歌会たかまがはら

毎回お題に沿った短歌を募集してゲストの方とおしゃべりする短歌の番組です。
YouTubeで配信しています。

歌会たかまがはら2023年6月号 城下シロソウスキーさんへの質問

2023年06月28日 | その他・連絡事項
ここでは、2022年6月17日配信の歌会たかまがはら2023年6月号で皆様からいただきました城下シロソウスキーさんへの質問をご紹介いたします。

回答につきましては城下シロソウスキーさんからいただいたものをそのまま掲載しております。

なお、城下シロソウスキーさんの回答に対する質問は受け付けておりませんので、あらかじめ、ご了承ください。

**********************************************************************************
<配信内でお聞きした質問>
Q1,今までで一番笑った短歌はなんですか?(三重県 はだしさん)

A1,ちょっと月並みな回答かもしれませんが、奥村晃作の〈中年のハゲの男が立ち上がり大太鼓打つ体力で打つ〉は「ハゲの男」という身も蓋もない言い方と、「体力で打つ」のダメ押しが笑えて好きです。
鈴木ちはねさんの〈抜けた歯をもうちょっとよく見たかった もうちょっとだけよく見たかった〉や、水沼朔太郎さんの〈繁忙期はバブで乗り切れ 繁忙期は炭酸力のバブで乗り切れ〉は、同じことをちょっと言い方変えてもう一回言えば通じるんじゃないか、みたいな感じでダメ押ししてきて、そのどうしようもなさとか、圧の強さとかで笑ってしまう作品です。

Q2,城下さんの注目している歌人、歌集があれば教えてください。またどんな点で気になっている(惹かれている)か教えていただければ幸いです。(石川県 塩本抄さん)

A2,牧水短歌甲子園に三重高田高校で出ていた亀谷柊瑠さん、長崎桃子さん、前川陽香さんの3人は今も短歌作っててくれたらいいなと思っています。どうしても「高校生らしさ」みたいなものを前面に出した歌を作る出場者が多い短歌甲子園の場で、屈折や屈託のある歌を出してきた3人は異彩を放っていました。
あとは筑波大学附属高校の永井敦也さん。ベテラン中学生の影響の強さを感じるのはあるんだけど、モチーフの選択もオッと思うし、わかりやすさとか上手く言おうとする感じよりも、作者の実感や体感が前面に置かれていて、それが貫き通されているように思う。
あと瀬口真司さんは、いまあえて「注目している」に挙げるには、すでに各方面から注目されすぎているように思うのだけれど、広大短歌会の頃から注目していました。


<短歌についての質問>
Q1,どんな感じの短歌が好きですか? (ざっくりしててすみません)(神奈川県 斎藤見咲子さん)

A1,あまり上手いこと言おうとしてない短歌というか、気の利いたことを言おうとするよりも、少し分かりづらかったとしても、その人の実感や体感みたいなものがきちんと詠まれている短歌が良いのではと思うようになりました。
上手いこと言えてるときに生ずる共感とか驚きとかは、その作品を好きになる重要な要素なんだけど、サービス精神出して上手く言おうとしすぎてると感じたとき、大人に従順すぎる子供や、ポピュリストの政治家に対する警戒感みたいなものが出たりするのが最近です。


Q2,短歌を書くときは手書きですかデジタルデバイスですか(工藤雨読さん)

A2,デジタルです。
ふだん思いついた作品を書き留めるのはsimplenoteというメモツールなのですが、その名の通りシンプルなメモツールで、余計な機能がなく使いやすいです。
でも、スマホアプリとPC版とで上手く連携せずにファイルが先祖返りすることがあり、そのせいで消失してしまった作品も少なからずあるので、皆さんにはあまりおすすめしません。もっといいメモツールを探してください。
連作を組む際はscrapboxというメモツールを使っており、こちらはバージョン管理機能がちゃんとしていて、まず先祖返りしないし、VScodeとかsublimetextといった高機能テキストエディタみたいな行移動ができたりするので、並べ替えするのが便利で良いです。
ただ、ネイティブアプリ対応はしていないので、思いついた作品をスマホから書き留めるには、ページ読み込みに少し時間がかかるのがあり、その隙にメモしようとしていた作品を忘れる可能性があるので、ふだん作品を書き留めるのには使用していません。
連作をつくる際に一旦手書きで書き出してみることや、短冊に手書きして並べ替える方法は、岡井隆はじめ多くの歌人が勧めていたように思うけど、かかる労力のわりには得られるものが少ないと感じたのがあり、その労力をもっと別のことに割り振りたいと思っていて、その結果として、現在の方法に落ち着いています。


Q3,どんなときに短歌が閃きますか?「作るぞ!」と身構えて短歌を作りますか?それとも日常生活の中で、「あっ」と思ったことを書き留めるタイプですか?(神奈川県 corazoncitoさん)

A3,「作るぞ!」と身構えて短歌を作ることは基本的になくて、なにかの瞬間に思いついたら書き留める感じなので、思いつかないときは本当に作品が作られない感じです。
ただ、そうやって書き留めた作品を磨き上げるプロセスはあるので、あとで見直して改作案をたくさん作る感じです。



<その他の質問>
Q1,シロソウスキーさんといえば「宇宙よりも遠い場所」の報瀬ちゃんのアイコンですが、よりもいの中で一番好きなエピソードを教えていただけると嬉しいです。(愛知県 岡田奈紀佐さん)

A1,好きなエピソードというか、印象に残っているシーンとしては、報瀬が日向の元同級生の陸上部員たちに啖呵を切る場面は、報瀬の性格というかキャラがよく出ていて印象的です。
報瀬の良さは、不器用でバカなんだけどまっすぐで、学校でも変人扱いされるんだけど、そこで人や組織とかに迎合したり阿ったりせず、自分の正義を貫き通すところだと思っていて、それを象徴するエピソードだったと思います。

Q2,Dir en greyで一番好きな曲おしえてください(東京都 玉野勇希さん)

A2,JELOUSです。
発売当時、深夜の音楽番組(たしか「Break Out」)のあいだの15秒CMとして曲が流されていて、2バージョンあったのだけど、一つは曲の冒頭で、もう一つはサビの部分で、いずれも「すげーいい」と思って、近所の「アルプス電気」で取り寄せてもらって買いました。
同級生の竹村くんにも聞かせたら一気にハマってました。
次のI'llで一気にヒットして有名になったので、そのときは驚きました。

Q3,何フェチですか。(鹿児島県 西淳子さん)

A3,ラバーとか、エナメルとか、光沢があってタイトなものに興奮するのがあります。
エナメル質のコスチュームとかって伸縮性が低かったりしていまいち思ったようなタイトさが得られないこと多かったりするけど…。
ラバーもあれって、トリートメント的なもので手入れしないと光沢出ないし、使ってるうちに破けたりもするんで、普段使いするのムズかったりするんですよね。
オリンピック選手が使うような競泳水着、レーザーレーサーとかもかなりタイトに作られていて、脱ぐのも着るのも一人ではできなかったりするのだけど、あれは、その拘束感で精神的ドーピングを発生させてタイムを短縮するみたいな機能があったりして、それを自分も生活に取り入れているのがあり、たとえば気合い入れて部屋を掃除したり模様替えしたりするときは、アスリート仕様のとかじゃなくても、タイトな水着を着てやると捗ったりします。



**********************************************************************************

以上となります。皆様からのたくさんのご質問ありがとうございました。

歌会たかまがはら2023年6月号採用歌(2023年6月17日配信分)

2023年06月28日 | 歌会採用短歌
2023年6月17日に行いました歌会たかまがはら2023年6月号に短歌をご投稿いただいた皆様、また歌会の配信をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。

ここでは、当日採用した短歌、当日紹介できなかったけど気になった短歌、出演者の短歌をご紹介いたします。

なお、採用歌への評については省略いたします。ご了承ください。


※投稿歌の取り扱いについて
ご投稿いただいた短歌についての取り扱いは
・配信・ブログで紹介した投稿歌→既発表
・配信・ブログで紹介しなかった投稿歌→未発表
・既発表の投稿歌→配信・ブログで紹介したかしないかにかかわらず既発表
となります。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

お題:「性」※テーマ詠
ゲスト:城下シロソウスキーさん
司会:天野うずめ

<当日紹介した歌(順不同)>
◎城下シロソウスキーさん選
・蜜漬けの杏ふたつぶ取り出してきみのやさしき陰嚢を思ふ(石川県 塩本抄さん)
→天野うずめも選

・身体じゅう故郷の影がひらめくよ、冴えたあばずれの即興劇は(東京都 相川弘道さん)

・性愛の行間をながれてる川の底が光ってて ペーパー・ムーン?(東京都 相川弘道さん)


◎天野うずめ選
・性別をあばらの骨で確かめる遺品調査のおじの妹(千葉県 渡邉理紗さん)
→城下シロソウスキーさんも選

・すべて夢は溶性だからよれよれのパーカー羽織り牛を見に行く(坂中茱萸さん)
→城下シロソウスキーさんも選



<当日紹介できなかったけど気になった歌>
◎城下シロソウスキーさん選
・閉経とともに正気を失った人の話をまた聞かされる(工藤雨読さん)

・詰め替える中性洗剤パウチには進化の余地がまだあるだろう(愛知県 岡田奈紀佐さん)

・春の日のシュガシュガルーンを観た朝と一人称を俺にした午後(東京都 大庭ユウキさん)

・ほとんどの自分は不溶性だから湯船に溜めて意味のあるお湯(おいしいピーマンさん)

・「性格は明るいはずよ」とうちあける聖子ちゃんの頬骨の発光(甘夏せと香さん)


◎天野うずめ選
・性欲がなくなるように祈ったら届かなかったことはあります(三重県 はだしさん)

・性別の欄に両方丸をつけ両性類になっちまいたい(鹿児島県 西淳子さん)

・わたしの目は指は性器はかはいさうだよな わたしに嫌はれてゐて(東京都 玉野勇希さん)

・ジャガイモに男も女も無いだろうスペイン語習い始めの疑問(神奈川県 corazoncitoさん)

・性欲がなくなるとはどういうことかわからずにいた頃の体温(工藤雨読さん)

・通りざまガストの中を見ていればハッとした男性に見つかる(おいしいピーマンさん)

・惑星へ移住 花咲か爺さんが最初の畑に活性炭撒く(愛知県 甘夏せと香さん)



<出演者の短歌>
◎城下シロソウスキーさんの歌
・物事を野球に例えながら言い自分自身とセックスしたい


◎天野うずめの歌
・性能がいいガンダムに乗るまでに何人死ねばいいのだろうか


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
<反省会>
歌会たかまがはら2023年6月号へのご投稿いただいた皆様、そして、番組の配信をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。
まず、配信開始直後に機材トラブルを起こしてしまいました。
配信をご覧になっていただいた方、さらに城下シロソウスキーさんにご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございませんでした。
今後は機材トラブルがないように調整してまいります。
さて、今回はゲストに城下シロソウスキーさんをお迎えいたしました。
シロソウスキーさんとは一度歌会でご一緒しましたが、オンラインということもありお話する時間はなく、今回がほぼ初対面という形でした。
今回シロソウスキーさんとのお話を通して、独特な視点で質問への回答や選歌をしていて、とても学びの多い回となりました。
城下シロソウスキーさん、ご出演いただきありがとうございました。
それでは、今後も歌会たかまがはらをよろしくお願いいたします。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/