日常

2013年涸沢

2013-07-29 21:01:38 | 生活
2013年涸沢



山から下山しました。

土日もフルに使い、実質9日間山の中に滞在していたので、なかなか文明生活になじめません。

朝、Yシャツを着るべきだったかどうか忘れてました。
エスカレーターでは文明の利器を感じました。
クーラーは現代文明の成果かもしれませんが、やはり強制的に温度管理をされるので辛いです。現代文明に馴染めません。
まあそうは言うものの、なんとか文明社会に馴染むよう努力します。


山では、ヒュッテの方々や常駐隊の方々ふくめ、色んな方に大変お世話になりました。
こうして山の安全は静かに縁の下から守られているのだなぁと実感。



自分の中で超絶パワースポットである涸沢。
夜寝るとき色んな夢を見るのです。明けの明星が自分の口から入り、身体を一直線に貫通した夢には吾ながら驚きました。

夜、星空を見上げる。
最初、星は少ししか見えないけれど、目が慣れてくると星と星の間に暗い星があるのに気付きます。そして、その暗い星と暗い星の間にはさらに別の暗い星が・・・・。
そうして一つずつ丁寧に星を見ていると、空には星で埋め尽くされているのが分かるのです。

上を見上げて天文学的な数の星に見守られているのを感じると、宇宙と人間とは一続きで連続しているのを実感します。天地人。梵我一如。



下界でのすべての常識や固定観念から離れ、瞑想し熟考するのに、山はうってつけの場所。
山に持ち込んだ本も大当たりが多かった。元気があればいつか感想書きたい。

○百田尚樹「永遠の0」講談社文庫(2009/7/15)
→山の中でひとり号泣。
○山浦玄嗣「イエスの言葉 ケセン語訳」文春新書(2011/12/15)
→等身大のキリスト。はじめて新約聖書の意味が深く分かって感動。
○井筒俊彦「意識と本質―精神的東洋を索めて」岩波文庫(1991/8/8)
→もう7回目。読むたびに深くわかるようになり自分の成長を実感。
○荘子(著),岸陽子(翻訳)「荘子 (中国の思想)」徳間書店; 第三版 (1996/08)
→魯迅の感想と同じく「荘子の毒に当てられた」感じ。道(タオ)のことをずっと考えてた。
○小松 左京「果しなき流れの果に」ハルキ文庫(1997/12)
→1966年の作品っていうのが信じられない。すごい宇宙観で悶絶。
○ミルチア・エリアーデ「世界宗教史〈1〉石器時代からエレウシスの密儀まで」ちくま学芸文庫(2000/03)
→エリアーデの著作は本格的に固め読みしたいなぁ。

とか・・・。
(特に百田尚樹さんの「永遠の0」、山浦玄嗣さんの「イエスの言葉 ケセン語訳」はとんでもない名著!元気あればブログに感想書きたい。)



ということで、下界を離れて山に籠っていたのは、たった9日間とも言えるし長い9日間とも言える。
ただ、自分の意識レベルを一つ上の層に持って行くには十分な時間でもあった。
階段を一段一段登るように、自分が内的に成長したのを感じた。



自分を育ててくれる山。そして山で働くみなさん。
感謝の言葉を言っても言いつくせません。言葉は常に言いすぎるし、言葉は常に言いたりない。不立文字。

自分なりに、山岳医療という行為で出来る限り恩返ししているつもりなのです。
ふと思い返すと、学生時代から毎年毎年、もう12年も連続で行っているみたいです・・・。

7 コメント

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おかえりなさい (Usako)
2013-07-29 21:10:39
下界へおかえりなさい。写真、いいですね。見てるだけで、体内の血が踊りだしました。雪渓も健在ですね。

エントリ読んでいて、山の夜の真っ暗な暗闇、落ちてきそう吸い込まれそうで見てるうちに足元がぐらぐらしてくる星空を思い出しました。山はいいね。偉大で。日々、どれだけ甘やかされた生活してるのかを痛感します。

12年すごいですね。私は4回でもすっかり虜でした。写真ありがとうございます。じっくり見ながら、山と繋がれるよう深呼吸してみます(笑)。
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暗闇 (inaba)
2013-07-30 08:39:13
>usakoさん
山をやってた人には格別な写真ぢゃないでしょうか。
山の闇は深いですよね。山小屋があれば少しは明かりがありますが、朝3時くらいに起きて4時くらいに登山をしはじめると、暗闇の深さと、時に見える月の明るさに気づきます。闇の中にも濃度がありますよね。暗闇自体にもいろんなレイヤーがある・・・。


下界に戻ると、電気、ガス・・・ひとつひとつのことに感謝の念が湧きます。
深呼吸は、宇宙の果てまで息を吐き、宇宙の果てから息を吸い込むような感じがいいようですよ。大学生時にインドへ旅した時、そこで苦行をしているサドゥから学びました。(^^
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Unknown (スー)
2013-07-30 21:24:31
インドへ行ってたのですか。
私も25年くらい前にいきました。
懐かしいです。
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Unknown (スー)
2013-07-30 21:28:56
永遠の0は世間ではひどく評判ですが、
私的にはいまひとつでした。
大空のサムライのほうが何倍も良かった。
坂井さんと一緒に飛んでる気分になれました。
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坂井三郎さん (いなば)
2013-08-01 02:16:07
>スー様
横尾さんの「インドへ」の本の中に、三島由紀夫が「人には二種類ある。インドに行ける人と、行けぬまま死んでしまう人。インドに行ける人は、カルマによって行く時期もきまっている」と三島本人が言ったとか書かれていたような記憶があります。
たしかに、あの土地は求心力ありますよね。好き嫌いが大きく分かれてしまう土地というか・・・。自分は着いて数分ですごく馴染んでしまい、インド人と仲良くなってしまいました・・・前世で何か関係あるのかもしれません。

<大空のサムライ>の坂井三郎さんは、永遠のゼロにも出てきていましたよね。自分もかって読んでみたいと思います。有難うございました。


永遠のゼロ、自分は面白く、ノンストップで読んでしまいました・・・。大学生のとき、友人3人とはるばる知覧にまで行った思い出を思い出しながら・・・。知覧にある知覧特攻平和会館は、中心地からもかなり遠くて。

宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」も、ゼロ戦設計者堀越二郎と、文学者・堀辰雄をテーマにした映画なんですよね・・。まだ見てないですが、見たいと思ってます。

当時、戦争に参加した方々が亡くなられていることもあり、何か時代の転換点のようなものを感じますね。
90歳前後の方をおみとりするとき、戦争の話が必ずでてきます。そういう方々が未来にかけた思いを、僕らの世代は真面目に考える必要があると、直接語られるたびにつよく感じています・・・。




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成長の軌跡&シフト (amyjumy)
2013-08-09 00:17:37
おかえりなさいませ。
素晴らしい9日間でしたね!

同じ行為を繰り返すと、自分の変化を如実に感じるのは確かデスね(*^^*)
昨年に比べ世界がいっそう広がり深まったご様子、何よりです。

ブログから漂う充足感を浴びて、こちらまで大変素敵な気持ちになりました♪

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夏山! (いなば)
2013-08-12 00:18:44
さきほど、今夏2回目のカラサワから戻ってきました。
暑かったー。
夏山でガンガンに日が照っていて、ひさびさの夏山!という感じを満喫しました。今回は2度目だったことと、土日の1泊2日と短期間だったので、まだ体力が有り余ってます。。(^^;


やっぱり山はいいですよねー。
9月には、友人が転職して北岳付近の山小屋で働いているので、次は10年ぶりくらいに北岳(日本で2番目に高い山!)に行ってくる予定デス。
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