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国と自治体は大企業の内部留保を活用し、製造業を下支えする中小企業支援の政策を

2009-04-22 01:19:28 | 国内経済
中小業者ら悲鳴
仕事パタッと止まった
笠井議員「製造業への支援必要」
東京・大田区

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 経済危機のもとかつてない苦境に立たされている東京都大田区の中小の機械・金属加工業の工場を、日本共産党の笠井亮衆院議員が二十日訪問し、実態を調査しました。これには渋谷要・衆院東京4区予定候補、かち佳代子都議、黒沼良光都議予定候補、藤原幸雄、清水菊美両区議が同行しました。

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 同区の機械・金属加工業は世界のテクノポリス(技術都市)ともいわれてきましたが、経済危機のもと大手の自動車産業、電機産業は仕事の発注を激減させています。下請け中小業者は「経営がどれだけもつかわからない」と訴えています。

 笠井議員らの訪問に、五人の従業員がいる機械加工業者は「昨年十二月から仕事がパタッと止まった。金、土、日曜日と休んでいる。仕事がある日でも目いっぱいはない。仕事が出てくる見通しもたっていない。こんなことはじめてだ」と訴えました。

 従業員六人の機械加工業者も「何とも言葉で言い表せないひどさだ。下請けは必要ないというのか。下支えしているわれわれがだめになるときは日本経済の回復もないということだ」と憤ります。

 「二、三月と仕事はゼロ。それでも工場の家賃とか固定費用は払わなくてはならない。経営の維持に固定費用への補助とか対策を緊急にとってほしい」と研磨加工業者が訴えました。

 聞いていた笠井議員らは、「政府の経済危機対策は大手向けで、中小企業のところには回ってこない。今必要なのは、製造業を下支えする中小への支援だ」と語りました。そして「国会でも自治体でも正面から問題を取り上げ全力で取り組みたい」とのべました。

けいざいそもそも
内部留保ってなに

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 巨額にのぼる大企業の「内部留保」の活用が、雇用や下請けの営業を守るための「体力」として期待されています。この「内部留保」とはどんなものなのでしょうか。(吉川方人)

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社内に残った利益

 財務省の「法人企業統計年報」の担当者は、「『法人企業統計年報』では内部留保を『当期純利益』から『配当金』を差し引いたものと定義しています」といいます。

 つまり、それぞれの期間に企業が稼いだ利益から株主への配当金を除いたものです。配当金は社外に流出しますが、それ以外の部分の利益は社内に残されます。これは、利益の面から見た内部留保の定義です。

 また、「法人企業統計年報」では、資金調達の面からみた内部留保の定義もしています。

 財務省の担当者は、「資金調達には、株式、社債などの発行で外部からお金を調達する外部調達と、社内からの資金調達があります。内部留保は社内調達資金に分類されています」といいます。

狭義と広義がある

 資金調達の面から見た場合、財務省の内部留保の定義は、利益剰余金、その他資本剰余金、引当金、特別法上の準備金、土地の再評価差額金、金融商品に係る時価評価差額金、自己株式の増減額、その他の負債(未払金等)の増減額の合計とされています。

 このうち、利益剰余金は、繰越利益などを積み上げたもので「狭義の内部留保」といわれます。その他、実際には支出していないのに隠し利益として企業内に蓄えられている引当金や準備金などを加えたものが「広義の内部留保」といわれます。企業の決算で貸借対照表上のこれらの項目を合計すれば、内部留保の積み上げ額が計算できます。

大企業ほど大きい

 内部留保は、大企業ほど大きく積み上がっています。「法人企業統計」によると、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、資本金十億円以上の大企業製造業で、十年間におよそ三倍にも膨らんでいます。これに対して、資本金二百万円未満の小・零細企業では、一時マイナスにまで落ち込み、回復しても、蓄積をすべて使い尽くしてしまった状態が続いています。

 ところが、大企業は内部留保を取り崩すと経営が立ち行かなくなるなどと主張しています。それについて、会計学が専門の角瀬保雄法政大学名誉教授は次のように指摘します。

 「日本の大企業は、内部留保を崩したからといって経営困難になるような状態ではありません。キヤノンなどは二〇〇八年十二月期に減収減益といっても、利益剰余金を前年同期に比べ千六百四十一億円も増やしています。雇用を維持する体力は十分にあります。大企業が雇用よりも内部留保のためこみを優先し、企業の買収・合併に使う姿勢を強めていることが問題です」

 また、剰余金を取り崩すには、総会決議が必要なので難しいという一部の主張について、こう解説します。

 「剰余金は、労働者の賃金を先に支払い、つくりだされた利益から配当を差し引いた残りなので、雇用を維持するために特別な総会決議はいりません」

(出所:日本共産党HP  2009年4月21日(火)「しんぶん赤旗」)

中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを
全商連 5つの緊急要求

 全国商工団体連合会は十六日、「中小業者の活力を生かし、持続可能な地域づくりを」との緊急要求を発表しました。

 従来の経済対策を抜本的に転換させ、「草の根から地域経済再生」を図る五項目を提案しています。(1)個人消費を拡大するため消費税を直ちに減税し、社会保障予算を大幅に増やし雇用を守る(2)中小業者に必要な資金をまわす緊急対策(3)自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し仕事を増やす(4)大企業の一方的な下請け切りを許さず、「休業補償制度」を創設し、地域産業、下請製造業を支援する(5)不公平税制の是正、大企業の内部留保の活用。

 とりわけ、緊急保証を全業種に広げ返済・据置期間を延長する。「貸し渋り」「貸しはがし」の防止。工場家賃など固定費補助、休業補償の制度創設。仕事おこしでは学校関連施設の耐震化など分離分割発注で地元中小業者にまわす。商店、飲食店の消費拡大のためプレミアム付商品券の普及支援―などを示しています。

 西村冨佐多(ふさお)副会長、中山真常任理事が記者会見。西村氏は、「百年に一度の経済・金融危機で苦境にたつ中小業者の切実な要求をまとめた」と述べました。会見に先立ち、「緊急要求」を中小企業庁、金融庁に提出。今後、関係省庁、各政党に要請するとしています。

(出所:日本共産党HP 2009年4月17日(金)「しんぶん赤旗」)

08年度の中小企業向け予算は?

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 〈問い〉 原油・原料高騰が中小企業の収益を圧迫し、倒産が激増しています。08年度予算における中小企業向け予算の額や内訳、これに対する日本共産党の考え方をお聞かせください。(東京・一読者)

 〈答え〉 2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 政府は今年度の重点施策として、(1)中小企業者と農林水産業者が連携した新商品の開発・販売促進などを支援する「農商工連携」、(2)「経営力の向上」をめざす中小・小規模企業のとりくみや事業承継、中心市街地・商店街活性化への支援、(3)下請け適正取引の推進、中小企業金融の円滑化といった「事業環境の整備」―などをあげています。

 これらの施策は、中小・零細企業にとって大事なものであり、施策の活用に挑戦している中小企業や商店街も少なくありません。しかし、最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 しかし、中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。(木)

(出所:日本共産党HP 2008年8月13日(水)「しんぶん赤旗」)

賃上げといっても中小企業は大変では?

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 〈問い〉春闘で組合が「賃上げこそ景気回復の道」と訴えていますが、企業経営を圧迫しませんか。中小企業は大変では?(兵庫・一読者)

 〈答え〉労働組合が「雇用と賃上げ」が景気回復の道と要求しているのは、今日の貧困と雇用破壊、経済の落ち込みの元凶が、「構造改革」路線による賃金抑制と、増税や社会保障などの負担増で国民生活が圧迫されてきたからです。

 この10年間を見ても、製造大企業の経常利益は8・2兆円、株主配当は4兆円も増えているのに、労働者の賃金は2・3兆円減っています(財務省「法人企業統計」)。賃金を抑え、「非正規」労働者を増やして莫大(ばくだい)な利益をあげてきたのです。賃上げをしたからといって、経営を圧迫し、経済が立ち行かなくなるわけではありません。不況を打開し、経済を立て直すうえでも、いまこそ大企業が内部留保を活用して賃上げも雇用も確保することが不可欠です。

 体力のない中小企業は、大企業のようにいきませんが、賃上げで国民の懐を温め、雇用を安定させることが内需を拡大し、経営改善にもつながることは明らかです。むしろ大企業による単価の買いたたきなどの下請けいじめや大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、資金供給への責任を果たさせることが政治に求められています。

 日本共産党は、大企業による中小企業いじめや規制緩和の是正、金融や税制の改善、中小企業への賃金助成など緊急対策を政府に提案しています。全企業の99%を占める中小企業への支援を手厚くすることは、経済を活性化させる原動力にもなります。大不況のときこそ、国と地方の税金の使い方を、労働者の雇用やくらしを守る方向に改めることが求められています。

 全労連に参加する中小企業の労働組合も、こうした考えから「たたかう提案型運動」(全労連全国一般)、「合意協力型労働関係」(JMIU)、「トラック労働者の賃金・労働条件改善と一体で輸送の安全と業界秩序の確立、中小企業の経営環境改善追求」(建交労)などの方針でたたかっています。(加)

(出所:日本共産党HP 2009年3月25日(水)「しんぶん赤旗」)
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38 コメント

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Unknown (すまり)
2009-04-22 06:24:33
不況で、製造業で下請けに発注がない。
で、どうするべき?

大企業に、内部留保を削って「無駄な発注」をしろと?

支援支援いっているが、じゃあ「具体的に」どうするのかというのは、抽象的なことばかりで一度も聞いたことないと思うよ。

まさか、金属加工の旋盤やフライスを中心にした企業に、地元公共事業の発注ができるわけないしね。
大企業に「無駄な在庫を増やす発注をしろ」ってのは、もっと愚行。

具体的にどうすべき?
それとも、仕事がなくても税金で給与を保障するの?
それこそ市場経済の否定だよ。

大企業をいくら責めても、仕事がないものはない。
ない仕事は発注できない。

概念じゃなくて「具体的にどうするか」を「具体的に数字などを出して」言ってほしいね。
返信する
Unknown (すまり)
2009-04-22 06:27:11
ちなみに、無駄な発注は環境問題から見ても、まったくの愚考だからね。

自動車でいえば、売れない車が倉庫に山積みになるんだよ。
売れなかった車はどうするの?廃棄するしかない。
売れない車を作って廃棄するのに、どれだけエネルギーを無駄遣いするかは理解できますよね。

それとも、大企業の内部留保を仕事がない下請けに無償で貸せとか寄付しろとか言うの?
返信する
Unknown (todo)
2009-04-22 16:56:09
日経4月22日
改正産業活力再生法による公的資金投入は

パイオニア 300億
エルピーダメモリ 500億
日立製作所 未定

融資は

日本航空2000億
日産自動車500億
三菱自動車500億
富士重工業100億
いすず自動車数百億円規模

加えて貿易収支も財政収支も双子の大赤字。
中核女みたいなノーテンキじゃ救いようがない。
返信する
Unknown (todo)
2009-04-22 16:57:45
トヨタは役員賞与を6割減らすそうだが、中核女の勤勉手当はどのくらい減らすのだろうか。
返信する
記事をよく読んでください。 (東西南北)
2009-04-22 20:13:21
 今現在の日本経済の問題点は、消費不況です。その原因は個人消費購買力の低下、将来不安です。ゆえに、この2点への対策が必要です。つまり、国内の個人消費購買力を高めて、社会保障を充実させ、将来不安を取り除き、雇用を維持、安定させることで消費不況を脱却する経済政策、社会政策が必要なのです。この現状認識を明確にしてください。

 何度も言っていますが、大企業の利益第一主義から人間の生活第一主義へ転換していく点に軸があります。

 この10年間を見ても、製造大企業の経常利益は8・2兆円、株主配当は4兆円も増えているのに、労働者の賃金は2・3兆円減っています(財務省「法人企業統計」)。賃金を抑え、「非正規」労働者を増やして莫大(ばくだい)な利益をあげてきたのです。

 内部留保は、大企業ほど大きく積み上がっています。「法人企業統計」によると、内部留保の大きな部分を占める利益剰余金は、資本金十億円以上の大企業製造業で、十年間におよそ三倍にも膨らんでいます。これに対して、資本金二百万円未満の小・零細企業では、一時マイナスにまで落ち込み、回復しても、蓄積をすべて使い尽くしてしまった状態が続いています。

 ところが、大企業は内部留保を取り崩すと経営が立ち行かなくなるなどと主張しています。それについて、会計学が専門の角瀬保雄法政大学名誉教授は次のように指摘します。

 「日本の大企業は、内部留保を崩したからといって経営困難になるような状態ではありません。キヤノンなどは二〇〇八年十二月期に減収減益といっても、利益剰余金を前年同期に比べ千六百四十一億円も増やしています。雇用を維持する体力は十分にあります。大企業が雇用よりも内部留保のためこみを優先し、企業の買収・合併に使う姿勢を強めていることが問題です」

 また、剰余金を取り崩すには、総会決議が必要なので難しいという一部の主張について、こう解説します。

 「剰余金は、労働者の賃金を先に支払い、つくりだされた利益から配当を差し引いた残りなので、雇用を維持するために特別な総会決議はいりません」

 従来の経済対策を抜本的に転換させ、「草の根から地域経済再生」を図る五項目を提案しています。(1)個人消費を拡大するため消費税を直ちに減税し、社会保障予算を大幅に増やし雇用を守る(2)中小業者に必要な資金をまわす緊急対策(3)自治体が行う地域・生活密着型の創造的公共事業を応援し仕事を増やす(4)大企業の一方的な下請け切りを許さず、「休業補償制度」を創設し、地域産業、下請製造業を支援する(5)不公平税制の是正、大企業の内部留保の活用。

 とりわけ、緊急保証を全業種に広げ返済・据置期間を延長する。「貸し渋り」「貸しはがし」の防止。工場家賃など固定費補助、休業補償の制度創設。仕事おこしでは学校関連施設の耐震化など分離分割発注で地元中小業者にまわす。商店、飲食店の消費拡大のためプレミアム付商品券の普及支援―などを示しています。

 しかし、2008年度の中小企業予算は、前年度と比べ121億円増の総額1761億円です(一般歳出に占める割合は0・37%。経済産業省1304億円、財務省421億円、厚生労働省35億円)。金額面では最高時の約2500億円から(一般歳出に占める割合では半分以下に)大きく後退しています(詳細は『議会と自治体』3月号「08年度予算分析」を参照してください)。

 中小企業の予算は、米軍への「思いやり予算」2083億円や大企業優遇税制によるトヨタ自動車一社の減税額約1900億円を下回ります。予算がないわけではなく、政府与党の「思いやり」の相手が逆立ちしているのです。

 最大の問題は、420万の中小・零細企業の経営の安定と発展を保障する対策、予算規模になっていないことです。それは、大企業の下請いじめ、中小企業金融の後退、大型店の身勝手な出退店による商店街への打撃、損税となる消費税による経営圧迫などが続いており、効果的な対策がとられていないことに示されています。そのうえ原油、原材料高騰が経営基盤の弱い中小企業を直撃しています。このもとで苦闘している中小企業の経営の安定と育成に役立つ対策と予算が必要なのです。

 中小・零細企業は企業数の99%、従業者の7割を占め、地域と日本経済の「主役」です。これを支え、発展させる政治への転換は、家計を応援し、日本経済の正常な発展をはかるためにも強く求められます。

 日本共産党は、中小・零細企業の経営基盤を支える支援をすすめること、そのためにも当面、予算をいまの約6倍の1兆円に増額することを提言しています。

 さらに原油、原材料高騰のもとでの緊急対策として中小・零細企業、農・漁業などに直接補てんや燃油価格の引き下げ、減税措置を求めています。
返信する
参考です。 (東西南北)
2009-04-22 20:37:05
内部留保 雇用のため使えないのか
大企業の言い分を検証する

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 「減益」や「赤字予想」を理由に、輸出大企業を中心とした「非正規労働者切り」が横行しています。「これまで空前の利益をあげてきた大企業のもうけはどこにいったのか」「ため込んだお金の一部を使えば雇用は守れるはず」という声が、世論となっています。しかし、財界・大企業は、内部留保を取り崩すことは難しいという姿勢です。一部の商業メディアも財界・大企業の言い分に同調しています。内部留保は、本当に取り崩せないものなのでしょうか。(吉川方人)

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経営が大変になる?

 Q 内部留保を取り崩すと経営が大変になる?

 A 雇用を維持するためには、内部留保のほんの一部分を取り崩すだけで十分です。経営に影響するような額ではありません。

 今、人間を使い捨てにする「非正規労働者切り」や解雇・リストラをくり返している輸出大企業はこれまで、非正規労働者を安く使うことで、バブル期を超えるばく大な利益をあげてきました。

 このもうけは、巨大な内部留保としてため込まれています。

 その額は、製造業の大企業(資本金十億円以上)だけで、一九九七年度末の八十七・九兆円から二〇〇七年度末までの十年間に三十二・一兆円も増え、積み上がった額は百二十兆円に達しています。

 派遣業の業界団体は、三月末までに職を失う非正規労働者を約四十万人と推計しています。非正規労働者の平均年収を三百万円とすると、四十万人分で一兆二千億円です。

 製造業大企業の内部留保のわずか1%にすぎません。

 これだけで経営が大変になるとは考えられません。それなのに大企業経営者は、内部留保を使うことをかたくなに拒み、無情に非正規労働者の解雇を続けているのです。

設備投資に回ってる?

 Q 設備投資に回っている?

 A 内部留保は設備投資などに使って機械などになっているし、内部留保がなければ設備投資ができないという主張もあります。

 しかし、実際に大企業の内部留保などを使った新規投資の動きを見ると、新しい機械などへの設備投資よりも、投機を含む有価証券などへの投資に多くの金額が回されているのが実態です。

 製造業の大企業の内部留保が九七年度から十年間で三十二・一兆円も増えているのに、工場や設備などの資産は逆に減少しています。

 機械や土地、建物などの「有形固定資産」は、九七年度の六十八・七兆円から〇七年度の六十七・二兆円と一・五兆円減少しています。

 これに対して、「投資有価証券」は、九七年度の三十二・七兆円から〇七年度の六十六・七兆円に倍増しています。

 設備投資に必要な額よりもはるかに多くの資金が企業内部にたくわえられ、その多くが金融資産への投資に使われているのです。

 内部留保を多少取り崩したとしても、設備投資ができないなどということはありません。

手元資金は少ない?

 Q 手元資金は少ない?

 A 大企業の内部留保は、現金などの流動性の高い形では保有していないので、資金繰りが困るという主張もあります。

 確かに現金や預金などの「手元資金」は、製造業の大企業で〇七年度末に二十一・一兆円と十年前の三十四・八兆円から減少しています。しかし、これは、「手元資金」を投資有価証券などの金融資産への投資に振り向けてきた結果です。

 投資有価証券は、〇七年度の六十六・七兆円に十年間で二倍にまで膨張しています。

 今ある「手元資金」だけでも、非正規労働者四十万人の雇用維持分の一・二兆円などは、十分捻出(ねんしゅつ)できるはずです。どうしても足りないというのであれば、公社債など現金化できる金融資産も多く、金融資産などを担保に資金を調達することもできるはずです。

 巨大な資産を持つ大企業が、手元資金がないからと立場の弱い非正規労働者の解雇を強行するのは、豪邸に住む資産家が、現金を株式などへ投資しておきながら、現金が手元にないからと家政婦を解雇するようなものです。

労働者使い捨て 株主配当は急増

 大企業が労働者の使い捨てをする一方で、株主への配当は急増しています。

 東京証券取引所の統計によると、上場企業製造業の配当総額は、九七年度の約一・三兆円から、〇七年度の約三・七兆円に急増しています。

 新光総合研究所のまとめによると、〇八年度は製造業の経常利益が前年度よりも82・4%の減少となることが予想されています。しかし、年間の予想配当金総額は前年度より一割程度しか減っていません。

 ソニーのように一万六千人ものリストラを計画し、赤字を予測しているのに、配当は増額する計画の大企業まであります。

 株主への配当ばかりが増えていることでは、「貯蓄から投資へ」などといって、投機をあおった政府の責任も重大です。

 政府は、〇三年五月十四日の証券市場活性化関係閣僚等による会合で、企業自らによる「配当性向の向上」を求め、同年の「骨太方針」で、その着実な実施を閣議決定しました。また、証券優遇税制で、配当にかかる税金を本則20%から10%に軽減しました。こうした政府の旗振りのもとで企業は配当ばかりを優先して増やす一方、賃金や下請け単価は抑え付けてきました。異常に増えた配当をもとに戻すだけでも、雇用を維持する資金は十分にできます。

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 内部留保 企業が年々のもうけをため込んだもの。各年の利益から配当を引いた部分をため込む「利益剰余金」、資本取引などでのもうけをため込む「資本剰余金」、実際には支出していないのに隠し利益としてため込む各種引当金などが含まれます。

 これらは、企業の財務諸表の中の貸借対照表の「純資産の部」「負債の部」で計算することができます。しかし、内部留保をどのような形の資産で持っているかはこれだけでは分かりません。

 しかし、同じ貸借対照表の「資産の部」に示されている企業資産全体での内訳を見れば、設備や現金、金融資産の増減の傾向から、ため込みがどのような資産で増えているのか分かります。

出所:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-02-13/2009021303_02_0.html
返信する
参考です。 (東西南北)
2009-04-22 20:42:59
 1 財源――ムダをなくし、不公平税制の是正などで、国民のくらしをささえる財源を確保する

 あらゆるムダにメスを入れる…ダム、港湾などの大型開発や、政党による税金分け取りの政党助成金(320億円)など、あらゆるムダにメスを入れます。年間約5兆円にのぼる軍事費に縮減のメスを入れます。年間2500億円もの米軍への「思いやり予算」を廃止し、正面装備費、米軍との共同演習費、イラク・インド洋派兵費などを、大幅に削減します。政府・与党は、道路特定財源の「一般財源化」を国民に約束しながら、高速道路をつくり続ける「道路中期計画」は廃止せず10年を5年に短縮するだけで、ムダを削る姿勢はまったくありません。国土交通省は、来年度予算で道路予算を15%も増やすという概算要求をおこなっています。これでは揮発油税などをすべて道路に注ぎ込むことになり、現状と何ら変わりません。道路特定財源をただちに一般財源化し、揮発油税などを道路建設以外にも振り向けられるようにします。

 大企業・大資産家にもうけに応じた負担をもとめる…大企業の経常利益はバブル期の1・7倍に増えているのに、税負担は横ばいです。自公政権が、法人税率の引き下げ、研究開発減税や連結納税制度などの大企業減税を実施したからです。巨額の利益をあげている大銀行は、欠損金繰越期間の延長の恩恵で、軒並み「法人税ゼロ」となっています。所得税の最高税率も引き下げられたうえ、証券優遇税制で大資産家に膨大な減税がおこなわれています。そのうえ政府は、「緊急総合対策」に、「企業の国外所得非課税」や「証券マル優制度」など、大企業や大資産家へのいっそうの減税を盛り込んでいます。国民には「財源がない」といいながら、大企業や金持ちには減税をばらまく――こうした政治の姿勢を転換し、大企業や大資産家にもうけや所得に応じた負担を求めます。大企業・大資産家へのゆきすぎた減税をただし、優遇税制を改めれば、7兆円以上の財源が確保できます。

 いわゆる「埋蔵金」を国民のために活用する…特別会計の積立金は、年金給付以外に流用すべきでない年金積立金を除いても、数十兆円の規模に達します。恒常的な財源にはなりませんから、社会保障などの長期的な財源には不向きですが、原油高騰対策などの緊急的・臨時的な施策の財源としては、大いに活用すべきです。とくに、財政投融資特別会計の積立金は、昔から「埋蔵」されていたものではなく、この10年間で30兆円もの剰余金が発生したことによるものです。超低金利にもかかわらず、住宅金融公庫ローンの借り手や公団住宅居住者、高速道路利用者などから、高い金利や家賃、料金を取り立ててきた結果です。政府は、「借金返済にしか充てるべきでない」として、21・8兆円を国債の返済に充てましたが、国民からしぼりとってためた積立金を、国民のくらしを守るためにも使うのは当然です。雇用保険の6兆円もの積立金も、雇用対策の財源として活用します。電気料金に上乗せして徴収されている電源開発促進税は、特別会計に1000億円以上も剰余金が生じています。原発立地促進などに充てられている使途をあらため、自然エネルギーの普及促進などに活用します。

 2 国民の声をただしく反映した政治、行政を実現し、民主的改革をすすめる

 毎年のように暴かれる官製談合や、その背景にある高級官僚の天下り、高級官僚による行政の私物化は、本来、国民のためにおこなわれるべき行政をねじまげるとんでもない行為です。「消えた年金」「消された年金」問題、汚染された輸入米の不正流通など、国民の権利も安全もないがしろにする自公政治のもとで、行政のあり方が根本から問われています。国民本位に転換するための真の行政改革は、まったなしの課題となっています。

(1)国民本位の政治・行政改革のため、政官財の癒着を断ち切り、その根源にある天下りと企業・団体献金を禁止する

 官僚による不正、腐敗と行政の怠慢への批判が広がるなか、民主党などは現在の官僚制度こそが諸悪の根源だとする「自公政治=官僚支配」論を主張しています。現在の数かずの悪政はすべて官僚に主導されて引き起こされているという主張です。たしかに、自民党政治のもとで官僚制度のなかにさまざまな腐敗・堕落がもちこまれていることは事実です。しかし、悪政の責任をもっぱら官僚と官僚制度だけに転嫁することは、「あまりにひどい大企業中心」「異常なアメリカいいなり」という自民党政治の「二つの政治悪」を免罪する議論でしかありません。

 現在の政府・自公両党による国民無視の悪政と官僚の不正・腐敗問題の核心は、「政官財」――政治と官僚、財界――の癒着にこそあります。こうした“鉄のトライアングル”のゆがんだ関係を断ち切ることなしには、ほんとうに国民の立場に立った政治と行政を実現することはできません。

 政官財癒着の根源にあるのが、企業・団体献金であり、天下りの問題です。財界・業界は、一部の特権官僚に「特別席」「指定席」を用意し(天下り)、その見返りに官僚が財界・業界の利益につながる所管官庁の政策を立案、それを自民党などの政治家が国会で成立させ、その見返りとして財界・業界が多額の政治献金をしています。この「トライアングル」を打破することこそ、政治と行政を国民の手にとりもどす近道であり、最大の政治・行政改革になります。

 08年の通常国会では「国家公務員制度改革基本法」が成立しましたが、これは、国民本位の行政の実現に逆行するものでした。法律では、官僚の特権的天下りに手をつけないだけでなく、逆に、官民の人事交流を規制緩和するなど、「天上がり」という形で財界と行政・官庁とのいっそう密接な人脈関係を築ける内容になっています。

 国民のための政治・行政を実現するためには、まず、天下りをきびしく規制する必要があります。日本共産党は、営利企業はもちろん特殊法人や業界団体などへの天下りも禁止することを求めます。また、特殊法人の役職員の天下りも規制します。

(2)国の責任を投げ捨てる「道州制」に反対し、地方自治を守り発展させる

 政府与党や民主党、財界からは、「地方分権」が強調され、その一つのあり方として「道州制」が主張されています。「道州制」論は、現在の都道府県を改編して全国を10前後のブロック(道州)に区分けし、そのもとに基礎的自治体として1千程度の市町村に再編しようとするものです。

 こうした構想は、国民の生活や社会の必要性からでてきた話ではありません。もともとは財界が音頭をとり、それに乗った形で、政党と政治家が主張をはじめたものです。

 そのねらいは、国が外交や軍事、全国的規模の開発事業にだけかかわり、社会保障や教育、治山治水など、本来、全国的に国として責任を負うべき仕事を、地方に押しつけるところにあります。

 いま、求められていることは、「地方自治」の精神を全面的に貫くことです。ただでさえ少ない地方への交付金や補助負担金を減らす一方で、本来、国として責任を負うべき社会保障や教育を押しつけるやり方は、地方自治体と住民をいっそう疲弊させることにしかなりません。

 日本共産党は地方交付税の一方的な削減と制度改悪に反対し、地方財源の充実をもとめます。地方交付税を使った国の政策誘導をやめさせ、制度本来の財源保障・調整機能の充実と、住民福祉を保障する総額の確保をもとめます。福祉や教育などの国の補助負担金の削減に反対します。

(3)国会議員の定数削減に反対し、小選挙区制・政党助成金制度を廃止する

 自民党や民主党は、「国会議員定数の削減」を主張しています。しかし、国会議員の最大の使命は、国民の声を政治に直接反映させることです。その議員定数を削減するというのは、「国民の声は少なくて小さいほどいい」という議論にほかなりません。しかも、削減の対象にしようとしているのは比例代表です。民意を反映する比例代表の定数が削減されれば、ますます国民の声が届かない国会になってしまいます。

 日本共産党は、衆院の選挙制度について、民意を正しく反映しない小選挙区制を廃止し、全国11ブロックの比例代表制の選挙制度を実現することを主張します。また、参政権の制限につながり、諸外国とくらべて異常に高い供託金を大幅に引き下げることをもとめます。世界の8割以上の国で実施されている18歳選挙権を実現します。

 「国民の生活がきびしいとき、定数削減で議員自らも身を切る覚悟が必要」などとのべていますが、ほんとうに「自らも身を切る覚悟」というなら、毎年、毎年、320億円、1995年からの総額で4400億円にものぼる政党助成金の廃止こそが求められます。

 もともと、政党助成金は、「企業・団体献金」をなくすことを条件に導入されました。それがいまでは、日本共産党以外の各党は、年間320億円もの政党助成金を山分けしたうえ、財界・大企業や労働組合などから企業・団体献金まで受けとっています。

 企業・団体献金と政党助成金は、国民に顔を向けない政治と密接不可分の関係にあります。日本経団連は自民党と民主党のそれぞれの「政策評価」をおこない、政策に財界の意向が反映されているかを点検して“通信簿”をつけています。政党がそれに沿って政策をつくり、実行すればするほど、企業・財界からの献金額が上昇する仕組みになっています。そのうえ、毎年決まった額の政党助成金が自動的に入ってきます。「官から民へ」などと主張しながら、自民党は収入の6割、民主党は8割を税金に依存するなど、事実上の「国営(官営)政党」になっています。

 南米のボリビアでは政党助成金を廃止してその財源を障害者支援にまわしました。日本でも政党助成金320億円をやめれば、たとえば障害者自立支援法による障害者福祉サービスの「応益負担」を廃止することができます。

 いまこそ、憲法違反の政党助成金を廃止するべきです。

 出所:http://www.jcp.or.jp/seisaku/2008/20080925_senkyo-seisaku.html#_00
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Unknown (すまり)
2009-04-22 20:48:28
だからさ

受注がなくて困っている業界を
「どのようにして」
救えというのか、具体的にひとつでも提示してくださいって言っているの。

>いまこそ、憲法違反の政党助成金を廃止するべきです。

で、その共産党の大きな収入源の赤旗ですが、当然配達している人に正当な給与を支払っていますよね?
憲法違反をそこまで言うなら、無償労働や賃金未払いをまず自ら正すべきでは?自分ができないことを他人に求めるのは、何度もいいますが傲慢です。
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Unknown (すまり)
2009-04-22 20:50:05
ちなみにtodoさんの例に出した「大企業」

東西南北さんの論理では
「内部留保をたんまり溜め込んでいる」
のでしょうね。

で、その切り崩せるはずの内部留保があるのに、なぜ支援要請?
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Unknown (すまり)
2009-04-22 20:50:58
ちなみに、同一労働同一賃金主張の矛盾説明もお願いしますね。
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