乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

「春」草野心平 と 4月1日の さくら   奈良A公園(6景)

2011年04月02日 | ことのは































     春   草野心平




     天下は実に春で。

     雲はのぼせてぼうっとしてるし。

     利根川べりのアカシヤの林や桃畑の中をあるき。

     おつけのおかずになづなをつみ土筆をつみ。

     なんとも美しいバラの新芽をつみ。

     樹木や草からは新しい精神が。

     それらがやはらかにぬくまつて燃え。

     五六羽小鳥たちはまぶしくうるむ空をかすめて。

     流れてゆくその方向遥かに。

     雪の浅間の噴煙が枝々の十文字交叉をとほして……。

     虫けらたちも天に駆けあがりたいこの天気に。

     ああ。実際。

     土筆の頭の繁殖作用や。

     せきこんで水を吸ひ上げる樹木の内部の活動や風のそよぎや。

     よろこびのものうい音楽はみち。

     なづなをつんでるおれとおまへよ。

     尾長猿のように木をとびまはり夜叉になりこの豊満をなきたくなり……。

        




                世界の詩36  草野心平詩集  
                田村隆一編 弥生書房 39、40ページ より










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