乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『木々高太郎全集 3』  朝日新聞社

2008-03-21 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は能面です。)

 

 

記録だけ  2008年度 24冊目   

 

  

   木々高太郎全集 3

 

                   

 著者 木々高太郎

 朝日新聞社 

 上下有り・398ページ 980円

 昭和45年12月25日 第1版発行

 

 三月二十一日。

 先日から読み続けていた木々高太郎全集 3を読了。

 第1、第2にもまして第3も楽しめた。

 

 第3巻には次のような作品が載せられている。

  「風水渙」(1937)   

  「死人に口あり」(1937)   

  「秋夜鬼」(1937)   

  「柊雨堂夜話」(1938)   

  「永遠の女囚」(1938)   

  『笛吹 - 或るアナーキストの死』(1940)   

  「宝暦陪審」(1939)   

  「婚礼通夜」(1939)   

  「ベートーヴェン第十交響曲」(1940)   

  「ストリンドベルヒとの別離」(1940)   

  「東方光」(1941)   

  「葡萄」(1942)

 以上短編10と長篇1作品。

 短編においては「」、長篇は『』という形で今回も記録することにした。

 

 「秋夜鬼」は奥深く、じっくりと読み上げると、そうとうおもしろい。

 

 長篇の『笛吹 - 或るアナーキストの死』はかなりおもしろい。

 単行本にもなったこの作品は、春陽文庫版では「或るアナーキストの死」というサブタイトルが付けられたらしいが、果たしてそれだけとは言いがたい趣深い小説といえる。

 この作品も探偵小説というよりも、心情の揺れ動きが細やかに表現されており、純文学といって過言ではない。

 非常に出来のよい小説で、のめりこんで 楽しむことができる。

 

 「葡萄」の冒頭は良い。言葉の流れが美しい。

   「君は果物で何が好きかね」そうきかれれば、己(おれ)は躊躇なく答える。葡萄だ。あの粒々の、紫色の房だ。それが棚から垂れ下がっていれば、尚のこといい。葡萄だ。

 本書にしてこのたった三行だが、私の心をとらえる。

 読み進むにつれ、木々氏の内面的考えをかいま見ることが出来る。

 他の小説とはまた違った角度からとらえられた 特徴的な一作品と感じた。

 

 

 朝日新聞社 木々高太郎全集 全6巻(1970-1971)

1 「網膜脈視症」(1934)   

  「睡り人形」(1935)   

  「青色鞏膜」(1935)   

  「恋慕」(1935)   

  「就眠儀式」(1935)   

  「完全不在証明」(1935)   

  「医学生と首」(1935)   

  「幽霊水兵」(1935)   

  「決闘」(1936)   

  「胆嚢」(戯曲)(1935)   

  『人生の阿呆』(1936)   

  「印度大麻」(1936)

 

2 「女と瀕死者」(1936)   

  「無気味な老医]師」(1936)   

  「緑色の眼」(1936)    

  「盲いた月」(1936)    

  「死の乳母」(1936)    

  「夜の翼」(1937)    

  「ヴェニスの計算狂」(1937)    

  「大浦天主堂」(1937)    

  「女の政治」(1938)    

  「水車のある家」(1940)   

  「文学少女」(1936)   

  『折芦』(1937)   

  「女の復讐」(1937)  

  「蝸牛の足」(1937)   

  「封建性」(1937)

 

3 「風水渙」(1937)   

  「死人に口あり」(1937)   

  「秋夜鬼」(1937)   

  「柊雨堂夜話」(1938)   

  「永遠の女囚」(1938)   

  『笛吹-或るアナーキストの死』(1940)   

  「宝暦陪審」(1939)   

  「婚礼通夜」(1939)   

  「ベートーヴェン第十交響曲」(1940)   

  「ストリンドベルヒとの別離」(1940)   

  「東方光」(1941)   

  「葡萄」(1942)

 

4 「呪縛」(1946)   

  「新月」(1946)   

  「月蝕」(1946)   

  「無花果」(1947)   

  『彼の求める影』(1957)   

  「冬の月光」(1948)   

  「老人と看護の娘」(1949)   

  「人形師の幻想」(1949)   

  「少女の臀に礼する男」(1950)   

  「夜光」(1952)   

  「幻想曲」(1952)   

  「X重量」(1953)   

  「六条執念」(1954)

 

5 『わが女学生時代の罪』(1949)   

  「タンポポの生えた土蔵」(1954)   

  「千草の曲」(1955)   

  「バラのトゲ」(1955)   

  「オリムポスの山」(1956)   

  「異安心」(1957)   

  「細い眼の孫娘」(1958)   

  「悪い家系」(1959)   

  「銀の十字架」(1962)   

  「失踪」(1967)   

  「幻滅」(1968)

 

6 『随筆・詩・戯曲ほか』

 

 

 

コメント (4)
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