重低音のBlue Canary

♪ 思いつくままを、つたない文と photo で …

気になる女性(ひと)

2006-03-10 | つれずれ
毎朝のマイカー通勤では、名古屋テレビ塔脇の通称100m道路(久屋大通)を南下し、名古屋のメーンストリート・広小路通との交差点にある立体公園「オアシス21」を左折・東進して、会社に向かいます。

その交差点を曲がり、左に切ったハンドルを戻しながら、実は毎日、通勤途上の人込みの中に、ある若い女性の姿を探します。

まだ20代半ばでしょうか。すらりとした長身をパンツスーツに包み、背筋をピンと伸ばし、胸を張り、肩より少し長めの茶色の髪を風になびかせながら、いつも、颯爽と歩いています。

だから、ある日最初に彼女を見た時、驚いたんです。
周りの出勤途上のサラリーマンやOLたちが、まだ眠たげな足取りで歩いている中、彼らを追い越してゆく彼女が、右手に白い杖を持っていることに気付いて――。

えっ? 彼女が白い杖を?
見間違いかと目を疑いましたが、間違いありません。
周囲のサラリーマンやOLの誰よりも一番溌剌として歩いている彼女は、視覚障害者だったのです。
衝撃でした。

それ以来です、交差点を曲り切ると毎朝、彼女の姿を探すようになったのは。

地下鉄の出口から、彼女が二筋目の路地を曲がるまで、わずか200mほどの短い距離。
しかもこちらは車で通りがかるのですから、見かけるチャンスはそんなにありません。せいぜい月に1度か2度。

でも、運よく、いつも全く変わらない彼女の、颯爽とした出勤姿を見かけることができた日は、彼女に元気をもらったような晴れやかな気持ちで職場に向かい、満足感とともに一日を終えることができるんです、今日のように。

彼女の名前はもちろん、いつも追い越していくので横顔しか知りませんが、勝手にニックネームを付けさせていただいた「さわやかさん」、いつも、ありがとう。