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8党党首クラスの討論番組で日本共産党の志位和夫委員長が発言

2009-12-29 02:01:06 | 国内政治
景気・雇用・「普天間」打開策示す
党首討論 志位委員長が発言
派遣法改正実施 先送り許されない
テレ朝系番組

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 日本共産党の志位和夫委員長は27日、テレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」の8党党首クラスの討論(民主党は菅直人副総理)に出席し、景気・雇用問題、沖縄の米軍普天間基地問題など、国政の焦眉(しょうび)の課題について約100分にわたり議論をたたかわせました。

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 番組では「鳩山政権の予算案で景気の二番底を回避できるのか」が議論になりました。

 志位氏は、いまの景気の問題を大きな目でみる上で、この10年間で、雇用者報酬が280兆円から253兆円へと27兆円も落ち込んでいる一方で、企業の内部留保は200兆円から400兆円へと倍増(その半分は大企業)しているという事実を紹介。「大企業は、正社員を非正規社員に置き換え、リストラ、賃下げをして、どんどん(労働者から利益を)吸い上げてため込んだ。このため込み金が最大の『埋蔵金』だから、これを社会のために使わせる根本的施策転換が必要だ」と力説しました。

 具体策としては、労働者派遣法の早期抜本改正や、中小企業を支援しながらの最低賃金の抜本的引き上げなどを提起しました。

 社民党の福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)が、「(来年の)通常国会に派遣法の抜本改正案を提出する」と表明したのに対し、志位氏は「与党3党案は不十分な点はあるが、一歩前進だ。しかし、(製造業派遣原則禁止の)実施時期は3年先、5年先という話になってきている。それでは話にならない」と指摘しました。

 普天間問題では、鳩山由紀夫首相が26日、「(海兵隊のもつ)抑止力の観点からみて、グアムに普天間(の基地機能)をすべて移設させることは無理がある」と発言したことが話題になりました。

 菅氏は「日本、米国、沖縄県民、3党連立が合意できる案の見通しはない」などと述べました。

 志位氏は、鳩山政権が、「移設先が見つからなければ基地の返還はない」という路線から抜け出せない背景には、「『海兵隊は日本の平和と安全のための抑止力だ』という“呪縛(じゅばく)”がある」と強調。「海兵隊は抑止力ではなく『侵略力』だ。抑止力の“呪縛”から解放され、普天間基地の無条件撤去の立場に立たないと問題は解決しない」と力説しました。

 自民党の谷垣禎一総裁は、「結局、志位さんが言ったようにポイントは抑止力をどうするか。われわれは沖縄に海兵隊がいることは日米安保の信頼性や地域の安全に必要だと思っている」などと発言しました。

 志位氏が「何を抑止しているのか」と迫り、コメンテーターの高野孟氏も同様の指摘を行いましたが、谷垣氏は答えられませんでした。

 また、福島氏が「抑止力、抑止力といって沖縄に基地を押し付けてきた」と自公政治を批判したのに対し、志位氏は「それ(抑止力)は鳩山さんもいっている」と指摘しました。

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12億円の使途不明金 説明を
志位氏、鳩山首相に要求

 志位和夫委員長は27日の「サンデープロジェクト」討論で、鳩山由紀夫首相の偽装献金疑惑について、使途不明金が12億円にものぼることを明らかにし、説明責任を指摘するとともに、全容解明を強く求めました。

 志位氏は、鳩山首相が会見で「まったく知らなかった」と述べたことについて、「こういういい訳は通らない。実母から12億6000万円が流れ、首相個人から3億2000万円が流れている。合計して約16億円が鳩山事務所に入っているのに、虚偽記載で使途がそれなりに出てきているのは4億円で、12億円が使途不明金だ」と指摘しました。

 その上で、「(実母からの)12億6000万円に対し税金逃れしていた問題に加え、使途不明の膨大なお金がある。このお金がどのように使われたのか。鳩山さんが総理になったことと、どのような関係があるのか、あるいはないのか、これをきちんと明らかにすることが必要だ」と強調しました。

党首討論
志位委員長の発言
テレ朝系番組

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 8月の総選挙後初の8党の党首クラスの討論となった27日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」。日本共産党の志位和夫委員長は、鳩山由紀夫首相の偽装献金、景気対策から外交・安全保障に至る問題で明快な立場を示しました。

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鳩山首相の偽装献金
「知らなかった」は通用しない言い訳

 番組の冒頭、司会の田原総一朗氏は、鳩山内閣の支持率が50%を割り込んだことについて質問。菅直人副総理(民主党)は「もたもた感と政治献金の問題があった」と釈明。その一つの要因である鳩山首相の偽装献金問題について、「私は全く本当に承知しておりませんでした。親や周りの者とお金の話を直接することはほとんどございませんでした」との首相の発言(24日の会見)を田原氏がフリップで紹介しました。

 志位 まず、「知らなかった」という言い訳は通らないと思いますね。実母から12億6000万円もらっていた、それをわからなかったと、これはとうてい通用する言い訳ではない。それが第一点です。

12億円の使途不明金ふくめ説明を

 志位 パネルを見ますとね、12億6000万円が実母から流れている。鳩山さん個人から3億2000万円が流れている。合計すると15億8000万円ですから、鳩山事務所に大体16億円が入っているわけですよ。

 ところが、そのうち虚偽記載で使途がそれなりに出てきているのは4億円なんですよ。そうすると残り約12億円が使途不明なわけですよ。

 田原 あっ、どこに使ったかわからない。志位さんのところには来てないですか。

 志位 来てないですね(笑い)。要するに12億円を一体、何に使ったのか。鳩山さんが野党第一党の党首になり、そして総理になった。そのための「政治力」を得るための資金として使われたのではないかということも含めて、12億円もの使途不明金を説明する責任が総理にあると思いますね。

母親に一本電話で確かめればすむ問題

  菅氏は「(鳩山首相は24日の会見で)知っていることをすべて話されたと信じる」と擁護。社民党の福島瑞穂党首は首相発言の感想を求められ、絶句。あとでようやく「まったく知らなかったというのは、それは問題になる」と述べました。

 志位 この問題が発覚した後、(鳩山首相は)「そういうお金はないと信じる」と1回、国会で答弁しているわけですよ。その後、お母さんからのお金が出てきた。お母さんに電話を一本して、「そういうお金があるのか」と聞けばいいのに、そういうこともやらないで、説明責任も果たさない。問題が明るみに出た後の対応も悪いと思いますね。

 田原氏は、「こういう人に92兆円の予算をまかせられるのか」と提起。国民新党の亀井静香代表(金融相)は「政治家がいちいち金勘定をしながら、政治がやれますか」などと開き直りました。そこで志位氏が改めて問題を提起しました。

 志位 12億6000万円ものお金の税金の税逃れをしていたという問題が一つ。使途不明の膨大なお金がある。このお金がどういうふうに使われて、鳩山さんが総理になったことと、どういう関係があるのか、ないのか。これをきちんと明らかにすることが必要だと思います。

景気悪化をどうする
国民の賃金が下がり企業は巨額の内部留保をため込む――この「埋蔵金」こそ社会に還元させるべきだ

 赤字国債44兆円の大量発行という来年度の予算編成では、田原氏は「(景気の)二番底を回避できるのか」と提起。菅氏が「二番底は回避できる」と述べたのを受け、志位氏は次のように述べました。

 志位 今の景気の問題を大きな目でみると、10年間で雇用者報酬が280兆円だったものが、いま253兆円まで落ちている。27兆円、1割落ちている。OECD(経済協力開発機構)の国の中で、これだけ給料が減った国は日本だけなんですよ。

 田原 だから需要が伸びないんだ。

 志位 ですから需要がどんどん落ちている。

 一方で、たまったものがある。企業の内部留保が200兆円から400兆円になった。そのうち半分は大企業ですよ。大企業はどんどん正社員を非正規社員に置き換える、あるいは、リストラ、賃下げやってどんどん吸い上げてためこんだ。このためこんだお金が最大の「埋蔵金」ですから、これを社会のために使わせる根本的施策の転換が必要だと思いますね。

 それをやるためには、労働法制の規制緩和路線を抜本的に切り替えて、労働者派遣法の改正案をきちんと早く成立させて、派遣労働者を正社員にする、それから最低賃金を中小企業に対しては、きちんと手当てしながら、抜本的に引き上げることが必要です。

派遣法の抜本改正
与党案は一歩前進だが、実施時期3~5年後では問題

 田原氏が、与党3党が通常国会に提出するとしている派遣法改正案の中身に話を進めたのを受け、志位氏は次のように発言しました。

 志位 派遣法の問題で与党3党が出している案は、一歩前進だとは思っているんですよ。不十分な点はあるけれども。

 しかし、私がいま一番心配しているのは実施の時期です。(与党案は)製造業の派遣や登録型の派遣、一番不安定な派遣を原則禁止すると(しています)。しかし、その実施時期は3年先、あるいは5年先だと。それでは話にならないですよ。

 田原氏が「そんなに先なの?」と驚いて福島氏にただすと、福島氏は「いや、5年先とかそういうのはまったくダメです」と述べました。田原氏に「それじゃ何年先?」ときかれると、福島氏は数秒間絶句したのち「5年先とかではダメ」と繰り返すことしかできず、横から亀井氏が「今後与党3党で調整します」と述べました。

予算案への国民の不安
後期医療制度撤廃などを先送りにし、借金と「埋蔵金」だのみ

 景気対策のあり方については、菅氏が「公共事業に頼った景気刺激策でも『小泉・竹中路線』でもない『第3の道』」を主張。亀井氏は「アメリカでもヨーロッパでも公共事業で景気対策をやっている」と述べるなど、与党内でもちぐはぐさが目立ちました。また、谷垣氏は「CO2の25%削減で本当に日本の産業、競争力は大丈夫か。製造業の派遣禁止をあまりきつくやると、日本の工場はみんな海外に出て行ってしまう」など、国民の要求に背を向けた財界の意見の代弁に終始しました。

 予算案の評価について、志位氏は次のように述べました。

 志位 今度の予算全体をみて、私はやはり、自公政権を退場に追い込んだ、「政治を変えてほしい」という国民の圧力が働いていますから、たとえば高校授業料の無償化は、私学の問題は残っていますが前進だと思いますし、生活保護の母子加算の復活も、老齢加算の問題は残っていますが前進だと思っています。

 ただ、二つ、国民は不安、問題点だと思っていることがある。一つは、転換すべき「要」になる問題での先送りです。たとえば、後期高齢者医療制度はすぐに撤廃だと思っていたが、これは4年後に先送りされています。

 田原 これも先送りね。

 志位 もう一つは、歳入のうち国債が44・3兆円、税外収入が10・6兆円(だということです)。税外収入のうち8兆円はいわゆる「埋蔵金」で、何回も使えないお金でしょう。そうしますとね、今回はともかく組んだとしても、来年はどうするんだと(いう不安があります)。

 志位氏のこの指摘に対し、与党からの答えはありませんでした。谷垣氏は「財政の苦しさの原因は、すべて社会保障費が増えていくことにある。消費税を4年間上げないということでは解決できない」と、消費税増税をあおりました。

天皇の“特例会見”、憲法について
政府の対応は憲法をたがえたもの――天皇の公的な行為に政治的性格を与えた

 民主党政権が“外国要人と天皇との会見は1カ月前までに申請する”というルールを踏み越え、中国の国家副主席との会見を実現させたことが議論になりました。見解を求められ、志位氏は次のように発言しました。

 志位 >これは、憲法から、土台から考えてみる必要があるんですけれども、憲法の4条には、天皇は政治的権能は一切有さないとあるんですね。そして、天皇の行為としては7条に、10項目にわたって国事行為が規定されているんですけれども、その国事行為の中身は、たとえば国会を解散するとか、法律を公布するとか、天皇の行為自身としては、政治的性格を有さない行為なんですね。これは全部、「内閣の助言と承認」によって行われると(あります)。ですから国事行為自身は、天皇の行為としては政治的性格を持たないわけですよ。

 それで、外国の賓客と会うというのは、国事行為ではない、いわゆる「公的な行為」というふうにくくられている行為で、この行為にあたっても、もちろん政治的性格を持たせちゃいけないわけですよ。

 ところが、今度の件は、内閣が関与することによって、政治的性格を持たせてしまった。憲法をそこでたがえたものだと思います。

 もしこういうことが許されたら、たとえば国会の開会式で天皇が発言する。それをどんな中身にするか、それを全部内閣がやれるようになってしまいます。大変なことになります。

 田原氏が「宮内庁長官と民主党の小沢幹事長との対立を見ていると、天皇を宮内庁と内閣とが奪い合っているように見える」と述べたのを受け、志位氏は次のように述べました。

 志位 先ほど「奪い合いなのでは」という話がありましたが、私はさっきいったように、国事行為はもとよりですけれども、国事行為以外の行為についても政治的性格を与えちゃいけないというのが、憲法の定めるところだと(思います)。私は「1カ月ルール」というのは、そのためのそれなりのルールだったと思うんですよ。それなのに今回、内閣が関与することによって政治的性格を与えてしまった。そこに問題があります。

自民党政権時代をふくめ、“政治利用”の問題を吟味する必要がある

 谷垣氏が「この点は志位さんに同感だ。ルールをあいまいにすると、天皇の政治的利用がなし崩し的に始まる」と述べたのに対し、志位氏は次のように述べました。

 志位 谷垣さんが「(志位さんと)一緒だ」といわれましたが、これまでの自民党政府だって、いろいろな政治的関与や政治的利用をやってきたケースがあるだろうと思います。「1カ月ルール」の問題でも、それがきちんと本当に厳格に守られていたのか。そこは吟味してみる必要があると思います。

多数の日本国民は恒久平和などを希求した

 さらに、亀井氏は、「規定はないけど元首だ」と発言。これについて志位氏は次のようにのべました。

 志位 日本国憲法では、天皇を元首とは認めていません。絶対に無理です。政治的権能をもたない元首などありえないです。あえて元首というなら内閣総理大臣が元首の役割を果たしているわけですから。

 議論が憲法問題に移り、田原氏は、憲法を起草したのも自衛隊をつくったのも米国だと指摘し、「日本の主体性は何もないのではないか。志位さんにききたい」と質問。

 志位 日本国憲法を起草したのは確かにGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)だったという事実はあるでしょう。しかし、あの時、民主主義や恒久平和、基本的人権というのは、やはり日本国民の圧倒的多数の希求であったのです。

 田原 かつてはそういったけど、共産党は自衛隊を認めているでしょ。

 志位 自衛隊を認めてはいないですよ。自衛隊は違憲の軍隊だということには変わらない。ただ、すぐになくせない、段階的に国民の合意のもとでなくしていくというのが私たちの方針です。

 谷垣総裁は、「新しい憲法を考えなければいけない時期にきている」と改憲を主張しました。

沖縄・普天間基地問題
「移設条件つき返還」から抜け出し、「無条件撤去」の立場で交渉を

 番組は最後に、沖縄県の米軍普天間基地問題を取り上げ、谷垣氏が、同県名護市辺野古の新基地建設、海兵隊8千人のグアム移転、という従来の自公政権の立場を改めて表明。「抑止力を維持するのが日米間の合意だ」と発言しました。

 田原氏が、「普天間基地は多分グアムに移転すると思っていたが、鳩山首相はグアムじゃないと言った」と質問。福島氏が、「グアムは非常に有力。明日から基本政策閣僚委員会のもとで3党でしっかりと議論する」と答えると、田原氏が、「ものすごく無責任だ」と非難する一幕がありました。

 菅氏は、普天間の問題は、「日本、米国、沖縄、そして3党の4元方程式だ。もう一回、多少時間をかけ合意を形成していかなければ」と発言。志位氏は問題の根源がどこにあるか解明しました。

 志位 これには二つの問題があります。(一つは)結局、“移設条件付きの返還”という路線から新政権がまだ抜け出せないということです。“移設先がなければ返還はない”というセットになっています。しかしもともと、(沖縄県民は)普天間基地というのは“無条件返還”をずっと求めてきたのです。それが1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で、「県内移設」というやり方を持ちこんだため、13年間基地が動かなかった。

 田原 もともと、普天間は無条件撤去ということ?

 志位 そうです。“移設条件付き”という立場から抜け出し、無条件撤去というところにいかないと問題は解決しません。

米海兵隊は「抑止力」ではなく「侵略力」

 さらに志位氏は問題の二つ目を説明しました。

 志位 (普天間問題に)なぜ結論が出せないのかというと、鳩山さんが「抑止力を考えると」ということを言っています。これが最初にでてくるのです。つまり海兵隊は、日本の平和と安全のための「抑止力」になっている、という“呪縛(じゅばく)”があるのですよ。

 しかし、沖縄の海兵隊はそういう役割を果たしているのでしょうか。ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、ファルージャの虐殺に真っ先に殴りこんでいる部隊が海兵隊じゃないですか。これは「抑止力」ではなく「侵略力」です。

 田原 だから海兵隊は撤退しろと?

 志位 「抑止力」の“呪縛”から解放され、普天間基地の無条件撤去の立場にたたないと問題は解決しません。

 谷垣氏は、「志位さんがおっしゃったように、抑止力をどうみるかがポイント」とのべたのにたいし、志位氏は「一体、何を抑止しているのか」と提起。 福島氏が、「抑止力、抑止力といって、沖縄に75%もの基地を押し付けてきた」とのべたのに対しても、志位氏は「それ(抑止力)は鳩山さんもいっていることではないか」と批判しました。

(出所:日本共産党HP  2009年12月28日(月)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状と国民運動の方向ー来年度の税財政制度改革、予算編成についてー

2009-12-26 15:50:24 | 国内政治
2010年度政府予算案について
小池政策委員長が談話

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 日本共産党の小池晃政策委員長は25日、2010年度政府予算案について、次の談話を発表しました。

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 一、本日、政府は来年度予算案を閣議決定した。わが党は、自公政権時代の反国民的な予算からの抜本的転換をはかるためには、軍事費と大企業・大資産家減税という「二つの聖域」に切り込むことが必要だと指摘してきたが、新政権がはじめて編成した予算案は、この聖域を温存した結果、雇用や社会保障、中小企業など国民生活向け予算の拡充は国民の願いから見ればきわめて不十分なものとなり、一方で巨額の国債と「埋蔵金」頼みの予算となった。

 一、国民の審判を受けて、子ども手当や高校授業料無料化など、一定の改善もあるものの、厳しさを増す国民のくらしの要求に応えるものとはなっていない。後期高齢者医療制度の廃止は見送られ、来年度には保険料値上げが予定されるなど、国民の強い願いである社会保障の抜本的な拡充は「先送り」された。雇用対策も、中小企業対策も、深刻な状況に対応したものになっていない。民主党が主張していた「国民の生活が第一」とはとても言えない予算案である。

 一、民主党は、「財源は無駄を削れば確保できる」といってきたが、現実には、44兆円という当初予算としては過去最高の国債発行にくわえて、1年限りの「埋蔵金」にますます多くを依存する予算となった。子ども手当などの新規施策も次年度以降の財源の保障はまったくなく、今回は先送りされた配偶者控除や成年扶養控除の廃止、消費税などの庶民増税への火種を残すものとなっている。

 一、5兆円規模の軍事費はまったく手がつかず、ヘリ空母やミサイル防衛、「思いやり」予算なども温存された。とくに、グアム移転をはじめとした米軍再編経費は、500億円近くも増額された。公共事業予算は削減されたが、スーパー中枢港湾などの大型事業予算は拡充された。「租税特別措置の見直し」は小手先だけにとどまり、研究開発減税や証券優遇税制など大企業・大資産家減税も継続され、贈与税減税など資産家向けの優遇はさらに拡充された。結局、自公政権が「聖域」としてきた分野にはメスが入らないままとなっており、これを転換することが必要だということが、ますます明らかになっている。

初の鳩山予算をみる
“聖域”手つけず迷走
扶養控除やめ 消費増税示唆
記者座談会

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 鳩山内閣は25日、政権交代後はじめての予算編成となる2010年度政府予算案を閣議決定しました。その中身は、自民・公明政権を退場させた国民の願いにそったものになったのでしょうか。担当記者で話し合いました。

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対照的な評価

 A 鳩山予算の評価はどうだい。

 B 生活保護の母子加算継続、児童扶養手当の父子家庭への支給、診療報酬の引き上げなど、国民が声をあげれば、不十分であっても前進すると実感できる面もある。

 C これまで毎年2200億円の社会保障関係費の伸びを抑制してきた自民・公明政権時代の抑制路線は通用しない。

 B ただ、「後期高齢者医療制度廃止を先送りなんて人をばかにしている」「子ども手当とひきかえに所得税・住民税の扶養控除を廃止しないで」と手厳しい意見も多い。

 A 子ども手当の財源に地方負担を求めることは最後までもめた。地方も「地方自治と地方財政を守るためにこれをボイコットする」(松沢成文神奈川県知事)と批判が強い。政府は「地方負担は頭にない」(鳩山首相)といっていたからな。

 C 対照的なのは財界の反応だ。御手洗冨士夫日本経団連会長は鳩山税制「改正」について、「エコカー減税の延長、それから研究開発減税も据え置いてもらったし、私は評価しています」と絶賛している。

 A 財界の要望どおりというわけだ。一方で、「マニフェスト(政権公約)そのものに無理があった」とある財界幹部はいう。

混迷の末決着

 B それにしても来年度予算案は決着までに混迷・迷走したな。

 C 過去10年間の予算案はすべて24日に閣議決定されている。25日に閣議決定されたのは11年ぶりだ。税制「改正」大綱は遅れに遅れ、一時は越年予算編成もささやかれた。結局、小沢一郎民主党幹事長の「小沢裁定」でマニフェスト修正を決断して、一気に動きだした。

 A マニフェスト絶対主義の破たんだ。なにせ概算要求段階で予算規模が約95兆円にまで膨れ上がった。景気低迷で税収も落ち込み、どうやってマニフェスト施策の財源を確保するかが迷走の始まりだった。

 B その結果が借金(国債増発)と「埋蔵金」(税外収入)頼みの予算というわけか。

 C 鳴り物入りで始まった行政刷新会議の「事業仕分け」でも、目標の3兆円には程遠い6000億円しかねん出できなかった。

 A もともと「事業仕分け」自体、スーパー中枢港湾などの大型公共事業と軍事費は聖域にし、甘口の切り込みだった。逆にばっさり切り込んだのは暮らしや社会保障、中小企業関連の予算だった。科学予算削減への科学者の反発もすごかった。

 B 税制「改正」でも大企業・大資産家減税は依然聖域だったな。大企業に大きな恩恵を与える研究開発減税の上乗せ措置は延長され、一部大資産家が巨額の減税を受ける証券優遇税制も温存された。

 C 結局、予算案では、軍事費は微増とまさに「聖域」扱いされた。米軍再編関係経費は大幅増額だ。

 A ゆきすぎた大企業・大資産家減税と軍事費という「二つの聖域」に手を付けないことが、混迷の大本だ。

自公と同じだ

 B マニフェストの目玉だった子ども手当は、その財源として住民税の扶養控除の廃止が盛り込まれた。高校授業料「実質無償化」の財源は所得税・住民税の特定扶養控除縮小だ。これらは総選挙時の政策集ではやらないといっていた項目だ。

 A 一方で、マニフェストに盛り込まれていた「後期高齢者医療制度の廃止」や中小企業向け減税は先送りだ。

 B 政府税制調査会の司会を担当した峰崎直樹財務副大臣は24日の記者会見で「今後は国民に負担を求める選挙がくるし、またこなければならない」と明言した。

 A 消費税増税をやるぞという宣言だな。税制「改正」大綱には「税制改革と社会保障制度改革とを一体的にとらえて、その改革を促進する」と書き込まれている。

 C もともと民主党はマニフェストでも年金財源に消費税を充てるという考えだ。かつて自民党の小泉純一郎首相(当時)が「増税をしてもいいから必要な施策をやってくれという状況になってくる」といっていたことを思い出すよ。

 B 財源がないから消費税増税をというのでは、自民・公明政権と変わらない。消費税を増税して、大企業の税と社会保険料負担を軽くしようとしている財界の思うつぼだ。大企業と大資産家に応分の負担を求める国民の世論と運動が大切だな。

主張
政府予算案
まだ聖域にメスが入らない

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 鳩山内閣が来年度の政府予算案を決めました。鳩山由紀夫首相は「何よりも人の命を大切にし、国民生活を守る政治を実現するため」の予算だとのべています。

一部前進はあるものの

 自公政権は財界とアメリカ言いなりの政治を進めるために、自ら招いた財政破たんのツケを「構造改革」の名で国民に押し付けてきました。社会保障の自然増を毎年2200億円も削減し、庶民増税を進めるなど命と暮らしをないがしろにする野蛮なやり方でした。

 予算案には部分的には「構造改革」路線を改める中身が含まれています。子ども手当や「高校無償化」、診療報酬の増額、生活保護の母子加算の復活・継続や地方交付税の増額などです。自公政権を退場させた国民の審判と粘り強い運動が後押しした結果です。

 それぞれ、大臣が成果を強調しています。「100点は超えたと思っている」(川端達夫文部科学相)、「200点満点の成果だ」(原口一博総務相)―。

 しかし、例えば診療報酬の本体は1・55%の引き上げにとどまりました。小泉内閣以降、トータルで8%近くも削られており、もっと明確な引き上げが必要です。「医療崩壊」の阻止には、まったく不十分です。おまけに「開業医から勤務医に振り向ける」という、実態を無視した「事業仕分け」の議論にもとづいて、開業医の再診料を引き下げようとしています。関係者の分断を図るのは、「構造改革」路線をひきずった卑劣なやり方にほかなりません。

 後期高齢者医療制度の廃止も、障害者自立支援法の応能負担の廃止も先送りしています。生活保護の母子加算は復活しても老齢加算は復活させていません。切実な雇用保険の全国延長給付にも踏み切りませんでした。

 何より、全体に共通する大きな懸念は財源です。

 公立高校の授業料無料化など「高校無償化」の財源には、民主党のマニフェストで廃止しないと明記している「特定扶養控除」を縮減して回します。

 92兆円の歳出に対して税収は37兆円、新規国債が44兆円で、その差を埋める10兆円以上を特別会計の「埋蔵金」から引っ張ります。特別会計を見直して無駄遣いを正すことは大事ですが、巨額の「埋蔵金」が毎年わいて出るわけではありません。今後は財源をどうするのか、極めて不透明です。

 加えて2011年度には、子ども手当の全額支給、高速道路の段階的な無料化など、数兆円規模で歳出を増やしていく計画です。いまのままでは、行き詰まりが目に見えています。

高まる増税への不安

 総選挙のときにも、民主党の公約を実現する財源に「不安を感じる」人が8割を超えていました。いずれ消費税の増税が待っているのではないかという不安です。

 鳩山内閣は任期中の消費税増税を封印していますが、来年度予算案を見る限り、国民の不安はいっそう高まらざるを得ません。

 根本の問題は、自公政権が聖域にしてきた軍事費にも、大企業・大資産家を優遇する税制にもメスを入れられなかったことです。二つの聖域にメスを入れ、将来とも消費税増税に頼らずに暮らしの予算を充実させる財政運営へと、大きく転換する必要があります。


予算92兆2992億円 過去最大
米軍再編経費が大幅増
財源は借金と埋蔵金頼み
政府案を閣議決定

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 鳩山内閣は25日、新政権発足後初の予算編成となった2010年度政府予算案を閣議決定しました。子ども手当や高校授業料の「実質無償化」など、民主党のマニフェスト(政権公約)施策を盛り込み、総額は92兆2992億円と過去最大規模に膨れ上がりました。

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 軍事費は09年度当初予算と比べ0・3%増の4兆7903億円となりました。自公政権時と変わらず5兆円規模を維持しています。

 米軍再編関係経費が前年度比481億円増の1320億円と初めて1000億円を超え、このうち在沖縄米海兵隊のグアムへの移転事業に472億円も計上しています。

 公共事業関係費はダム関係予算の抑制などで、対前年度当初予算比18・3%減の5兆7731億円となりました。港湾関係費全体も同24・6%減となりました。しかし中身は地方港湾にかかわる事業が縮減される一方、スーパー中枢港湾への「重点配分」が行われています。

 歳入のうち税収は37兆3960億円となり、25年前に匹敵する水準となりました。92兆円規模の歳出を、過去最大の税外収入(=埋蔵金、10兆6002億円)と過去最大の国債発行(44兆3030億円)で支えます。

 子ども手当や高校授業料の「実質無償化」の財源は、来年度税制「改正」に盛り込まれた所得税・住民税増税で賄います。

 一方、大企業・大資産家優遇税制は温存。研究開発減税の上乗せ措置は2年延長します。

 政権の鳴り物入りで実施された行政刷新会議の「事業仕分け」では、3兆円削減を目標に実施されたものの、軍事費やスーパー中枢港湾整備などには大胆に切り込まず、「だいたい6000億円ぐらい」(財務省幹部)の歳出削減となりました。

(出所:日本共産党HP  2009年12月26日(土)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状ー扶養控除の廃止・縮小問題/「生活第一」を公約したのだから庶民増税をすべきでないー

2009-12-23 10:55:12 | 国内政治
特定扶養控除の縮小
直撃 高校授業料免除世帯
年3万円の増税も
政府税調検討

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 鳩山政権が検討している特定扶養控除の縮小が実施されると、高校の授業料が免除されている世帯では年約3万円の増税になるケースも生まれることが、本紙の試算で分かりました。

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 民主党は先の総選挙のマニフェスト(政権公約)に「高校は実質無償化」を掲げました。その財源として、政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)で検討されているのが、2010年度税制「改正」による特定扶養控除の縮小です。特定扶養控除のうち16歳から18歳までについて、所得税の控除は現行63万円を38万円まで圧縮し、住民税の控除も現行45万円を33万円まで圧縮する案です。中川正春文部科学副大臣が15日の政府税調全体会合で提案し、特に異論は出されませんでした。

 特定扶養控除の縮小は大きな影響を与えます。例えば、東京23区在住で、現在都立高校の授業料が免除されているサラリーマン3人家族(年収300万円、妻は専業主婦、子ども16歳)の場合、高校授業料が「実質無償化」されてもその恩恵はありません。ところが、所得税・住民税の特定扶養控除が縮小されると、両税合わせて年3万1000円の増税(本紙試算)となります。

 高校授業料の減免措置は各都道府県が実施している措置です。東京都は、生活保護世帯と同程度の収入しかない世帯に対し都立高校の授業料を免除する制度を設けています。生活保護の1・2倍程度の収入までの世帯については授業料を5割減額しています。

 東京都では08年度で1万6448人(全都立高校生比12・69%)の高校生が全額免除の措置を受けています。また、2579人(同1・99%)の高校生が半額減額されています。

 民主党はマニフェストで、「特定扶養控除は存続させる」としていました。高校の授業料を無償化することは、国民の切実な願いですが、財源を庶民増税に求めることは、民主党がうたう「暮らしのための政治」(マニフェスト)にも反します。

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 特定扶養控除 所得税額を算出する際に、特定扶養親族(16歳以上23歳未満)の人数に応じた金額(1人あたり63万円、住民税は45万円)を差し引くことができる所得控除。圧縮されれば、その分だけ課税される所得が増えるため所得税が増税されることになります。


(出所:日本共産党HP 2009年12月20日(日)「しんぶん赤旗」)

扶養控除を廃止・縮小
鳩山内閣が税制「改正」大綱
子育て世帯に増税
負担増連鎖の恐れ

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 鳩山由紀夫内閣は22日、2010年度税制「改正」大綱を閣議決定しました。大綱は所得税・住民税の年少分の扶養控除(16歳未満)の廃止のほか、特定扶養控除(16~22歳)の高校生部分(16~18歳)の縮小を盛り込みました。子育て世帯に所得税・住民税増税を押し付けるほか、何らかの手だてがとられなければ多くの社会保障制度で“雪だるま式”負担増を招く恐れがあります。

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 これらの「改正」が実施されると、所得税は11年分から、住民税は12年度分から増税になります。

 鳩山内閣は扶養控除の廃止などによって確保した財源によって、マニフェスト(政権公約)で掲げた子ども手当を導入しようとしています。子ども手当の導入にあわせて現行の児童手当が廃止されます。

 子育て世帯は、新たに子ども手当が支給されるものの、所得税・住民税増税と現行児童手当の廃止によって、子ども手当の効果は大幅に減少します。

 政府税制調査会に示された資料では、所得税・住民税の扶養控除が廃止された場合、連鎖的な負担増が保育所の保育料や私立幼稚園就園奨励費補助、国民健康保険料など、少なくとも23項目に及ぶことが明らかになっています。

 特定扶養控除(16~18歳)はマニフェストにかかげる高校授業料の「実質無償化」の財源を口実に、所得税については現行63万円を38万円まで、住民税については、現行45万円を33万円まで圧縮しようとしています。

 同控除の縮小は、現在、公立高校の授業料の免除措置を受けている世帯にたいし、所得税・住民税増税の痛みだけを押し付けることになります。「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討」するとしていますが、具体的な手だては示されていません。

 成年分(23歳~69歳)の扶養控除の廃止案については、子ども手当の対象にならず、廃止に伴う増税だけが襲うことになるため、とくに強い批判が起きました。このため、廃止を見送りました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月23日(水)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状と国民運動の課題ー保育制度改悪か、保育制度の維持・向上かー

2009-12-20 08:34:02 | 国内社会
保育所
国は最低基準守れ
山下議員追及 “今以上の詰め込みに”

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 日本共産党の山下芳生議員は17日の参院総務委員会で、新政権が進めようとしている保育所の最低基準引き下げ問題を取り上げ、基準をゆるめたり、引き下げることは絶対にあってはならないと原口一博総務相に強く要求しました。

 山下氏は、国が決める保育施設の面積などの「最低基準」は、「全国どの地域でも、子どもたちが健やかに発達・成長できる環境を保障するために必要な最低基準だ」とただしました。

 原口総務相は、最低基準の見直しは「地域主権」に基づいて、「国と地方自治体の役割分担を見直すもの。(地域が基準を)上書きをする権利」だと説明しました。

 これに対し、山下氏は、現在の児童福祉法でも「地域の自主性は保障されている」と指摘し、「地域主権にしなければよりよいものができないというのは、おかしい」と批判しました。

 山下氏は、面積基準(子ども1人あたりに必要な部屋の広さ)が緩和されれば「真っ先に起こるのは、保育所の新設ではなく、既存の保育所に今以上に子どもを詰め込むことだ」と指摘。自公政権下で待機児童対策として実施された「定員の弾力化」で、大阪府では、1万人近い子どもが定員を超えて「詰め込まれている」と資料を示し、「長妻厚生労働相にも、(基準引き下げを)やめよというべきではないか」と追及しました。

 原口総務相は、「(地方の)財政が苦しくなっているなか、(詰め込みが)起こる可能性がある」と認めつつ、「(地域が)ルールを自分で決めた方が守る」などと強弁しました。

 山下氏は、「下がることも地域が責任をもって決めればいい、と聞こえる」と国の責任放棄を批判しました。

(出所:日本共産党HP 2009年11月18日(水)「しんぶん赤旗」)

保育所死亡事故49件
無認可30 認可19
04年以後 厚労省が初めて公表

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 厚生労働省は8日までに、2004年4月から09年11月までの間に保育施設で起きた死亡事故の件数と特徴などをまとめ、発表しました。国がこうした統計を公表するのは初めて。死亡事故急増の事実を指摘した「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)の要請や、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問(11月19日)を受け、まとめたものです。

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 厚労省のまとめによると、認可保育所での事故は19件で、発生場所は園内13件、園庭2件、園外4件となっています。具体的には「廊下に置いてあった本棚の中で熱中症で死亡」「園庭で育てていたプチトマトを食べ窒息死」「園舎屋根からの落雪により死亡」などの事例がありました。

 認可外保育施設での事故は30件で、園内28件、園外2件となっています。「浴室で溺(でき)死」「園外保育中の交通事故で死亡」「午睡中の死亡」などの事例があったとしています。

 死亡児の年齢は、認可は0歳児、1歳児、2歳児が各4人(21・1%)で一番多く、認可外では0歳児が19人(57・6%)で最多でした。

 この結果について長野県立こども病院の田中哲郎副院長は「保育施設における事故の発生要因を分析し、関係者で検討し、防止策を講じ、全国の保育現場に周知することこそ重要」と語っています。

 保育施設での死亡事故をめぐっては11月20日、遺族などでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」が、1962年以降に発生した死亡事故240件を分析した結果を発表。認可保育所への園児の詰め込みが進んだ2001年度以降、認可での死亡事故が急増していることに警鐘を鳴らし、政府に調査を求めていました。

 「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫副会長は「厚労省はもっと前からの数字もつかんでいるはずなのに、04年以後の数字だけを発表したことには納得がいかない。規制緩和と死亡事故増加との因果関係を、国は責任を持って検証すべきだ」と話しています。

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規制緩和の撤回を
小池晃参院議員が談話

 保育所での死亡事故の実態を明らかにするよう、私も国会で要求してきました。

 今回公表された数字は、保育所の環境が子どもの生命や安全にどれほど重大な影響を与えるかを、改めて示しています。保育所の最低基準の引き下げなどの規制緩和は、子どもの安全を危険にさらすものであり、撤回すべきです。

 無認可保育所での事故が際立って多く、早急な対策が必要です。同時に、安全が担保されているはずの認可保育所でも事故がこれだけあるという事実を重く受け止めるべきです。

 政府は、これ以前の数字も公表し、2001年以来の保育所の規制緩和が、どのような被害をもたらしたかを検証すべきです。

(出所:日本共産党HP 2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」)

保育制度改悪(上)
検討でみえた問題点
公的責任の後退明らか

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 保育制度改悪を検討している社会保障審議会少子化対策特別部会(大日向雅美部会長)は、その下におかれた二つの専門委員会で新しい保育制度の具体的な設計をすすめてきました。厚労省は、これまでの主な議論をまとめた論点整理を、9日の少子化対策特別部会に示す予定です。保育制度をめぐる議論は大詰めを迎えています。

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 論点整理では、厚労省のめざす新制度が全体的に明らかになっています。

 今年2月の「第1次報告」は、保護者や保育関係者の強い批判を受けて、多くの論点をあいまいにしたまま、「公的責任は後退させない」とくり返し明言して取りまとめにこぎつけたものでした。

 しかしこの間の議論と論点整理を見ると、公的責任後退の点でも、「直接契約」や「応益負担」などの仕組みでも、当初の計画どおりに制度改悪をすすめるものとなっています。

「直接契約」へ

 新制度では、市町村は保育所の入所に責任を負わず、保育希望者に対して、保育の必要性と量、優先度を認定するだけとなります。

 個人が保育所と「公的保育契約」を結ぶとして「公的」性格を強調しますが、利用者が自分で保育所を探して契約する「直接契約」制度であることに違いはありません。

 保育所探しが大変になるという指摘をうけて厚労省は、待機児童が多い市町村では、自治体または新たに連絡協議会などの組織を設けて調整することを提案しました。

 市町村がやるのでは今までと変わらないという意見や、別組織でやる場合、個人情報保護や公平性の面で問題があるという意見、低所得世帯や障害児が排除されないために調整する組織が必要などの意見が出されています。

 利用者の利便性、公平性からも、申し込みから入所まで市町村が責任をもつ現行制度が最も優れているのは明らかです。

「応益負担」へ

 保育時間では、現在はどの子も、保育所が開いている範囲内で柔軟な対応が可能ですが、今後は保護者の就労状況に応じて、あらかじめ利用できる保育時間が決められます。

 1日では「長時間」(11時間程度)と「短時間」(6時間程度)、週当たりでは「週3日以上」と「週2日」に区分することが提案されています。3歳児以上は幼児教育の観点から週の利用日数に上限は設けない方向です。

 利用条件がさまざまな子どもが混在するため、保育士が子どもの出入りを掌握することに追われ、集団としての保育が難しくなります。また職員の安定的な雇用が困難になることが懸念されます。

 現在は所得に応じて決まる保育料が、「応益負担」つまり利用時間に応じた保育料になります。「保育が必要」と認められた量を超える保育や、土曜日の保育も週5日を超えれば、別料金となる考えが示されました。

 国が決める利用者負担の水準によっては、長時間働かざるを得ない中・低所得者の負担が増大します。(つづく)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)

(出所:日本共産党HP  2009年12月7日(月)「しんぶん赤旗」)

保育制度改悪(下)
検討でみえた問題点
認可園の拡充こそ

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直接契約方式

 新制度では、自治体が保育を直接実施する責任がなくなり、利用者と保育所との契約が出発点とされています。

 保育料も保育所が徴収する方向が示されています。保育所は、利用者から集める保育料と利用実績に応じた補助金で運営するため、経営がその時々の利用状況に左右され不安定になります。

 保育料滞納への対応は、保育所と利用者にとって大きな問題となります。自治体が何らか関与することも検討されていますが、未納世帯の子が退所を迫られたり、未納につながりやすい低所得世帯が敬遠される事態が生まれる危険があります。

企業参入促す

 待機児童解消をうたう新制度が目玉としているのは、保育サービスの量を確保するため、客観的な基準を満たした事業者はすべて参入を認めるという指定制度の導入です。これまでは都道府県が認可した保育所によって保育の質と安定性を保ってきましたが、新制度では、自由に事業者が参入でき、1カ月前に届けるなどで撤退も自由の仕組みになります。

 保育所への補助金(運営費)の使い道も、現在は、その保育所の運営費用にあてることが原則とされ、制限されています。これを撤廃して、本社が利潤を回収したり、株主配当や他事業につぎ込むことを可能にしたりすることは、財界の強い要求でした。

 新制度では、運営費の使途に一定の規制は必要としながらも、専門委員会で反対意見が多く出た株主配当の容認もふくめて、現状よりかなり緩和する方向で検討されています。

保育の質低下

 厚労省は、「指定」は国が定める最低基準を満たすことが条件だとし、保育の質は下げないと繰り返し説明してきました。

 しかし11月に長妻昭厚生労働相が示した方針では、都市部で保育室の面積基準の引き下げを認めるとともに、全国的に園庭や医務室の設置、耐火基準や避難設備の最低基準も撤廃して地方にまかせる方向です。

 制度改悪の議論と時期を同じにして、基準引き下げの方向が出されてきたのは偶然ではありません。保育制度の見直しは、営利企業の参入をすすめることが大きな狙いです。それには、企業が自由にもうけをあげられる仕組みにすることと、基準をできるだけ引き下げて参入を簡単にすることが不可欠だからです。

 保育がもうけの場になることで、保育条件の低下とともに、親と保育所との関係に、お金でサービスを売り買いすることによるゆがみが持ち込まれる懸念もあります。

 今回の保育制度の改悪は、自公政治がすすめた社会保障の「構造改革」路線をそのまま保育に持ち込もうとするものです。約4カ月にわたり専門委員会で検討されてきましたが、当初から保護者や保育関係者が指摘してきた問題点は何も改善されていません。

 制度改悪と最低基準の緩和をただちにストップし、認可保育所の大幅な増設で待機児童解消を図るよう求める声と運動を大きくひろげることが求められています。(おわり)(日本共産党女性委員会・米沢玲子)

(出所:日本共産党HP 2009年12月8日(火)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状ー保育を民間ビジネス化するか、公的な保育態勢を維持・拡充するかー

2009-12-19 08:19:34 | 国内社会
子ども こんな詰め込みに
“現場検証”保育所の「最低基準」
基準引き下げ とんでもない
さいたま市で保育団体

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 「おふとんが重なってるよ」「息がつまりそう。ここに丸1日いなきゃいけないなんて」と親たち―。いま、鳩山政権が保育所の設置に必要な最低基準の見直しをすすめ、今でも不十分な基準を引き下げようとしています。何が問題なのか、保育関係者らによる実行委員会が主催した“現場検証”がおこなわれました。(都 光子)

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 検証現場に使われたのは、社会福祉法人こぐま会の、めだか保育園(さいたま市)。60人定員の認可園で、実際にそこに通う園児が“実演”してくれました。

隣の子どもとぶつかりそう
昼寝も窮屈

 園内で一番ひろいホール。隅にはピアノがあります。約70平方メートル。ここだけで最低基準ぎりぎりなら33人定員の保育園がつくれる計算になります。実際に2歳児から5歳児の33人が入り、お昼寝や食事をする風景を作りだしました。

 ゼロ歳児もいるとして、最低基準ぎりぎりの配置である保育士4人も一緒です。ふとんが敷き詰められていて、大きな子どもたちはでんぐり返しをするなど、大はしゃぎ。「ここで走り回っている姿を見慣れているので、こんなに押し込められるなんて想像できなかった」というのはめだか保育園に5歳と1歳の息子が通っている粂田真央(まなか)さん(35)。「ここに入る前は、マンション内の認可外保育園に預けていたので、それを思い出させるような光景ですね」といいます。

ドタバタと

 「僕たちも認可に入りたくて待っていたので、入れない親の気持ちはわかります。だけど、こんなぎゅうぎゅう詰めの保育園だったら、安心して預けられない」

 もっとも窮屈だったのは2歳以上児の保育室。18人のクラスだと、保育室の面積は35・6平方メートル。ここに日常に必要な机やいす、ふとん、子どもの着替えはもちろん、絵本や遊具も備えなければなりません。そんななかで食べる、寝るといった生活を保育士とともに送ることになります。

 おやつを食べるときには机といすを出します。ここの園では、低年齢児にもさせているので、ぶつかりあったり、行列になったりしながらの配ぜんに。昼寝のためのふとんは重なりあうように敷き詰め、隣の子とぶつかりそうでした。

子どもの感性失わせる環境
室内は雑然

 めだか保育園の主任保育士、中村和子さん(52)は、「現場検証をやってみて、改めて怒りがこみあげてきました」と話しました。

 「子どもの感性を失わせるような保育環境です。これが日本中に広がったらどうなるか」と最低基準の緩和の方向を危ぐします。「保育士は子どもの気持ちに寄り添いながら保育をします。もし最低基準以下の保育園だったら、私自身、保育はやれません。多くの保育士も、こういう環境では働き続けられないし、心が病んでいくでしょう」と。「基準を緩める動きは許せない、とみんなに話していきたい」

 現場検証をおこなった主催団体のひとつである全国保育団体連絡会会長で、福島大学教授の大宮勇雄さんは、「待機児解消ということによる設置基準の緩和で、保育所はより多くの子どもを詰め込むことになるでしょう。そうなると、落ち着かない子どもが増えるのではないか」と指摘します。

 さらに大宮さんは「いま、イギリスなど、保育所には消極的だった国が、スウェーデン並みにしようと公的なお金で保育を充実させています。子どもの成長・発達に公的投資をするのは、社会的にメリットがある、利益があるという考え方です。国も自治体も、そういう財政転換が必要だ」と強調しました。

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 保育所の最低基準 保育所などの児童福祉施設は、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)が保障されるよう、厚労相が施設や運営について最低基準を定めています。職員配置はゼロ歳児3人に保育士1人、4歳以上児では子ども30人に保育士1人など。2歳以上児の保育室の面積は子ども1人当たり1.98平方メートル(約1.2畳)など。医務室、調理室の設置も。現在の認可保育所は、ホールを設けるなど最低基準の2倍近くの面積を確保したり、保育士を加配するなど、不十分な最低基準をカバーしています。
 
私立保育所運営費
一般財源化やめて
関係団体が政府に要請

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 保育・社会福祉関係団体が10日、相次いで福島瑞穂少子化担当相に、「私立(民間)保育所運営費の廃止、削減反対」と要請しました。子ども手当の財源をめぐって“私立保育所運営費の一般財源化”が浮上しており、緊急の要請となったものです。保育所運営費は全国的な保育水準を確保するために機能してきた補助金であり、一般財源化は運営費の廃止、削減につながります。

 全国保育協議会、全国保育士会の代表は、2004年度の公立保育所運営費一般財源化で保育士の非正規化・非常勤化がすすみ保育材料費などが削減され、子どもをはぐくむ環境に格差が生じているとのべ、「子どもの育ちを支える保育が後退する」と訴えました。

 全国保育団体連絡会(全保連)の実方伸子事務局長は、国の責任で早急に保育所を整備し待機児童を解消する必要性を強調し、「保育や子育て支援施策関連予算を増やし、自治体をバックアップする体制をつくってほしい」とのべました。

 福島少子化担当相は政府内で保育所運営費の一般財源化を検討していることを、5日ほど前に総務省からきいたことを明らかにしました。「児童福祉法が示すように、国の責任で待機児童解消、最低基準の確保などを行うべきだ。国が一円も出さずに全部、地方に任せるということには、明確に反対だ」とのべました。

 要請したのは、このほか、日本保育協会、全国社会福祉施設経営者協議会、全国社会福祉協議会、日本保育学会、全国学童保育連絡協議会、全国私立保育園連盟などです。

何狙う保育「改革」
ビジネスチャンス拡大

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 鳩山政権は、8日閣議決定した「緊急経済対策」に「保育分野の制度・規制改革」を盛り込みました。「平成23年(2011年)通常国会までに所要の法案を提出する」と、期限を切って推進する構えを見せています。これは何を狙うものか。政権の基本姿勢にかかわる問題です。

 「緊急経済対策」の「保育分野の制度・規制改革」部分は、自公政権時代に財界仕込みの「構造改革」の扇動役を果たしてきた「規制改革会議」(議長=草刈隆郎日本郵船株式会社取締役・相談役)の提言(4日)を、そのまま引き写したような中身です。

忠実になぞる

 たとえば、規制改革会議は提言で、保育制度について「利用者自らが保育所に直接申し込み、契約を結ぶ利用方式を導入すべき」だと主張。続けて、「保育に欠ける要件の見直し」「利用者補助方式への転換」「保育料設定の柔軟化」などを求めています。

 これに対し、「緊急経済対策」も、「利用者と事業者の間の公的契約制度の導入」「保育に欠ける要件の見直し」「利用者補助方式への転換」「保育料設定の在り方について…検討」と、規制改革会議の提言を忠実になぞった形で課題を列挙しているという具合です。

 また、規制改革会議は、施設整備費補助が株式会社には出ないことや、運営費に使途制限があることなどを、保育への企業参入の障害に数え上げ、「イコールフッティング(=設置主体間の公平化)による株式会社等の参入促進」を強く求めました。

 「緊急経済対策」も、「イコールフッティングによる株式会社・NPOの参入促進」を提唱。「施設整備補助の在り方、運営費の使途範囲」などを「検討する」としています。

 規制改革会議の提言では、さらに「幼保一元化」も提案。「緊急経済対策」には「幼保一体化」が盛り込まれています。「一体化」は民主党がマニフェストなどで使ってきた言葉で、中身は「一元化」と変わりません。

 要するに「緊急経済対策」は、国のお金はなるべく使わずに、規制緩和で民間活力を導入し、経済の活性化を図るという「成長戦略」の一環として、保育「改革」を断行しようとしているのです。本文でも、「できる限り財政に依存せず」に「制度・規制など『ルールの変更』」によって「国民が持っている潜在力」を発揮させ、「景気回復を目指す」と、“狙い”が明記されています。「国民」という言葉でオブラートにくるんでいますが、一皮むけば、「改革なくして成長なし」と叫び、「民間の自由な経済活動を阻害する規制を撤廃します」(骨太方針2001)と打ち上げた小泉内閣の路線と瓜二つです。

 民間企業のビジネスチャンスを広げることだけに目がいっており、子どもや保護者の視点は皆無です。質の守られた、安心して預けられる保育所を、国や自治体の責任で増やしていくという立場は、どこにもありません。

「生活第一」?

 政権交代は、経済効率優先で国民生活をないがしろにしてきた「構造改革」路線への、国民の怒りが起こしたものでした。それなのに新政権が「構造改革」路線と決別できず、役割を終えたはずの規制改革会議の“復権”すら図るのでは、「国民の生活が第一」という約束が泣くというものです。国民の厳しい批判は免れません。(坂井希)

(出所:日本共産党HP 2009年12月11日(金)「しんぶん赤旗」)

保育所 国基準維持を
赤ちゃん亡くした遺族ら要請

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 子ども1人当たりの部屋面積などを定めた保育所の最低基準の引き下げが、今月中旬にも閣議決定される「地方分権改革推進計画」に盛り込まれようとしています。情勢が緊迫するなか、保育所での事故で子どもを亡くした遺族らでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美代表)が11日、内閣府の原口一博・地域主権推進担当相に、国基準の維持を申し入れました。津村啓介政務官が応対しました。

 同会の寺町東子弁護士は、都市部の認可外保育施設で起きた死亡事故の例をあげ、「待機児が多い地域でこそ、営利目的で子どもを詰め込む劣悪施設がはびこり、事故が起きている」と指摘。「国の基準を外せば、認可外施設の指導監督基準も地域ごとにバラバラになり、劣悪施設がますます野放しになる」と語り、国基準の維持を求めました。

 津村政務官は「規制緩和をしたいと思っているわけではない。住民に一番近い自治体に、自分で責任をとってもらう『地域主権』を実現したいだけだ。基準が低くなるとは考えていない」と語りました。

 これに対し遺族は「私の娘が市立保育所で亡くなったことを地元の行政の人たちは知っているが、だれも助けてくれない。市は国に事故の報告すら上げていない。本当に地域に任せればうまくいくのか」「まさか保育所に預けて子どもが死ぬとは思わなかった。保育所を安全に保つための基準を守ってほしいだけです」と涙ながらに訴えました。

 津村政務官は、「確かに、今すぐ国から地方に任せてうまくいくのかと心配されるのはもっともだ」と表明。「最終的に目指す道は『地域主権』だが、そこまでのプロセスは考えなければいけない」と語りました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」)
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日本共産党国会議員団が厚生労働省に「ハンセン病問題に関する申し入れ」

2009-12-19 08:10:42 | 国内政治
 ハンセン病問題 ハンセン病は、らい菌感染により末しょう神経や皮膚が侵される病気。戦前、戦後にかけて患者の強制隔離政策がとられ、断種、強制労働などが行われました。隔離政策は1996年まで続けられました。元患者の抗議運動で2001年、「国の隔離政策は違憲」との判決が確定。08年、問題の全面解決をめざし「ハンセン病問題基本法」が成立、今年4月施行されました。

ハンセン病
基本法具体化へ共同
党議員団 全療協・全医労と懇談
高橋・仁比・赤嶺氏参加

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 日本共産党国会議員団ハンセン病問題プロジェクトチーム(PT)は15日、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)と全日本国立医療労働組合(全医労)の代表と懇談、療養所をめぐる問題で意見交換しました。

 高橋ちづ子衆院議員(PT会長)が、隔離政策による被害回復や療養所職員の確保義務を定めたハンセン病問題基本法が4月から施行されたことについて、「その具体化はまだ見えていない。懇談を受けてあす政府と交渉して事態を前進させたい」とあいさつしました。

 神美知宏・全療協事務局長が「療養所の入所者は平均80歳を超え、基本法の具体化が進まない事態に不安を抱えている」と指摘。療養所職員の削減で入浴中の死亡事故など深刻な事態が発生していることを明らかにしました。また療養所の開放をめぐり、「東京都東村山市の多磨全生園では市長も強く望んでいる保育園をつくる運動があるが、国は高い賃借料を求めるなど無責任だ」と批判しました。

 岸田重信・全医労書記長は、衆議院で7月に「療養所における療養体制の充実に関する決議」が行われたのに、全国13の療養所で看護師が104人も定員割れになっていること、身分が不安定な非正規職員の処遇改善が進まないことなど問題点を指摘しました。

 仁比聡平参院議員(PT事務局長)が「職員確保を来年度予算に盛り込ませるなど、鳩山政権に前向きな対応を取らせるよう力を合わせましょう」と訴えました。

 懇談には、赤嶺政賢衆院議員も参加しました。

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 ハンセン病問題 ハンセン病は、らい菌感染により末しょう神経や皮膚が侵される病気。戦前、戦後にかけて患者の強制隔離政策がとられ、断種、強制労働などが行われました。隔離政策は1996年まで続けられました。元患者の抗議運動で2001年、「国の隔離政策は違憲」との判決が確定。08年、問題の全面解決をめざし「ハンセン病問題基本法」が成立、今年4月施行されました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月16日(水)「しんぶん赤旗」)

ハンセン病元患者救済早く
共産党が厚労省に 療養所職員確保を

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 日本共産党国会議員団ハンセン病問題プロジェクトチーム(PT)は16日、ハンセン病元患者の要望実現のため、長浜博行厚生労働副大臣に申し入れました。(全文)

 小池晃政策委員長・参院議員、穀田恵二国対委員長・衆院議員、高橋ちづ子衆院議員(PT会長)、仁比聡平参院議員(PT事務局長)、赤嶺政賢、塩川鉄也の両衆院議員が参加しました。

 今年4月に、国の強制隔離政策で長年苦しめられてきたハンセン病元患者救済をめざすハンセン病問題基本法が施行されました。しかし、その具体化は進んでいません。

 高橋氏は、全国13の国立療養所で132人の定数割れとなっている深刻な職員不足の実情を示し、療養所を国家公務員定員削減の対象から除外することを要求。また、各療養所の地域開放のための予算確保などを国の責務として実行すること、療養所再入所の受け入れ、入所者と一般入院患者の負担格差の調整、啓発活動の推進も求めました。

 仁比氏は、東京都東村山市の多磨全生園に公立保育園をつくる案があり、市長が「2012年までにつくりたい」と意欲を示していることを紹介。全生園の入所者も全員賛成しているのに、国が高額の賃借料を示していると述べ、「これが療養所開放の壁になっている。この壁を取り除いてほしい」と話しました。

 これに対し、長浜副大臣は、「みなさんと機会があれば全生園に視察に行き、計画実現の障害をといていきたい」と答えました。

 小池氏は、「ハンセン病元患者はこの国に生まれた不安を感じている。この国に生まれて良かったと思えるように、厚生労働行政の転換を図ってほしい」と訴えました。

「ハンセン病問題に関する 申し入れ」(全文)

日本共産党国会議員団

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 日本共産党国会議員団が16日、厚生労働省に申し入れた「ハンセン病問題に関する申し入れ」の全文は次の通りです。


 今年は、国によるハンセン病隔離政策開始から100年、ハンセン病国賠訴訟熊本地裁の原告勝利判決から8周年のときにあたり、4月1日からは「ハンセン病問題基本法」が施行されるなど、入所者をはじめ社会復帰を果たした方々、これを支援する関係者に、大きな期待が高まっています。ハンセン病に対する差別・偏見の克服とハンセン施設の社会開放及び入所者の命ある限り、安心して十分な医療と介護を受ける体制を整備するため各施設における将来構想のまとめが総力をもって進められているところです。また、同時に施設内職員の確保と施設・設備の拡充を図るなどは、いま、緊急の課題として抜本的対策が求められています。入所者の切実な生活実態を直視し、入所者の要請に応えることは国の最低限の責務であり、歴史的経緯にてらし国が誠実に責務を果たすべきです。

 以下、申し入れます。

 1、定員削減計画からハンセン施設を除外し、必要十分な職員を確保すること。

 171国会における「国立ハンセン病療養所における療養体制の充実に関する決議」(2009年7月9日)に基づき、ハンセン病療養所については、第11次国家公務員定員削減計画の適用施設から除外すること。これまでに第10次に及ぶ削減計画で、371人の職員が減員され、231人の純減となっている。加えて、最も不足が深刻な看護師や介護助手は大幅な定員割れの状態にある。このため、入所者の日常は悲惨な状況となっている。視覚障害者は、「食事に何が出されているのかもわからず、手足の不自由で1人で食べることもできない、職員不足から、満足のゆく食事をした実感がない。食事が一番つらい」と訴え、また、入浴中の死亡事故に見られるように、看護・介護職員の著しい不足が取り返しのつかない事態を招いていることを危惧(きぐ)する。政府は、必要十分な職員を緊急に確保すること。

 2、各園の「将来構想」に予算を確保し、実現まで国の責務を果たすこと。

 いま、ハンセン病問題基本法に基づく各園の「将来構想」が策定されつつある。沖縄愛楽園、宮古南静園をはじめ厚生労働省に対し「将来構想」を提出している園については、着工の予算を確保し実現のため国の責務を果たすこと。

 多磨全生園では、敷地全体を「人権の森」として整備し、園内に保育所を設置するなど地域に開かれた福祉ゾーンづくりが計画されている。ところが保育所を整備する場合、国有地の借地料として1千万円前後の賃借料が発生し、「将来構想」の大きな障壁になっている。国有財産法の縛りを解き、入所者自治会や地方公共団体の意向に沿って土地や施設利用の開放を図るべきである。

 3、社会復帰者の再入所を認めること。

 療養所を退所し社会復帰を果たした人たちの多くが、将来的な再入所を希望している。宮古南静園が行った「入退所者意向調査」では、退所者31名のうち23人(74%強)が、友人や知人に対し自身がハンセン病の回復者であることを話すことができない、と答え、家族に対しても50%の状態である。

 差別や偏見を受けてきた心の傷は深く、社会復帰後もなお苦しんでいる。また、社会の差別・偏見も克服されないことから、一般病院への入院は耐えられない、として、再び入院治療が必要な際の再入所を強く望んでいる。

 厚生労働大臣は、再入所受け入れのため、具体的な検討を行うこと。

 4、施設開放後の入院に関する保険会計との混在について検討すること。

 各療養所の「将来構想」等の実施に伴い、入所者の入院(一般会計)と一般の入院患者(保険会計)に会計法上の格差が生ずることから、その取り扱いについて混乱のないよう検討を行うこと。

 5、ハンセン病に対する差別・偏見をなくすため検証結果の広報及び啓発を行うこと。

 ハンセン病に対する偏見、差別はいまだに克服されてはおらず、隔離政策から100年の今、政府がなぜ隔離政策をとったのか、その隔離政策とは何であったのか、検証結果を広く国民に知らせ、二度と同じ過ちを繰り返さないための啓発活動を積極的に講ずること。

(出所:日本共産党HP 2009年12月17日(木)「しんぶん赤旗」)
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日本共産党の志位和夫委員長が鳩山首相に建設的政策方向を提起ー雇用と中小企業の危機打開へー

2009-12-16 04:44:29 | 国内政治
雇用と中小企業の危機打開へ
年内に緊急対策を
志位委員長が鳩山首相に提起

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 日本共産党の志位和夫委員長は14日、鳩山由紀夫首相との党首会談で、雇用と中小企業の危機打開のため、政府が年内にとるべき緊急の課題を提起しました。

 志位氏は、「このままでは文字どおり『年が越せない』という事態が、昨年以上に深刻な形で広がっている」として、(1)失業者への緊急支援をおこなう、(2)大企業に雇用の社会的責任を果たさせる、(3)中小企業支援策の緊急拡充をおこなう、(4)大銀行の貸し渋り、大企業の下請けいじめをやめさせる――という四つの点を提起しました。

 鳩山首相は、「一つひとつ検討させていただく」と表明しました。

 志位氏が、雇用保険の「全国延長給付」について、「政府の決断でできるはずだ」とのべると、「『まだその水準ではないのではないか』といわれているが、はたしてそれでいけるのか、もう一度検討したい」と答えました。

 大企業に雇用の社会的責任を求めることについては、「大企業が『非正規切り』をしない条件をつくっていきたい。経済界にも働きかけていきたい」と答えました。

 メガバンクによる貸し渋り、貸しはがしの問題については、「企業名の公表など、厳正に対処していきたい」と答えました。

 会談の最後に、志位氏が、「労働者派遣法の抜本改正について、通常国会で必ず良いものができるよう、私たちもより良いものとするために修正を提起していきたい」とのべると、首相は、「お互い良いものをつくろうとしているところだから、協力してやっていきたい」と応じました。

雇用と中小企業の危機打開のため、年内にとるべき緊急対策について
(全文)

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 日本共産党の志位和夫委員長が14日、鳩山由紀夫首相に申し入れた「雇用と中小企業の危機打開のため、年内にとるべき緊急対策について」の全文は、次の通りです。


 政府は10月23日に策定した「緊急雇用対策」で、「今年の年末年始に、求職中の貧困・困窮者が、再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにする」ことを目標に掲げたが、政府が機動的かつ十分な対策をとらず、現状のまま推移するならば、昨年末以上に深刻な事態を引き起こす危険がある。

 雇用情勢は、完全失業率、有効求人倍率とも、過去最悪水準にある。また、雇用保険の失業給付が「期限切れ」で打ち切られる失業者がつぎつぎと生まれている。政府の控えめの推計でも、年末までに23万人の失業者が新たな職につけないまま失業給付を打ち切られるとされている。

 日本経済の土台を支える中小企業が、年末、年度末を前に危機的な事態に直面している。民間調査機関によれば、今年の年間倒産件数は昨年を上回り、1万3000件を超えると見込まれている。倒産によって毎月1万人規模の雇用が奪われる事態が続いている。

 こうした現下の経済情勢をふまえ、政府が、雇用と中小企業の危機打開のために、年内にとるべき緊急対策として、以下の諸点を求める。

 1、失業者への緊急支援をおこなう

 雇用保険の「全国延長給付」をおこなうこと。「生活・訓練給付金」の対象を、「厚労省指定の講座受講者」という要件をはずして、生活に困窮している求職活動中の失業者全体に広げること。緊急宿泊所の確保、生活保護などで、失業者をホームレスにしないための万全の方策をとること。

 2、大企業に雇用の社会的責任を果たさせる

 大企業による年末から年度末にかけての「非正規切り」=解雇・雇い止めを許さず、雇用の維持、正社員化の責任を果たさせるため、政府として強力な指導をおこなうこと。

 3、中小企業支援策の緊急拡充をおこなう

 雇用調整助成金の給付期間の延長、限度額の引き上げをはかること。信用保証協会の「緊急保証」制度は、全業種を対象とするとともに、「部分保証」制度を廃止し全額保証にもどすこと。倒産回避のため、緊急の休業補償・直接支援をおこなうこと。

 4、大銀行の貸し渋り、大企業の下請けいじめをやめさせる

 メガバンクによる貸し渋り、貸しはがしをただちにやめさせること。大企業による下請けいじめを厳しく取り締まり、事例と企業名の公表、被害補償などの是正措置を迅速におこなうこと。

(出所:日本共産党HP 2009年12月15日(火)「しんぶん赤旗」)
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テレビ番組で日本共産党の小池議員が発言ー税制改正、環境税・ガソリン税、事業仕分け、普天間基地・憲法ー

2009-12-16 04:38:55 | 国内政治
NHK番組「日曜討論」
小池政策委員長の発言

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 日本共産党の小池晃政策委員長は13日、NHK「日曜討論」に出席し、鳩山政権で審議されている来年度の税制「改正」案について、各党代表と討論しました。

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税制
「力ある人が負担」の議論を

 はじめに、この間の政府税制調査会の議論について、民主党の峰崎直樹財務副大臣は「フルオープン(完全公開)で税のあり方を議論したことは大きな成果だ」と強調しました。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 議論の内容が問題です。

 この間、(自公政権は)大企業・大資産家減税という大きな流れでやってきました。それを見直す議論がありません。

 扶養控除廃止の問題なども含め、財源探しで、庶民の間で負担を押し付けあうような議論になっていますが、これは正しくないし、財源も生まれません。

 例えば、株式譲渡益や配当にたいする課税は10%に軽減されています。一方、銀行利子に対する課税は20%、所得税・住民税の最高税率は50%です。金融所得は給与所得とは分離課税になっていますが、だいたい大金持ちは金融所得の方が多いわけで、結果として、金持ちになればなるほど逆に実際に負担する税率が下がる構造になっているわけです。

 経済危機といいながら、米国では、25%だった証券税制を30%に引き上げようとしています。やはり暮らしが大変なときは力のある人が負担する。そういう議論をするわけです。こういう大きな議論をしっかりやらなければ、わたしはこの国の形は変わらないし、財源も結果として生まれてこないと思います。

 国民新党の自見庄三郎幹事長は、「共産党からも意見があったように、(税の)公正を担保していくことが強く求められている」と述べました。

暫定税率廃止
今ガソリン大減税やる時か

 鳩山政権内で、ガソリン税などの暫定税率廃止(2・5兆円)と地球環境税の導入が取りざたされていることが議論になりました。

 峰崎氏は、「暫定税率を廃止するという考え方では一致している」としながら、来年度の扱いについては明言を避けました。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 考え方をはっきりさせる必要があると思います。

 いまガソリンや車に対する大減税をやるときなのか。これは違うと思います。国民からも疑問の声が上がっていますし、原油が非常に高騰した昨年のような事態のときに緊急に税率を下げることはあり得ると思いますが、「マニフェストにあるから」というだけでやるということでいいのか。見直すべきです。

 まず地球温暖化対策に逆行します。日本のガソリン税は諸外国と比べて高くありません。しかも、財政の状況があるわけです。

 わたしたちは、暫定税率をなくすのであれば、そのときには環境税を切れ目なく同時に導入していくことが必要だと考えています。地球環境の問題からいっても、国際的にもそれが求められると思います。

 社民党の阿部知子政審会長も、「暫定税率の廃止と同時に環境税の導入を」と発言。小池氏は「環境税の議論は国民的な議論が必要で、寒冷地の問題、低所得者に対する手当もつくらなければいけない。国会できちんと議論する必要がある」と力説しました。

扶養控除廃止と子ども手当
根本的考え方変えるべきだ

 鳩山政権が、子ども手当の財源として扶養控除の廃止を求めていることが議論となりました。民主党は総選挙マニフェストでは所得税の配偶者控除・扶養控除を廃止するとしていましたが、同じくマニフェストに掲げた高校授業料の無償化と政策目的が重なるとして特定扶養控除(16~22歳)についても縮減を検討しています。

 峰崎氏は「所得税だけと思っていたが、税体系からすると住民税もやらなければうまくないという問題がでてきた」と述べ、住民税分についても扶養控除を廃止する考えを示しました。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 扶養控除(を受けている人)は全体で1500万人。そのうち(扶養控除の成年分の)23~69歳は500万人以上いらっしゃる。そういう方々にはなんの手当もありません。

 控除から手当へという考え方は私も賛成です。しかし、手当をもらえない人がいるわけで、ここは成り立たない。総務省の試算でも、年収300万~500万円の世帯主で年間5万~6万円の増税だけになってしまうわけで、こんなことをやることは許されないと思います。こういうやり方は最低限度の生活費には課税しないという生計費非課税原則にも反することになります。

 これだけ巨額の事業をやるというときに、いまごろこんな議論をやっていること自体が大変問題ではないか。先ほど、峰崎さんが、住民税も一緒にやらなければいけないという問題がいまになって出てきたとおっしゃったけど、こんなことは最初の段階で考えておかなければいけなかった話ですよ。こういう形で控除を削れば矛盾がでてくるというのは、誰だって分かっていたわけです。

 そういうことで言うと、考え方を根本的に変えないとこれはできない。もし子ども手当をやる、(財源を)税金に求めるというのであれば、負担能力に応じて収入の多い部分から取るという形に考え方を変えなければいけない。子ども手当も全額現金給付ではなくて、保育所をつくるなどいろんな形も含めて見直さなければだめだと思います。

 社民党の阿部氏は、特定扶養控除の縮減にも理解を示しながら、「小池さんがおっしゃったように、資産課税や相続課税、金融課税など、担税力のあるところからいただくことが当然。原点は与党としても確認している」と述べました。

 小池氏は、「そういう議論になっていない」と批判。次のように述べました。

 小池 そうなっていないから、結局、扶養控除のところをどうするのか、(財源が)足りなくてなって住民税に手をつけるとか、特定扶養控除に手をつけるとか、公約違反になってしまう。そこの考え方を変えなければだめです。

事業仕分けと予算審議
防衛省予算などに切り込め

 最後に改めて鳩山政権の予算審議について問われ、小池氏は次のように述べました。

 小池 「事業仕分け」がありましたけど、結局、削減要請額をみても総額で6900億円です。防衛省の(削減要請)予算はわずか54億円、予算全体の0・1%でしかない。やはり自民党時代の聖域に切り込んでいないと思います。

 もう一つ、税収が37兆円。これは1985年以来ですから、消費税がなかったときですよ。そのときのGDP(国内総生産)はいまの6割です。ところが法人税はそのときより半分以下になっている。やっぱり負担能力のあるところに負担を求めていない。そういうところに税収を求める大きな議論をしなければ、この根本問題は解決しないと思います。

 自民党の野田毅税制調査会長は、「消費税を含め財政再建の道筋を明確にしなければいけない。4年間は消費税を上げないといって、国債増発では大変なことになる」と消費税論議を求めました。

普天間基地は無条件撤去こそ
非同盟・非軍事が世界の流れ
民放番組 小池議員が主張

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 日本共産党の小池晃政策委員長は13日、テレビ朝日番組「サンデープロジェクト」に出席し、普天間基地(沖縄県宜野湾市)をめぐる問題について各党出席者と討論しました。

 番組では、総選挙中に同基地を県外または国外に「移転」させると公約していた鳩山由紀夫首相が、政権交代後に態度を変えたことや、その後の発言も「できるだけ遠くない時期に(『移転』先を)示すことができる状況になりつつある」「まだしばらく時間がかかる」などと二転三転している問題が焦点となりました。

 小池氏は「日本政府は迷走しており、国民からみればいったいどうなっているのかという対応だ」と述べた上で、「海兵隊は『抑止力』であり、日本に必要だというのが(鳩山首相の)出発点だ。だからこそ『移設』先を一生懸命探している」と指摘し、無条件撤去こそが解決の道だと主張しました。

 また、辺野古(沖縄県名護市)への「移設」は「沖縄の負担軽減のためだ」などと弁明した自民党の町村信孝衆院議員(元外相)に対し、「町村さんが外相のときにサインした米軍再編についての『日米合意』(2005年)には、そうは書いてない。『海兵隊の緊急事態への対応能力の強化』のためだといっている」「(米側)いいなりでつくった合意であり、破棄すべきだ」と主張しました。

 沖縄からの中継で討論に参加した伊波洋一宜野湾市長も、県内「移設」ということになれば、沖縄県民から「大反発が出ると思う」と述べました。

 小池氏は、「来年は日米安保改定50年。いまこの問題に直面して、本当に日米安保をこれからも続けていくのか」と問いかけたうえで、フィリピンではマルコス独裁政権を打倒したアキノ政権によって1992年に外国基地の撤去が実現したと指摘。日米軍事同盟がなくなると日本は“軍事大国”になるという町村氏の発言に対して、「そういう20世紀の古いステレオタイプ(紋切り型)の発想から抜け出すべきだ。非同盟・非軍事が世界の流れであり、この流れをこそ日本は進めるべきだ」と主張しました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月15日(火)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状と各国人民の平和運動ー軍事同盟を機軸にするではなく、各国人民の平和運動を機軸にー

2009-12-14 04:34:00 | 国内政治
外国基地撤去へ運動
平和大会国際シンポ始まる

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 「2009年日本平和大会in神奈川」(11~13日、実行委員会主催)の開会に先立ち10日、国際シンポジウムが横浜市で始まりました。米国、韓国、ドイツ、フィリピン、エクアドルから代表が参加し、軍事同盟からの脱却や非核・平和の世界を目指す運動を交流しました。11日も開かれます。

 初めて政府代表として参加したエクアドルのハビエル・ポンセ駐日大使が「外国軍基地の設置禁止」を明記した憲法の制定経緯を報告。「核の全面廃絶を重視するよう求める。核不拡散だけを目標とすることは認められない」と明言しました。

 米国で海外基地反対運動に取り組むジョン・リンゼー・ポーランド氏は、外国軍基地閉鎖を実現したケースについて「持続的市民運動があり、政府レベルで意思決定につながった」と指摘。韓国・労働者代案社会学習院講師の李俊揆(イ・ジュンキュ)氏は「北朝鮮の核問題と日米・韓米同盟の問題はリンクしている」とし、東アジア全体の平和体制構築を強調しました。

 ドイツ平和評議会のハネロア・トゥルケ氏は、北大西洋条約機構(NATO)の変遷にふれ、「欧州の選択肢は、米国と共同歩調をとり続けるか、独自にロシアとの関係を構築するかだ」と発言。1990年代に米軍基地を撤去したフィリピンのコラソン・バルデス・ファブロス氏は、その後も米軍はフィリピンで軍事演習を繰り返していると告発し、監視活動を報告しました。

 日本平和委員会の川田忠明常任理事は「日米同盟を不動のものとみる『神話』を乗り越え、新しい日米関係を求める世論の構築を」と呼びかけました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月11日(金)「しんぶん赤旗」)

普天間基地撤去こそ
平和大会開会総会 沖縄の代表が発言

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 11日に横浜市で開かれた日本平和大会開会総会では、米軍普天間基地問題が大激動となっている沖縄県の代表が登壇し、「普天間基地の無条件撤去こそ県民の意思」と、県民のたたかいを力強く発言しました。

 普天間爆音訴訟原告の知念君枝さんは、基地から700メートルの飛行直下に住み、朝4時からの爆音で不眠症に悩まされていると発言。「臓器をかき回すような」爆音による健康被害や墜落の恐怖にさらされるなかで、市民の基地即時閉鎖の声が大きくなっているとのべ、「日本のどの地域にも基地を建設するのは反対。訴訟で勝利判決をかちとり運動に貢献したい」と表明しました。

 名護市辺野古への新基地建設に反対し座り込みを続けるヘリ基地反対協議会の大西照雄代表委員が、座り込みが2063日となったことをのべると、会場は大きな拍手。新基地建設反対の一点で共闘をひろげてきたとのべ、新基地建設が負担軽減にならないことは13年間の国民のたたかいで実証されたと指摘。来年1月の名護市長選への支援を訴え、「連立政権が対米追従するなら、負けないよう、全国が共同し、知恵を結集してたたかおう」とよびかけました。

 米軍ヘリパッド建設に反対する、東村高江の住民の座り込みも2年半となりました。この日、沖縄防衛局が座り込む住民の排除を求めて申し立てた通行妨害禁止仮処分の決定が那覇地裁でだされ、住民2人に妨害禁止が命じられました。

 2人のうちの1人、「ヘリパッドいらない」住民の会の伊佐真次共同代表は「まったく不当である、新たな住民弾圧だと思う」とのべ、今後の運動への決意を語りました。

 真次さんの妻、育子さんは、仮処分の決定に「また前へ一歩踏みだす決意ができた」とのべ、「次の世代に人殺しの訓練場を渡すわけにはいかない」と訴えました。

 神奈川県、山口県岩国市の代表もそれぞれ訴え、瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワークの桑原清事務局長が発言しました。

軍事同盟・基地いらない
平和大会が開会総会

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 「みんなでつくろう!憲法輝く非核・平和の日本」を掲げて「2009年日本平和大会」(実行委員会主催)の開会総会が11日、横浜市で開かれました。沖縄・普天間基地問題が新政権の試金石となるなか、「世論と運動で政治を動かそう」「異常な対米従属を許さない」と会場いっぱいの1000を超える人が参加しました。

 福岡県大牟田市から参加した松崎理恵さん(49)=病院職員=は、「新政権に迫ることで、私たちの願いが実現できるかもしれない。ここでなにもしないのはだめ。普天間基地の無条件閉鎖など実現させたい」と語ります。埼玉県の女子大学生(18)は、「普天間基地の問題をテレビなどで耳にするようになった。私もこの大会で学び、なにかやりたい」といいます。

 全労連の大黒作治議長が「米軍基地も軍事同盟もいらないの世論を広げよう」と開会あいさつ。基調報告した日本平和委員会の千坂純事務局長は、新政権が「日米同盟を基軸」としていることが国民の平和の要求と矛盾を深めていると指摘。米軍基地の縮小・撤去や核兵器のない世界の実現、自衛隊海外派兵中止などとともに、来年の安保条約改定50年に向け、日米軍事同盟廃棄の世論を広げていこうと呼びかけました。

 「米軍基地のない日本への転換を!」と「米軍再編」の焦点となっている沖縄、山口・岩国、神奈川の代表が登壇。沖縄から普天間基地を抱える宜野湾市、名護市辺野古、米軍ヘリ発着帯建設反対の東村高江の代表のあいさつに会場からひときわ大きな拍手がおき、連帯の寄せ書きや募金が手渡されました。

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が「軍事同盟打破の出発点にしよう」と訴え、「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」共同代表の呉東正彦弁護士が来賓あいさつしました。

(出所:日本共産党HP 2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」)

世界と日本 25回党大会決議案から
ASEAN 平和共同体
大国支配の時代 終わった

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 米国、中国、ロシア…並み居る大国が東アジア地域秩序づくりの「運転手」役だと認める東南アジア諸国連合(ASEAN)。中小10カ国の連合体であるASEANが果たしている役割は、大国こそが世界秩序を決める、という“常識”が時代遅れである証拠です。その役割に大きな力を発揮しているのが、仮想敵を持たない東南アジア友好協力条約(TAC)です。

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戦争放棄と非核

 昨年12月、2015年までに「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」の三つの柱からなる共同体の実現を目指すASEAN憲章が発効しました。今年10月には、「域内の人権擁護に責任を負う包括的機構に進化していく」とする政府間人権委員会が発足しました。

 ASEANが創立された1967年は米国によるベトナム侵略戦争のさなか。タイとフィリピンからは米軍機が出撃。さらに、植民地支配からの独立から間もない各国間に民族紛争や領土紛争が絶えませんでした。

 対立と紛争から抜け出すために、東南アジア5カ国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア)はASEAN創立による地域協力の道を選びます。

 平和に向けた協力は75年のベトナム侵略戦争終結後に本格化します。76年に「戦争放棄」を明記したTACが締結され、タイとフィリピンの米軍基地は相次いで撤去されました。95年には東南アジア非核兵器地帯条約が締結されています。

誰にも門戸開放

 ASEANには84年にブルネイ、95年から99年にかけてベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加盟し、東南アジア全域の協力体制が整いました。

 10月にタイで開かれた第4回東アジア首脳会議は、「ASEANが推進力となり、繁栄し、調和のとれた東アジアの構築に寄与し続ける」ことを改めて確認。11月にはシンガポールで、米国とASEANが初めての首脳会議を開催、「ASEAN中心の重要性を再確認」しました。

 ASEANのスリン事務局長は「冷戦終結後、中小国家のASEANは、誰にも脅威を与えずに、われわれのフォーラムに“どうぞ参加してください”という姿勢で域外協力を進めることで、域外国からの信頼を得た」と語ったことがあります。

 現在、ASEANを中心とする協力の枠は、ASEAN+3(日中韓)、安全保障面でのASEAN地域フォーラム(ARF)、東アジア首脳会議など、重層的に拡大。これらの会合では、東アジアの地域協力でASEANが「運転手」「推進役」を務めることが確認されています。

 たとえば94年に始まったARFは、東アジアのすべての国が安全保障問題を話し合える唯一の多国間の枠組みです。(1)信頼醸成(2)予防外交(3)紛争解決―の3段階で平和を構築するのが目的です。

 参加国はカナダを除き、すべてTAC加入国。北朝鮮も参加し、さまざまな懸案を抱える国が率直な意見交換をする貴重な場です。

9条と理念共有

 TACは、ASEANの基本条約とされます。これに米中ロなど域外の大国が加入したことは、ASEANが「運転手」役を確保する上で重要な役割を果たしています。

 タイとカンボジアの間では昨年来、国境地帯にあるヒンズー教寺院跡「プレアビヒア」の領有をめぐる対立が再燃しています。

 スリン事務局長は11月、ASEAN各国外相に書簡を送り、TACに基づいた平和的解決を要請。タイとカンボジアは国防相出席の国境画定委員会を開き、国境問題を平和的に解決することを確認しました。

 スリン事務局長は本紙のインタビューで、「TACと日本の憲法9条はその狙いがよく似ています。地域の国際関係で友好と規範の枠組みを設けるという点、紛争解決にあたり平和的手段、不可侵、政治協力を順守するという点などです」と述べています。

TACの内容
・締約国の国民間の永久の平和、友好、協力を促進

・すべての国の独立、主権、平等、領土保全、主体性の相互尊重

・国内問題への相互不干渉

・紛争の平和的手段による解決

・武力による威嚇と武力行使の放棄

・東南アジアの平和な共同体の基礎を強化

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 ASEAN(10カ国)タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア

 東アジア首脳会議(ASEAN+6カ国)日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド

 TAC(ASEAN+42カ国=加入を表明した国を含む*)日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、スリランカ、モンゴル、ロシア、東ティモール、バングラデシュ、フランス、パキスタン、北朝鮮、米国、EU(27カ国)*

(出所:日本共産党HP 2009年12月12日(土)「しんぶん赤旗」)
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民主党政権の現状と国民運動の方向ーテーマは国会改革、選挙公約と国民主権、選挙制度ー

2009-12-14 04:24:17 | 国内政治
世界と日本 25回党大会決議案から
財界仕込みの「強権国家」づくり
民主党政権の「改革」案をみる

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 「政府・与党の一元化」「官僚答弁の禁止」。民主党政権がいま「政治主導」の名でさまざまな方向を打ち出しています。これは、経済同友会という財界団体が2002年10月に発表した提言「首相のリーダーシップの確立と政策本位の政治の実現を求めて」という「二大政党づくり」の青写真を忠実に実行に移したものです。その中身をみてみると―。

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「内閣と与党一元化」
首相権限強化へ「効率化」

 経済同友会の提言から「内閣と与党の一元化推進による首相のリーダーシップの確立」「与党政策責任者が閣僚を兼ね、内閣と与党の一元化を推進する」「大臣・副大臣・政務官がチームとして力を発揮するよう首相主導の組閣・人事を徹底する」

 「提言」の一つ目の特徴は、「内閣と与党の一元化」の名で、首相の権限強化を狙っていることです。

 民主党の小沢一郎幹事長がその具体化としてまず実施したのが、党の政策調査会や各部門会議を廃止し、大臣・副大臣・政務官の「政務三役」に政策決定の権限を移すことでした。民主党は衆参両院合わせ400人超の巨大与党になりましたが、民主党議員の中の一握りの議員が政府に入って政策決定し、与党は国会でこれを追認するだけ、ということになりかねません。

 一方、野党による行政監視機能も、小沢氏が主導する「国会改革」で大きく制限されようとしています。

 小沢氏は「国会改革」の柱に「官僚答弁禁止」や「常任委員会の定例日のあり方」「通年国会」などをあげます。小沢氏の16年前の著書『日本改造計画』でも「野党による…政府拘束の武器」によって「政府のリーダーシップが拘束されている」と述べ、これらを列挙。「審議を効率的に進めなければならない」として国会の会期制、定例日などの廃止を主張していました。政府提出法案を「効率的に」通すことが狙われているのです。

 しかも、官僚答弁の禁止は、国会の行政監督機能を大きく低下させます。とくに、内閣法制局長官の答弁禁止は、「政治主導」の名で「海外での武力行使」を否定してきた政府の憲法解釈を変えようという動きと結びついています。

 民主、社民、国民新の与党3党は、来年1月召集の通常国会冒頭に内閣法制局長官の答弁禁止などを盛り込んだ国会法改定案を提出し、「(野党と)どうしてもまとまらないときは、最終的には多数決で決める以外にない」(小沢氏)と強行する構えをみせています。

「マニフェスト選挙」
総選挙の後は白紙委任

 経済同友会の提言から「政策本位の政治を実現する政治改革」「各政党が、詳細な数値目標、達成時期、具体的な財政的裏付け等を明示した政権政策(マニフェスト)を党の方針として世に問い、選挙に勝った政党が政権政策を実行する。その後政権政党が次回選挙までに政策を自己評価するとともに、有権者は現政権の業績評価を行い、同じ政権を継続させるか、政権を交代させるかの意思決定をするという政治のサイクルを確立することが必要である」

 「提言」の二つ目の特徴は、主権者である国民がその意思を国政に反映する機会を総選挙だけにしていることです。「マニフェスト」はそのための手段と位置づけられています。

 この「提言」と同じ考えを表明しているのが、小沢幹事長を団長に民主党が9月に実施したイギリス調査の報告書です。

 そこではイギリスの「マニフェスト選挙」が機能していることを紹介し、日本の選挙を「本来、主権者たる国民が主権を行使する唯一の機会」とし、有権者の意思表明を選挙だけに限る考えが表明されています。これは小沢氏の持論で、同氏は繰り返し「民主主義というのは選挙。それが原点。国民、主権者が主権を行使するのは唯一選挙の機会だけ」(10月7日の記者会見)といいます。

 民主党は「提言」を受けた03年総選挙から「自民党も正々堂々『マニフェスト選挙』を戦ってほしい」と打ち出すなど、それ自体を選挙戦の最大の対決軸にしてきました。

 しかし、有権者は同党の政策と路線に丸ごと白紙委任をあたえたわけではありません。今回の総選挙でも、民主党大勝の要因について「政策への支持が大きな理由とは思わない」が52%(「朝日」9月1日付)にのぼり、個別政策でも反対が多数となる公約がありました。

 にもかかわらず、民主党政権は「マニフェスト」を「国民からの命令書」(長妻昭厚生労働相)などと称し、“マニフェスト絶対主義”ともいえる態度を示しました。

「単純小選挙区制」の提唱
民意ゆがめる害悪極端に

 経済同友会の提言から「真の政権交代を可能にする『単純小選挙区制』を導入する」「衆議院議員総選挙とはまさに政権を選択する選挙となるべきであり…次の首相候補及び閣僚候補を明確に示した上で選挙を戦うことが求められる。…『単純小選挙区制』による総選挙は、首相公選的要素を持った政権選択の選挙となる」

 「提言」の三つ目の特徴は、総選挙の役割を「政権の選択」「次の首相選挙」に矮小(わいしょう)化し、その実現に最もふさわしい選挙制度として「単純小選挙区制」を提唱していることです。

 いま衆院の総定数は480議席です。このうち300議席は定数1の小選挙区で選び、180議席は全国を11に分けた比例ブロックで選びます(小選挙区比例代表並立制)。「単純小選挙区制」は、民意を正確に議席に反映する比例部分を全廃し、小選挙区制だけにするものです。

 民主党が先の総選挙マニフェストで掲げた「衆院比例定数の80削減」は、「単純小選挙区制」に向けた重大な一里塚です。80削減すれば、総定数に対する小選挙区の比重はいまの62・5%から75%になり、民意をゆがめる小選挙区制の害悪はいっそう極端なものとなるからです。

 実際、今回の総選挙結果で比例80削減の場合の議席を試算すると、民主、自民両党が小選挙区・比例あわせて92%もの議席を独占します。この結果は「二大政党」が国会を独占し、少数政党を締め出すことを裏付けています。

 鳩山由紀夫首相は、根っからの小選挙区制論者です。旧民主党の結党(1996年)以来、「定数は500から300の単純小選挙区にもっていくべきだ」と単純小選挙区制度導入を主張し続けています。

 岡田克也外相は民主党幹事長当時、「比例を中心にすると、結局、第三極が主導権を持つことになり、かえって民意はゆがめられる。ダイナミックに政権が代わるのは小選挙区中心の制度がいい」(2009年9月1日のNHK討論)と比例部分を敵視しています。

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国会の役割と民意反映否定

 財界が描いた「二大政党づくり」の青写真を忠実に実行に移す民主党政権。そこで狙われているのは、強権的国家づくりです。

 総選挙で「マニフェスト」のもとにある政党を選んだら、次の総選挙までは政権を獲得した政党に「マニフェスト」実行を白紙委任。「効率的に」政府提出法案を通すため国会のあり方も変える――。そこには、主権者である国民の声にたえず耳を傾け、国会で審議を尽くすという民主主義のプロセスは存在しません。

 選挙は、「政権選択」と「次の首相」選びに矮小化され、多様な民意を代表する議員を選び、国会に民意を正確に反映するという原則は無視されてしまいます。

 しかも「政権選択」をしやすくするための「単純小選挙区制」導入となれば、民意はいっそう切り捨てられ、消費税増税反対の声も、憲法9条改定反対の声も、国民多数の声が国会に届かなくなってしまいます。

 全体に共通するのは、国会の権限と役割の否定、民意反映のプロセスの否定です。

 日本共産党は「財界の青写真にそってすすめられようとしている強権的国家づくりに強く反対する。日本国憲法に定められた国民主権、議会制民主主義の原則を擁護・発展させるために全力をつくす」(第25回党大会決議案)と表明しています。

(出所:日本共産党HP  2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」)
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