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日常

甲田光雄「マンガでわかる「西式甲田療法」」

2013-11-26 20:58:34 | 
甲田 光雄先生の「マンガでわかる「西式甲田療法」―一番わかりやすい実践入門書」マキノ出版 (2008/4/15)を読みました。

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<著者略歴> (「BOOK著者紹介情報」より)
甲田光雄
1924年、大阪府出身。大阪大学医学部卒。元大阪大学非常勤講師。
現在、日本綜合医学会名誉会長、医学博士、甲田医院院長。
中学、陸軍士官学校以来、病弱のためしばしば休学をくり返す。
その間、現代医学の治療を続けながら回復せず、これに絶望を感じ、以来、西式健康法、断食療法、生菜食健康法など、自然医学の研究に向かう。
各種の民間健康法を自ら実践・研究し、これらを応用するユニークな健康指導医として開業。
現代医学では難治とされる種々の疾患に挑戦して多くの治験例を挙げている

<赤池キョウコ>
静岡県生まれ。実践女子短期大学国文科卒業。新聞社、出版社で編集記者を経たあと、イラスト作家・フリー編集者として独立。
西式甲田療法の実践で難病の潰瘍性大腸炎、悪性脱毛症、重症の花粉症を克服した経験を持つ。
著書は共著を含め8冊に及ぶ。現在、執筆、講演、テレビ等で活躍中。
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この本の漫画部分を描かれている方は、この西式甲田療法で潰瘍性大腸炎(UC)という難病を治癒させた方。だから信憑性がある。
どんなものでも当事者が書くとリアリティーがある。そこが現代の科学に欠けているところだとも思う。科学はあまりにも客観的過ぎて、当事者意識に乏しくなる。


食事は本当に大事だ。
ただ、食事療法全般で気を付けないといけないのは、万人に向くものはないだろう、ということ。おそらく個人差が大きい。
そうは言うものの、おそらく食べ過ぎはよくないし、なんでもやりすぎるのはよくないと思う。バランスが大事。

やせ形の人は肉を食べた方がいいかもしれないし、太りやすい人は魚中心がいいかもしれないし。
そして、野菜や果物もバランスよく食べた方がいいと思うし。

当たり前のようなことほど意外に難しい。
日々、加工食品や食品添加物などに囲まれていると、ちゃんと実践することは難しかったりもする。

自分も外食はあまりしないけれど、外食するときは、料理や素材含めて愛情を込めて料理しているところを選ぶ。
どうせお金を払うのなら、そういう作り手の人たちへのお礼や敬意も兼ねてお金を投資したいと思っている。






この「西式甲田療法」も、自分がひとり黙々と実践するのは難しいと思ったけれど、色々と参考になることが多かった。




「西式甲田療法」
1.朝食をぬく事 代わりに生汁野菜(5種類以上)
ニンジン、ホウレンソウ、小松菜、フダン草、シロ菜、リンゴ
2.生水と柿茶合計1日8合 (ただし食事中、食後3時間は飲まぬ事)
3.食事
昼食 玄米1合 昆布粉をふりかけて食べる おかず 豆腐200g ゴマペースト10gを塗る
4.エピオス:1日20錠、スピレン:1日20錠、
5.以上のほかに一切のものを食べない
6.裸療法 1日3回 
7.温冷浴 水5回湯4回
8.健康体操 金魚運動、毛管運動、合掌合 背腹運動 膝立て金魚 蹴りあげ
9.スイマグは朝晩フタ
10.板の上に寝て水枕をする
11.脚絆療法

こういうのが基本になるらしい。
食事以外にも裸療法、温冷浴、健康体操、硬い板で寝る・・・など。それなりに覚悟がないとできないものが多い。
ただ、それぞれの説明を読むと理に適っているとも思う。




そして、
「食べ過ぎこそ病気の最大原因」
としている。
これは確かにそうだと思う。自分にほどよい分量のを知ることは大事だろう。身の丈を知る。己を知る。



だから、「断食」というのも効果がある。一度断食をすると胃腸がゼロになり、すっきりと生まれ変わる。
(断食は、適切な指導者がいるところでやった方がいいです。色々と行われているようですね。)





体に関して、午前中は排泄の時間。
モチリンという腸の掃除屋さんが働くらしい。

断食もそうだけど、空腹状態で自然治癒力を高めることが大事とのこと。
確かに、動物を観察していると、病気の時はあまり食べずにとにかく寝て休んでいると思う。


病気の人を見るときにも、ご飯を食べさせた方がいいのか、空腹状態のままで自然治癒力を高めるべきなのか、いつも迷う。
ただ、消化吸収も無意識で胃腸のエネルギーをかなり消費するので、うどんとかお粥のような、消化にいい食べ物がいいんだろうと思う。





この西式甲田療法の創始者は西勝造先生。
合気道開祖の植芝盛平翁も、この西式健康法に共感していたようです。

→●西勝造と植芝盛平 ー西式健康法と合気道ー合気道武産会HP) 



西式健康法での原則は以下の通り。
====================
1.血液循環が完全である事
2.左右の神経が対称である事
3.背骨に狂いがない事
4.体内の酸・アルカリの平衡が保たれている事
5.内部環境(菌)が汚染されていない事

西式健康法での6大法則 運動療法
1.平床寝台
2.硬枕利用
3.金魚運動
4.毛管運動
5.合掌合せき運動
6.背腹運動
====================
それぞれの運動は本を読んでもらうことにしましょう。割愛。
→(参考)西式健康法通信




西先生は「病気治しは癖直し」とおっしゃっていたらしい。
確かにその通り。

習慣化したものはあえて疑うことがないからこそ危ないときがある。灯台下暗し。
習慣を疑わずに毎日毎日せっせと積み重ねて、病気を自分で作り出す場合が多いように思う。



西先生も甲田先生もとにかく小食を推薦。これは、物質的に豊かになったからこそ生まれた現象ですよね。昔の王様なんかも食べ過ぎて病気になったような気もするし。

固形物をとらず、内臓を休めて排泄を促す。
満腹のまま眠ると、消化しきれてない食べ物が発酵してガスがたまり、睡眠中も消化活動にエネルギーを使うので疲れがとれにくい。
胃腸の休む時間を大切に、とのことです。

「からだの無意識活動」を意識する。
心臓の1秒毎の拍動も、胃腸の消化吸収運動も、意識的に制御することが難しいけど、常に縁の下の力持ちで頑張ってくれている。





体にいい食材として【まごはやさしい】という覚え方が提唱されていた。

【まごはやさしい】
ま:豆、大豆
ご:ゴマ
は:ワカメ、海藻
や:野菜
さ:魚、小魚
し:シイタケ、キノコ
い:イモ類



野菜の葉緑素の分子構造は赤血球の血色素と似ているので、青汁はみどりの血液とのこと。

自分もスムージーで毎朝野菜を摂取している。
植物からもらうエネルギーは、動物とは違う感じがする。
もっと持久力があって、静かでおおらかなエネルギー。調和的なエネルギーというか。
スムージー(2013-06-10)
(当時、ブラウン ハンドブレンダー マルチクイック MR400Plusは定価6300が¥2982円だったけど、今は5,396円。値上がりしてるー。)





甲田先生は最後に、こうおっしゃる。

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「いのち」を粗末にする人を天は許してくれない。
「大切ないのちを粗末にしてはならない」という天からの警告が病気
小食は動物や植物の「いのち」をなるべく殺生しないということですから、愛と慈悲の行為でもあるのです。
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心の宿便は、貪・瞋・癡(とん・じん・ち)。
それは、むさぼりの心、怒りの心、愚痴。
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このことに注意しなさい、とのこと。

最終的には自分の心持ちと連動してくるのだから、自分と言う人格を成長させるための心身修養の機会となってゆくのだろう。






甲野善紀先生の「表の体育 裏の体育」(2013-07-09)という超名著!があります。
その中でも玄米食や自然食が紹介されていて、その表現が的確だと思いました。
甲野善紀「表の体育 裏の体育」(2013-07-09)


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・玄米・自然食の大きな二つの流れ。
・桜沢如一の桜沢式食養と二木(ふたき)謙三の二木式玄米運動。
・桜沢式食養は、玄米を主食に、副食は似たり炒めたりした野菜を主に、塩気はきつめで、果物や生野菜などはあまり歓迎しない。
・二木式玄米運動は、玄米を食べる事と砂糖を避ける事は共通だが、副食は生もしくは生に近い野菜、それに果物をとり、塩は薄め、といった桜沢式とは反対の主張が多い。
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桜沢式食養もと二木式玄米運動も、源は明治の軍医陸軍薬剤監の石塚左玄。
両者の違いは創始者の体質の違いによるものと考えられている。

ただ、どちらも自己の体験からの確信があるため容易に譲らず、そのために混乱に陥った人たちも多く出たようである。
すなわち、ここに裏の体育の特色である体験至上主義の長所と欠点が共に出ている。
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裏の体育の中では深く研究されたものほど、理科系も文科系もひっくるめた、いわば全科的傾向に必然的になってゆき、日常の生活方法から、ものの考え方、思想、時には宗教的問題にまで関わる広がりを持ってくるということである。
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裏の体育が表の体育と激しくぶつかるもののひとつは、裏の体育の精神作用に対する深入りである。
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西式、甲田式は、桜沢如一の桜沢式食養(マクロビ)よりも、二木(ふたき)謙三の二木式玄米運動の方が少し近い。
マクロビはヨーロッパで普及したし、やはり体格や体質の違いがあるのかなぁ。




食事を単なる燃料補給や餌のように思うと、そこに精神の問題は入ってこない。あくまでもモノに過ぎない。
だけれど、人間を形作るのは紛れもなく食事。食の問題は大きい。
食事は、その人の身体にも影響を与えるけれど、心にも多大な影響を与えると思う。

食事に気を付けだしてから、そのことは実感している。

もちろん、あまりにも教条主義的(「この日々を絶対に守らないと!」)になり、排他的(「他の食事をしている輩は間違っている!」)になり過ぎると、行きすぎだとも思う。
あまりこだわりが強く神経質になると、別の病気が生み出されそうな気もする。
だけど、自分の体を愛するということはとにかく大事。そのためにも自分の体が喜ぶような食生活をする方がいいと思う。




だからこそ自然農の木村秋則さんの活動にも共鳴しているわけで。

小原田泰久「木村さんのリンゴ」(2013-10-01)
木村秋則「すべては宇宙の采配」(2013-09-26)
木村秋則、荒了寛「リンゴの心」(2013-10-20)

<木村さんのご友人など>
山崎隆「奇跡のりんごスープ物語」(2013-09-20)
高野誠鮮「ローマ法王に米を食べさせた男」(2013-10-03)

田口ランディ「アルカナシカ」(2011-07-03)

何度もしつこく木村さんの本のレビューを書いたことが直接の原因ではないですが、来月、弘前のレストラン山崎で木村秋則さんとお食事することに。わーい。うれしいー。念ずれば通ずる?


・・・・・・・

ということで。
医療の原点は食です。
だからこそ、今は食事や食べ物のことを、改めて研究しております。
いろんなものがあり、それぞれの側面から学ぶことが累々とあります。そこにはお婆ちゃんの知恵袋のようなものも数多くあり・・・。


脳が喜ぶ食事に惑わされないように。
体や心が喜ぶ食事に、日々励んでるところです。

どんなものでも奥が深いもんです。日々謙虚に勉強。無知の知。

3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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一日2食 (玉猫)
2013-11-27 07:21:06
甲田療法、なるほど・・・。ご紹介の本、読んでみます。
私は朝食が食べられない(体が目覚めない)ので、
お茶、コーヒーで済ます事が多いですが、上記の本
を参考にしてみます。
私は朝はお茶、昼食だけしっかり食べて、夕食はおかず
だけご飯抜きなので、実質一日2食です。小食の方が心身ともにすっきりします(日常的に小欲知足がよい)。
これは実感。。
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Unknown (スー)
2013-11-27 23:42:33
持ってます。
木村さんと食事とはうらやましい限りです。
しかもレストラン山崎で・・・
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吾唯足るを知る (いなば)
2013-11-29 16:18:49
>>玉猫さん
甲田療法、調べてみると色々ユニークで参考になりますよ。
民間医療のようなもの、おばあちゃんの知恵のようなものはいつも調べてます。なかなか学問体系にはなりにくいものでも、そこには何か真理の一端があるもので。。。

小欲知足は大事ですよね。

自分も<吾唯足るを知る>というのは好きな言葉です。

>>スーさん
色々と本をお持ちなのですね。
自分はなかなか読む時間なくて積み読状態が多いですが、ふとした拍子にこういう山積みになってる本を読むことがあります。もっと読みたいなぁ。
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