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西村京太郎『新版 名探偵なんか怖くない』講談社文庫

2006年09月20日 | reading
ネタバレ一応注意。

なにげに西村京太郎の長編読むの初めてかも(短編は法月編のアンソロジーかなんかで読んだ)。デビュー当時は本格志向だった(らしい)国民作家の、そっちの畑では代表的なシリーズの復刻版。ナイス講談社文庫出版部。最近いいぞ。あとは浦賀をなんとかしてくれ。
で、ポアロ、クイーン、メグレ、明智小五郎という四カ国の名探偵が終結するパスティッシュ。この設定からしてワクワクするが、意外ながらストーリーにもケレン味があって凄く面白かった(リンク参照)。この作家が国民的に読まれているのは、この旺盛なサービス精神の故なんだろうなと思った。豪勢な小説を書くことも、求められるものをただひたすら書き続けることも、形は違えどその精神に根ざすものなのだと思う。
描かれる事件に関しては、プロットは抜群に面白いがロジックが心理分析に止まるものでややションボリ。名探偵四人、それぞれからの「挑戦状」を挟むなど、キャラを立てて楽しませてくれるが、同時に各代表作に関してあまりにも無邪気にネタバレしてくれるので、その辺も減点材料かな。

作品の評価はBマイナス。

新版 名探偵なんか怖くない新版 名探偵なんか怖くない
西村 京太郎

講談社 2006-07-12
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