私は江戸時代の寺院の豪華な彫刻が好きです。かといって日光東照宮参りは大変なので、代わりに上野公園内にある上野東照宮をお参りしたら、補修工事中でした。芝増上寺にも東照宮があったというので伺いましたが、東照宮は現在では隣の芝公園にある戦後立てられた小さな神社の事を指し、かつて芝増上寺にあった東照宮は大空襲でその殆どが残っていないようでした。部分的に華麗な装飾を施された仁王門など数点現存しますが、当時を偲ぶにはあまりにも周囲の様子が変わりすぎているようです。かつては広大な敷地だった増上寺の土地は現在、芝公園や、東京タワーやプリンスホテルのあるシマリノない敷地となっているようです。
ネットでつらつら調べていたら、かつて芝増上寺東照宮にあり、戦災から逃れた重要文化財の「勅額門」と「御成門」が西武線の西武球場駅傍にある、狭山不動尊に移築されているというので、喜び勇んで行ってみました。
僻地も僻地、大僻地の西武球場前駅を降り立つと、物凄い人だかり。どうやらアニメ系のアイドルのコンサートが球場で催されるらしくて、ファンの期待の高まりぶりの凄まじさに驚愕。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/0a/e12206b1ceacd52bed765ade7a14c84b.jpg)
今か今かと待ち焦がれ、掛け声練習などをしている方達を尻目に、狭山不動尊へ。近隣には西武グループが、1951年に開園した、ユネスコ村の跡地がありました。1970年代、大阪万博終了後のマレーシア館やオランダの風車などを移築した、世界の建築物が楽しめる公園施設でしたが、客の不入りにより一時閉園。その後、電動仕掛けの恐竜ロボットとジャングルのパノラマを移動ライドで観覧する恐竜テーマパークとして再開して話題を集めましたが、またもや集客難で完全に閉園してしまいました。ちなみに私がかつて恐竜のライドに乗ったときは園内にお客は、私と知人の2人だけでした・・・。
不動尊は狭山湖の丘陵を背にして存在します。まず入り口に「勅額門」が。黄色と浅黄色の色使いが中国の建築のようです。無傷なのが不思議です。東照宮は戦争で焼けたなんて言ってますが、本当は開発の為に戦後のどさくさにまぎれてぶっ壊したんじゃないかと邪推してしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/76/6fbb4c68b76417ec78619c05fa60918c.jpg)
階段を登ると「御成門」が階段の中腹に。とても派手ですが単体で見ると味気無いです。さらに進むと、山深い寺社のような灯篭の演出。
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桃山時代の県有形文化財の多宝堂です。すべては日本全国様々な場所から移築された建造物がチグハグな印象を与える不思議な境内・・・。正直悪趣味。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/0f/e6446953fef2612d3008abd15ea89bd2.jpg)
狭山不動尊は戦後、西武グループが行った、様々なリゾートやホテル開発で生じたお荷物文化財を一箇所に集めて1975年、継ぎはぎ霊場として開山されたようです。芝のプリンスホテルの敷地にあったであろうかつての東照宮の名残の「勅額門」や「御成門」はこんな僻地に追いやられていたのでした。西武グループは、増上寺の他にも戦後の政府によってその権威を失墜させられた旧華族の所有する土地の買収などを行って成り立った経緯があり、品川の高輪プリンスホテルには旧華族の洋館が現存します。今でこそ、西武グループは拡大しすぎた事業のために破綻した落ち目感がぬぐえませんが、その栄華の跡を杉並区天沼に見ることができます。西武グループ創始者がお妾さんを住まわせていた囲い屋敷の跡です。回遊式の立派な日本庭園に門が残っていますが、現在、児童公園として開放されています。今は廃線となった西武の都電が新宿~鍋谷横町を通過し荻窪を終点としていた事にも関連しているようです。
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狭山不動尊は午後四時で閉園。住職でもなんでもない管理者のおじさんに追い立てられて、下山。今度は不動尊の傍にある、山口観音(吾庵山金乗院放光寺)へ。近隣の民宿施設の様子にも時代を感じます。
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山口観音は何を隠そう、弘法大師が開山した由緒正しきお寺です。意外と小さな仁王門に心癒されます。馬が顔を出しているのは、名馬により戦に勝った新田義貞が奉納したお堂。中には馬に関する絵馬が一杯でした。もともと、絵馬というのも馬を神様に奉納した事から始まっているので、絵馬の五角形の上辺部分が屋根型をしているのは馬屋を模してるからだそうです。
山林の中の閻魔堂にかかる絵馬、本堂の七福神の縁起絵馬など、絵馬は充実しています。
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のどかで緊張感の無い境内、食べ物を売る茶店が堂々とあるのも不思議です。
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本堂の欄干にはチベット寺院のマニ車(経文が書かれた回転車を手で回すと経文を読んだのと同じ功徳が与えられるという装置。)が設えていました。梁には様々な絵馬、触ると病気が治るおつるびん様の像、千羽鶴、お釈迦様のメダルが張り込まれた金ぴかの塔となんでもありで、仏教のテーマパーク化してます。
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奥に目をやると、壮大な水子地蔵の丘。アンパンマンの玩具が備えられた水子観音などありましたが、流石にシャッターは切れませんでした。四国88箇所巡りトンネルは怖いのでパスです。
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シンガポールのタイガーバームガーデンのような一角。ここの住職やりたい放題。
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他にもタイのお堂、ビルマのお堂と、ここにお参りすればチベット、中国、タイ・・・仏教国の聖地めぐりをしたのと同じ霊験が一度に得られるのです。山口観音の真言宗豊山派は密教ですが、東京の大本山は豊島区にあるいかにも落ち着いた雰囲気の護国寺。とても宗派が同じとは思えません。もともとお寺は金ぴかの仏像やカッパのミイラで参拝客を集め、露店や茶店も現代よりも頻繁に出ていたために、元祖テーマパークと言うべきの側面をもって居ます。しかしここまで悪乗りな境内になってしまった背景には、西武グループが近隣に西武球場を作ったり、ユネスコ村を作ったりした、巨大レジャー構想に住職が感化されてしまったとしか考えられません。
そしてこの散漫な光景こそが、山口観音の全体のイメージを表わしていると思います。灯篭の葵の御門があるとすると芝増上寺からの移築でしょか?狭山不動尊に安置すべき灯篭が周辺にいくつも佇んでいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/e7/506bf45e76dd49c1296c8b9a12f99930.jpg)
しかしここまで大判振る舞いして置きながら、本尊の千手観音は絶対秘仏だとか。本堂裏からレプリカの小さい「裏観音」が覗けるあまり有難くないサービス付き。西武球場前から出ているレオライナー(かつてはおとぎ鉄道と呼ばれていた路線を使っています)で場末感漂う西武遊園地の園内を眺めつつ、終点西武遊園地駅から、西武鉄道に乗り換えで小さな旅は終わりです。
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巨大資本が戦後のどさくさに紛れてそこかしこにばら撒き散らした負のベクトルが渦巻いて、お大師様もビックリの大曼荼羅を形作る狭山不動尊と山口観音でした。
ネットでつらつら調べていたら、かつて芝増上寺東照宮にあり、戦災から逃れた重要文化財の「勅額門」と「御成門」が西武線の西武球場駅傍にある、狭山不動尊に移築されているというので、喜び勇んで行ってみました。
僻地も僻地、大僻地の西武球場前駅を降り立つと、物凄い人だかり。どうやらアニメ系のアイドルのコンサートが球場で催されるらしくて、ファンの期待の高まりぶりの凄まじさに驚愕。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/0a/e12206b1ceacd52bed765ade7a14c84b.jpg)
今か今かと待ち焦がれ、掛け声練習などをしている方達を尻目に、狭山不動尊へ。近隣には西武グループが、1951年に開園した、ユネスコ村の跡地がありました。1970年代、大阪万博終了後のマレーシア館やオランダの風車などを移築した、世界の建築物が楽しめる公園施設でしたが、客の不入りにより一時閉園。その後、電動仕掛けの恐竜ロボットとジャングルのパノラマを移動ライドで観覧する恐竜テーマパークとして再開して話題を集めましたが、またもや集客難で完全に閉園してしまいました。ちなみに私がかつて恐竜のライドに乗ったときは園内にお客は、私と知人の2人だけでした・・・。
不動尊は狭山湖の丘陵を背にして存在します。まず入り口に「勅額門」が。黄色と浅黄色の色使いが中国の建築のようです。無傷なのが不思議です。東照宮は戦争で焼けたなんて言ってますが、本当は開発の為に戦後のどさくさにまぎれてぶっ壊したんじゃないかと邪推してしまいました。
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階段を登ると「御成門」が階段の中腹に。とても派手ですが単体で見ると味気無いです。さらに進むと、山深い寺社のような灯篭の演出。
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桃山時代の県有形文化財の多宝堂です。すべては日本全国様々な場所から移築された建造物がチグハグな印象を与える不思議な境内・・・。正直悪趣味。
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狭山不動尊は戦後、西武グループが行った、様々なリゾートやホテル開発で生じたお荷物文化財を一箇所に集めて1975年、継ぎはぎ霊場として開山されたようです。芝のプリンスホテルの敷地にあったであろうかつての東照宮の名残の「勅額門」や「御成門」はこんな僻地に追いやられていたのでした。西武グループは、増上寺の他にも戦後の政府によってその権威を失墜させられた旧華族の所有する土地の買収などを行って成り立った経緯があり、品川の高輪プリンスホテルには旧華族の洋館が現存します。今でこそ、西武グループは拡大しすぎた事業のために破綻した落ち目感がぬぐえませんが、その栄華の跡を杉並区天沼に見ることができます。西武グループ創始者がお妾さんを住まわせていた囲い屋敷の跡です。回遊式の立派な日本庭園に門が残っていますが、現在、児童公園として開放されています。今は廃線となった西武の都電が新宿~鍋谷横町を通過し荻窪を終点としていた事にも関連しているようです。
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狭山不動尊は午後四時で閉園。住職でもなんでもない管理者のおじさんに追い立てられて、下山。今度は不動尊の傍にある、山口観音(吾庵山金乗院放光寺)へ。近隣の民宿施設の様子にも時代を感じます。
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山口観音は何を隠そう、弘法大師が開山した由緒正しきお寺です。意外と小さな仁王門に心癒されます。馬が顔を出しているのは、名馬により戦に勝った新田義貞が奉納したお堂。中には馬に関する絵馬が一杯でした。もともと、絵馬というのも馬を神様に奉納した事から始まっているので、絵馬の五角形の上辺部分が屋根型をしているのは馬屋を模してるからだそうです。
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山林の中の閻魔堂にかかる絵馬、本堂の七福神の縁起絵馬など、絵馬は充実しています。
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のどかで緊張感の無い境内、食べ物を売る茶店が堂々とあるのも不思議です。
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本堂の欄干にはチベット寺院のマニ車(経文が書かれた回転車を手で回すと経文を読んだのと同じ功徳が与えられるという装置。)が設えていました。梁には様々な絵馬、触ると病気が治るおつるびん様の像、千羽鶴、お釈迦様のメダルが張り込まれた金ぴかの塔となんでもありで、仏教のテーマパーク化してます。
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奥に目をやると、壮大な水子地蔵の丘。アンパンマンの玩具が備えられた水子観音などありましたが、流石にシャッターは切れませんでした。四国88箇所巡りトンネルは怖いのでパスです。
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シンガポールのタイガーバームガーデンのような一角。ここの住職やりたい放題。
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他にもタイのお堂、ビルマのお堂と、ここにお参りすればチベット、中国、タイ・・・仏教国の聖地めぐりをしたのと同じ霊験が一度に得られるのです。山口観音の真言宗豊山派は密教ですが、東京の大本山は豊島区にあるいかにも落ち着いた雰囲気の護国寺。とても宗派が同じとは思えません。もともとお寺は金ぴかの仏像やカッパのミイラで参拝客を集め、露店や茶店も現代よりも頻繁に出ていたために、元祖テーマパークと言うべきの側面をもって居ます。しかしここまで悪乗りな境内になってしまった背景には、西武グループが近隣に西武球場を作ったり、ユネスコ村を作ったりした、巨大レジャー構想に住職が感化されてしまったとしか考えられません。
そしてこの散漫な光景こそが、山口観音の全体のイメージを表わしていると思います。灯篭の葵の御門があるとすると芝増上寺からの移築でしょか?狭山不動尊に安置すべき灯篭が周辺にいくつも佇んでいます。
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しかしここまで大判振る舞いして置きながら、本尊の千手観音は絶対秘仏だとか。本堂裏からレプリカの小さい「裏観音」が覗けるあまり有難くないサービス付き。西武球場前から出ているレオライナー(かつてはおとぎ鉄道と呼ばれていた路線を使っています)で場末感漂う西武遊園地の園内を眺めつつ、終点西武遊園地駅から、西武鉄道に乗り換えで小さな旅は終わりです。
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巨大資本が戦後のどさくさに紛れてそこかしこにばら撒き散らした負のベクトルが渦巻いて、お大師様もビックリの大曼荼羅を形作る狭山不動尊と山口観音でした。
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