ビビッド能里子トーク・サロン

医学的にも珍しい満十年の認知症介護について。自己分析や気分転換、幸せを感じる心の癖の付け方、メチャ料理など楽しく書きます

「あなた長生きしてね」幸せな介護をして8年間(5)

2018-12-19 09:39:13 | エッセー
 多分9年ほど前だが、私がクレジットカードを紛失し、再交付したのに、なかなか
届かないので連絡したら、「大分前にお届けして印鑑まで頂いている」と返答が
あった。夫に問いただしても「そんなの来ていないよ」と言うだけだった。
 それから間もなく、夫の引き出しの中でそれを見つけた。「そう言えばこの頃、物忘
れが多いけど、もしかしたら認知症ではないか」と思ったのは、それが一度目だった。
その数日後に、私の誕生日を家族でお祝いしてくれることになり、娘や息子が来て
くれた。気づいたら夫がいないので、近くに買い物でも行ったのかしらと、しばらく
待っていたが、9時過ぎまでとうとう帰ってこなかった。

 私はカンカンになったが、後で冷静になり考えてみると、「やっぱり認知症では
ないか」と思った。次の日「昨日のこと覚えている?」と聞いても、まったく覚えて
いなかった。後で分かったのは友人に急に誘われて、私の誕生会をすっかり忘れて
出かけたことが、私にはそれがとてもよく理解できた。
「多分認知症に間違いない」と感じ、もしもそうな、早めに治療を受けることが
必要だと思った。次の日夫に「あなたが約束を破るなんて、そんなこと絶対にする人
ではないし、やっぱり変だと思うの。もしかしたら認知症かも知れないから、病院で
検査してみない。たとえそう診断されても、それは病気だから、少しでも早く治療し
た方が良いと思うので」と誘った。

 すると、夫は素直にうなずいたが、それは私の心理カウンセラーとしての実績を、よく
知っていたからだと思っている。私はすぐにインターネットで調べ、認知症治療では
都内の3大病院の一つ、世田谷区にある有名な「松沢病院」と知り、早速予約をした。
 当日は息子が心配して、会社を休んで一緒に付き添って行ってくれた。
夫は先生の問診を受けたり、長谷川式認知症テストなど一通り受けたりしたが、幸運
なことに、すぐに脳のMRY検査が受けられ、その日のうちに「アルツハイマー型
認知症」と診断された。幸せなことに、主治医の先生は認知症の専門医で、後で知ったが
その道では有名な方だそうだ。それ以来長年夫は、その先生にずっとお世話になっている。
 
コメント
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