歌会たかまがはら

毎回お題に沿った短歌を募集してゲストの方とおしゃべりする短歌の番組です。
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歌会たかまがはら2021年11月号 中本速さんへの質問

2021年12月05日 | その他・連絡事項
ここでは、2021年11月20日配信の歌会たかまがはら2021年11月号で皆様からいただきました中本速さんへの質問をご紹介いたします。

回答につきましては中本速さんからいただいたものをそのまま掲載しております。

なお、ご不満等は一切受け付けません。あらかじめ、ご了承ください。

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<番組中にお聞きした質問>
Q1,作詩するときと、作歌するときで、スイッチを切り替えることはありますか?(石川県 塩本抄さん)

A1,スイッチを切り替えることはあまりありません。なぜなら、私は同時期に両方つくるというよりは、どちらかにかたよって作り続ける時期が多く、あまり切り替える必要がありません。ただし、コツのようなものはそれぞれ違うと感じていて、別の方の質問のところでお話します。

Q2,詩を作るときと短歌を作るとき、大切にしているポイントがあれば教えてください。(神ヤ飛ビ魚さん)

A2,詩と短歌の違いは定型です。短歌は、短く、五七五七七の切れ目を作る必要があります。一方、自由詩では言葉の切れ目や作品の終了を自分で決めなくてはなりません。短歌では、定型が読みやすさを助けてくれますが、言葉のパズルを上手に埋め込まないと、パズルピースの境目に隙間が出来てしまいます。パズルだからこそパズルに見えないように自然につくる必要があると感じます。一方、自由詩では自分でリズムを作り、自分で締めくくりを決めなくてはなりません。自分が表現したいことと、実際に出来上がった言葉の長さやリズムが一致しているかどうか、検討する必要があります。

Q3,詩を書く時と短歌を詠む時の違いと共通なことがあれば聞かせてください。(雨虎俊寛さん)

A3,先程、詩と短歌の違いについて語りましたが、共通する点もあります。詩人も歌人も、時流に流されないことが大切であると思います。作品の方法論だけの話ではありません。世の中で「こう」とされている事柄に、本当はどうなのか考えて、あらがっていくことが詩人・歌人の役割です。変な言い方になるかもしれませんが、たとえばその問題についてなになに新書で解説書が出てから、「新しい価値観」をなぞるようではいけない。むしろ、時代が変わって価値観が浸透していこうとしているなら、その盲点について語るような鋭さを持ちたいと意識しています。


<短歌についての質問>
Q1,短歌を始めたきっかけはありますか?どんなことでしょうか。(石川県 塩本抄さん)

A1,短歌のきっかけですが、まずは読者としての話をしたいと思います。


まず、小説家の高橋源一郎の影響があります。高橋源一郎は、文芸評論でも積極的に現代短歌を紹介していましたが、小説においても短歌を活用していました。『日本文学盛衰史』『官能小説家』というふたつの小説があります。有名な文学者たちが現代にあらわれるという軽いSF要素を含んでいます。小説の中には石川啄木もあらわれて「新作」を書くのですが、その「新作」の作者は、本当は穂村弘です。

また、松村正直の『駅へ』という歌集を当時買っています。たしか、新聞で小さく紹介されていたので知って、作者にメールを送って買った気がします。

やがて、2003年から2007年にかけて、『短歌ヴァーサス』という冊子が11冊刊行されます。創刊号の特集が枡野浩一、第二号が穂村弘、とつづく挑戦的な雑誌で、この本で多くの現代歌人を知りました。

しかしそれでも、創作者としての自分は、短歌に大きな関心を持ちませんでした。というより、短歌雑誌に載る作品は多くが「連作」の形式を取っており、私は連作に対する興味が薄いのです。

のちに、2016年頃、「うたよみん」というウェブサイトを知ります。ここでは一首ずつで短歌が発表されており、自分の興味に合っていたので、少しずつ短歌を入力していきました。

「うたよみん」を中心に投稿された「死を笑え短歌コンテスト」に参加して、また嬉しくも優勝したことから、さらに短歌の道にのめり込みました。


Q2,中本さんが好きな時間に関する短歌を教えてください。(東京都 酒田現さん)

A2,東京に捨てて来にけるわが傘は捨て続けをらむ大東京を 伊藤一彦(『森羅の光』)

Q3,中本さんはいづれ歌集を出されるものと思いますが、その際のプラン(装幀、出版社、歌数)について差し支えなければお聞かせください。(鹿児島県 月岡烏情さん)

A3,まだ歌数について具体的には考えていませんが、自分は一首屹立派、連作のつながりを重視しないので数は平均以下になると思います。出版社はまだわかりません。私は詩集を作るのに十年ほどかけて、納得できる作品だけを入れました。同じことを短歌について行うなら、まだ具体的なことを考えるには早いです。装幀については、「プロの意見を聞いた上で自分の意見をバシバシ言う」みたいな方法がいいかな、というのが前回の経験で感じたことです。創意工夫において、やはりプロのデザイナーや画家には及びません。チームワークを活かすためには、彼らのクリエイティビティを存分に発揮してもらった上で自分の意見を反映するほうが、はじめから理想像を自分で決めるより面白くなると予想しています。

<その他の質問>
Q1,今年一番良かった映画はなんですか?(神奈川県 大島健志さん)

A1,今泉力哉監督作品『街の上で』を挙げます。
下北沢を舞台にした群像劇です。
古着屋の店主とその周りの人々を描いた、ゆっくりとした映画ですが、人々の思い入れや成り行きが、ときにすれ違い、ときに優しさとなり、物語が進みます。

Q2,食べ物関連のツイートが多いように思いますが、今ハマっている食べ物があれば教えてください。(神ヤ飛ビ魚さん)

A2,YOUTUBERマッスルグリルさんの「ジャンピラフ」がおいしいです。留学生のジャンくんのお弁当をもとに考案したレシピとのことです。手羽元の洋風炊き込みご飯ですが、骨があるからでしょうか、鶏の出汁が出ていて、ダイエットになる料理とは思えないほど、食べごたえを感じます。

Q3,「速」という名前が、自分に合っているなと思うのはどんな時ですか。また、合わないと思うときはどんな時ですか。(深影コトハさん)

A3,くっきりした作風なので、「速」という名前が合っていると思います。でも、のんびりした人間なので、名前のほうが先に走っていっちゃいそうです。


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以上となります。皆様からのたくさんのご質問ありがとうございました。

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