日常

池川明「ママ、生まれる前から大好きだよ! -胎内記憶といのちの不思議」

2014-05-25 00:41:20 | 
池川明先生の「ママ、生まれる前から大好きだよ!―胎内記憶といのちの不思議」学習研究社(2009)を読みました。


<参考>
映画『かみさまとのやくそく』(2014-03-25)
ロバート・コールズ「子どもの神秘生活」(2014-04-03)
いんやく りお「自分をえらんで生まれてきたよ」(2013-05-21)


この本には、赤ちゃんが自分が胎児だった頃の記憶、この世に生まれてくる前に自分の親を決めて生まれてきたという記憶・・・
実際の産婦人科医療の現場で得られた様々なお子さんの発言を集めた本です。
事実は小説より奇なり!!というのは、医療現場ではよく遭遇することです。


池川先生の豊富な臨床経験から集められたいろんな言の葉。

この本を読んで、子どもの素直でまっすぐな言葉に、ただただ感動しました・・。

子ども時代にはまだ先入観も偏見も少ないので、こちら側が妙な先入観さえ植え付けなければ、素直に自分の想いを表現してくれます。

どんな人にも経験あると思いますが、「この人に話しても真面目に聞いてくれないなー」と思ったら、本音を話さないものです。
こちらが素直に心を開いていれば、こういう素直な発言も自然に集まってくるんでしょうね。

とにかく、かなり子どもたちの生の声に近く、それが極めてリアルで勉強になりました。


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みうちゃん(7歳)
「2歳の頃、「なんのために人間になったの?」と聞いたら、「笑うため!」と答えて笑っていました。
4歳の頃、「みうは、なんで人間になったの?」ともう一度聞いたら、こんな風に答えました。
「本当はもう人間にならなくてもよかったんだけど、体があって楽しそうだから、ママを選んでから毎年、ママのところに行ってもいいですか?って神さまに聞いていたの。でも、なかなかOKが出なかったんだけど、ある日『今日はいいよ』って言われたの。みうはラッキーだったんだよ。だって、OKが出ない子もいるから。」

そして、
「黄色の笑う神さまのところから、すごーく揺れる船に乗ってきた」
と、話してくれました。

「人間になってみて、どう?」と聞くと
「楽しいよ!笑ったり、歌ったり、みうがいたところでは、夢がなんでも叶うの。ほしいものが手に入るし、みんな優しいし、お花がたくさん咲いていて、いいにおいがしているの」」
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→なるほど・・・・
「人間になる」という表現がすごい。


他にも、
おかあさんのおなかの中は「暗かった」「あたたかかった」という発言もあり。
お腹の中で、赤ちゃんは音も聞き分けているとのこと。



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みうちゃん(7歳)
「ふいに、「みうが種だったときにね!」と言いだしたのです。
「種って?」
「子どもの種だよ。精子だよ」
「みう、精子だったの?」
「そうだよ。みう、いちばん大きくて光ってて、元気だったの。ぬるぬるしてて気持ち悪かった。 
ある日、ぬるぬるしてないなーと思って見たら、パパがおしっこをするところの入り口の近くにいたの。
あの入り口って、口みたいにパカッと開いているでしょ。
その近くでのんびりしてたら、水と一緒にすごい勢いで流れだして、気が付いたらママのここにいたの。」
と言って、みうは私の下腹部を押さえました。

「うわっ、ここどこ?と思って上を見たら、おっぱいがあった。
みう、種だったのに、卵になっちゃったの!」
「お腹の中はどうだった?」
「肌色で、電気がついてるみたいに、少しだけ明るかった。」
「みんな最初は種なの?」
「ううん。卵もいるよー。種も卵も全部、卵になるの。」
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→すごい発言ですよね。信じるしかない!!
やはり、語り(Narrative)の力ってすごいなぁ。



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7歳の男の子
「生まれる前は、目に見えない玉みたいな形で、星のない宇宙のようなところを、ぴょんぴょんはねて遊んでいた。うれしくも悲しくもない気持ち。
そこから、いつのまにかイトミミズみたいなのになって、それはものすごくたくさんいて、肩とかにバシバシあたる。
ぼくは、数え切れないほどいっぱいあるひとつ。
レースしているみたいに、泳いで走っている。
それで、ぼくが一位になったみたいな感じ。
そうしたら、この卵になった。
ほかのイトミミズはどこに行っちゃったのか、ぼくはしらない。

そしてある日とつぜん、体がどんどんふえ始めた。
一日一日すごい勢いで増えて行く。
ぼくはそのままでよかったのに、おなかが分かれてきた。
最初はめだかのような、ぶたの赤ちゃんが丸まったみたいで、まぶたがやたら分厚い。
そのうち、まぶたがちょっとずつ大きくなるときに、まぶたの皮が薄くなってくる。
最初は真っ暗だけど、その後ちょっとずつ、目は開かなくても光のようなものが見えてくる。

はじめは手とかほとんどなくて、手首はあっても、指とかはっきりしない感じ。
手や足が出てくるときは、毎日ちょっとずつ生えてくる。
指ができたら、よく手や足の指をこすって遊んだり、くるくる宙返りして遊んだ。髪の毛がちょっと生えてきたときは、指とか爪はもう完全に生えていた。
イトミミズや黒いつぶつぶのときはないけれど、ぶたの赤ちゃんのときから、ホースができてくる。
おなかの中は赤紫のつぼのようなところで、ザーザーと何かが流れる音とドクドクと音がしている。中はぶよぶよで、なまぬるい水が入ってる。ぼくは丸まっていて、ママのおなかとおへそから出ている線でつながっている。」
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→まさに実況中継です。
男性はみんなこういう道を通っているはず。(^^;



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4歳・男の子
「ぼくね、まほうの世界にいたことがあるんだよ。まほうの世界には、赤ちゃんがたくさんいる。おとなも少しいるよ。おとなはおしごとしなくていいんだよ。赤ちゃんの様子を見てるんだよ。」
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→この世に生まれる前の記憶のようですね。


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5歳・男の子
「ながーいながーいすべり台をすべってきた。
あお向けに足からすべってきた。
すべり台は虹色に光っていて、あつかった。
地球が見えてきたから、もうすぐお母さんのところにつくと思った。
とちゅうで分かれ道があったけど、迷わずにまっすぐ来た。
もうひとつの道に行くと、別のお母さんのところに行くんだよ。」
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→こういう「お母さんを選んだ」「すべり台のようなところで滑ってきた」という表現は、映画「かみさまとのやくそく」でもほぼ同じ発言を聞きました。



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9歳・女の子
「雲の上では、ちいちゃい子は神さまと一緒にいるの。
お手伝いの天使と妖精もいる。
お母さんは自分で決めて、神さまにいうの。
神さまはダメとは言わないよ。」
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→お母さんはやはり自分で決めるみたい。神さまは、かなり度量が広いご様子。



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12歳・女の子
「神さまに、生まれてもいいですよっていわれると、羽をつけてもらって、空を飛んでいくの。
すると、扉がある。
まわりは透明な壁になっていて、そこは通り抜けられないので、扉を開けて行く。
それからお母さんを探して、おなかの中に入るの。
天使がついてきてくれるから、一緒におなかに入ったら、羽をとってもらうの」
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→こういう具体的な発言もすごいリアリティーを感じる。。



池川先生は、
「お子さんは、事実を判定してもらいたいのではなく、どんな気持ちで生まれてきたのか、知ってもらいたいだけなのです。」
と書かれていて、まさにその通りだなぁ、と思いました。




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りゅうのすけくん(6歳)
「空を飛んで世界中を探して、いちばんママがよかったの。
さみしそうだったし、ぼくが来たらさみしくないかな、と思ったから。
ぼくが生まれたら、ママは喜んでくれたよ。
ほかにも、ひとりかふたり、「ママにしようかな」と思った人がいたよ。
でも、その人にはもう子どもがいたので、れいやくん(弟)と相談して、やめたの。
ママがお花見をしていたとき、羽のある小さな蜂になって、飛び込みながらみんなを見ていて、ママの口に入ったんだよ。」
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→お母さんを喜ばすため、誰かの役に立つため、というのが、僕らが生まれてくる時の使命の大きな軸になってますね。



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たかゆきくん(6歳)
「子どもたちは雲の上で、ずっと列みたいに並んでいる。
遊んではいないけれど、ふつうに歩いていたりする。
病気の子で生まれるか、元気な子で生まれるかっていうのを、絶対に決めなくちゃ、生まれられないから。

元気で生まれるか病気で生まれるかを決めるのは、自分。
自分でお母さんを決めて、元気な子で生まれるって決めたら元気な子に生まれるし、病気の子に生まれるってなったら、病気で生まれる。

神さまは、雲の上の、また上の教会にいて、元気に生まれるか生まれないかを子どもたちに聞いたり、生まれた後の人(=死んで雲の上に戻ってきた人)には、よいことをしたか悪いことをしたか聞いたりする。

悪いことをしたら、そこでまた生まれてよいことをしなくちゃいけないけれど、よいことをした人はほめてもらって、ちょっとのあいだ、行きたいところに行かせてもらえる。」
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→いろいろな条件は、自分が事前に決めてくるみたいですね。



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かずきくん
「ママ、もう悲しまないで。
みんなに元気に「ありがとう」って言われる方が、ぼくの力になるんだよ。
ぼくはもう生まれたんだよ。
次の赤ちゃんは、もう少し待っててね。必ずぼくが連れてくるよ。
そのときは、ぼくも一緒に来るからね。
ぼくね、お墓に入っても関係ないよ。
いつもみんなを見ているよ。
空に戻っただけだから、泣かないでね。」
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→これは、亡くなった子どもからのメッセージとのことです。

池川先生も
「亡くなって生まれる赤ちゃんは、そのいのちの重みをかけて、お母さんに何かを伝えようとしています。
・・・・
無事に生まれてくるいのちも、空へ還るいのちも、その重みは同じだからです。」
と書かれていて、感銘を受けました。

この現象がメッセージであると、まず受け取ること。
その次に、どういうメッセージを伝えようとしているのか、意味を読み解いていくこと。
すべて、自分が責任もってやらないといけない仕事のようです。



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あつしくん・3歳
「あつしくんって呼ばれる前に、にんにくをむいたことがある。
そのときはイギリスのお料理屋さんの子どもだった。
1988年8月9日に生まれて、ゲイリースって呼ばれていた。
7階建ての建物に住んでいた。高い熱が出て、死んでしまったんだ。」
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→これは、前世を覚えている子どもの話。
いろいろと不思議なことがあるものだ。



ただ、僕ら医療者は、眼の前の事実そのものを虚心坦懐に見つめ、素直に見つめ、そこから広く包容力のある考えを、みんなで知恵を出し合って考えていけばいいだけだと思うのです。そして、科学はもともとはそういう素朴な「?」から生まれ、素朴な「!」に続いていたはずなのです。どちらも、その神髄は言語で語ることは困難です。



この本は、色んな常識をひっくり返す素晴らしい本。
どの立場の人が読んでも、いろんな気付きがあってすごく楽しいと思います。
是非是非!お薦めの一冊です。(池川明先生の著書は、全部読んでいます)

こういうことをみんなが一般教養として知れば、もっともっといい社会になると思うなぁ。

2 コメント

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イマジネーションの海 (スイッチ)
2014-05-25 19:49:25
前に、お医者さんをしているお父さんが、
舞踏という踊りを見た後に、
「今日の踊りを見て、気づきました。生と死は当価値であると。私は、今までに死んでいく子どもを312人も見てきました。だけど、今日の舞台で雪さん(舞踏家さん)は、
生と死は、当価値であると表現されていました。
本当に、素晴らしかった」

と語られて。きっと、ずっとたくさんの子どもを看取られて、ずっと考えて来られて、その時にハッと答えがわかったんだろうなあって、思ったんです。生まれてくる前の世界は、イマジネーションの海みたいですね。
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想起(アナムネーシス) (いなば)
2014-05-28 01:45:50
子どもたちの語り(Narrative)の世界は素晴らしいですね。

プラトンは、知るということは思い出す事である。と言いました。想起(アナムネーシス)である、と。

いろんな体験や色んな言葉、そんな何かが鍵穴にピタリとおさまると、ふと思い出すように何か認識の次元がひとつあがるんでしょうね。  その瞬間、境界って、不思議なものですよねー。(^^
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