ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

ビヴァ!スキンヘッド

2024-03-12 14:21:45 | エッセー
これは昔世田谷区立生涯大学へ行って通ってので、宿題の作文だが、みんな
の前で読まされたが、かなり大騒ぎになったと記憶しています。
 それは、あまりにもユニークだったからで、多分驚いたり、あきれたり
されたからでしょう。でも、すべて実話です。

「長い人生の中で、悲喜こもごもの思い出は数知れないが、それらのほとんどは記憶の彼方へ消え去ってしまう。でもこれは私にとって、生涯忘れられない楽しい思い出である。それは4年前のことだが、長年ロングヘア―だつた髪が
だんだん細くなってきた。するとある日突然「そうだ全部切って一度スキンヘッドにしたらよいかも」と閃いた。一度思いつくと我慢ができないので、どうすれば夫を説得できるかと考え、ある日それとなく打診してみたが、当然だが無論「ノウ」である。

(よし、それを実行するためには作戦を変えよう)と考え、それからいろいろな案を練った。半月ほどしてから、いつものように晩酌をして、夫の機嫌のよい時に私はしみじみと話した。「私達も後6年で金婚式よね。50年も一緒に暮らせるなんて凄い事と思わない。お互いに元気で金婚式を迎えられたら幸せね」すると彼も「今まで割合幸せだったよね。オレも本当にそう思うよ」
と言った。チャンス到来だ!「もし私が死んだら悲しいでしょ!」「そんな
の当然じゃない」「あなたは私が死ぬのと、スキンヘッドにするのとどっち
が良い?」夫は一瞬絶句し、それから吹き出した。

 毎度のことながら究極の選択を迫ったのである。そうなると夫は私に大変
弱い。不本意ながら認めざるを得ないのだ。我儘で天真爛漫な女房を持った彼
はちょっと気の毒だが、私は夫の好みのタイプだし、いつも明るく元気
また料理好きで、そのため夫も結構幸せなはずだから、ま、いっか!
次の日早速実行したが、生まれて初めてのツルツル頭は、軽くてとても
気持ちがよかった。それを知った娘や息子はすぐ飛んできて「さすがママ!」と妙なホメ方をして二人共笑い転げた。その日は私の頭を肴にして、いつものように大宴会となった。

 いくらユニークな私でも、人前に出るときは必ずショートのウイッグを
使用した。すると友人達は「以前より若く見えるね、なかなか似合うじゃ
ない」と、思いのほか好評だったので、お調子者の私は嬉しかった。
 親しい友人にはその後で「実はね」と、ウイッグを少しめくって見せた。
すると全員が「あっ」と驚き、散々笑ってから「本当にあなたらしいね」
と言った。悪戯な私はそれが楽しくてたまらず、友人達に会いまくった。

 その頃親友とイタリアへ行ったが、入国するときに女性の入国管理官が
帽子をかぶっている私に「コイケ?」と聞いた。パスポートの写真とあまり
に違うので不審に感じたらしい。帽子を取って片言で説明したら、突然
大爆笑してしばらく止まらなかった。(私のスキンヘッドはイタリア人まで
楽しませてしまった)と、内心大得意だった。そして今もまた(70歳になったらまたやろうかしら)と、チラチラ考えている私はホントへんなオバーさんかも知れない。」

 実は私の本性はこんなものですが、今は随分変わりおとなしくなり
ましたが、年齢や環境により人間変わるものですね。
それが成長と言うか、老化というべきか分かりませんが・・・
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする