ビバ!迷宮の街角

小道に迷い込めばそこは未開のラビリント。ネオン管が誘う飲み屋街、豆タイルも眩しい赤線の街・・・。

赤いロマンの要塞(光座・中野区)

2010年08月07日 | 古い建物
 中野南口から、徒歩三分の所に、中野五差路一帯のシンボル的な存在の「中野光座」はありました。半廃墟といった具合の用途不明な建物で、その周囲も全て、同調するように古くレトロな建物ばかり、通るたびに不思議な後ろめたい感覚を味わったものです。中野光座はドス黒い赤のトタン張りの3階建ての建物で、隣接するマッチョな男性の色あせた手描き看板が掲げられていた中野ヘルスクラブというトレーニングジムの建物と共に、異彩を放っていました。長らく光座の赤い要塞は夜ともなると悪徳が巣食う魔物のネグラのようで、近寄る事も憚られていましたが、いつしか中野ヘルスクラブが駐車場になり、この再開発ブームの中では、光座も無くなる日も近いのではないかと思い、撮影してみることにしました。撮影後、ネットで調べると、中野光座は、昭和30年代に建てられたにっかつロマンポルノの上映を行う映画館であったということで、光座一帯を取り囲む後ろめたい空気の元凶の謎が解けました。ここ数年光座は、貸し小屋などを行っていたようですが、去る今年の5月に光座の解体のお知らせが貼られていました。

 現在はこの有様です。シートに覆われてしまったのは、赤いロマンの要塞。右は一昨年、夜中に撮影した光座です。1階は闇市のようなマーケットや飲み屋街で、様々な商店が入れ変わり立ち代り入るテナントでした。そして2階、3階は映画館でした。
 

 1階の印鑑屋の看板。
 

 一階の中の通路は吹き抜けで、上部から自然光が入る仕組みでした。光座の赤くて高い外壁は、側面だけだったようです。路面に面した店は営業していましたが、内部は長い事、廃墟化していました。


 初めて見たのに、何か懐かしい、廃墟が心の原風景であるのはどうしたことでしょうか?


 光座の向かいには、やはりこの度、閉店してしまったサウナ中野スワークのネオン看板が。ボーリング場、バッティングセンター、サウナ・・・70~80年代初頭に開店したお店や看板は何かこうデザインが斬新で訴えかけてくるものがあります。 


 五差路の角地に立つ店はとてもレトロな感じを与えます。こちらも昭和30年代の建物でしょうか?飾り窓が大正ロマンの雰囲気を残しています。


 五差路周辺は坂道なので、看板建築が若干傾いているように見えてしまいます。
 
 
 近くの暗渠の上にはモダンなデザインの橋。製菓の商店はとことんまで古いです。
  

 光座から通りをさらに南下すると、裏道沿いに2棟の古いアパートがありました。所々、ステンドグラスが入り、海外のアパルトマンのような作りですが、大木があって全容をお見せできる事ができません。中野は、地下鉄新中野もそうですが、半世紀ほど時間が止まっているような場所が沢山あって、興味がつきません。
 

 映画館の受付は黒いタイル張りで、2階にあったロビーは豪華な作りであったと言うことです。映画館の下は寿司屋、立ち飲み屋でした。映画館が独立した建物でなく、下をテナントに貸していたので、当時としては、先進的な施設だったのではないでしょうか。現在の映画館施設はショッピングモールやファッションビルに吸収されてしまう事が多く、以前のように独立した繁華街の花形といえなくなってきています。銭湯、映画館など人々の社交場はどんどん町から姿を消して行きます。銀座の景観と、日本人の文化的価値を形作ってきた歌舞伎座のような殿堂すらもガラス張りの高層貸しビルに建替えという殺伐とした時代・・・この風潮、なんとかならないものでしょうか。

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2 コメント

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若き日の記憶 (ぺいんぽいんと治療院)
2013-04-20 17:33:11
解体前の貴重な建物画像をありがとうございます

30年ほど前に住んでいたので懐かしいです。
中野スワークでマッサージのバイトをしたことがあります。

今晩のアド街っく天国は中野北口です。
こちらも再開発で様変わりなのでしょうね。
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Unknown (たらいうどん)
2013-06-01 01:06:29
 ぺいんぽいんと治療院様、コメントありがとうございます。
最近はどこもかしこも駅前は開発でちょっと残念ですよね。
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