乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

るにん/松阪慶子/奥田瑛二監督

2006-11-08 | 映画

(写真は奈良の田原本の廃屋です)

感想のみです。

あらすじはhttp://www.eijidokudan.jp/workinfo_dir_runin.html  ⇔公式HP

 

流刑島史上唯一『島抜け』に成功した実在の人物、佐原の喜三郎の物語を基に描かれた、壮大な歴史ロマン

   るにん  

 楽しめ度  ★★★★☆

 満足度   ★★★★☆

 音楽     ★★★★★

 影像美   ★★★★☆

 松阪慶子  ★★★★★+おまけ★

 総合点    ★★★☆☆ 




 2004年  日 本

 監督   奥田瑛二

 脚本   成島出

 原作   團紀彦 『るにんせん』 

 音楽   三枝成彰


キャスト

 
 松坂慶子

  迫真の演技。

  彼女の存在感で、古きよき時代の映画の香りが残る映画に仕上げられている。

 


 西島千博

  日本ではバレエの一人者らしいが松坂慶子さんとは最後までかみ合わなかったと感じる。

 


 小沢まゆ


 麻里也


 ひかる

  この方の存在感は大きい。

  映画は初めてらしいが、抽象的で京都弁がうまく動きがひらひらしていて、まるでアングラ劇を見ているよう。

  この人の出演で映画に深みを出し、松阪さんの存在を大きくして芸術作品になりかけるのだが、如何にせん他の重要な役の役者が足を引っ張るのが、口惜しい。

 『テレホンショッキング』などに出演されていたそうだが、本当のところはどんな人物かわからない。

  役は選ばねばならないでしょうけれど、映画にもっと彼を起用してほしい。

 

 (ニュースより)ひかるさんってこんな人(右から三人目) ↓

http://www.fjmovie.com/main/news/2006/0111_runin.html

 


 島田雅彦


 ゲンカイリュウジ

  タイシュウエンゲキの九州の巨匠。

  以前ビデオ(テレビ録画を友人に借りる)で彼と奥さん、娘さんを見たことがある。

  たった2,3分のまた旅寸劇ではあったが、涙が止まらない。

  それ以来彼の名前は心の奥にインプットされている。

  ただ、彼は関西では劇場に乗らないのが心残りだ。

  よって彼の演技(タイシュウエンゲキ)をみることは私にとっては不可能である。

 

  余談ですが、同じくタイシュウエンゲキ会にはワカバシゲルという役者がいらっしゃる。 

  このワカバシゲルさんもテレビビデオで劇を見たことがある。

  一時間余の小芝居ではあったが間のとり方が素晴らしくうまい。

  彼の『お母さんのお弁当箱』(広島原爆内容)のひとり芝居は見事な名作らしいがみたことがない。

 

  彼もまた関西では劇場に乗らない。残念。

  役者さんたちの中には、

「関西の観客は悲劇を好まない方が多い」

と首をかしげる方も多い。

 


 金山一彦


 なすび

  心温まる役で、お顔にピッタシ。


 濱本康輔


 大久保鷹


 カタオカチョウジロウ

   
 根津甚八

  この人、ちょっぴり好きなんですよ~~


 奥田瑛二

  役者としては迫真の演技。

  監督としては松坂慶子さんを起用した点は成功。

  全体として濡れ場があるにもかかわらず、音楽や画面、松坂慶子さんの複雑な表情の変化やひかるさんの空気のような存在感が芸術作品になりそうだったのですが…

  また始まってしばらくしてのこと。松坂慶子さんの小屋の前の群れる男たちやそこに喜三郎に担がれていき絶え絶えに女を抱こうとしたこうじい(?=誰なのでしょうか…)の存在感は大きい。

  ここの場面は黒澤監督の『どですかでん』を思い浮かばせた。

  映画をみていると黒澤監督の影響を受ける監督は多い。

 

  奥田瑛二さんって今までのイメージをくつがえすくらいいい作品を作っておられたので、結構好きになってしまいました。

 

 

 

 松坂慶子出演とるにんという題に惹かれて見た作品です。

 

 るにん・・・

 

 私は即座にカブキなどで演じられる演目の『シュンカン』を思い出し、興味を覚えた。

 

 鬼が島と呼ばれる絶海の孤島。

 収録は八丈島で行われたらしい。

 私は心の中で『喜界島』や『喜界が島』を思い浮かべた。

 

『女シバラク』『女ナルカミ』ならず実際には演目にはない『女シュンカン』を心に浮かべる。

 松坂慶子さんが途中で女シュンカンに見えてくるから不思議だ。

 

 

 鳥も通わぬ流刑の八丈島と謡われた割には酒が合ったり、紬をつむいでいたり・・・(あれ、気分はやっぱり『喜界島』(奄美大島群喜界町)ではないの?)

 飢餓や飢饉と島のるにんが口にするのだが、カブキの『シュンカン』の比べて酒があるなどを考えると豊かだ。

『シュンカン』の場合は婚礼の儀のお神酒も澤の水を竹筒に入れたもので杯はあわびの貝殻といった本当の貧しく苦しい暮らしがひしひしとこちらに伝わってくるが、映画『るにん』ではその緊迫感は少し薄かった。

 

 全体を通してとても楽しめる満足のいく作品でした。

 この作品は奥田英二監督の二作品目だそうですが、緒方拳さん主演の三作品目は是非劇場で観たいと感じました。

コメント (13)
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