軽音楽談話室(廃屋)

「琥珀色に魅入られてしまった人生・・」

Open Fire / Ronnie Montrose

2014-12-29 02:00:00 | 音楽
Ronnie Montrose : Guitar, Mandolin, Mandocello
Alan Fitzgerald : Bass
Rick Shlosser : Drums
Edgar Winter : Keyboards

1.Openers
2.Open Fire
3.Mandolina
4.Town Without Pity
5.Leo Rising
6.Heads Up
7.Rocky Road
8.My Little Mystery
9.No Beginning/No End
1978

「Open Fire」つながりで無難に、「ロニー・モントローズ」のファースト・ソロ・アルバムです。エドガー・ウィンター・グループに在籍していて、その後「モントローズ」と言うハード・ロック・バンドを結成、ボーカルで2枚に在籍していたサミー・ヘイガーは、ソロを経てヴァン・ヘイレンに加入で有名。その後ロニーは「ガンマ」と言うバンドを結成し4枚のアルバムを発表、結局ガンマを解散しソロになりますが・・・陽が当たったようで当たっていないような、不遇のギターリストも数年前に鬱病で自殺してしまいました。

基本アメリカンのロックは苦手なのですが、このギターリストはアメリカっぽくはない「変態ギターリスト」ですので、「喉に刺さった鯛の骨」的に気になっています。(その程度かよ・・・・でも鯛の骨は痛い・・・・)この作品はインストアルバムですので楽しめるでしょう、エドガー・ウィンターもキーボードで参加していますし。(だったら少しはボーカルも味わいたかったのだが・・・・)

1曲目 オーケストラがドラマチックに、スペクタルに、冒険映画のイントロ。イントロにしては結構長い・・・

2曲目 オーケストラのイントロに刺さり込むように、シンセが唸りを上げ曲が始まります。ピラピラとしたキーボード、タイトで重味のあるリズム隊、単調に思えてタイミングを取るのが難しいテーマ。サビは普通のタイミングで、ギターパートはドライブ感を生かした早弾き、弾き倒しタイプながらリフを生かし切るタイプではないので意外と単調には聞こえます。ピラピラシンセをバックに切れの良いドラムソロ、再びテーマで曲を締めます。一端フェードアウト気味で再びフェードインからのギーターパート。テーマのリフと勢いのある曲展開が特徴の、意外と耳に残るタイプの名曲ですね。トニー・ウィリアムスがアルバムに収録したのもうなずけますね。

3曲目 ブワブワとしたシンセ(シンセベース)が漂い、エスニックなマンドリンが彩りを添える。ドラムは大人しめの印象ながら、ベースレスなので結構バシバシと攻めてきますね。テーマはユッタリとしたギターが、エコーを効かせながら柔らかに優しく漂う雰囲気。曲調は至極単調ながらシンセベースが曲の雰囲気を支配している、桃源郷を漂っているような曲。後半は混沌としていて幻想的、かなりアシッド・ロック風でプログレッシブ。

4曲目 一転・・・ストリングスをバックにベタベタの演歌歌謡っぽい曲。下世話で艶っぽいギターが泣きのテーマを演奏、ダサイなぁ・・・ゲイリー・ムーアの「スパニッシュ・ギター」を少しだけ想い浮かべますが、テーマ以外は意外と聴き応えがあります。ギターパートも泣きで攻めまくりますが、結構フレーズ重視、そしてピアノやストリングスとの絡みも緻密に計算されていて・・・・でも結局ズルズルの泣きの演歌歌謡でお終い。

5曲目 生ギターの多重曲、爪弾きが交差しながら共鳴し合いながら、淡々と川の流れの如くに。ハーモニクスが結構個性的、哀愁を漂わせる「オンド・マルトノ」と言う珍しい鍵盤楽器も地味に登場し、夢幻能の世界を垣間見ているような雰囲気はアンソニー・フィリップスの諸作にも通じます。意外と・・・気に入りました。

6曲目 タイトで重々しいリズム隊、歪んだギターが空間を切り裂き、ハードなナンバーが始まります。テーマは音数少ないギターが淡々と、ギターパートになってヘビーに弾きまくりますが、この歪み具合を生かすとなると、今一登り詰められない感じですね。バックのオルガンが地味ながら効果的に活躍しています。最後まで聞くと、粘りのあるフレーズを最大限に生かした、実は素晴らしい曲だと言う事が分かります。リズム隊の激重ブリも秀逸だし、この人の曲はスルメが多いなぁ。

7曲目 ユッタリとした重めのクロスオーバーナンバー、ベースが跳ね回り、ドラムもビシビシと撓るように。ギターのリフも音色もとてもポップ、しかし妙に重め。ギターパートはブルージーにテクニカルに攻撃的に攻めまくります。リズム隊が前面で目立ちながら、控えめなギターが実は色々画策して雰囲気を作り上げている・・・・この曲もスルメだなぁ・・・・リズム隊の雰囲気には中期キャラバンも垣間見えました。奥が深すぎます。

8曲目 中世の室内楽、生ギターにハプシコード、悲しげで優雅な調べ、室内管弦楽風オーケストラも流れ、雰囲気はフォーカス(陳腐な例えだ・・・)。オルゴールのような音色が実に心地よく漂う素敵な曲です。この人のアコースティックな感性は素晴らしいですね。変態性と真逆な感性を持っています。

9曲目 不気味でスペイシーなイントロ、この手の音好きですねぇ。一転ユッタリとしたベースにアコギのアルペジオ、最後を飾るに相応しい落ち着いた曲。凄く単調な曲展開ながら、何故か聞き入ってしまうモントローズの音世界、キャラバン的な牧歌性もタップリの曲です。優しいギターパートにホロリと心が解けていきます。名曲だぁ!

タイトル曲の「Open Fire」以外の印象が殆ど無かった作品ですが、よく噛んで味わうスルメ級の地味な「大名盤」、ロック小僧にはこの奥深さは理解出来ないでしょうね、プログレッシャー御用達の作品でした。

実はロニー・モントローズの本性の変態ぶりは、この作品ではかなり抑え気味でした。よりギミックに押せ押せ的な演奏が信条だと思うのですが・・・・やっぱり「ガンマ」かな。






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