ここでは、2024年3月9日配信の歌会たかまがはら2024年3月号で皆様からいただきました山階基さんへの質問をご紹介いたします。
回答につきましては山階基さんからいただいたものをそのまま掲載しております。
なお、山階基さんの回答に対する質問は受け付けておりませんので、あらかじめ、ご了承ください。
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<配信内でお聞きした質問>
Q1,たとえば20〜30首程度の連作をつくるのに、どのくらい時間をかけて仕上げていらっしゃいますか?
いちから作る場合は、一首目を作り始めたところから完成まで
いくつか作り溜めてきた歌を連作にする場合は、それらを連作にしようとしたときから完成まで
としてお答えいただければ幸いです。(石川県 塩本抄さん)
A1,ごめんなさい。時間を管理しながら書くことができていない(どのくらい時間をかけたのかまったく把握できない)ので、わかっているのはしめきりにあわせて出すということだけです。なにかの合間の細切れの時間にちまちまと書くことも、まとめて時間をとれることもあります。仮に時間をはかっていても、書けないときはほんとうに書けないので、平均とかを出してもあまり意味のある感じにはならない気がします。
<短歌についての質問>
Q1,腹が立った気持ちを歌にすることはありますか?読み直したときどんな気持ちになりますか?(神奈川県 corazoncitoさん)
A1,なんと言えばいいのかちょっと難しいのですが、自分の気持ちを歌にするということはしないです。
腹が立っていたときに作った歌を読みかえして腹が立っていたことを思い出す、ということはあると思います。が、それは歌のなかみとはあまり関係がなく、そのときの周囲の環境のようなものとして思い出されます。
<その他の質問>
Q1,山階さんが中島みゆきの歌を好んで聴いておられることはよく知られているかと思いますが、中島みゆきの歌との出会いの経緯や、歌詞/詩から影響を受けたところ、受けなかったところなどが知りたいです。(東京都 髙良真実さん)
A1,最初に意識したのは、テレビなどで『プロジェクトX』の主題歌「地上の星」がよく流れていたころ、「かッぜェのォなッかァのォすゥばるゥ〜」とうたう独特の声が耳に残るなあという感じでした。
あらためて出会ったな、と思うのは五、六年経ってから、高校一年生くらいのころです。YouTubeにあった動画(著作権法にふれていたと思います)で、「ファイト!」を聴いたとき。〈あたし中卒やからね〉の女の子をはじめ、幾人もの他人の声を引き受けるかのようにうたう姿に打ちのめされて、動画を片っ端からみて、当時さかえていたTSUTAYAの店舗をいくつも回って借りられるCDアルバムをすべて借り、カラオケでもたくさん歌いました。
「中島みゆき研究所」という気合いの入った私設のファンサイトがあり、歌詞のデータベースが参照できるので、CDをTSUTAYAに返したあとはそこで歌詞を読んでいたのですが、いま思うと、ある書き手の書いたものをまとめて読むという経験のなかでもかなり徹底していたと思います。
というわけで、影響を受けていないわけがないのですが、文体、特に韻律に影響を受けていると思います。先日、知人に「『夜を着こなせたなら』のこの連作のタイトル、中島さんの***の歌詞に(リズムが)そっくりだよね」と言われてかなり動揺しました。歌詞に七音五音で構成された部分がけっこうあるというのはもちろんですが、それだけでなく無意識にかなり染み付いているものがあるんだなという……。
逆に、影響を受けなかった(というか、この感じを短歌に持ち込むのは違うなと思ってきた)のは、意味(テーマとか)の置きかたです。
Q2,湯船派ですか。シャワー派ですか。(鹿児島県 西淳子さん)
A2,お湯につかることが好きなのでシャワーだけのことはほとんどないです。プールや銭湯、かさの大きい水に入るのが好きです。温泉も好き。サウナは苦手です。絶対にととのいたくありません。冷えやすい体質なので寒い季節には足湯を用意することもあります。
Q3,自炊のコツ(東京都 かねやまさん)
A3,自炊という言葉がでてくるということは、おそらくは主として自分だけに食べさせるものを作るにあたっての話だと思うのですが、あまねくレシピのなかで1人ぶんとされる量を作りやすいものはけっこう限られているので、できあがった2〜3人ぶんの料理を一気に食べてしまわない覚悟がいります。1日に2、3回の食事をするとして、1日に2、3回しっかり台所に立つというのもなかなかしんどいので、おなじものを続けて食べる勇気を持ってください。作り置きとか常備菜までいかずとも、昼から夜とか、夜から翌朝とか、そのくらいは冷蔵庫に居残ってもらうのがよいです。
続けるコツという意味であれば、ミニマムを意識するというのがあります。ごはんを炊くだけ、パスタをゆでるだけはやるとか。豆腐の水を切るとかでもいいんですけど、「自炊をやっている」のラインをめちゃくちゃこっち寄りに引きなおしてみるのはどうでしょう。むずかしい、凝った料理をするのは娯楽と思って「自炊」とは切り分けてしまうのもいいです。そういうのはひまなときにやる。
それから、食べたいもの・作りたいものを作るといいです。スーパーで見かけた野菜とか、使ったことのない謎の部位の肉とかが気になったら、その場でぱっとレシピを検索してみてほかに必要なものを揃えてみるとか。
レシピを信じて、書いてあるとおりにすすめることも大事です。われわれは素人なので、(使い切る気がしなくて買えない材料などはあきらめるとしても)まずはレシピ通りにやって、もしどうしても違うなと思ったら、そこではじめてアレンジを試みるくらいがいいです。(これから自炊をはじめるということであれば、NHKの『きょうの料理ビギナーズ』のテキストや関連書籍はよくまとまったものが多いです。)
あと、最も大切なのが他人を無視することです。SNSなどをながめていると、いろいろな「自炊」が流れてきますが、基本的に無視してください。「あの人やこの人みたいに素敵な・立派な・よくできた・まめな自炊」を……と考えることは、ときに邪魔にしかなりません。自炊は自分だけのためのものということを忘れず、自分も作りたい、参考にしたいと思ったときだけ、レシピを調べるなどしてやってみればいいです。いよいよ長くなりましたが、これも無視していいんですよ。
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以上となります。皆様からのたくさんのご質問ありがとうございました。
回答につきましては山階基さんからいただいたものをそのまま掲載しております。
なお、山階基さんの回答に対する質問は受け付けておりませんので、あらかじめ、ご了承ください。
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<配信内でお聞きした質問>
Q1,たとえば20〜30首程度の連作をつくるのに、どのくらい時間をかけて仕上げていらっしゃいますか?
いちから作る場合は、一首目を作り始めたところから完成まで
いくつか作り溜めてきた歌を連作にする場合は、それらを連作にしようとしたときから完成まで
としてお答えいただければ幸いです。(石川県 塩本抄さん)
A1,ごめんなさい。時間を管理しながら書くことができていない(どのくらい時間をかけたのかまったく把握できない)ので、わかっているのはしめきりにあわせて出すということだけです。なにかの合間の細切れの時間にちまちまと書くことも、まとめて時間をとれることもあります。仮に時間をはかっていても、書けないときはほんとうに書けないので、平均とかを出してもあまり意味のある感じにはならない気がします。
<短歌についての質問>
Q1,腹が立った気持ちを歌にすることはありますか?読み直したときどんな気持ちになりますか?(神奈川県 corazoncitoさん)
A1,なんと言えばいいのかちょっと難しいのですが、自分の気持ちを歌にするということはしないです。
腹が立っていたときに作った歌を読みかえして腹が立っていたことを思い出す、ということはあると思います。が、それは歌のなかみとはあまり関係がなく、そのときの周囲の環境のようなものとして思い出されます。
<その他の質問>
Q1,山階さんが中島みゆきの歌を好んで聴いておられることはよく知られているかと思いますが、中島みゆきの歌との出会いの経緯や、歌詞/詩から影響を受けたところ、受けなかったところなどが知りたいです。(東京都 髙良真実さん)
A1,最初に意識したのは、テレビなどで『プロジェクトX』の主題歌「地上の星」がよく流れていたころ、「かッぜェのォなッかァのォすゥばるゥ〜」とうたう独特の声が耳に残るなあという感じでした。
あらためて出会ったな、と思うのは五、六年経ってから、高校一年生くらいのころです。YouTubeにあった動画(著作権法にふれていたと思います)で、「ファイト!」を聴いたとき。〈あたし中卒やからね〉の女の子をはじめ、幾人もの他人の声を引き受けるかのようにうたう姿に打ちのめされて、動画を片っ端からみて、当時さかえていたTSUTAYAの店舗をいくつも回って借りられるCDアルバムをすべて借り、カラオケでもたくさん歌いました。
「中島みゆき研究所」という気合いの入った私設のファンサイトがあり、歌詞のデータベースが参照できるので、CDをTSUTAYAに返したあとはそこで歌詞を読んでいたのですが、いま思うと、ある書き手の書いたものをまとめて読むという経験のなかでもかなり徹底していたと思います。
というわけで、影響を受けていないわけがないのですが、文体、特に韻律に影響を受けていると思います。先日、知人に「『夜を着こなせたなら』のこの連作のタイトル、中島さんの***の歌詞に(リズムが)そっくりだよね」と言われてかなり動揺しました。歌詞に七音五音で構成された部分がけっこうあるというのはもちろんですが、それだけでなく無意識にかなり染み付いているものがあるんだなという……。
逆に、影響を受けなかった(というか、この感じを短歌に持ち込むのは違うなと思ってきた)のは、意味(テーマとか)の置きかたです。
Q2,湯船派ですか。シャワー派ですか。(鹿児島県 西淳子さん)
A2,お湯につかることが好きなのでシャワーだけのことはほとんどないです。プールや銭湯、かさの大きい水に入るのが好きです。温泉も好き。サウナは苦手です。絶対にととのいたくありません。冷えやすい体質なので寒い季節には足湯を用意することもあります。
Q3,自炊のコツ(東京都 かねやまさん)
A3,自炊という言葉がでてくるということは、おそらくは主として自分だけに食べさせるものを作るにあたっての話だと思うのですが、あまねくレシピのなかで1人ぶんとされる量を作りやすいものはけっこう限られているので、できあがった2〜3人ぶんの料理を一気に食べてしまわない覚悟がいります。1日に2、3回の食事をするとして、1日に2、3回しっかり台所に立つというのもなかなかしんどいので、おなじものを続けて食べる勇気を持ってください。作り置きとか常備菜までいかずとも、昼から夜とか、夜から翌朝とか、そのくらいは冷蔵庫に居残ってもらうのがよいです。
続けるコツという意味であれば、ミニマムを意識するというのがあります。ごはんを炊くだけ、パスタをゆでるだけはやるとか。豆腐の水を切るとかでもいいんですけど、「自炊をやっている」のラインをめちゃくちゃこっち寄りに引きなおしてみるのはどうでしょう。むずかしい、凝った料理をするのは娯楽と思って「自炊」とは切り分けてしまうのもいいです。そういうのはひまなときにやる。
それから、食べたいもの・作りたいものを作るといいです。スーパーで見かけた野菜とか、使ったことのない謎の部位の肉とかが気になったら、その場でぱっとレシピを検索してみてほかに必要なものを揃えてみるとか。
レシピを信じて、書いてあるとおりにすすめることも大事です。われわれは素人なので、(使い切る気がしなくて買えない材料などはあきらめるとしても)まずはレシピ通りにやって、もしどうしても違うなと思ったら、そこではじめてアレンジを試みるくらいがいいです。(これから自炊をはじめるということであれば、NHKの『きょうの料理ビギナーズ』のテキストや関連書籍はよくまとまったものが多いです。)
あと、最も大切なのが他人を無視することです。SNSなどをながめていると、いろいろな「自炊」が流れてきますが、基本的に無視してください。「あの人やこの人みたいに素敵な・立派な・よくできた・まめな自炊」を……と考えることは、ときに邪魔にしかなりません。自炊は自分だけのためのものということを忘れず、自分も作りたい、参考にしたいと思ったときだけ、レシピを調べるなどしてやってみればいいです。いよいよ長くなりましたが、これも無視していいんですよ。
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以上となります。皆様からのたくさんのご質問ありがとうございました。