歌会たかまがはら

毎回お題に沿った短歌を募集してゲストの方とおしゃべりする短歌の番組です。
YouTubeで配信しています。

歌会たかまがはら10月号採用歌

2012年10月29日 | 歌会採用短歌
10月28日に行いました歌会たかまがはら10月号に短歌をご投稿いただいた皆様、また歌会の配信をご視聴いただいた皆様、さらに当日公開収録にいらした皆様、ありがとうございました。

ここでは、当日採用した短歌、当日発表できなかったけど気になった短歌、選者の短歌をご紹介いたします。

なお、短歌の感想等は省かせていただきます。ご了承ください。

採用歌の感想に関しましては録画がございますので、そちらでご確認ください。

録画ページはこちらです。→ http://www.ustream.tv/channel/%E6%AD%8C%E4%BC%9A%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%BE%E3%81%8C%E3%81%AF%E3%82%89#/recorded/26492173

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お題「虫」
選者:むしたけさん、天鈿女聖

<当日発表した歌(順不同)>
◎むしたけさん選
・きんいろの甘いおしべに誘われていま君だけの蜜蜂になる(こはぎさん)

・あのひともこうしてなにかころしたりするのでしょうか 体液の跡(神奈川県 黒崎立体(くろさき・りったい)さん)
→天鈿女聖も選

・蝶と蛾を隔てるようなまなざしが至るところに隠されている(神奈川県 紗都子さん)

・指させばdragonflyいっしんに青空へ追う指もまっすぐ(宮城県 風橋 平(かざはし おさむ)さん)
→天鈿女聖も選

・赦されぬことがしたいのひっそりとシーツに忍ばせた誘蛾灯(奈良県 龍翔さん)

・五年前生かせなかった鈴虫がケースのまんまガレージにある(兵庫県 飯田和馬さん)
→天鈿女聖も選

◎天鈿女聖選
・雑巾にからめとられるカーテンのレールの上の無数の死骸(山口県 木下龍也さん)
→むしたけさんも選

・ふちを這うてんとう虫を震わせてユーフォニウムのベルはよく鳴る(宮城県 田村わごむさん)
→むしたけさんも選

・はいそうです虫コナーズのCMの左で踊っているのが母です(北海道 伊呂波余人(いろはあまりびと)さん)

・もしうちがかまきりやったらあんたよりいけめんなかまきりをたべたい(奈良県 龍翔さん)
→むしたけさんも選


<当日発表できなかったけど気になった歌>
◎むしたけさん選
・あ 殺してやろうと思い指先で押した ガラスの外側にいた(山口県 木下龍也さん)
→天鈿女聖も選

・髪の毛にトンボがいるよと嘘を付きさわったあの子のポニーテール(埼玉(できれば高天原) 琴乃彩葉(ことのいろは)さん)

・鈴虫が聴いて聴いてとうるさくて最後の秋と決めかねている(埼玉県 さとう まみさん)

・あなたには関係ないの 俯いたまつげをそっと撫でる雪虫(兎陸☆(とりっくすたー)さん)

・仰向けに転ぶ芋虫見るようで鏡は見ない雲がながれる(東京都 台所のキフジンさん)

・公園の脇に営業車を停めて毛虫の夢を見ながら眠る(大阪府 牛隆佑さん)

・よりそひててらしあへればひかるこもひからないこもほうたるほたる(岐阜県 太田宣子さん)
→天鈿女聖も選

・一階で乗り込んできたカナブンが三十二階でさっさと降りる(新潟県 ユキノ進さん)

・ふたりしてビニール傘を見上げれば空に生まれるまぼろしの虫(神奈川県 紗都子さん)

・なによりも高く伸ばした指じゃなく左の肩に止まってくれる(北海道 本間紫織さん)

・物言わず畑仕事をする父の肩すれすれを飛ぶ銀ヤンマ(岩手県 山本左足さん)

・あんなにも求めたひかりの中で死ぬあの蛾はきっとしあわせだろう(岩手県 山本左足さん)

・八十になるという恋人の母カメムシ臭い荷物を寄越す(茨城県 倉野いちさん)

・胸元に蝶結びするきりきりと次第に蝶のかたちをこえて(宮城県 風橋 平さん)

・真円のレンズは虫を見るために/虫にこちらをのぞかせるため(宮城県 風橋 平さん)

・玄関にころがっているカナブンを踏んでしまった四日目にして(奈良県 たたさん)

・庭先に橙色の虫がいて害虫なのですぐに潰した(奈良県 たたさん)

・ひとしゃくれ10mmのシャクトリムシで5kmを測る実刑に処す(大阪府 田中ましろさん)

・回転の力で飛んでいるやつがトンボの仲間のわけないだろう(大阪府 田中ましろさん)

・完全な自由は無重力に似てうまく生きられないアゲハチョウ(大阪府 田中ましろさん)

・潰したらそいつが生きていたことを教えてくれる青虫だった(兵庫県 飯田和馬さん)

・図書館の紙魚になりたしリクルートスーツを手もみで洗う夜には(京都府 さまよいくらげさん)

・寝袋をはみ出している僕たちから等しく漂う虫除けスプレー(北海道 都季さん)

・君の目の前で私は羽根のない蝶のようです、ころしてほしい(和歌山県 嵯野みどりはさん)

・閉店の「蛍の光」に包まれて居場所を失う予行練習(和歌山県 嵯野みどりはさん)


◎天鈿女聖選
・殴りたくないけど君のほっぺたに蚊がとまってるから殴ります(山口県 木下龍也さん)

・朝礼にひとりまたひとり倒れゆき蛹の少女は大地に弾む(岐阜県 太田宣子さん)

・母を恋う子どものように自転車のサドルにとまる蜻蛉一頭(新潟県 ユキノ進さん)

・まよなかに蛾と乗り合わせるエレベーター言葉交わさず運ばれてゆく(新潟県 ユキノ進さん)

・無見無臭なにより怖いウィルスのインフルエンザ予防接種す(福井県 木村れい子 HN【レイ】さん)

・その夏の証明として真夜中に羽化する蝉を見にいったこと(神奈川県 紗都子さん)

・複眼を持たず生まれて良かったとあなたを見つつ思ったりした(岩手県 たきおとさん)

・仏壇のおはぎの前で一匹の蝿が静かに手を合わせてる(岩手県 山本左足さん)

・おとなしい甲虫を手に容れるようにマウスにふれて午後のつとめを(東京都 飯田彩乃さん)

・出ろよ今出るとこやんけ入り口の辺り飛んでる蝿もお前も(大阪 じゃこさん)

・学内掲示板に電気のともる隅ひそめる蜘蛛の巣にひとりいて(宮城県 風橋 平さん)

・黒飴の包みはすすんで捨てられて路上に灼けるこれは蝶です(宮城県 風橋 平さん)

・虫すだくどんなものかと開いてるパソコンの前夜は更けゆく(鳥取市 螢子さん)

・どんな音を立てたんだろう足あとの化石に潰れた三葉虫は(大阪府 田中ましろさん)

・「それでも、」の後は続かず蝉時雨 夏に会うたびその蝉時雨(兵庫県 飯田和馬さん)

・紙魚(しみ)として生きていきたいJR40分ほど遅れています(京都府 さまよいくらげさん)

<選者の歌>
◎むしたけさん詠歌
・冬を越すことのできない蚊柱の、なるほど、おれに群がってくる

◎天鈿女聖詠歌
・一匹の虫を殺して思い出す 私も年をとるってことを


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<反省会>
改めまして歌会たかまがはら10月号をご視聴いただき、また、短歌をご投稿いただきありがとうございました。
まず、番組の録画ですが、録画ボタンを押すのを忘れ、最初の数分間が録画されてませんでした。
大変申し訳ございません。生で見ていた方は特典と思って胸の中に大事にしまっていただければと思います。
今回は「むしたけさんで投稿歌200首」を目指してきましたが、結果的には189首のご投稿歌をいただきました。
目標には届きませんでしたが、それでも過去最高の投稿数をいただきました。
本当にありがとうございました。
音声に関してはもう少し改善しなければならない点がありますので、設備投資?をやっていきたいと思います。
次回もよろしくお願いいたします。
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次回の歌会たかまがはらですが、現在ゲスト様を調整中です。

日程等がわかり次第、こちらのHP&Twitterで告知いたします。

「歌会たかまがはら」ブログ:http://blog.goo.ne.jp/utakai_takamagahara
「歌会たかまがはら」twitterアカウント:@utamagahara

告知まで今しばらくお待ちください。

今後とも、歌会たかまがはらをよろしくお願いします。