イラン ヤズド 沈黙の塔
『誰も知らない』4,9★/5 2004 監督・脚本:是枝裕和
柳楽優弥 北浦愛 木村飛影 清水萌々子 YOU
2012年に見た是枝監督の『誰も知らない』を見た。
2019年の『パラサイト 半地下の家族』(原題:기생충(→寄生虫)、英: Parasite)は劇場でもテレビでも見て感動下が『パラサイト 半地下の家族』を見た後に是枝監督の『誰も知らない』を見て、心から感動した。
時間の平坦な流れ。時がどんどんたちに連れ、家族を取り巻く環境や誇りや匂いは増しゆく。
画面を通して、その匂いは、強烈だ。
話の中で、匂いを話題にしたのは二点。
「俺のうち、来ないか?新しいゲームを買ったんだ。」
「また今度な。(あいつん家、臭いんだ。なんか、臭うんだよな。)」
と、
いじめられている女生徒と会う前の、Tシャツを選ぶ場面。
さらに女子学生が、
「髪、洗った?」
『パラサイト 半地下の家族』では、匂いを一つのテーマにしていたが、『誰も知らない』では、言葉にせずとも、その匂いは鼻にツンとくる。
それほどまでに凄まじい映画は、石の階段のを境に、普通の人々と、底辺層の人々。さらに、この家族のように、存在すら人々の意識下に入り込まない人々がいる。
石の階段を行き来する少年は、生きることだけに真剣である。
『パラサイト 半地下の家族』は、境界線とも言える階段を、もっと長くして、事あるごとに使用している。
如何にせん、好きな映画である『パラサイト 半地下の家族』は2019年の制作、是枝監督の『誰も知らない』は九年の制作である。
是枝監督の『誰も知らない』は初めに、母親(YOU)に溢れるほどに熱っぽい形の良い素肌の脇を見せる。
その後、子供たちが 云々。
母親の
「お母さんが幸せになっちゃ、いけないの?元々は、あんたのお父さんがいけないんでしょ。 云々」
寝ている時の、母の一筋の涙。
子供達だけ。一生懸命、そして変化。
男の子ふたり、工事現場で土を集める。
女生徒を含める三人の女の子は、その横の空き地で、花の種を集める。
飛行機の音。見上げる、飛行機。
ここで、琴線が切れた。
さらに、末女子が死に、女生徒の力を借りて、死んだ妹に約束していた飛行機を見せに行く。
ここでも、見上げる飛行機。
観客の私は、ここでも余韻に浸っていたのだが、帰りの電車の音楽はいけない。
酸っぱい声で、道徳的な内容の唱歌的歌が耳に暴力的に入ってきて、これまでの作品の良さだ台無しになった。
いわゆる説明的で、文部省推薦、、、みたいな作品に陳腐さを感じさせる。
この場面の音楽がもし違ったものであれば、この映画は文句なしの満点であった。
あそこまで説明を必要とする観客がいると考えていらっしゃるのだろうか?観客は、そこまで馬鹿ではない。
『パラサイト 半地下の家族』に少なからず影響を与えたと感じられ『誰も知らない』は、電車の部分の歌(音楽)を除いては大変満足のいく映画であった。
少なくとも音楽の前までは、映画にのめり込み、心を添え足てしっとりと鑑賞していた。
誰も、
存在しうるこの家族たちに、気付かない。或いは、気付かぬ振りをしている
現実社会はに、怖さを感じた。
この映画は、歌を除いては、ブラボー!であった。
今回も簡単な記録だけでしつれいいたしま~す^^
監督・脚本:是枝裕和
出演:柳楽優弥 北浦愛 木村飛影 清水萌々子 YOU
2004年
141分