未来を信じ、未来に生きる。

今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。

イラク人死者6600人ー06年、7―8月 テロ頻発、米軍作戦下で

2007-01-31 03:34:35 | 国内政治
 国連イラク支援派遣団(UNAMI)は二十日、イラクで七―八月の二カ月に六千五百九十九人の民間人が殺され、五―六月の死者を約七百人上回ったとする報告書を発表し、イラク情勢が過去最悪の事態に至っていると警告しました。9・11米同時テロ五周年を前後して、ブッシュ米大統領が繰り返し強調してきた「イラクでの自由と民主主義の成果」は、現実によって否定されています。(居波保夫)

 特に月間としては七月の民間人の死者が三千五百九十人に上り、過去最悪を記録しました。その大部分は首都バグダッドに集中。七月には同市で米軍が「掃討作戦」と称する大規模な軍事作戦を強行していました。

 UNAMIの報告書は、イラク中央政府が「法に基づく統治」に向けた努力をしているにもかかわらず事態が悪化していると指摘。市場、モスク(イスラム教礼拝所)、巡礼者に対するテロ攻撃が頻発し、宗派抗争や報復攻撃が続いていると強調。民兵集団や組織犯罪が増大し、市民が無差別に殺りくされているとしています。

 ひどい拷問の跡のある遺体や処刑されたとみられる遺体が全国各地で何百と発見されていると述べています。その対象は軍・治安部隊要員のほか、判事や弁護士、ジャーナリストや出版関係者に及んでいます。

 特に女性の場合、社会進出はおろか、自由な外出、保健サービスや教育を受けることさえ困難です。治安の悪化に加え、「戦闘的集団」の不寛容さによって女性の権利がますます制限されていると報告書は指摘しています。

 報告書はさらに、米国主導の多国籍軍が過度の武力行使に出ており、市民の移動を制限している事例がいくつも聞かれると明記。また、イラク司法機関の能力不足もあって、何千人もの被拘束者が既存の法の枠外で拘束され続けていることにも注意を喚起しています。

 ブッシュ大統領は十九日の国連総会での演説で、「イラクは国民の願望を体現する民主的政府を持つに至った」とイラク戦争・占領の成果を改めて誇示し、「イラクで民主主義が成功を収めるよう援助し、イスラム世界の希望のかがり火にしたい」と述べました。

 しかし、その直前に演壇に立ったアナン国連事務総長は、「基本的人権をないがしろにしたテロとのたたかい」がテロ行為を生み出す結果となっていると指摘し、暗にブッシュ政権を批判しました。同氏は十一日に安保理に提出した報告書でも「イラクはいま、世界で最も暴力の激しい地域だ」「暴力が続けば、国の分裂の危険、内戦の可能性さえある」と厳しく警告しています。

 注:国連イラク支援派遣団(UNAMI) イラクで人道復興支援活動を実施する国連の各組織を統合する機関として、二〇〇三年八月十四日採択の安保理決議一五〇〇で創設されました。任期は一年。これまで毎年更新され、今日に至っています。復興と人道支援で国連の役割を拡大するものとして期待される一方、米軍主導の占領下で活動が制約されている面もあると指摘されています。

(出所:日本共産党HP 06年9月24日(日)「しんぶん赤旗」)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光洋シーリング 請負労働者59人 直接雇用かちとった

2007-01-31 03:30:23 | 国内経済
 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)は一日、徳島県庁で記者会見し、トヨタ系自動車部品メーカーの光洋シーリングテクノ(徳島県藍住町)で請負の形で働かされていた五十九人が、同社に直接雇用されることを明らかにしました。会見には、山本善五郎副委員長、同徳島地域支部に加入してたたかってきた同社で働く矢部浩史さん(41)ら四人が出席しました。

 JMIUは、八月五日に県が提供した協議の場で(1)「偽装請負」の解消のために、対象労働者を「期間契約社員」として直接雇用する(2)別に、経験年数順に三十人を直接雇用する(3)今回採用する期間契約社員は原則六カ月の雇用契約とし、一定期間と基準により正社員への登用を行う(4)これらにあたって、労働組合の所属や活動によって不利益扱いをしない―ことで会社側と合意しました。

 合意に基づき、徳島労働局指導の対象となる労働者二十九人、経験年数の長い労働者三十人が直接雇用に、また正社員が指揮・命令を行う部署の労働者二十九人が請負から「派遣」契約に切り替わります。

 山本氏は「今回の直接雇用は、勇気を持って立ち上がった若い労働者がかちとった画期的な成果であり、この前進は全国で同じ境遇にある労働者を大いに励ますものです」と指摘しました。

 矢部さんは「非正規労働者の三分の二、組合内でも半数以上がまだ『請負』労働者のままです。偽装請負がまん延するこんな社会に未来はありません。若い労働者が『他人の会社のため』じゃなく『自分の会社のため』に働ける環境がつくられるよう引き続き今後もたたかっていきたい」と話しています。

解説

偽装是正の突破口
 
 光洋での直接雇用の実現は、労働組合をつくり、勇気をもって偽装請負を告発した青年らのたたかいと支援の力が切り開きました。製造現場にまん延する違法な働かせ方を是正する突破口となるものです。

 松下プラズマディスプレイ、キヤノン大分でも是正の動きとなっています。

 いま偽装請負のような違法労働が製造現場で横行しています。東京労働局の〇四年度の調査では、労働者派遣事業所七百十一事業所のうち、五百七十七事業所(81・2%)で違法状態がありました。

 光洋で偽装請負として働かされていた青年たちは、正社員と同じ仕事をこなす技術を持ちながら、年収は二百万円前後と半分以下でした。こうした劣悪な労働条件は「ワーキングプア」の広がりとして社会問題になっています。

 青年たちが直接雇用を求めて労働組合をつくったのは二年前。会社は、団体交渉すら拒みました。労働者を守るべき労働局も、違法派遣であると認定しながら、「適正な請負にする」との会社側のいい分にそった指導に終始し、直接雇用に背を向けてきました。

 これに屈しない青年たちと全労連をはじめ広範な労組・団体と、日本共産党国会議員団の現地調査をふまえた度重なる国会質問などの支援が直接雇用の道を開きました。(酒井慎太郎)

 注:偽装請負 派遣労働者は派遣会社と契約を結び、実際の労働は派遣先企業でその指揮のもとに行います。製造現場にも派遣労働が解禁され、期間は二〇〇七年二月末までは一年を超えてはならないとしています(それ以降は三年)。期間を超えた場合、派遣先企業は直接雇用の責任を負います。これを免れようと、実態は派遣なのに請負という形をとって働かせる脱法行為が偽装請負です。本来の請負は、仕事を請け負った業者がその責任で成し遂げ、納品します。契約の形式が請負契約であっても、契約者の指揮で働かせれば違法となります。

(出所:日本共産党HP 2006年9月2日(土)「しんぶん赤旗」)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消費税・大型間接税はなぜうまれたの?

2007-01-31 03:15:40 | 国内経済
庶民大増税 なぜなぜ問答
消費税編 15

 消費税は大型間接税の一種です。大型間接税はなぜ生まれたのでしょうか。

 世界で最初に大型間接税を取り入れたのはドイツです。一九一六年の「商品取引印紙税」がそれです。商品のすべての取引にたいして0・1%の税率で課税されました。しかし、意外と税収が少なかったため、一八年には累積型の「取引高税」(税率0・5%)に切り替えられます。

 フランスは、一七年に「支払税」という名前の売上税(小売り段階)を導入しました。しかし、脱税が非常に多くて思うように税収が上がらなかったため、二〇年には、ドイツと同様の「取引高税」(税率1・1%)になります。

戦費調達
 
 いずれも第一次世界大戦の膨大な戦費調達のために導入され、その後、財政危機に直面して税収を大幅に増やすために、手直しがおこなわれました。

 イタリアでも一九年に「売上税」、ベルギーでも二一年に「売上税」が導入されました。いずれも第一次大戦によって引き起こされた財政危機に対処するためです。

 こうした土台があって、第二次大戦後、発足したEEC(ヨーロッパ経済共同体、いまのEU)がその共通税制として大型間接税=付加価値税を採用し、それがヨーロッパ諸国に広がっていくということになったのです。

 日本の場合も、大型間接税ではありませんが、やはり戦争と間接税は切っても切れないつながりがありました。

課税対象
 
 中国東北部への侵略に始まり第二次世界大戦へとつづく、十五年戦争の時期にも、三六年、広田内閣のとき、馬場税制「改革」として「取引高税」がたくらまれます。この導入には失敗しましたが、翌三七年に物品税がつくられました。

 物品税は、最初はぜいたく品十品目で出発しました。年々拡大して、戦争末期の四四年には、食料品、マッチ、紙、電球、文房具など生活必需品にまで課税対象を広げて百四品目に。これは、形の上では個別間接税だったのですが、事実上、大型間接税になってしまいました。対米開戦後の四二年には電気・ガス税が創設されました。

 これら間接税は、戦争とともにつくられ、戦争とともに膨れ上がり、戦後も廃止されず、消費税へとつながっていくのです。

 (日本共産党経済政策委員会編『徹底解明 消費税』参照)

(出所:日本共産党HP)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消費税・ほかの税金とどこが違うの?

2007-01-31 03:12:59 | 国内経済
庶民大増税 なぜなぜ問答
消費税編14

 消費税は、ほかの税とどこが違うのでしょうか。

必要経費
 
 消費税といちばん違うのは所得税ですから、まず所得税についてみてみましょう。所得税の仕組みは、(1)「収入―(マイナス)必要経費あるいは原価=課税標準」(2)「課税標準―人的控除および特定支出控除=課税所得」(3)「課税所得×税率=算出税額」(4)「算出税額―税額控除=納税額」となります。

 ここで重要なことは、「必要経費」に配慮しているということです。もし「必要経費」に配慮せず、「収入」にいきなり税金をかけたらどういうことになるでしょう。

 「必要経費」そのものには税金を負担する能力がないのに、「必要経費」も含めた「収入」に税金がかかります。このため、「収入」から「必要経費」を引いた残りである「付加価値」から税金を払うしかなく、負担能力以上の負担をすることになります。「必要経費」を控除するということは、担税力(税金を負担する力)を正確に計算しようという考え方から出てきているもので、所得税は税制の近代化を示しています(以上は、谷山治雄著『ものがたり税制改革』から)。

外形課税
 
 これに対して、消費税は、担税力など無視した「外形課税」に近い、反近代的なものです。

 日本では、鎌倉時代に「地口銭(じぐちせん)」という税金がありました。これは「土地の間口ごとに一定の基準をもって賦課され」、「京都では十二世紀半ば以降には土地の面積を間口と奥行きで表す」ようになり、面積に税金をかけるようになったといわれています(佐藤和彦編『租税』)。

 要するに、(1)目に見えるものに課税する(2)目に見えなくても、消費など、簡単に把握できるものに課税する―ということです。これだと、所得があろうがなかろうが、赤字法人であろうが利益法人であろうが、課税できます。

 「現代の租税は、窓税、扉税、土地・家屋税のような外形課税、人頭税のような税金から、収益税、所得税へと発展してきたのです」(谷山治雄同著)。

 消費税を「基幹的な税」だとする政府税制調査会の考え方は、時代逆行といわなければなりません。

(出所:日本共産党HP 2006年8月31日(木)「しんぶん赤旗」)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6者協議は2月8日から再開 米朝金融協議始まる

2007-01-31 03:10:06 | 国内政治
 北朝鮮の核問題を話し合う6者協議について、中国外務省の姜瑜・副報道局長は30日の記者会見で、2月8日から北京で再開すると発表した。米国の北朝鮮に対する事実上の金融制裁を話し合う米朝の実務者協議も30日、北京で始まった。金融協議の行方を待たずに6者協議の日程が決まった形で、米朝は両協議の進展に一定の手応えをつかんでいる可能性が高い。

 再開される6者協議では、北朝鮮の核放棄に向けた初期段階の措置が話し合われる。姜副局長は「初期段階で各者によって取られるべき措置、作業メカニズムの設置について、各者と深く話し合う」とした。米国などが求める核施設の停止と国際原子力機関(IAEA)による監視などを北朝鮮が受け入れるかどうかが最大の焦点となる。

 6者協議は昨年12月、1年1カ月ぶりに開かれたが、北朝鮮が米国に金融制裁の解除を主張し、核問題の協議に入れないまま休会した。その後、1月中旬にベルリンで開かれた米朝首席代表協議を受け、北朝鮮側が「米国と歩み寄りが見られた」として次回日程を提示していた。

 一方、米朝の金融協議は北京の米大使館であった。12月の6者協議と並行して開かれた初回に続き2回目。協議では、マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」で凍結されている北朝鮮関連口座の扱いのほか、北朝鮮によるドル札偽造について話し合った。通貨偽造を捜査する米シークレットサービスの専門家2人も参加し、偽造への強い懸念を伝えた。米代表のグレーザー財務次官補代理は協議後、「今日は今後さらに協議できるようにする枠組みを作った。議論を楽しみにしている」と記者団に語った。

 また、この協議の北朝鮮代表、呉光鉄(オ・グァンチョル)・朝鮮貿易銀行総裁について、代表団のメンバーは「国家財政金融委員会副委員長」の肩書で出席していることを明らかにした。金融協議は31日も北朝鮮大使館に場所を移して継続される。
 
(出所:朝日新聞HP 2007年01月30日19時55分)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東ティモール派遣:文民警察官が首相表敬

2007-01-31 03:05:32 | 国内政治
 安倍晋三首相は30日、国連平和維持活動(PKO)に参加するため31日に東ティモールへ出発する文民警察官2人の訪問を受けた。首相は現地の治安情勢や警察の規模などを尋ね、「体に気をつけてしっかりやるように」と激励した。

 派遣されるのは警察庁国際課の世取山茂国際支援官と宇都徹課長補佐。地元警察の再建支援のための助言などを行う。世取山支援官は「安全と健康に注意をはかって最良を尽くしたい」と意気込みを話した。【小林多美子】

(毎日新聞 2007年1月30日 23時22分 (最終更新時間 1月31日 0時16分)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「NHKが番組改変」 200万円賠償命じる 

2007-01-31 02:56:41 | 労働裁判
旧日本軍による性暴力をめぐるNHKの番組が放送直前に改変されたとして、取材を受けた市民団体がNHKなどに総額4000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。南敏文裁判長は「制作に携わる者の方針を離れて、国会議員などの発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度(そんたく)し、当たり障りのないよう番組を改変した」と指摘。「憲法で保障された編集の権限を乱用または逸脱した」と述べ、NHKに200万円の支払いを命じた。NHK側は同日、上告した。

 判決は、そのうち100万円について下請け制作の「NHKエンタープライズ21」(当時)と孫請けで取材にあたった「ドキュメンタリージャパン」(DJ)にも賠償責任があるとした。NHKに編集の自由を認め、DJのみに100万円の賠償支払いを命じた一審・東京地裁判決を変更。NHKにも改変行為と、その内容を説明する義務を怠ったことに不法行為責任があると認めた。

 訴えていたのは「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」(バウネットジャパン)。旧日本軍の性暴力を民間人が裁く「女性国際戦犯法廷」を00年12月に共催した。NHK教育テレビで01年1月30日に放送された「ETV2001 問われる戦時性暴力」が「法廷」を取り上げた。

 訴訟では、取材を受ける側に番組内容に対する「期待権」が認められるかどうかが大きな争点だった。南裁判長はまず、「取材者の言動などにより期待を抱くやむを得ない特段の事情がある場合、編集の自由は一定の制約を受け、取材対象者の番組内容に対する期待と信頼は法的保護に値する」と、一審判決と同様の一般判断を示した。

 その上で、DJが本来は取材対象者には示さない「番組提案票」を示した点などを重視。提案票には「女性国際戦犯法廷の過程をつぶさに追い、戦時性暴力が世界の専門家によってどのように裁かれるのかを見届ける」などと記載されていたことから、バウネット側が、「法廷」をつぶさに追うドキュメンタリー番組になると期待してもやむを得ない特段の事情があったと認めた。

 さらに、判決は、01年1月26日に松尾武・放送総局長(当時)と野島直樹・総合企画室担当局長(同)が立ち会った試写後の内容変更について、「当初の趣旨とそぐわない意図からなされた編集行為で、原告の期待と信頼を侵害した」と違法性を認めた。

 また、放送直前の同月29日に松尾氏らと面会した安倍晋三官房副長官(当時)が「公正・中立の立場で報道すべきではないか」と発言したことなどを受け、「その意図を忖度して指示、修正が繰り返された」とした。

 ただ、政治家が直接に指示や介入したとの原告側の主張については、「政治家が一般論として述べた以上に本件番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、認めるに足りる証拠はない」とした。

 NHK広報局の話 判決は不当であり、極めて遺憾だ。番組趣旨の説明やその後の取材活動を通じて、相手側に番組内容に対する期待権が生じるとしたが、番組編集の自由を極度に制約するもので、到底受け入れられない。また、判決は、政治的圧力は認められなかったとしているが、NHKが編集の権限を乱用・逸脱した、国会議員等の意図を忖度して編集したと一方的に断じている。NHKは放送の直前まで、放送法の趣旨にのっとり、政治的に公平であることや、意見が対立している問題についてできるだけ多くの論点を明らかにするために、公正な立場で編集を行ったもので、裁判所の判断は不当であり、到底承服することはできない。

 〈キーワード:期待権〉将来、一定の法律上の利益を受けられることを希望したり期待したりできる権利。侵害すれば不法行為となるが、どの程度法的保護の対象になるかは、期待権の内容や事案による。医療過誤訴訟では、患者が期待した適切な治療を怠った場合に「救命期待権」の侵害が認められ得る。再雇用の期待を抱かせる説明をした雇用主が契約更新をしなかった際、「更新期待権」を侵害したとして賠償を命じられた例もある。

(出所:朝日新聞HP 2007年01月29日20時42分)

 東京高裁が「NHK番組改変訴訟」控訴審で29日、言い渡した判決理由の要旨は次の通り。

 【国会議員等との接触等】

 01年1月25~26日ころ、担当者らは自民党の複数の国会議員を訪れた際、女性法廷を特集した番組を作るという話を聞いたがどうなっているのかという質問を受け、その説明をするようにとの示唆を与えられた。

 26日ごろ、NHKの担当部長が安倍官房副長官(当時)と面談の約束を取り付け、29日、松尾武放送総局長らが面会。安倍氏は、いわゆる従軍慰安婦問題について持論を展開した後、NHKが求められている公正中立の立場で報道すべきではないかと指摘した。

 【バウネットなどの本件番組についての期待と信頼】

 一般に、放送事業者が番組を制作して放送する場合、取材で得られた素材を編集して番組を制作する編集の自由は取材の自由、報道の自由の帰結としても憲法上も保障されなければならない。これが放送法3条の趣旨にも沿うところで、取材過程を通じて取材対象者が何らかの期待を抱いても、それによって番組の編集、制作が不当に制限されてはならない。

 他方、取材対象者が取材に応ずるか否かは自由な意思に委ねられ、取材結果がどのように編集・使用されるかは、取材に応ずるか否かの決定の要因となり得る。特にニュース番組とは異なり、本件のようなドキュメンタリー番組または教養番組では、取材対象となった事実がどの範囲でどのように取り上げられるか、取材対象者の意見や活動がどのように反映されるかは取材される者の重大関心事だ。番組制作者の編集の自由と、取材対象者の自己決定権の関係は、取材者と取材対象者の関係を全体的に考慮して、取材者の言動などにより取材対象者が期待を抱くのもやむを得ない特段の事情が認められるときは、編集の自由も一定の制約を受け、取材対象者の番組内容に対する期待と信頼が法的に保護されるべきだ。

 ドキュメンタリージャパン(DJ)の担当者の提案票の写しを交付して説明した行為、バウネットの協力などにかんがみれば、バウネット側が、番組は女性法廷を中心的に紹介し、法廷の冒頭から判決までを概観できるドキュメンタリー番組かそれに準ずるような内容となるとの期待と信頼を抱いたと認められる。

 【バウネット側の期待と信頼に対する侵害行為】

 放送された番組は加害兵士の証言、判決の説明などが削除されたため、女性法廷の主催者、趣旨などを認識できず、素材として扱われているにすぎないと認められ、ドキュメンタリー番組などとは相当乖離(かいり)している。バウネット側の期待と信頼に反するものだった。

 01年1月24日の段階の番組内容は、バウネット側の期待と信頼を維持するものとなっていた。

 しかし、同月26日に普段番組制作に立ち会うことが予想されていない松尾総局長、野島直樹国会担当局長が立ち会って試写が行われ、その意見が反映された形で1回目の修正がされたこと、番組放送当日になって松尾総局長から3分に相当する部分の削除が指示され40分版の番組を完成されたことなどを考慮すると、同月26日以降、番組は制作に携わる者の制作方針を離れた形で編集されていったと認められる。

 そのような経緯をたどった理由を検討する。本件番組に対して、番組放送前にもかかわらず、右翼団体などからの抗議など多方面からの関心が寄せられてNHKとしては敏感になっていた。折しもNHKの予算につき国会での承認を得るために各方面への説明を必要とする時期と重なり、NHKの予算担当者や幹部は神経をとがらせていたところ、番組が予算編成などに影響を与えることがないようにしたいとの思惑から、説明のために松尾総局長や野島局長が国会議員などとの接触を図った。その際、相手方から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされたというもので、時期や発言内容に照らすと松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図を忖度(そんたく)してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められる。

 なお、原告らは政治家などが番組に対して指示をし介入したと主張するが、面談の際、政治家が一般論として述べた以上に番組に関して具体的な話や示唆をしたことまでは、証人らの証言によっても認めるに足りない。

 バウネット側は、中川昭一議員が事前にNHKに対し放送中止を求めたと主張し、同議員はフジテレビ番組でアナウンサーの質問に対し、放送法に基づき公正に行うべきことをNHKに申し入れたと発言するなど、事前のNHK担当者との接触をうかがわせる発言をしている。しかし、同議員はこのインタビューでは01年2月2日に会ったことを明言しており、同議員が番組放送前にNHK担当者に番組について意見を述べたことを認めることは困難だ。

 【説明義務違反】

 放送番組の制作者や取材者は、番組内容や変更などについて説明する旨の約束があるなど特段の事情があるときに限り、説明する法的な義務を負う。本件では、NHKは憲法で保障された編集の権限を乱用または逸脱して変更を行ったもので、自主性、独立性を内容とする編集権を自ら放棄したものに等しく、原告らに対する説明義務を認めてもNHKの報道の自由を侵害したことにはならない。

 バウネットには番組の内容について期待と信頼が生じた。被告らはそのことを認識していたのだから、特段の事情がある。

 番組改編の結果、当初の説明とは相当かけ離れた内容となった。バウネットはこの点の説明を受けていれば、被告らに対し番組から離脱することや善処を申し入れたり、ほかの報道機関などに実情を説明して対抗的な報道を求めたりすることができた。

注:朝日新聞はNHK番組改変問題の報道で「改変」と表記していますが、判決理由要旨では判決文の表記に従って「改編」を使用しました。

(出所:朝日新聞HP 2007年01月29日20時47分)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【衆院本会議】「生活維新」の理念と政策を明示 小沢代表が質問

2007-01-30 10:16:22 | 国内政治
 小沢一郎代表は29日の衆議院本会議で、安倍首相の施政方針演説に対する代表質問に立ち、民主党の掲げる「生活維新」の理念と主要政策(演説全文は下記ダウンロード参照)を明らかにした。その中で、小泉・安倍政権の6年間で荒廃した国民生活の現状を直視すると、国民の「生活維新」こそが最大の政治課題であると指摘。いま政治が成すべきことは、安倍自民党の主張する「憲法改正」なのか、民主党の訴える「生活維新」なのかについて、「この国会で徹底的に論議したうえ、7月の参議院選挙で国民の審判を仰ぐべきだ」と強調した。

 代表質問で小沢代表は、日本社会の格差を是正するためには、「強者の論理」「弱者切り捨ての政治」を推し進めてきた政治の在り方そのものを変え、機能不全に陥っている様々な制度を土台からつくり直さなければならないとの考えを表明。そのために、第一に「政治は生活である」、第二に「政治は本来、社会的、経済的に弱い人たちのために存在する」という二つの原点を踏まえて改革を行うことを明らかにした。

 続いて、その改革理念に基づいてまとめた民主党の基本政策のうち、内政問題に絞って、「日本型セーフティネット」の構築を中心とする緊急課題について方針を説明した。その主要政策は次の通り。

【人づくり】民主党が先の臨時国会で提案した日本国教育基本法案に基づき、だれも教育の責任を負わないという現行教育制度の無責任体制を改め、国、地方自治体、保護者の責任を明確にすべきである。

【雇用】非正規社員の正社員化を進めると同時に、すべてのパート労働者に正社員と均等の待遇を保障すべきである。「生涯雇用」と女性の労働環境を整えるためにも、労働法制はあくまでも「終身雇用」を柱として維持すべきである。

【年金】国民年金も厚生年金も共済年金も議員年金も、例外なくすべての年金を一元化して、すべての高齢者に最低年金を保障する。その財源は全額税でまかない、消費税の5%相当額をすべて財源に充てる。この6年間で国民負担が消費税率に換算して3・5%に当たる9兆円増え、今年さらに定率減税の全廃などで負担が増大することから、消費税は当面5%に据え置き、諸制度の抜本改革によって財源を確保する。

【地域振興】地域社会の崩壊を防ぐため、農家の耕作面積にかかわらず、米、小麦などの基幹農作物について、生産農家の生産費と市場価格との間に差額が生じた場合、その不足分を各農家に直接支払い、再生産を保障する「戸別所得保障制度」を導入する。また、中小企業の再生、活性化のために「中小企業憲章」を制定し、中小企業が大企業とも公平、公正に競争できる環境を整備する。

【財源論】国から地方自治体への補助金と交付金の仕組みを根本的に変え、その全額を地方に自主財源として一括交付し、権限もすべて地方に移譲することで、6兆円以上の財源を確保する。国家公務員の削減で1兆円、特殊法人・独立行政法人の原則廃止と特別会計の廃止により4兆円程度の財源を確保する。

 小沢代表は以上の「生活維新」の主要政策を明らかにしたうえ、代表質問の最後に、様々な格差の拡大に歯止めをかけ、政治、経済、社会の大転換を実現するために、参議院選挙に勝利する決意を改めて示した。

(出所:民主党HP  007/01/29 )
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

事務所費問題:小沢氏「自ら公表用意」、首相の責任追及

2007-01-30 01:32:02 | 国内政治
 衆院本会議で代表質問に立つ小沢一郎民主党代表=国会内で29日午後1時21分、藤井太郎写す 衆院は29日午後の本会議で、安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党の代表質問を行い、参院選に向けた与野党論戦がスタートする。トップは民主党で、小沢一郎代表が就任後初の代表質問に立ち、自らの資金管理団体の事務所費問題について「支出の詳細、領収書、関係書類を含め公表する用意がある」としたうえで、安倍首相に対し、佐田玄一郎前行政改革担当相や松岡利勝農相らの「政治とカネ」の問題で「説明責任を果たせない場合は政治責任をとっていただくしかない」と迫った。

 政治とカネにかかわる自らの問題に関し、詳細を積極的に公開する姿勢を示すことで、松岡農相らの説明を不十分と指摘し、首相を追い込みたい考えだ。小沢氏は「国務大臣、与党役員など責任ある立場の政治家は事務所費は詳細を公開すべきだ」とも提案した。

 小沢氏はまた、格差を拡大させた小泉純一郎前内閣の政策を安倍内閣が引き継いでいるとして、「小泉・安倍政権の6年間で日本は世界でもっとも格差のある国になった」と批判。憲法改正を重視する首相に対し「政治がなすべきことは憲法改正なのか、国民の生活を立て直す『生活維新』なのか、参院選で審判を仰ぐ」と述べ、対決姿勢を鮮明にした。

 また、柳沢伯夫厚生労働相が「女性は産む機械」と発言したことについて、「政治家である以前に人間として許されない」と指摘し、首相の任命責任をただした。

 29日は小沢氏に続き、自民党の中川昭一政調会長、民主党の松本剛明政調会長も質問に立つ。【須藤孝】

(毎日新聞 2007年1月29日 15時00分 (最終更新時間 1月29日 15時06分)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消費税・「売り上げ」に上乗せできないときは?

2007-01-30 01:29:19 | 国内経済
庶民大増税 なぜなぜ問答
消費税編 13

 すでに述べたように、消費税は、業者が「売り上げ」にかかる消費税から「仕入れ」にかかる消費税を差し引いて、税務署に納めます。

保障なし
 
 「売り上げ」に消費税を上乗せできないときはどうなるでしょうか。大企業の場合ならこんなことはありませんが、価格競争力の弱い中小企業の場合は、往々にしてあることです。

 しかしこれは、法律違反でも何でもありません。逆にいえば「消費税法」は、「売り上げ」に消費税を上乗せすることを保障していないのです。

 「消費税法」は、「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により消費税を課する」と書いてあるだけです。要するに、業者が消費税を上乗せできようが、できまいが、「資産の譲渡等」を行ったら、そこには「百五分の五」の消費税が含まれているとみなすわけです。

 消費税を上乗せできないのに、架空の「売り上げにかかる消費税」から「仕入れにかかる消費税」を差し引いて、税務署に納めなければなりません。これは、過酷な負担になります。

消費者も
 
 この問題を消費者の立場からみると、どうなるでしょうか。「消費税法」という法律の上では、消費者も消費税を払うことを義務付けられているわけではありません。

 通常、消費税を払っているのは、それを払わなければ業者が損をするので、業者は売ってくれない、だから払わざるをえないわけです。ところが業者の側の力が弱くて、損を覚悟で売らざるをえない場合もあり、この場合、消費者は消費税を払っているとはいえないのです。

 消費者が、業者を通じて消費税を払うのか、それとも払わないのか、ということは、税金という公法上の問題ではなく、民事上の交渉に属する問題です。

 同じことは、中小企業と大企業との取引の場合にも起こります。相手が大企業だと、中小企業はなかなか転嫁できません。往々にして“消費税分くらい自分で何とかしろ”となります。

 このように消費税という税金は、価格に転嫁できる大企業にはどうということはありませんが、中小業者の場合、転嫁できるか、転嫁できないかで、経営が大きく左右される、たいへんな税金なのです

(出所:日本共産党HP 2006年8月30日(水)「しんぶん赤旗」)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする