏が栗城さんを人間ではなく、ネタとしてしか見ていなかったという反省があるならば、

無料のブログなり、ホームページなりで、だれでも見れる状態でこの本の内容を公開してほしかった。

この本を多くの人が買えば買うほど、河野氏が儲かるということに偽善を感じます。

 

パートナーは、この本で河野氏は、

すべての人が河野氏と同じように

栗城さんをネタとしてしか見ていたことに疑問を投げかけていると思う

というようなことを言っておりました。

 

vorinは、それを言い始めると、

エンターテイメント自体が成り立たなくなると思うのです。

テレビもYouTubeも

出演者の人生に真剣に向き合って観ていたら疲れます。

 

栗城さんがユーチューバーであるかぎり、

観ている者に興味以上のものを持って

栗城さんに接するべしということは求められないと思うのです。

 

河野氏の

「自分も栗城さん自身を見ていなかったけど、みんなも同じだよね?」

という問いかけは、

なんだか責任を分散させたがっている責任逃れのような気がするのです。

 

栗城さんが無酸素といいながら実は酸素を吸っていたとか、

単独と言いながらシェルパにルートを作らせていたとか、

そういうことはどうでもいいのです。

 

本物の登山家でなかったのに、テレビで本物だと思わせたことで、

噓がバレ始めたときにネット民が叩き始めたわけです。

イッテQ登山部のように「これは番組だから、下山はヘリで」とか正直に見せておけば

アンチも最小限だったかもしれません。

 

vorinは、たとえ栗城さんが生きているときに

だれか真剣に彼を受け止め、もう十分やったじゃないかと言ったところで、

栗城さんは止めなかったと思います。

なので、彼の死自体は、だれのせいでもないと思います。

コメント
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