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労政審・労働条件分科会に対する要請書ー自民・公明の議員を落選させようー

2006-12-27 17:58:25 | 国内経済
労政審・労働条件分科会に対する要請書

 労政審委員の皆様におかれましては、ご多忙のなかご苦労様です。
 さて、中断されていた労政審・労働条件分科会が再開されましたが、9月11日の分科会には、厚労省側から「労働契約法制及び労働時間法制の今後の検討について(案)」が提示され、今後は月3回という速いペースで分科会の開催が決まりました。 
 
 今回、厚労省側から提示された検討項目は、6月に提示された厚労省「素案」とほぼ同じ課題項目であり、どの課題項目も「検討を深める」として労政審委員の検討・判断に基づくようにしていますが、すでに厚労省側の模範解答は出されており、厚労省「素案」へと結論を導こうとしているのがよくわかります。
 
 この「労働契約法」の制定や「労働時間規制」の適用除外等の課題は、労働法制の根幹的な課題であり、拙速な結論は避けるべきであります。私たちは、労政審・労働条件分科会が早期結論を出すことに「反対」であり、厚労省「素案」をベースとした結論を出すことにも「反対」であります。 
 
1、労働契約法制につて

 (1)「基本的な考え方」について 

 提起されているように産業構造の変化や就業形態の多様化、個別的労使紛争の激増  等の状況にあるなかで労働契約法制の必要性については認めるものです。その場合、  「労使対等」の原則の上に、労働者の採用(内定・本採用)と取消の規制、賃金・配  転・出向・転籍等の労働条件変更の規制、解雇の規制、有期労働契約の規制、個人請  負・業務委託などを労働者として規定、安全配慮義務の明確化等のルール化が検討さ  れるべきです。
 
 しかし、「研究会」報告や厚労省「素案」等で示されたものは、企業  リストラで使用者側による一方的な労働条件の「不利益変更」が横行している実態、  「長時間労働」が蔓延し「過労死・疾病・労災事故」の多発等の劣悪な労働現場の実  態、「労使対等」の原則も形骸化している実態等について、その原因を指摘し、改善  しようとしていない。むしろ、市場原理の「経営の論理」が先行して、そのような実  態にあることを前提として、労働者・労働組合の「権利」を後退させるものとして新  たなルール化が検討されているのである。このような労働契約法制には反対である。

(2)「労働契約の成立、変更等」について
   
 ここでは、「労働契約の成立、変更」と合わせ、「就業規則の効力、変更」等につ  いて「検討を深める」となっている。
  
 ①ここでの重要課題は、「就業規則の変更」という「労働条件の改悪」のルール化で   ある。「素案」では、「過半数組合」との合意があれば「合理的」なものとするこ   と。また、「過半数組合」がない場合は「すべての労働者を適正に代表する者」と   いう表現で「労使委員会」の決議があれば「法的効果」を与えるとしている。
 
 ②これは、組合の組織率が18.7%という状況のなかでは、職場に「労使委員会」を設   置することを基本とするものであり、「労使対等」の原則と言いながら実質的には   経営者側の独断決定を容認するものである。また、「過半数組合」がある場合は「労   使合意」方式に変更することにより、「過半数組合」を取り組もうとするやり方で   ある。これは、職場の団結権や少数派組合を形骸化するものである。
 
 ③ましてや、就業規則の変更で「不利益変更」となる個別労働者も「合意」したもの   とされる。これは、不服がある場合の裁判での「立証責任」が労働者側に求められ   るという不当なものである。また、労働条件の「本人同意原則」を無視し、労働者   の権利を侵害するものである。

(3)「主な労働条件に関するルール」について

 ここでは、「判例や実務に即して、安全配慮義務、出向、配転、懲戒等についてル  ールを明確にする」ことについて「深く検討する」となっている。
  
 ①この課題について「素案」では、転勤・出向は「就業規則が不合理」でない限り、   労働者の個別承諾は「不必要」、転籍は承諾が「必要」としている。転勤・出向に   ついても他の都道府県などの遠距離転勤、他社への出向等は、労働条件の「不利益   変更」を伴う例が多いのである。それが就業規則に記されていれば経営者側の判断   でできるということであり、労働条件の「本人同意原則」に反し、労働者の権利を   侵害するものである。
  
 ②また、「素案」では、個別の「労働契約の変更」(勤務地・賃金等の変更)につい   て、労働者が異議をとどめて承諾した場合、「異議をとどめたことを理由に解雇は   できない」としている。これは、当然のことである。しかし、別な言い方をすれば、   労働条件の「不利益変更」に反対し、応じなかった場合は「解雇」できるというこ   とである。これは、「研究会」報告にある労働条件の「本人同意原則」を無視する   「雇用継続型契約変更制度」が生きているということであり、使用者側の権限を一   方的に強化し、労働者の権利を侵害するものである。

(4)「労働契約の終了等」について
   
 ここでは、「整理解雇の4要素」についてと解雇の「金銭解決の仕組み」について  「検討を深める」となっている。
  
 ①今回の提示では、整理解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相   当であると認められない場合」の4要素(人員削減の必要性、解雇回避措置、解雇   対象者の選定方法、解雇に至る手続き)を含めて「総合的に考慮して判断されるこ   ととする」ことを「検討を深める」としている。これは、整理解雇の「4要件」を   「4要素」と後退した表現して、それぞれ「個別判断」するのではなく、総合的に   「考慮・判断」するものへと後退させるものである。
  
 ②解雇の「金銭解決」方式について、「素案」の考え方では、「紛争の早期解決」、「原職復帰が困難」等を理由に解雇の「金銭解決」の仕組みを検討するとしている。し   かしこれは、裁判で不当解雇の判決が出されても「金銭解決」し、原職復帰させな   いということである。これは、「組合役員」や会社に「不都合な者」等を職場か    ら排除することを可能とするものであり、労働者の職場復帰の権利を奪い、経営者   側の「解雇権の濫用」を助長させるものである。

(5)「有期労働契約」について
  
 ここでは、有期労働契約について、やむえない理由がない限り「中途解約」はでき  ないこと、「反復更新」のないよう十分配慮することを「検討を深める」としている。
  
 ①有期労働契約について、「素案」では「一定期間(例えば1年)」又は「一定回数(例えば3回)」を超えて雇用が継続している場合は、「期間を定めない契約の優先的な   応募機会の付与」と「雇止め予告」の対象を「検討」としていたが、「規制改革・   民間開放推進会議」等の圧力ですでに大きく後退したものとなっている。
 
 ②パート・派遣・契約等の非正規労働(有期労働契約)が「偽装請負」の脱法行為に   も象徴されるように、いかに「不安定雇用」で、「低賃金・低処遇」の実態にある   かを明らかにされておらず、労政審委員の共通認識にしていないことである。実態   を共通認識にすれば、非正規労働(有期労働契約)の範囲を規制することであり、   また、賃金、休暇制度、社会保険、年金等で均等待遇化を法制化すべきである。

(6)「国の役割」について

 ここでは、労働契約法は「罰則をもって担保」されたり、「監督指導」が行われる  ものではないこと。国の役割は、労働契約法の「解釈」・「周知」を行うことについ  て「検討を深める」としている。

 ①これは、「労使自治」が原則であり、そのための労働契約法であると言いながら国   の責任放棄である。「労使が実質的に対等な立場で労働条件を決定する」ことが原   則であるが、多くの場合、「経営者と労働者」、「経営者と労働組合」という労使の   「力関係」が対等ではなく、就業規則の改悪や労働条件の不利益変更が経営者側の   独断決定で行われている実態が多いのである。

 ②このことからも労使関係の安定的・健全な発展のためには、労働契約法は「強行規   定」を中心に作られるべきである。そして、法の「解釈」・「周知」にとどまらず、   監督・指導が行われるべきである。そして、法を守らない悪質企業を公表したり、   改善勧告などを行うべきである。

2、労働基準法について

 (1)「働き方を見直し仕事と生活のバランスを実現するための方策」について
   
 ここでは、長時間労働対策として「一定時間数を超えて時間外労働させた場合の割  増賃金の引き上げ」について、「経営環境や中小企業の実態を踏まえ」つつ「検討を  深める」、また、当該割増率の引き上げ分について「休日付与」の選択の「検討を深  める」としている。
  
 ①これは、「素案」では、長時間労働の抑制と疲労回復の手段として、①月40時間以   上の時間外労働に「1日の休日」、②月75時間以上の時間外労働に「2日の休日」   の付与、②月30時間を超えた時間外労働の割増賃金を2.5割~5割へ引き上げ、ま   た、割増賃金の引き上げ分について、金銭ではなく「休日付与」を検討するとして   いました。しかしこれも、「規制改革・民間開放推進会議」等の圧力で全面後退し   た検討となっていることである。
 
 ②労働現場の実態は、労働時間の二極化が進み、長時間労働は月60~100時間とい   う残業(過労死予備軍)をせざるを得ない労働者が増えており、「土日」休みや有   給休暇も取れないという職場の実態をどう見ているのかである。それは、企業リス   トラで人員削減と非正規の拡大で、少ない人員で増大する業務量の処理を競争主義   ・成果主義の下で酷使されているのです。むしろ、経営の安定化のためにも、仕事   と生活のバランスのためにも、「1日8時間・週40時間」という労働時間規制を守   らせること、そのためには必要人員を配置させ、悪しき競争主義・成果主義をやめ   させて、労基法違反の経営者への罰則の強化と違反企業を公表する体制の強化こそ   必要である。

 (2)「就業形態の多様化に対応し、仕事と生活のバランスを確保しつつ、
  
 新しい働き方ができるようにするための方策」について
   
 ここでは、「スタッフ職等の中間層の労働者に権限や裁量を与える」例が見られる「一層の自己実現や能力発揮」のために「ホワイトカラー労働者の自律的な働き方を  可能とする制度の創設」について「検討を深める」と、また、企画業務型裁量労働制  について、中小企業においても活用できるように「対象業務の範囲やその手続き」の  見直しの「検討を深める」としている。
  
 ①つまり、「自律的労働制度」を創設し、法定休日(労基法35条)と年次有給休暇(同59条)を除いて労働時間規制を適用除外することを検討するというのである。この「自   律的労働制度」は、「研究会」報告では「係長級」「チームリーダー級」を対象と   し、日本経団連は「年収400万円以上」を対象と主張してきている。また、先の「素   案」では「労働時間や業務指示について自己調整できる者、年収が一定以上の者」「全労働者の一定割合以内」としている。
  
 ②これは、「日本型エグゼンプション」として、多くの労働組合や労働弁護団等の反   対意見が強いなかで、今回は制度として発足させ「小さく産んで、大きく育てる」   という戦略なのである。これまでもパート等非正規労働は「一時的・臨時的」業務   として限定してスタートしたものが、いつの間にか全労働者の33%までにも拡大   してきました。派遣労働についても「専門的知識・業種」としてスタートしながら、05   年度から製造業にまで拡大してきたことからも明らかです。
  
 ③この「自律的労働」の対象とされる「係長級」「チームリーダー級」や「30才代」   「40才代」は、働き盛りで月60時間~100時間を超えて残業をしている者が多い   実態にある。つまり、「自律的労働」を創設し、「1日8時間・週40時間」労働と   いう労働時間規制から適用除外することは、現実の「長時間労働、サービス残業・   タダ働き」を容認し、合法化することとなり、「過労死・過労自殺」や「脳・心臓   疾患」、「疾病・労災事故」等を増大する結果になるだけなのです。
  
 ④企画業務型裁量労働制の対象業務の範囲やその手続きを見直すということは、使い   かってのよい企画業務型裁量労働制にして、中小企業レベルでも活用できるように   し、「1日8時間・週40時間」労働の労働時間規制の適用除外を拡大する以外の何   ものでもありません。企業リストラで長時間労働と過労死や健康障害が多発してい   る労働現場の実態をしっかりと把握するならば、企業のモラルを問い、規制を強化   すべきなのです。
   等々。                            以上 

(出所:全国労働組合連絡協議会ホームページ)
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