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NHK「日曜討論」-日本共産党の市田書記局長/政官業の金権腐敗・ゼネコン事業と軍事費を削減し財源をー

2009-06-30 02:35:38 | 国内政治
知名度利用し東国原氏ら擁立の動き
政治的退廃の極み
市田氏指摘

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 日本共産党の市田忠義書記局長は28日放映のNHK「日曜討論」で、東国原英夫宮崎県知事らを総選挙で擁立しようという自民党などの動きについて問われ、「テレビでどれだけ名が売れているかという“知名度”を基準に、どこかの党がその人気にあやかろうというやり方は、政治的な退廃のきわみだ」と述べました。

 その上で市田氏は、東国原氏らが「地方分権」をマニフェスト(政権公約)に取り入れることを条件にしていることについて、「たしかに地方分権も大事だが、暮らしや外交など、重要な争点が山積するときに、郵政解散のときのようなシングルイシュー(単独の問題)で、それ一本に今度の選挙の争点を絞ってしまうのは少し危険だ」と述べました。

 また市田氏は、「(知事)個人が何党を支持するかは自由だ」としつつ、「知事というのは、どの党の推薦を受けようが当選すれば、住民全体の奉仕者だ。そういう人が(グループをつくって)特定の党を支持するうんぬんというやり方は、本来のあり方ではない」と主張しました。

社会保障財源
消費税頼み 誤り
NHK番組市田氏主張 大企業減税見直せ

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 日本共産党の市田忠義書記局長は28日のNHK「日曜討論」で、“社会保障費抑制が限界だから消費税増税を”という政府・与党の姿勢を批判し、社会保障に重点を移す予算配分の転換と、大企業などに応分の負担を求める税制の転換を求めました。(詳報)

 政府の「骨太方針2009」について市田氏は、来年は社会保障費の毎年2200億円削減をやらないとする一方、社会保障費を5年間で1兆1000億円削減すると決めた「骨太方針06」を踏まえ「歳出改革は継続する」と明記していることを指摘。「これまでの削減路線は間違いだったと反省せず、国民の目をごまかすやり方だ。社会保障費抑制路線はきっぱりやめるべきだ」と迫りました。

 公明党の北側一雄幹事長は、「(削減路線は)限界だ」とする一方、「国民に負担をお願いするか、社会保障サービスを抑制するかどっちかしかない」と述べ、「消費税の論議は避けてはならない」と強調しました。

 市田氏は、「国民負担を増やすか、社会保障を抑制するかという二者択一は全く間違っている」と厳しく批判。「財源というとすぐ消費税に頼る考え方は間違っている」と述べ、11年度に消費税増税を具体化しようとしている自公政権と、4年間の凍結後は消費税に頼ろうとする民主党を批判しました。

 そのうえで市田氏は、財源の二つの考え方を表明しました。一つは予算配分の転換で、「朝日」の世論調査で、予算を増やすべき分野としては福祉や雇用を、削減すべき分野としては公共事業や軍事費をあげる声が多数だと指摘。1メートル1億円もかかる東京外郭環状道路や米軍への「思いやり予算」、320億円に上る政党助成金をあげ、「いまある財源配分の見直しが必要だ」と述べました。

 もう一つは税制のあり方で、この間行われた大金持ち・大企業減税を見直すだけでおよそ7兆円の財源が生まれることを示し、「なにかあれば消費税という発想はやめるべきだ」と主張しました。

 民主党の岡田克也幹事長は、自公政権の社会保障削減路線を批判する一方で、「社会保障や医療費も聖域ではない。見直していく」と述べました。

NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言

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 28日放映のNHK「日曜討論」での日本共産党の市田忠義書記局長の発言を詳報します。司会はNHKの影山日出夫・解説委員でした。

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「政治とカネ」集中審議したうえ国民の信問え

 討論の冒頭、麻生太郎首相が、衆院解散の時期は「そう遠くない日だ」としたことをめぐって、自民党の細田博之幹事長は「(都議選前とは)いっていない」と述べ、「解決しておきたい懸案」として臓器移植法改正案、対北朝鮮制裁のための貨物検査法案、水俣病「救済」特措法案をあげ、重要法案の成立後の解散を示唆しました。

 市田 (自民党の)三役人事だとか、内閣改造などもいわれていますが、私はそんな目先を変えるようなやり方では問題は解決しないと思うんです。

 いまの自民党は、内政、外交ともに行き詰まっています。アメリカ発の経済危機のもとで、世界のどの国よりも日本の景気悪化は深刻で、20万、30万人の派遣労働者・期間社員が首を切られているという雇用問題があります。それから、毎年2200億円の社会保障費がカットされ、医療も介護も福祉もズタズタです。外交も、日米同盟絶対というのが行き詰まって、にっちもさっちもいかなくなり、打開策が見いだせないで窮地に陥っています。そのときに、目先を変えるというやりかたではなく、やはりこの際、きちんと国民の信を問うべきです。

 細田幹事長がいわれた重要法案ですが、われわれは大いに審議することには賛成です。ただ、解散が近いからといっても、たとえば臓器移植の問題でいえば、脳死を人の死として判定するのかどうか、子どもの意思表明権をどう尊重するのかなど、やはり人の命にかかわることですから、慎重な審議が必要です。水俣病患者の救済も急ぐ必要はありますが、(与党と民主党の修正合意では)たとえばチッソの分社化を認めるとか、救済の対象の範囲をどうするかという点できわめてあいまいなまま、事実上の幕引きと被害者切り捨てを図るということになってはなりません。船舶の貨物検査も、軍事的な対応を強化し、かえって緊張を激化させるやりかたはよくない。

 それから、もし(国会審議を)やるというのなら、いま「政治とカネ」の問題で新たに与謝野馨さん(財務相)の疑惑も出てきましたし、(民主党の)鳩山代表への死んだ方や献金していないといっている人からの「献金」の問題もあります。そういう「政治とカネ」の問題を含めて、きちんと集中審議をするなどしたうえで解散すべきだと思います。

知事人気にあやかる党 政治的な退廃のきわみ

 東国原英夫・宮崎県知事が、“自分を総裁候補にすれば自民党から総選挙に出てもいい”という趣旨の発言をしたことなど、自治体首長と政党との関係が話題になりました。見解を問われた市田氏は、次のように答えました。

 市田 テレビにどれだけ出ているかという“知名度”を基準に、どこかの党がその人気にあやかろうというやり方は、やはり政治的な退廃のきわみといってもいいでしょう。

 それと危険だと思うのは、たしかに真の地方分権は大事ですが、暮らしや外交など、重要な争点が山積するときに、あの郵政解散のときのようなシングルイシュー(単独の問題)で、それ一本に今度の選挙の争点を絞ってしまう(のはいかがなものか)。

 全国知事会の要請をマニフェストに反映をしたかどうかによってどの政党を支持するかを決めるという動きもあります。(知事)個人が何党を支持するかは自由ですけれども、知事というのは、やはり当選すれば、どの党の推薦を受けようが、住民全体の奉仕者であるわけで、そういう人が(グループをつくって)どの党を支持するうんぬんというやり方は、私は本来のあり方ではないと(思います)。

 地方自治という点でいうと、いまいわれているのはたとえば道州制といって、全国を10のブロックに分けて自治体の数を減らしたり、あるいは本来必要な国庫補助・負担金なんかを減らしたりしてしまう動きもあります。本来の地方自治とは何かというのは、またそれはそれできちんと議論する必要があります。

郵政民営化の罪は重い 西川社長の続投は論外

 麻生内閣支持率急落のきっかけとなった日本郵政社長人事について、市田氏は次のように述べました。

 市田 国民共有の財産を利権の対象にしてはならないということで、総務大臣に(日本郵政の取締役人事の)認可権があるわけです。

 西川社長がやってこられたことは、「かんぽの宿」という国民の財産が、建設に2400億円かかったのに109億円で売るという問題、それから郵貯銀行のカード事業に占める(西川氏の出身銀行の系列である)三井住友カードのシェアが98・6%ですよ。(郵政)公社時代は0・2%だったんです。簡易郵便局が閉鎖され、国民サービスが低下するとか、21万人の非正規労働者のワーキングプア化など、西川社長の罪はものすごいものがある。

 しかし、これは個人の問題というだけではなく、私は郵政民営化の行き着くところを示しているというふうに思うんです。われわれは郵政民営化に反対しましたし、西川さんの社長就任にも反対しました。やはり郵政事業というのは国民の貯金、保険料、郵便料金で長年にわたってつちかってきた国民の共有財産であり、地域住民の暮らしを支えてきたわけですから、やはりそれにふさわしい経営形態にすべきであって、続投は論外だと思います。

何かあれば消費税の発想は変えるべきだ

 政府の「骨太方針09」が議論となり、細田氏は、「思ったよりも医療過疎が発生している」などとして、社会保障費の自然増分を毎年2200億円削減すると決めた「骨太方針06」を「改めた」と述べました。これに対し、市田氏は次のように述べました。

 市田 来年はやらないということであって、今度の「骨太方針」には、「骨太方針06」を踏まえ「歳出改革を継続する」とわざわざ明記しています。

 今起こっているのは、社会保障費抑制路線の破たんです。(自公政権は)02年以降毎年2200億円ずつ削って、初年度は3000億円、合計1兆6200億円削減してきた。先ほど細田さんは、その結果医師不足も起きたとおっしゃったが、後期高齢者医療制度もそうだし、保険証取り上げで医者にかかれない世帯が34万世帯、障害が重い人ほど負担が重くなる障害者自立支援法、生活保護の母子加算、老齢加算カット。こういうことが国民の批判を浴び、にっちもさっちもいかなくなったので来年は取りあえずやめるということです。

 しかし「骨太方針06」の方針は堅持するわけですから、これは、これまでの社会保障費の削減路線は間違いだったと反省しないで、国民の目を当面ごまかすやり方です。きっぱりと社会保障費抑制路線をやめ、国の予算をもっと社会保障費に回すべきです。

 公明党の北側一雄幹事長は、「(高齢化で増える社会保障費を)毎年削っていたが、もう限界だ。国民に負担をお願いするか、社会保障サービスを抑制するか、どっちかしかない」とし、「消費税の論議を避けてはならない」と述べました。

 市田 国民負担を増やすか、社会保障を抑制するかという二者択一の論議は全く間違っています。自公政権は2011年に消費税増税を具体化する、民主党も4年間は消費税は上げないというが、これは逆にいうと4年後は消費税に頼るという考え方です。財源というと消費税にすぐ頼る考え方は間違っています。

 考え方は二つあります。一つは、いまある財源の配分の見直しです。「朝日」の世論調査を見ると、「増やすべきだ」という項目は複数回答で医療・福祉が85%、雇用と経済対策が67%。「減らすべきだ」のトップは公共事業で53%、防衛費が49%です。公共事業費を減らしたと細田さんおっしゃったが、例えば東京外かく環状道路は1メートルつくるのに1億円もかかる。予算の配分を見直すべきです。

 それからもう一つは、新たな財源をどこに求めるかというときに、税金は負担能力に応じて払ってもらう。この間行われた大金持ち減税とか大企業への減税を元に戻すだけで7兆円入ってきます。それから無駄な軍事費、米軍への「思いやり予算」とか、320億円もの税金を日本共産党以外すべての党が山分けしている政党助成金、そういうものを削るべきです。何かあれば消費税という発想は変えるべきです。

 民主党の岡田克也幹事長は「(消費税は)4年間上げないと言っている。上げるときには、その前にきちんとマニフェストに書いて選挙をする」と述べました。

主張
来年度の軍事費
増額路線への転換許さない

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 政府は2010年度予算の概算要求基準を、来月1日に決定する予定です。注目されるのは、政府が先の「骨太方針09」で打ち出した軍事費重視の方針です。軍事費「抑制」から「増額」への転機にすることは許されません。

「軍事同盟絶対」で

 「骨太方針09」は初めて「防衛」という項目を設け、北朝鮮の核実験などをあげ「厳しさを増す安全保障環境に適切に対処」するとのべました。軍事費増のすすめです。

 北朝鮮が核実験を強行したことは、国連安保理決議にも朝鮮半島の非核化をめざす6カ国協議にも違反した暴挙であり、許されることではありません。だからといってそれを口実に軍事費を増額し、軍拡を進めるのは、軍事力での応酬に道を開くだけで、事態の平和的・外交的解決にまったく役立ちません。

 安保理決議1874は、国連憲章41条による非軍事的対応を明記し、「対話を通じた平和的、包括的解決」や「緊張を悪化させかねないあらゆる行動を慎む」とのべています。日本政府が北朝鮮問題を口実にして、軍事的に「対処する」こと自体が間違っています。

 実際、政府にとって北朝鮮問題は口実にすぎず、軍事費増額に方向転換する真の狙いは、「日米軍事同盟絶対」で、自衛隊を強化・拡大することです。

 日米両政府が決めた「米軍再編」のための日本の負担は、沖縄の新基地建設やグアム基地建設費など、あわせると3兆円だと米側はいっています。軍事費の増額が不可避になっているのです。

 自衛隊の海外派兵強化も軍事費増大の大きな要因です。イラク派兵が終わってもインド洋での給油は続け、期限なしの「海賊対処」派兵にふみだし、アフガニスタン本土への派兵も狙っています。

 宇宙の軍事利用を本格化する「宇宙基本計画」の具体化でも軍事費増額は避けられません。海外での軍事作戦に不可欠な偵察衛星の開発・保有や弾道ミサイルを探知・追尾する早期警戒衛星の開発・保有などにふみだせば、予算は天井知らずになります。

 政府はいま、長期的な軍拡計画となる「防衛計画の大綱」の「見直し」作業を、年末に向け進めています。そのために設置された麻生太郎首相の諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」では、「日米同盟をしっかり維持していくためにも、日本が積極的に色々なことをやらなければならない」などという議論が支配的です。

 自民党の国防部会・防衛政策検討小委員会も、新「防衛計画の大綱」で自衛隊を「質」「量」ともに「必要な水準を早急に見直」すことを、政府に提言しました。

 来年度予算編成での軍事費増額が、「日米軍事同盟絶対」の立場で日本を海外で戦争する国にすることにつながるのは明らかです。

暮らしと福祉にまわせ

 「骨太方針09」の決定にあたって政府は、社会保障予算の抑制路線への批判を受けて、「来年度は削減しない」といわざるをえなくなりました。しかしそれに便乗して軍事費も増額させようというのは筋違いというほかありません。

 軍事費を大幅に削減し暮らしと福祉に回すことこそ国民生活にとって重要です。それは軍事ではなく外交で世界の平和に役立つ道を広げることにもなります。

(出所:日本共産党HP 2009年6月29日(月)「しんぶん赤旗」)
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東京都議選-新銀行東京、東京オリンピックの金権腐敗か。日本共産党の環境・医療・教育・福祉政策かー

2009-06-29 23:11:28 | 国内政治
都立駒込病院
企業参入 トラブル続出
メスがない/異常な労働強化

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 「患部の切開をしようとしたらメスがなかった」「看護中の病室に清掃担当者が突然入ってきた」――企業参入(PFI)事業を今年4月1日から導入した都立駒込病院(東京都文京区)で、安全上の重大なトラブルが相次いでいます。


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 都立病院へのPFI事業導入は、医師と看護師の業務を除く、受付や会計、医療機器・医薬品の調達など、ほとんどすべての病院業務を、民間大企業に一括して委託します。「財政負担の抑制」が目的とされています。

 駒込病院でのPFI事業の実施は、対象の都立4病院の中で最初のケース。2007年3月の都の入札で三菱商事に決定。1861億円余(契約期間約20年)で落札しました。都の担当者は「この事業で、直営と比べ4・9%の財政負担の削減が見込まれる」(病院経営本部)と医療予算の削減効果を自慢しています。

 ところが、病院関係者によると、患部の切開をしようとしたらメスがなく、看護師が急いで別の病棟に借りに行くという事態も発生。関係者の一人は、「メスなど医療器具の提供・管理はPFIの委託業者の仕事。そうした基本的な医療器具が欠品になるのは、ゆゆしきことです。医療現場を知らない企業に運営などを丸投げすることで、費用を削り、医療水準を落としてしまうというPFIの本質が現れている」と批判します。

 病室の清掃業務を担当していたベテラン職員約60人も、PFI導入を機に委託業者が代わり、ほぼ全員が解雇されました。同病院の清掃業務を約10年間続けてきた70代の女性は「私を含め生活のため、やめたくない人ばかり。そういう人がみんな首を切られた」と怒ります。

 その後に入ってきた清掃業者の職員は約30人。仕事量は2倍になったものの賃金(時給)はほぼ同じといいます。こうした異常な労働強化が、時間内になんとか仕事を済ませようと、看護中の病室に清掃担当者が入ってしまうなど、あってはならないトラブル続出の背景となっています。(今田真人)

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共産党反対
 都立病院へのPFI事業導入 PFI事業は、公共施設の建設、運営などを民間企業に一括して委託すること。同事業の推進・支援を内容とするPFI法は1999年7月に国会で、日本共産党以外のすべての党が賛成して可決・成立しました。石原都知事はこの法律に基づき、「都立病院改革」の名で駒込、府中、松沢など四つの都立病院を対象に、同事業を推進しています。

ゆうPRESS
東京都議選 共産党の若者応援政策
生活できる賃金を

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 7月12日投票の東京都議選(3日告示)。日本共産党の東京都委員会が、日本民主青年同盟といっしょに1015人から集めたアンケートや街頭相談で寄せられた要望をもとに、賃金の最低保障額を都独自に時給1280円に引き上げることなどの「若者応援政策」をつくりました。アンケートを書いた若者から歓迎の声が上がっています。(染矢ゆう子)

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時給1280円!! やる気でる

 板橋区で一人暮らしをする高木香澄さん(27)=仮名=は、大手デザート工場でアルバイトをして6年目。検品と出荷の副責任者として働いています。不況で減産となり、勤務時間は8時間から6時間に短縮。4月から、パート・アルバイト全員の時給が20円下がることになりました。

 月21万円あった手取りは15万円に激減し、給料日前は手元に百数十円しか残らなくなりました。

 政治は「よくわかんない」と思っていた高木さん。生活が苦しくなり、人ごとじゃなくなりました。「現状を知ってほしい」とアンケートに答えました。

 知人の青年から、アンケートの中間報告会に誘われ、参加。「困っているのは自分だけじゃないと世界が広がった」といいます。

 アンケートでは、約7割の青年が「景気悪化の影響で仕事や生活に影響を受けた」と回答。5割近くが「給料が安い」ことを不満に思っていました。

 日本共産党は、若者応援政策で、欧米で導入されている「生活賃金制度」を創設して、都独自に賃金の最低保障額を時給1280円にすることなどを提案しています。

 高木さんは「大賛成です。ぜひ実現してほしい。仕事にもっとやる気が出ます」と期待しています。

立ち直れるしくみ いいね

 中野区で一人暮らしをする男性(24)は、アンケートに「冬に高熱が出たが、いくらかかるのかわからなかったので病院に行かなかった」と書きました。

 家には体温計も暖房器具もありません。もうろうとしながら、2週間寝こみました。

 勤めていた派遣会社の社長は、電話口で「休んでんじゃねえ」と怒鳴り、家まで押しかけてきました。

 今月5日、その会社から「派遣切り」にあいました。現在、就職活動をしながら、日雇い派遣の仕事で生活しています。しかし、「日雇いの仕事も、週に2、3日しかありません」。

 若者応援政策では、生活保護と組み合わせた就労・生活支援を行う制度を新設して、非正規雇用からの脱出を応援すると提案しています。

 この制度はすでに釧路市で実施されています。資格取得や職業訓練の支援など、よりよい条件の仕事につくための手助けをし、その人のペースで自立を促す制度です。

 「こういうしくみがないと、貯金がない人は立ち直れない。年金の保険料とかも払いつつ、立ち直れるのがいいですね」

 現在、年金保険料は何年も払っていません。国民健康保険料は半額免除してもらってようやく払っています。家には冷蔵庫、炊飯器、電灯もなく、デスクスタンドの明かりで暮らします。

 昨年8月、日本共産党員になった男性。都議選・衆院選は初めての選挙です。「歴史をつくる仕事に参加していると実感できて楽しい。少しでも力になりたい」と意気込んでいます。

若者応援政策の主なもの

・東京都の最低賃金(現在時給766円)を時給1074円に引き上げるよう国に求める

・東京都の公共事業、福祉や教育分野に「生活賃金」(最低賃金×120%+社会保険加入)を導入し、時給1280円に

・教育、保育、介護の充実で雇用創出

・区市町村と連携し、「若者自立応援プログラム」を策定し、非正規雇用からの脱出を応援

・長時間サービス残業をなくす

・30歳以下の年収200万円以下の人に月2万円の家賃助成

・返済の必要のない東京独自の高校生、大学生向けの奨学金創設。首都大学東京で年収400万円以下の学費免除制度の創設

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 生活賃金制度 地方自治体関連の仕事などでは、人間らしい暮らしに必要な「生活賃金」として最低賃金を上回る賃金と社会保険加入を保障しようと、欧米で導入されている制度。米・ロサンゼルス市では、国の最低賃金(7・25ドル)を超える時給9・71ドルと健康保険料1・25ドル分を支給(07年)。市の発注事業や市から補助金を受けている企業などで適用されています。

東京都議選 告示前ラストサンデー
“共産党大きく”街の隅々へ
志位委員長、多摩駆ける
「東京の医療立て直そう」

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 東京都議選(7月3日告示、12日投票)の投票日まで2週間の28日、日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長、小池晃政策委員長は都内7カ所で街頭に立ち、党の躍進を呼びかけました。自民党の細田博之幹事長、民主党の菅直人代表代行が街頭で演説するなど各党も幹部を先頭に総選挙の前哨戦として総力をあげています。党支部と後援会は雨をついてのハンドマイク宣伝や対話などに終日奮闘しました。

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 東京の福祉を取り戻し、子どもの命を守る願いは、党派を超えて日本共産党へ――。都議選告示前最後の日曜日となった28日、志位委員長は、前日の23区内の3カ所につづき、多摩地域の八王子・東村山・清瀬の3市を駆け巡り、力いっぱい訴えました。

 志位氏は八王子市(定数5)の八王子駅近くで清水ひで子都議を、北多摩1区(定数3)東村山市の久米川駅南口で尾崎あや子都議予定候補を、北多摩4区(定数2)の清瀬駅北口では、畠山まこと都議予定候補を応援。途中から大雨となったにもかかわらず、各地で大勢の聴衆が集まりました。

 どこでも、「小児病院守れ」ののぼりや横断幕が掲げられ、子連れの母親が熱心に拍手を送る姿も目立ちました。通りがかった人からも「まだどこに入れるか決めていないけれど、志位さんの話にはグッときた」(25歳の男性)の声が飛び出しました。

 志位氏は、石原知事の自公民「オール与党」が福祉を切り捨て、都の予算に占める老人福祉費の割合を47位に落ち込ませたと厳しく告発しました。その一方で、75歳以上の医療費無料化で日本共産党が都と交渉すると、最近では都も「検討する」といわざるをえなくなっていると指摘。「都民の運動が追い込んでいます。東京の福祉を、一番残酷に削られた高齢者福祉から取り戻そう」と訴え、大きな拍手を受けました。

 病院問題も大争点です。志位氏は、救急搬送患者のたらい回しの最悪のケースが東京に集中していると指摘。自公に加え、民主も「抵抗勢力に負けるな」などと進めてきた都立病院半減計画を厳しく批判し、とりわけ八王子、清瀬、梅ケ丘の3小児病院つぶしは許せないと強調しました。

 志位氏は、「都は『医師不足』を口実に病院つぶしを進めているが、こんな逆立ちした話はない」と批判。医療費・医師数を抑制してきた自公政権の責任と、都立病院への財政支出を減らし、医師不足に拍車をかけた自公民「オール与党」都政の責任を厳しく指摘するとともに、「医師が足りないというなら、いかに確保するか、苦しいなか頑張っている医療関係者をどう応援するかを考えるのが政治の責任です」と力説しました。

 都民の反対に追い詰められた民主党は3月議会で3小児病院廃止条例には反対。条例は自公の賛成で可決されたものの、委員会の採決では1票差にまで追い詰めています。条例には廃止期日も書かれていません。

 志位氏は、「今度の選挙で、一貫して頑張ってきた日本共産党を伸ばせば、小児病院は守れます」と訴え、ひときわ大きな拍手を受けました。

 1歳の子どもを抱きながら聞いていた女性(37)は「子どもが生まれて政治に対する考えが変わりました。子どもの命をそまつにして無駄づかいする政治は絶対に間違っています。共産党に伸びてもらって、どうしても清瀬小児病院を守ってほしい」といいました。

 志位氏は、「1メートル1億円以上の外環道を福祉より優先してほしいと都民が望んだのか」と批判し、財源もあることを解明。さらに、政党選択の「試金石」を(1)消費税に頼らない党かどうか(2)財界にモノ言える党か(3)企業・団体献金をきっぱり拒否する党か(4)「二大政党」の間違った政治の競い合いをストップする―という4点にわたって示しました。

 その上で志位氏は、都民の運動で、子どもの医療費助成は中学校3年まで拡充されることになり、30人学級の実現でも「あと一歩」まで追い詰めたと指摘。「日本共産党を伸ばせば都政は変わります」と支援を訴え、盛んな拍手を受けました。

暮らし破壊から都民守る
共産党議席の値打ち訴え
市田書記局長

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 「オリンピックを看板にした巨大開発より都民の暮らしに税金を」―。日本共産党の市田忠義書記局長は28日、葛飾区、江戸川区の都内2カ所で精力的に演説を行い、「日本共産党が伸びれば、『逆立ち』都政をただし、都民の暮らし第一の都政への転換の大きな道が開かれる」と力強く訴えました。

 都議選の投票日まであと2週間となった日曜日。市田氏が街頭に立つと、「おっ選挙か」と道行く人も振り返ります。田村智子都議候補(葛飾区・定数4)、河野ゆりえ都議(江戸川区・定数5)の熱い訴えにも大きな拍手が送られました。

 市田氏は「どの党が伸びれば、暮らし破壊の暴風雨から都民を守る防波堤の役割を果たさせることができるか」と問いかけ、都立3小児病院つぶしなど福祉切り捨ての一方で、経営破たん状態の新銀行東京や巨大道路建設に税金を使う「オール与党」都政の実態を告発。にわかに「野党ポーズ」を取り出した民主党も、石原知事がこの4年間で提案した議案99・3%に賛成したれっきとした与党であることをあげ、「与党なら与党と、はっきり名乗って選挙をしたらどうか」と述べると、「そうだ」との掛け声があがりました。

 さらに、市田氏は都議選と連動して行われる総選挙でも、「財界にモノいえる党か、言われる党か」など政党を選ぶ判断材料を具体的にあげ、「よく考えて見極めてほしい」と提起。日本共産党が国民と力を合わせてがんばれば多くの要求が実現できることを事実で語りました。演説後には「頑張って」と声をかけて握手を求める多くの聴衆の姿もありました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月29日(月)「しんぶん赤旗」)
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税金は「負担能力に応じて」がルール-暮らしを応援する減税こそ必要/消費税増税反対の声をあげよう-

2009-06-28 01:42:02 | 国内政治
消費増税反対600万超
各界連署名 日ごとに広がる
生活苦増す 一時的な給付金もらっても

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 消費税廃止各界連絡会のとりくむ消費税増税に反対する請願署名が六百万人を突破しました。同連絡会は「一日も早い一千万人を」とよびかけています。

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 「経済危機対策」などのつけを「三年後」の消費税増税でまかなう麻生内閣に国民の怒りは増し、署名は日増しに広がっています。

 消費税廃止各界連絡会が二十四日に東京・JR新宿駅西口でおこなった宣伝署名行動。五十六歳の男性は、「生活が苦しくなっているのに、なぜ消費税を増税するのか」と署名。五十歳代の女性は、請願署名にある「緊急に食料品などくらしにかかる消費税を減税する」の項目をみて「大賛成」とペンを走らせました。「一時的な定額給付金をもらっても、消費税が増税されたら、もっと支出が増えてしまう」と七十歳の女性は強い口調で怒りを示しました。

 共同通信社の世論調査(二月)では、二〇一一年度までに必要な法整備をし、経済状況を見極めた上で消費税を引き上げる麻生内閣の方針に、68・5%が「評価しない」と回答。「読売」調査(二月)でも「評価しない」が61・6%で、六割を超える国民が消費税増にノーを示しています。

 各界連の構成団体である全国商工団体連合会は一貫して消費税増税に反対する署名に取り組み、二百五十六万人を超えています。各界連などでは昨年十一月、五百万人を超し、この間に百万人分が増えました。月二十万人のペースです。

“社会保障のため”はウソ
 消費税廃止各界連絡会は二十四日、消費税増税に反対する請願署名推進の全国いっせい宣伝行動をしました。

 東京では、JR新宿駅西口で消費税廃止各界連絡会の構成団体の代表がマイクを握り、「消費税増税は“社会保障のため”というのはうそ、ごまかし。大企業減税、軍事費、無駄遣いを見直せば、社会保障の財源はある」と訴えました。日本共産党は大山とも子都議が訴えました。

 消費税をなくす会も同日、全国でいっせい宣伝をし、東京ではJR巣鴨駅で全国の会、東京の会が宣伝行動をしました。

(出所:日本共産党HP 2009年4月25日(土)「しんぶん赤旗」)

’09 選択 税金は「負担能力に応じて」がルール
経済危機 庶民応援 世界の流れ
共産党「減税こそ必要」
自民・民主 消費税増税頼み

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 経済危機のもと、日本共産党は「暮らしを応援する減税こそ必要」「税金は負担能力に応じて」と訴えています。世界の流れからみても当然の主張です。

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欧州は消費税減税

 経済危機が家計を直撃しています。

 内閣府のモニター調査(2日)によると、収入が減ったと感じている人が回答者の44・6%にのぼります。4月の家計調査(総務省)では、1世帯あたりの消費支出が、14カ月連続で前年同月比マイナス。最長記録を2カ月連続で更新しました。

 今、政治に求められるのは、大企業の雇用破壊から国民を守ることとともに、庶民の懐をあたため、個人消費を底上げすることです。

 個人消費を底上げするために何が必要か―。欧州では、付加価値税(消費税)の税率引き下げが流れとなりつつあります。

 欧州連合(EU)は、昨年11月26日に、各国に付加価値税減税などを勧告する内容を含んだ「欧州経済回復計画」を発表。この中で、付加価値税減税について、「素早い導入が可能」「財政的刺激をあたえて消費を支える」としました。

 こうした流れのもと、英国は昨年12月1日から付加価値税率(17・5%)を、15%(今年末までの措置)に減税しました。

 同国の有力シンクタンクである財政研究所は、付加価値税減税で個人消費が1・25%増えると予測し、「景気悪化が抑えられる」との報告をまとめました。

 また、同国の経済ビジネス調査センターは、昨年12月からの3カ月間の小売業の売上高を示し、「付加価値税減税は効果がある。減税後、売り上げがすぐ増えた」と述べています。

 さらに、EUは5月5日、加盟国の標準付加価値税率(15%)について、加盟国は飲食や介護サービス、理容など、合意した対象サービスについて、5%まで税率を引き下げることができるとした指令を採択しています。

米国でも72兆円減税

 消費税は、所得の少ない人ほど負担の割合が大きくなるという逆進性を持っています。

 経済協力開発機構(OECD)は、消費税が課せられていない場合と、課せられている場合の格差拡大の度合いを比較。課せられている場合の方が格差を示す指標(ジニ係数)が大きくなることを明らかにしています。

 政府は、消費税を「社会保障給付に向けることにより、むしろ所得再分配機能が強化される」(与謝野馨財務相)などと述べ、逆進性の議論に反論しています。

 しかし、所得税や法人税などで、能力に応じた負担を求め、こうした税収を社会保障に充てた方が、よほど所得再分配機能を強化することになります。

 赤ちゃんからお年寄りまで、所得の低い人ほど重い負担を求める消費税ほど、社会保障を支えるために不適切な税金はありません。

 OECDの調査によると、相対的貧困率の1位は米国で、2位は日本です。日本では、税や社会保障による貧困率の改善効果が「他のOECD諸国と比べると大変小さい」(OECDの報告)からです。所得の再分配によって、貧困者が17カ国平均では100人中18人から8人へと10人減っているのに、日本では17人(16・5人)から14人(13・5人)へと3人しか減っていません。米国も18人から14人へと4人しか減っていません。

 その相対貧困率1位の米国でも変化が起きています。今後10年間で72兆円の中低所得者への所得税減税を行う一方、60兆円の富裕層への増税を行う計画が提案されています。多国籍企業の課税逃れなどを防ぐ国際税制改革も打ち出されています。

 「消費税増税は絶対反対、せめて食料品非課税を」「大企業と大金持ちに相応の負担を」という日本共産党の主張は、税制のゆがみをただすうえで当然の主張です。いま起きている世界の流れにも合致しています。

 ところが、麻生自民・公明政権は、2011年度までに消費税を増税する法案を成立させる一方、法人実効税率の引き下げを「検討する」としています。日本の企業の税と社会保険料の負担は、フランスの7割、ドイツの8割程度です。その企業負担をさらに減らし、庶民の負担をもっと増やそうとしています。

 民主党も時期は別にして消費税増税は必要だという立場であり、大企業・大資産家減税は積極的に推進、または「理解」を示しています。

 自民も民主も財源といえば消費税増税しか思いつきません。財界から企業献金で競い合わされている両党では、大企業に応分の負担を求めることができないからです。

 企業献金を受け取らない日本共産党だからこそ、「税金は負担能力に応じて」という民主的ルールにそった主張ができます。

(出所:日本共産党HP 2009年6月27日(土)「しんぶん赤旗」)

悪税ぶりが明らかになった20年――
消費税増税反対の声をあげよう
新宿駅頭での 志位委員長の訴え

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 消費税廃止各界連絡会が一日、東京・JR新宿駅西口前で行った宣伝・署名行動での日本共産党、志位和夫委員長の訴えは次の通りです。

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 みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫です。今日は労働団体、市民団体のみなさんとご一緒に、この場をお借りして、消費税値上げ反対、食料品は非課税に、ということを求める署名運動、宣伝活動に取り組んでいます。ご協力を心からお願いいたします。

 今日、四月一日は、消費税が導入されて、ちょうど二十年にあたります。この二十年間を振り返って、消費税問題について、私たちが考えていることをお訴えさせていただきます。

「社会保障のため」という言い訳はうそ偽り

 まず、私が訴えたいのは、消費税が導入され、値上げされるときにさんざん言われた「社会保障のため」という言い訳は、うそ偽りだったということがはっきりしたのが、この二十年だったということです。この二十年間を振り返って、「良くなった」といえる福祉があるでしょうか。

 たとえば、医療の問題です。消費税導入前には、サラリーマンの医療費の窓口負担は一割でしたが、いまは三割に上がっています。お年寄りの窓口負担は、導入前は通院で月八百円でしたけれども、これも一割―三割になり、後期高齢者医療制度という「現代のうば捨て山」といわれる制度がつくられました。

 年金はどうでしょう。支給開始年齢が六十歳から六十五歳に引き上げられました。さらに、毎年、年金の保険料は上がる、給付は下がるという、とんでもない年金の大改悪が強行されました。

 介護はどうでしょう。この間に介護保険がつくられましたけれど、先日、群馬県の渋川では、ああいう痛ましい事件が起こりました。根本にはまともな施設が不足しているという大問題があります。特別養護老人ホームの入所を待っていらっしゃる待機者は、導入前の二万人から、いまは全国で三十八万人にも達しています。

 障害者福祉も、利用料は原則無料であったのが、一割という応益負担が持ち込まれて、障害が重い方ほど重い負担になるという、ひどい仕掛けがつくられました。

 医療、年金、介護、障害者福祉、どの分野をとっても、社会保障切り捨ての二十年だったというのが、この間の事実ではないでしょうか。

 それでは、国民が納めた消費税は、いったいどこへいってしまったのか。この二十年間で国民が納めた消費税の総額は二百十三兆円ですが、その間、大企業などへの減税が行われ、法人三税は総額百八十二兆円も減りました。大企業の減税の穴埋めのために、消費税が使われたというのが、この二十年間の真相だったのであります。

 いま麻生・自公政権が進めようとしている消費税の増税計画も同じです。先週、政府・与党は、二〇一一年度までに、消費税の値上げを行う法律をつくることを「付則」に書き込んだ「税制改革法」を強行しましたが、この法律には、「法人実効税率の引き下げを検討する」ということも書き込まれています。ここでもまた消費税の値上げと大企業減税はセットで打ち出されているのであります。

 みなさん、これまでの二十年間をみても、そしてこれからやろうとしていることをみても、消費税の値上げは「社会保障のため」というのは、うそ偽りであって、「大企業の減税の穴埋めのため」というのが真実なのだということを、私は訴えたいと思うのであります。

最悪の「貧困促進税」――憲法25条の原則にも反する悪税

 そのことにくわえて、この二十年間を振り返ってみますと、消費税の悪税ぶりがいよいよ耐え難いところまできたということを痛感します。

 私は、この消費税がどんなに悪い税金かということについて、とくに三つの点を、今日は訴えたいと思います。

 第一は、この税金が、最悪の「貧困促進税」だということです。

 税金というのは、所得の少ない方には少なく、そして所得の多い方にはたくさん払っていただく、さらに毎日の生計費には税金をかけないというのが、当たり前の民主的な原則であります。所得税は、一定水準以下の収入の人には課税されませんが、それは憲法二五条の精神をふまえ「最低限の生計費に課税しない」という原則にもとづくものです。

 ところが、消費税というのは、所得の少ない方ほど重くのしかかる税金です。所得税を課税されないような所得の少ない方、あるいは所得ゼロの方にまで課税される過酷な税金です。いま貧困と格差が広がり、一大社会問題になるもとで、消費税は、「貧困促進税」「貧困追い打ち税」というべき悪税であることを、言わなければなりません。

 この二十年間で生活保護の世帯は、六十八万世帯から百十四万世帯へと、一・七倍になりました。しかも、生活保護を受給している世帯というのは、本来、生活保護を受給できる権利を持っている世帯の一割から二割にすぎません。それでも百十四万もの世帯に広がりました。こうした生活保護世帯に対しても、消費税は過酷にのしかかってきます。生活保護受給者の年間平均の消費税負担額は、一人あたり三・二万円にもなります。四人家族で年間十三万円です。これは憲法二五条が保障した国民の生存権を否定する悪税というほかないのではないでしょうか。

最悪の「大企業優遇税」――大企業は1円も負担していない

 第二は、この税金が、最悪の「大企業優遇税」だということであります。

 消費税を負担しているのは、いったい誰なのか。大企業は、一円も負担もしておりません。原料などの仕入れに消費税はかかりますが、大企業は力がありますから、消費税をすべて販売価格に転嫁することができます。ですから大企業は自分では一円も払っていないのが消費税なのであります。

 輸出の場合はどうなるか。輸出大企業の場合には、輸出品には消費税が上乗せできないという理由で、「輸出戻し税」という仕掛けがあります。つまり、仕入れ時に払った消費税を「輸出戻し税」という形で税務署から還付してもらえるのです。こんな仕掛けまであるのです。いま全国で徴収されている消費税の総額は約十七兆円ですが、そのうち約四兆円は「輸出戻し税」という形で大企業にそっくり返す。そのため税収は十三兆円になってしまう。こういう仕掛けまでつくり、大企業は一円も負担をしていないのが消費税なのであります。

 それでは誰が負担しているのかといえば、販売価格に転嫁したくてもできないで、身銭を切って泣く泣く消費税を払っている中小零細企業のみなさん、地元商店街のみなさんが負担をしています。そして、転嫁しようのない消費者・国民のみなさんが負担をしています。中小零細企業や庶民を泣かせ、大企業は一円も負担をしない最悪の不公平税制が、消費税であるということを、私は訴えたいのであります。

最悪の「景気破壊税」――12年前の増税で大不況に

 そして第三に、この税金は、最悪の「景気破壊税」です。

 一九九七年のことを思い起こしていただきたい。消費税が3%から5%に値上げになりました。当時は、弱々しいながらも景気が少し良くなりかかっていた時期だったのですが、無理やり消費税を上げたことが、景気をどん底にまで突き落とすことになりました。

 当時の総理大臣は橋本龍太郎さんでしたけれども、私は国会で、いまの経済状況からいって、消費税を上げたら家計は底割れし、必ず景気悪化への暗転が起こる、だからやめなさいということを迫りましたけれども、私たちのいうことに耳を傾けずに、増税を強行したとたんに、日本の経済は大不況に落ち込みました。

 いま世界経済危機のもとで、日本経済は深刻な危機におちいり、国民の生活苦はどの分野でもきわめてたいへんな状態です。家計を応援し、内需を活発にしなければならないときに、二〇一一年度までに消費税を増税するという議論を持ち出してくること自体が、まさに景気を悪くする以外のなにものでもありません。

 最悪の「貧困促進税」、「大企業優遇税」、「景気破壊税」、この天下の悪税を、値上げすることを絶対に許すわけにはいきません。

消費税に頼らなくても、安心できる社会保障の財源はつくれる

 みなさん、消費税に頼らなくても、安心できる社会保障の財源はつくれます。

 年間五兆円にものぼる軍事費にメスを入れようではありませんか。二千八百億円にのぼる米軍への「思いやり」予算は、きっぱりやめさせようではありませんか。アメリカのグアムにつくる米軍基地の建設費用に六千億円もの税金をつぎ込む法案がいまの国会にかかっておりますが、こんなことは絶対に許すわけにいかないではありませんか。

 そして、大企業と大資産家に、もうけ相応の負担を求めていこうではありませんか。私は、先日、外国特派員協会で講演する機会がありましたが、外国メディアのみなさんから驚きの反応が返ってきたことがあります。それは、日本では株の売買や配当にかかる税金がたった税率10%だということです。こんな国はほかにありません。フランスでは29%かかります。アメリカでも25%かかる。ところが、日本では、ぬれ手であわの大もうけをやった大株主にたった10%しか税金がかからない。額に汗して働くみなさんよりも、株で大もうけした大株主の税金が軽いというのは、あらためなければならないのではないでしょうか。

 そして、大企業についても、日本は、企業が払う社会保険料と税金を足しますとヨーロッパに比べて負担の軽い国です。自動車産業でいいますと、ドイツの八割、フランスの七割しか、大企業は税・社会保障の負担をしておりません。ここは、世間並みの負担をしてもらおうではありませんか。

 軍事費を削り、米軍への「思いやり」予算をなくし、政党助成金もなくす。そして大企業や大資産家にはもうけ相応の負担を求める。これをしっかりやれば、消費税に頼らなくても安心できる社会保障を築くことはできます。

 どうかみなさん、安心して消費税増税反対の声をあげようではありませんか。今度の総選挙では増税勢力にきびしい審判をくだそうではありませんか。

(出所:日本共産党HP 2009年4月2日(木)「しんぶん赤旗」)
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09都議選-7月3日告示・12日投票/石原都政に正面対決する主権者の総力を日本共産党へ集中させようー

2009-06-27 13:10:13 | 国内政治
社会リポート
ホームレス急増
炊き出しに1000人
“解雇で寮だされた”“物資底つく”
東京・上野

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 東京・上野公園などで市民団体が行う炊き出しに並ぶホームレスが急増しています。(菅野尚夫)


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 「ボランティア活動を始めて9年になりますが最悪です」。毎週土曜日の午後に食パンや果物などの配給活動をしているNPO法人「セカンド・ハーベスト・ジャパン」の女性スタッフの言葉です。

 土曜日の午後の上野公園は、二つのボランティア団体が炊き出しを行います。20日は炊き出しに合わせて1000人を超えるホームレスが列をつくりました。

 「1月ごろから増えだして、6月になってからの数週間は800人を超えるようになりました」と女性スタッフは言います。

深刻な事態に
 発泡スチロールの器に盛ったご飯をほお張る元男性派遣社員(34)は「長野県から来た」といいます。大手自動車メーカーの下請け部品工場で働いてきました。

 「仕事がなくなった」と、解雇されて寮を追いだされたのが3月。「東京に行けば何か仕事があるだろう」と上京したものの「日雇いの仕事にも就けない」と嘆きます。

 「ハローワークで『住所は?』と聞かれる。『ない』というと『無理だ』と、相手にされない。風呂に入っていないので体がかゆい。JR新宿駅の地下道で寝ていたら、ホームレス仲間から炊き出しのことを教えてもらった」といいます。

 「東京都内でこんなに増え続けると上伊那医療生協SOSネットワーク(長野県箕輪町)へのコメなどの供給ができなくなりそうです」。深刻な事態について話すのは「山谷(やま)農場」を主宰する藤田寛さん(39)です。

 「山谷農場」は、長野県南佐久郡小海町に活動拠点を置き、コメや野菜などを集めて、東京都内の新宿中央公園、上野公園、隅田公園などの4カ所の炊き出しに提供してきました。

 都内への供給量が急増したため、今年2月から支援を始めてきた同SOSネットワークへの供給が困難になったのです。

 都内4カ所への1月から5月末までの供給量は、3万6千食分。隅田公園、同月前年度比3千食増、新宿中央公園同5千食増、上野公園など約6千食増。新宿中央公園の6月の配食数は、7日が996人分、14日が971人分、21日が839人分と「これまで聞いたこともない人数」とボランティアが驚いています。

ミルク買えず
 同SOSネットワークの水野耕介事務局長(51)は「緊急事態の状況は悪化するばかりです」と話します。

 今年2月から18回にわたって1600世帯にコメ11トン、野菜25トン、家電製品などを解雇された日系ブラジル人など外国人と日本人の家庭に支援してきました。医療、教育、生活保護申請などの相談活動もすすめてきました。水野さんは「これまで集まった物資は底をつき、おコメもあとわずかです」と窮状を語ります。

 前出の藤田さんは、「ブラジル人の家庭では、粉ミルクや紙オムツも買えない悲惨な状況が起きています。企業は自分たちの都合で切ったり、入れたりしている。国と大企業は雇用を確保して社会的責任を果たすべきだ」と話しています。

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支援先
 山谷農場=090(1436)6334=午前中のみ受付

 上伊那医療生協SOSネットワーク=長野県上伊那郡箕輪町中箕輪 電話・0265(79)8702

75歳以上医療費無料化を
共産党、都に署名提出

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 日本共産党東京都議団と都議予定候補が26日、石原都知事にあてて75歳以上の医療費無料化を求める署名1万2042人分を提出しました。

 白衣姿で街頭宣伝にとりくんできた元看護師の鈴木ひろ子都議予定候補(品川区)は、「何人もの方が『お願いしますよ』と言って署名してくださるんです。長生きを喜べる政治にするために、ぜひ75歳以上の医療費無料を東京都から実現してください」と訴え、署名を手渡しました。

 600世帯の都営住宅を訪問して310人分の署名を集めて提出した、ほんだ勇都議予定候補(三鷹市)は「医師から病院に来るように言われても、窓口の医療費負担が高くて行けないという方もいる」と切実な声を伝え、実現を求めました。

 細野りゅう子都議予定候補(町田市)は「入退院で貯金を使い果たして、どうやって暮らしていけばいいのかという悲痛な相談を受けました。医療費負担に悩む人の苦しみを軽減してほしい」と訴えました。

 都福祉保健局の日置豊見企画担当参事は「たくさんお預かりしました。みなさんの声を局長に伝えます」と応じました。

 提出には、かち佳代子(大田区)、植木こうじ(中野区)、そねはじめ(北区)、松村友昭(練馬区)、村松みえ子(日野市)の各都議と、牛尾こうじろう(千代田区)、加藤博司(中央区)、おおつか未来(港区)、黒沼良光(大田区)、鈴木けんいち(荒川区)、いでしげ美津子(西東京市)各都議予定候補、池内さおり東京12区衆院予定候補が参加しました。

09都議選 7月3日告示 12日投票
東京の医療 願い託せるのは
自公民 都立病院半減計画を推進
共産党 世論と結んで充実求める

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 東京の人口あたりの病床数は全国41位、救急車の台数は最下位です。「お産できる病院を増やして」「子どもが急病のとき、夜間診てくれる病院をもっと」と多くの都民が切実に願うなか、自民、公明、民主の「オール与党」は16あった都立病院を半減する計画を進め、公的医療への責任を放棄しようとしています。

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重症者49回照会も救急医療は最悪に

 石原知事は「医者はダブついている」と公言し、都立病院への財政支出を1999年度の500億円から2006年度に340億円へ3割以上も減らしました。都立病院の医師給与(06年度)は自治体病院で全国最低に。都立病院全体の医師数(07年度)は定員に対し56人不足し、産婦人科は12人、麻酔科は17人も足りていません。

 昨年10月、都立墨東病院を含め8病院で受け入れを断られた妊婦が脳出血で死亡する事態が起きました。墨東病院は慢性的な医師不足から06年11月に新規の正常分べん受け付けを停止。08年7月から土・日曜日、祝日の当直医が一人体制となり急患への対応が困難になったことが背景にあります。

 救急医療の実態も深刻です。3月の消防庁の調査によれば、11回以上医療機関に照会しても処置困難などで重症患者の受け入れに至らなかった例は東京が最多で全国の53%、6481件でした。

 同調査で医療機関への照会回数が最も多かったのが、重症の例で49回、妊産婦の例で26回、小児救急の例で30回と、いずれも東京の患者でした。

 都議選で自民党は「ストップ、タライ回し」「救急医療や周産期医療の充実」(政策提言)をあげ、民主党は公約で「救急搬送時間47・2分(全国最悪)を30分に短縮します」とうたいます。しかし、どちらも都立病院への財政支出削減に賛成してきたことへの反省がありません。

統廃合「高く評価」「まとまっている」

 石原知事は都財政の「構造改革」が必要だとして01年、16の都立病院を半分に減らす「都立病院改革マスタープラン」を打ち出し、母子保健院の廃止や4都立病院の公社化を強行しました。

 自民、公明の両党はマスタープランを「高く評価し、これに沿って都立病院改革を積極的に進めるべきだ」(02年2月、松本文明議員)、「今後の病院改革の出発点となる」(02年3月、東村邦浩議員)といって推進してきました。

 民主党も「やみくもに都立病院改革に反対するものではない」(02年9月、山下太郎議員)、「マスタープランを読み直してみたが、非常によくまとまっている」(04年10月、初鹿明博議員)という立場で、自民、公明とともに廃止や公社化に賛成してきました。

都立病院充実求め統廃合反対の論陣

 日本共産党は都立病院の統廃合で地域医療に“大穴”があくことを繰り返し都議会で取り上げ、都立病院を残して充実させることを要求。梅ケ丘、清瀬、八王子の3小児病院廃止条例に反対しました。

 01年12月都議会で清水ひで子議員は、都立病院統廃合に反対の論陣を張る一方、小児医療の危機打開のため開業医の小児医療研修や医師養成の奨学金制度創設などを提案。粘り強く要求し、これらの提案を実現しました。

 都議選に向けて日本共産党は医療政策を発表し、3小児病院の存続や都立病院半減計画の中止、医師や看護師を増やす、救急医療の充実などを求めています。

「共産党が伸びれば政治が変わる」
元気に訴えよう
都議選予定候補者会議開く
志位委員長が助言

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 日本共産党東京都委員会は26日、東京都議選(7月3日告示、12日投票)での勝利をめざし、予定候補者会議を渋谷区の党本部で開きました。志位和夫委員長が出席し、「『日本共産党が伸びれば政治が変わる』ことを訴え、元気いっぱいで頑張ろう」と語りました。会議は予定候補者の活動経験を交流するため開かれたもので、党中央から大幡基夫選対局長が出席しました。

 若林義春都委員長が報告に立ち、国政でも都政でも日本共産党が掲げてきた主張が都政の焦点になっていると紹介。自民・公明・民主の「オール与党」による日本共産党締め出しの“反共シフト”を打ち破り、党躍進を勝ち取るため、予定候補者の役割が決定的だとして、投票日まで2週間余となった予定候補者活動の留意点について述べました。

 発言を行った志位氏は、いっしょに演説したどの予定候補者の訴えも「胸を打つものだった」と述べたうえで、都議選では、自公民「オール与党」か日本共産党かという、「都議選の対決構図を都民に分かってもらうことが大事だ」と強調。とくに民主党が「オール与党」の一員である実態を隠して「野党ポーズ」を取っていることを「都民をあざむくものだ」と批判しました。

 都議選の焦点について、高齢者福祉や医療破壊、30人学級など日本共産党と都民の運動が、都民の願いを拒み続けてきた都政を追い詰めていると強調し、「日本共産党が伸びれば都民の願いが実現できることを訴えることが大事です」と語りました。

 国政にかかわる問題では、日本共産党そのものの値打ちとして「都民の暮らしを守り政治にスジを通す党」であることをさまざまな角度から語ることが重要だと強調しました。

 予定候補者からは、公開討論会で日本共産党の値打ちを浮き彫りにした経験や、街頭演説、幅広い層の人たちとの対話などについて報告されました。

 最後に志位氏が参加者の質問に答えるとともに、「健康に気をつけて元気いっぱいたたかい、いい結果を出しましょう。都議選勝利に向け私もみなさんといっしょに頑張り抜きます」と述べました。

(出所:日本共産党HP  2009年6月27日(土)「しんぶん赤旗」)
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東京都議会議員選挙から衆議院議員総選挙へー日本共産党が若者を応援対象にする政治政策を発表ー

2009-06-26 09:58:20 | 国内政治
共産党が政策
若者応援
夢と希望かなう東京に
最賃アップ■家賃助成■給付制奨学金

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 日本共産党東京都委員会は24日、「緊急提案・若者応援政策(マニフェスト) 若者の夢と希望がかなえられる東京を」を発表しました。党都委員会が民青同盟都委員会とともにとりくんできた「仕事、子育て、生活、学費アンケート」や、街頭労働相談で寄せられた要望も盛り込んでいます。

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 東京都庁で行った会見には吉田信夫党都議団幹事長、田川豊党都委員会青年学生部長らが出席しました。

 政策を説明した田川氏は、アンケート回答者1015人のうち、約7割が「景気悪化の影響で仕事や生活に影響を受けた」と答え、給料カット、解雇など深刻な実態で、年収が200万円以下の若者が3割いたことを紹介。「収入が少ないことが若者の困難のおおもとにあり、生活全体が崩されて、未来も見えなくなっている」と語りました。

 若者応援政策では、東京の労働行政を後退させた石原都政と「オール与党」を批判。「東京雇用ルール」の策定や区市町村と連携した「若者自立応援プログラム」などを提唱しています。「東京発 脱ワーキングプア宣言」と銘打ち、東京都の最低賃金(現在時給766円)を生活保護水準の時給1074円に引き上げること、ヨーロッパやアメリカで導入されている年収263万円程度の「生活賃金制度」(最低賃金×120%+社会保険加入)の創設を提案しています。

 若者向けの家賃助成制度や、保育園1万5000人分の増設、保育料の値下げ、高校生、大学生むけの給付制奨学金の創設などを求めています。

 同席した香西克介民青同盟都委員長は「大手保険会社の外交員でも出来高払いの賃金で月収15万~17万円という人や、妊娠を報告したとたん解雇された派遣社員、学費が高くて進学をあきらめたり、教科書が買えずコピーしている学生もいる」と実態を示し、「この政策が青年にとって希望になる」と語りました。

■緊急提案・若者応援マニフェスト(主なもの)

脱ワーキングプア宣言
*最賃引き上げ(時給1074円)
*生活賃金制度導入(時給1280円)

失業中
*若者自立応援プログラム
*低家賃住居と緊急一時宿泊所(シェルター)
*30人学級で教員増、特養ホーム増設で職員増

非正規
*有期雇用は臨時的・一時業務に限定
*派遣労働者保護法に改正
*生活応援手当(月1万円)

正社員
*なくす!長時間サービス残業(月20時間に制限)
*「整理解雇4要件」法制化

低所得・子育て中
*都立若者住宅の建設、若者サポート家賃助成制度(世帯月2万円)
*保育園の待機児、3カ年で1万5000人解消
*教育費負担軽減

大学生・専門学生
*首都大学東京の授業料引き下げ
*学費免除制度の創設(年収400万円以下)

(出所:日本共産党HP  2009年6月25日(木)「しんぶん赤旗」)

高校授業料の滞納問題をどう考える?

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 〈問い〉 「高校の授業料を払えない」というニュースに胸が痛みます。日本共産党の考えを教えてください。(愛知・一読者)

 〈答え〉 親の失業で学費を払えなかったり、通学定期が買えずに中退に追い込まれる生徒が出るなど、深刻な事態が起きています。このような状況は一刻も早くなくさなければなりません。

 憲法は国民に「ひとしく教育を受ける権利」(26条)を保障しています。経済的理由で高校から排除するのは憲法に反します。国際的にも高校教育無償化が当然の方向になっています。

 日本共産党の石井郁子副委員長は2月の国会質問で、父がリストラされて退学に追い込まれた生徒の例など実態を示して対策を求めました。河村建夫官房長官は「家庭の経済状況等によって修学の機会が失われるということは、なんとしても避けなければならない」とし、「最大の努力をする」と答弁しています。この立場での真剣な施策が求められています。

 日本共産党は3月11日、「学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さない」ための緊急提案を発表し、行政と学校、社会が力を合わせて解決することを呼びかけました。

 「提案」の主な内容は次のようなものです。

 ▽学費滞納を理由にした退学や除籍をやめ、延納などの手をつくして子どもを守る▽国と都道府県の責任で、高校生救済のための無保証人・無利子・返済猶予付き(本人所得が年300万円超となるまで)の貸し付けをおこなう▽公立高校授業料減免のための国の予算を引き上げ、年収500万円以下(4人世帯)で減免されるようにする▽私立高校授業料は、年収500万円以下の世帯で全額免除、年収800万円以下の世帯で一部減額となるような助成制度を国の責任でつくる。通学費補助制度創設や奨学金制度の拡充、外国籍の生徒への支援など実態に応じた対策も提起しています。

 日本共産党は「提案」の実現とともに、各地で相談活動や自治体に緊急の対策を求めるなど奮闘しています。(史)

(出所:日本共産党HP 2009年4月18日(土)「しんぶん赤旗」)

日本の学費 なぜ、こんなに高いの?

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 〈問い〉 いまの大学の学費の高さは異常ではないでしょうか。私の学生時代(1960年代初頭)は国立大学の授業料は年間9千円でした。いまはその何十倍。日本共産党はこの実態をどうみて、どうすべきだと考えていますか?(仙台市・一読者)

 〈答え〉 日本の国立大学の初年度納付金は約81万7千円(標準額)、私立大学は平均で約130万8千円もします。1960年代初めの国立大学の初年度納付金は1万円ですから、実に82倍です。食料品物価が同じ時期に5・7倍と比べると、この値上げは異常です。

 学費が高いために、経済的理由で進学をあきらめる高校生が増えるなど、家庭の所得によって大学進学の格差が広がっています。私立大学では、毎年1万人もの学生が学費を払えず退学しています。「教育の機会均等」が崩されており、放置できない深刻な事態です。

 ところが、政府は、国立大学の授業料の学部間の格差拡大を検討するなど、学費をさらに値上げする姿勢です。

 ヨーロッパでは学費が無償か安価であるのに比べて、この学費の高さは異常です。日本は、高等教育に対する国の財政支援が弱く、公費支出がGDP比で0・5%とOECD諸国(30カ国)でも最低水準だからです。1960年代の高度成長期以来の国民の大学進学率向上にたいして、高等教育を充実する責任を国がはたさず、国民に負担を押し付けてきたのです。

 学費負担を国民に押し付ける口実となっているのが、71年の中央教育審議会答申が打ち出した「受益者負担」論――“教育費は投資と考えて、学生が大学教育によって得る利益を自ら負担しなさい”とする考え方です。これは、憲法が定める「教育を受ける権利」をおびやかし、国の教育への責任をあいまいにする議論です。この答申をうけて、国の教育予算が抑制され、05年までほぼ毎年、国立大学の入学料と授業料が交互に値上げされ続けました。

 私立大学は、国の私学助成抑制によって、経常費の7割を学費収入に頼らざるを得なくなり、国立大学の学費の連続値上げにもおされて、学費の高騰をつづけました。

 日本共産党は、憲法26条の国民の教育を受ける権利を保障するため、欧米の半分に過ぎない高等教育への公費負担を大幅に引き上げ、学費負担の軽減にふみだすことを求めています。国立大学の授業料標準額の引き下げ、私立大学学費を下げるための経常費の2分の1助成の実現とともに、給付制奨学金の導入、無利子奨学金枠の拡大、学費免除枠の拡充をめざしています。(誠)

(出所:日本共産党HP 2007年7月18日(水)「しんぶん赤旗」)

学費無償化が多くの国の「ルール」なの?

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 〈問い〉 学費の無償化をめざすことが多くの国々の「ルール」となっているというのは本当ですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 高等教育も含め教育を受けることを「人間の権利」としてとらえ、その機会を均等に保障するため、学費の無償化をめざすことは、いまでは、圧倒的多数の国々のルールとなっています。

 このことを条約として明記しているのが、国際人権社会権規約の中等・高等教育漸進的無償化条項です。

 国際人権規約とは、1966年に国連総会で採択された人権保護を目的とする多国間条約です。自由権規約と社会権規約などで構成されています。

 社会権規約は、第13条1項で「締約国は、教育についてのすべてのものの権利を認める」としたうえで、2項(C)で、高等教育は「無償教育の漸進的(順を追って徐々に)な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」と定めています。

 この教育無償化条項も含め、社会権規約を批准している国は、148力国(05年7月)に上ります。

 ところが、日本は、社会権規約を79年に批准したのですが、中等教育の漸進的無償化を定めた2項(B)と、高等教育の漸進的無償化を定めた2項(C)を留保(この条項については縛られないと宣言すること)しています。こうした国は、日本とルワンダ、マダガスカルだけです。

 国際人権社会権規約は、各国が5年に一度、規約に定められた人権を実現するためにとった措置を社会権規約委員会に報告することを義務づけています。01年8月、同委員会で日本政府の第2回報告が審議され、無償化条項の留保が議論になりました。社会権規約委員のラトレー氏は、「世界第2位の経済大国に対し、いまなお〔無償の〕中等教育を漸進的に導入する段階に達していないのかと尋ねなければならないのであれば、私はどの国がそれを達成できるだろうかと自問しなければなりません」「経済的手段がないという理由で中等教育へのアクセスを否定される生徒は一人もいないと請け負っていただけるでしょうか。一人の生徒も、です」と日本政府に詰め寄りました。

 こうした審議の後、社会権規約委員会は、最終見解を採択し、「提言及び勧告」の冒頭で、13条2項(B)(C)の留保の撤回の検討を求めました。

 日本は、世界から高学費政策の転換を迫られているのです。

 日本政府は、この勧告に対する回答を第3回報告として今年6月末までに提出しなければならなかったのですが、まだ提出していません。(誠)

(出所:日本共産党HP 2006年10月11日(水)「しんぶん赤旗」)

青年の失業問題で諸外国の対応は?

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 〈問い〉 ヨーロッパでは、日本と違って青年の失業問題で特別の対策をとっていると聞きました。どんな対策をとっているのですか。  (京都・一読者)

 〈答え〉 青年の失業は、ヨーロッパ諸国でも深刻ですが、その打開のための特別の施策が効果をあげています。

 まず日本と大きく異なるのは、イギリスやフランス、ドイツなどでは、新卒未就職者にたいしても失業手当が給付されるなど、さまざまな対策がとられています。日本の場合、新卒未就職者が雇用保険の対象外となっているため、生活保障や就職訓練などのサービスが受けられません。

 そうした生活保障のうえで、イギリスでは、一九九八年四月に打ち出した青年雇用政策(ニュー・ディール)で、三年間で二十七万人を超える青年の雇用をふやしています。求職者給付(失業手当)を六カ月以上受けている青年を対象に、政府・産業界・NPO(非営利活動法人・市民団体)等が協力して、求職者給付と同額の手当を受けながら環境保全事業やNPOに就労させたり、大学などでの職業訓練をおこなうといった、特別の対策をとってきました。

 ドイツでも、政府が同じような対策(ジャンプ)を実施し、この二年間で約二十七万人の青年が新たに就職できたと発表されています。

 またフランスでは、九七年に今後五年間で三十五万人の青年の雇用をふやすという法律をつくりました。そして、地方自治体が福祉や教育などの公共部門に青年を雇い入れた場合に、その賃金を補助しています。

 これらの国々とは対照的に、日本政府は、青年の失業率が急増したのは「若年者の職業意識が不十分だから」などといって青年自身にその責任を負わせ、無策のまま放置しています。

 日本共産党は、二月、青年雇用政策を発表しました。そのなかで、ヨーロッパの経験をふまえて、政治の力で青年に働きがいのある仕事を保障することを求めています。

(出所:日本共産党HP 2001年4月26日(木)「しんぶん赤旗」)

日本の青年雇用対策はドイツの30分の1?

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 〈問い〉 日本の青年雇用対策は欧州より遅れているそうですが、どれくらいの違いがありますか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 二〇〇一年七月以降、「完全失業率」は過去最悪の5%台が続いています。とくに十五歳~二十四歳の青年では10%台の高水準です。職探しを断念した人などもいれると実態は二倍以上ですから、青年の五人に一人は仕事がありません。就職した青年も不正規・不安定雇用が増え、高卒では正社員を上回ります。青年は仕事を通じて能力を伸ばすこともできず、技術の断絶など社会的影響もはかり知れません。しかし政府の対策はハローワークへの登録を指導させる程度で、各国に比べても大きく遅れています。

 OECD(経済協力開発機構)が毎年発表している「エンプロイメント アウトルック」で一九九九年の各国の若年雇用対策費をGDP(国内総生産)比で比較すると、フランス0・40%、イギリス0・15%、ドイツ0・08%ですが、日本はあまりに小さいため「―」と表示されています。厚生労働省によれば日本は0・003%(千分の三パーセント)です。

 フランスとは百倍以上、ドイツと比べても三十倍近い差があり、この分野での日本の遅れは歴然としています。実際、職業訓練を受ける青年への生活保障や、国・自治体が直接・間接に行う雇用創出事業など、各国がとりくんでいる積極的な施策が日本にはほとんどありません。しかも英仏独各国は対策費を毎年増額してGDP比も高めているのに、日本は毎年0・003%の水準です。

 昨年十一月、日本共産党の石井郁子衆院議員が国会でこの問題を追及しましたが、政府は、対策の中身や失業率・雇用慣行などが違うから「一概に比較することはなかなか難しい」などといい訳するばかりで、問題の存在すら認めません。こんな姿勢を改め、青年失業者・未就職者に仕事や職業訓練を保障するなどの政策に本気でとりくむべきです。

(出所:日本共産党HP 2003年1月30日(木)「しんぶん赤旗」)
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総選挙前の自民党・公明党の誤魔化しと欺瞞ー1年限りの社会保障費削減の凍結、消費税の増税付きー

2009-06-25 10:30:33 | 国内政治
社会保障抑制は継続
2200億円削減 来年度盛らず
「骨太方針09」を閣議決定

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 麻生自民・公明内閣は23日夕の臨時閣議で、経済財政運営の基本方針「骨太の方針2009」を決定しました。来年度予算編成では、社会保障費の自然増を認めるものの、抑制路線そのものはあくまで続けるという内容です。

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 高齢化に伴う社会保障費の自然増を年2200億円抑制する方針について、与謝野馨財務・金融・経済財政相が10年度の予算編成では適用しないと与党側に表明。これを受け、「骨太の方針09」の原案に「社会保障の必要な修復をする」との文言を追加しました。一方、社会保障費の抑制を掲げる「骨太の方針06」を「踏まえ、歳出改革を継続」するとしました。

 医療、年金、介護の連続改悪への世論の批判の高まりのなか、与党内でも矛盾が噴出。総選挙を前に、10年度予算編成では2200億円の抑制は盛り込めなくなったものの、それは1年限りの措置です。「踏まえ」るとした「骨太の方針06」は、11年度までの5年間に、社会保障の伸びを1・1兆円抑制することがうたわれています。

 閣議後に記者会見した与謝野財務相は、10年度予算では「社会保障の自然増をそのまま認める」とする一方、「11年度に累積して自然増を1・1兆円抑えることは変わっていない」と述べ、11年度予算編成では、自然増の抑制を強化する考えを示しました。

 「骨太の方針09」はまた、消費税増税については、税財政の「中期プログラム」と09年度税制「改正」法付則の「税制の抜本改革の規定に則(のっと)って」安定財源を確保すると明記。付則などに盛り込まれた消費税増税を11年度から実施できるよう、必要な法制上の措置をあらかじめ講じ、財界が求める法人実効税率の引き下げを「検討する」方針です。

「防衛」 初の単独項目

 23日に閣議決定された「骨太方針09」は、「防衛」という単独の項目を初めて設け、「真に必要な防衛生産・技術基盤の確立に努めるとともに、防衛調達等の改革を実施する」と述べています。

 同方針はまた、「北朝鮮によるミサイル発射、核実験など…に適切に対処する」ことや、「米軍再編関連措置を着実に進める」ことなどを明記しています。

社会保障削減路線
しがみつく自公政権
福祉拡充への転換は共産党伸ばしてこそ

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 麻生内閣が決定した「骨太方針09」は、焦点となっていた社会保障費の削減路線について、「来年度予算編成では適用しない」「社会保障の必要な修復をする」などといいつつ、「骨太06を踏まえて歳出改革を継続」と明記しました。これは、来年度は見送るものの、いまや国民の命を脅かすまでになっている社会保障削減路線を維持するという宣言です。

 日本共産党の小池晃議員が18日の参院厚生労働委員会で明らかにしたように、社会保障費の削減路線によって、2002年度から11年度までの累計で12兆9千億円もの社会保障費が失われる計算になります。

各分野で制度改悪

 しかも、自民党の加藤紘一元幹事長が「2200億円を切るという意味だから社会保障制度を後退させるための5、6年であった」(23日)と認めるように、社会保障費削減路線のもとで、社会保障制度は医療・介護・年金・障害者福祉とあらゆる分野にわたって制度改悪が続けられました。

 10年度だけ見送るだけでなく、いま社会保障の削減から拡充へ根本的に転換しなければ、国民の命と暮らしを脅かしている現状を改めることはできません。

 しかも、麻生自公政権は、3年後には「社会保障財源」を口実に消費税増税まで狙っています。これでは、「歳出をどんどん切り詰めていけば、『やめてほしい』という声がでてくる。『増税してもいいから、必要な施策はやってくれ』という状況になるまで、徹底的にカットしないといけない」(06年の経済財政諮問会議)と述べた小泉純一郎元首相の狙いどおりです。

 日本共産党は、社会保障費の削減がもたらす結果を警告し、一貫して削減路線に反対してきました。02年2月の衆院代表質問では志位和夫委員長が医療費の負担増に対して、「深刻な受診抑制が引き起こされている事態に、おいうちをかける」と批判し、「社会保障を財政の主役にすえ、国が財政的責任を果たす」ことを求めました。07年10月の代表質問では、貧困と格差を解消するためにも「社会保障予算抑制路線からの転換をはかる決意はあるか」と迫りました。

増税競い合う民主

 社会保障を削減から拡充に転換するには、ゆきづまった自公政治そのものを転換するしかありません。しかし、民主党にそれができるのか。同党は05年4月の日本経団連との懇談で、「社会保障については痛みをともなう改革が不可欠である」という経団連側の問いかけに対して、「歳出改革では社会保障もタブー視せずに議論する」と回答。同年7月に示された同党の「財政健全化プラン(中間報告)」には「社会保障に係わる予算の伸び率はGDP(国内総生産)の伸び率以下に抑制する」と給付抑制策が明記されました。

 08年からは「これ以上の社会保障費の抑制は適当でない」と言い出しましたが、将来的な財源を消費税に求める点は自民党と変わりません。民主党は政権をとって4年間は消費税増税を凍結するというだけで、「いずれ、消費税を上げるお願いをしないといけない」(直嶋正行政調会長)と増税を競い合っています。

 社会保障費を削減から拡充に転換し、誰でも平等に必要な給付が受けられるようにと主張する日本共産党を伸ばして、社会保障でも欧州並みのルールを築くことが求められます。

(出所:日本共産党HP  2009年6月24日(水)「しんぶん赤旗」)

主張
消費税増税
財界にモノを言えない政治

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 政府・与党が今週にも決定する予定の2009年版「骨太方針」で、消費税の増税が改めて大きな焦点となっています。

 自民党、公明党は今国会で、2011年度までに消費税増税の法案を成立させると明記した法律を強行しました。「骨太方針」の原案は、これを「着実に具体化する」とのべています。

 経済財政諮問会議で張富士夫トヨタ会長らは、債務残高の対GDP(国内総生産)比を引き下げるには、7%の消費税増税が必要だという「試算」を示しました。

 自公政権は消費税の大幅増税へ走り出そうとしています。

社会保障を口実にして

 自公は「消費税増税は社会保障の機能強化のためだ」と言っています。しかし「試算」は、過去の失政や大企業・大銀行への大盤振る舞いで積み上げてきた借金の穴埋めまで、消費税の増税でまかなうという前提に立っています。

 この点は、税制の「中期プログラム」を議論した昨年11月の経済財政諮問会議で、民間メンバーがはっきりとのべています。「社会保障のほころびを縫い合わせる」ということで負担増に国民の理解を得ることは、「財政再建の見地から必要である負担増に理解を得ることと一石二鳥」だ―。

 しかも、中期プログラムは税制の「抜本改革」の基本方向として、消費税率引き上げとともに、「法人実効税率の引き下げ」を検討すると明記しています。消費税増税による増収で大企業向け減税の穴を埋めようという狙いは、隠しようもありません。

 与謝野馨財務相は、社会保障の自然増を毎年2200億円も削減する方針を、来年度予算でも続けると明言しています。医療崩壊をはじめ、社会保障のあらゆる分野で深刻な事態を加速してきた社会保障の抑制路線を続けながら、「社会保障の機能強化」を掲げるのは大きな矛盾です。

 2200億円の削減について、与謝野大臣は「社会保障を何か削り取っている感じは実はありません」と本音を語っています(9日の記者会見)。政府・与党は、国民の痛みをまったく理解できないようです。痛みを理解できない政府・与党が「社会保障の機能強化」を掲げても、消費税増税の口実にしているとしかいえません。

 何より、逆進性が強い消費税の増税は、「構造改革」で最も過酷に痛めつけられてきた若者、高齢者、単身親家庭などに、最も重い負担を強いるやり方です。社会保障の財源づくりに一番ふさわしくないことは明らかです。

 財源を生み出すためには、株取引や配当への課税強化、ゆきすぎた大企業減税を元に戻すなど、所得再分配を図る社会保障にふさわしい方法を検討すべきです。

民主党も“面接”で

 民主党も与党と同じです。日本経団連の献金査定のための“面接”に当たる「政策を語る会」に今月初め、代表としては3年ぶりに鳩山由紀夫代表が出席しました。ここで民主は、「消費税増税は段階を踏んで実行していきたい」「法人実効税率は先進国並みに(引き下げる)」と約束しました。

 消費税増税、大企業減税の旗振り役は財界です。企業献金に頼って財界にモノが言えない政治では、財界が設定した身勝手な枠組みを取り払うことはできません。

(出所:日本共産党HP 2009年6月22日(月)「しんぶん赤旗」)
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諫早干拓で死んでいくムツゴロウを演じる「憲法ミュージカル」-資本が描く未来か、子供たちが描く未来かー

2009-06-23 19:53:04 | 国内社会
大阪で「憲法ミュージカル」
干潟の命表現
1100席が満席

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 市民118人による「憲法ミュージカル2009ムツゴロウ・ラプソディ」が20日、大阪市の大阪厚生年金会館で初日を迎え、1100の客席が満席となりました。府内の弁護士が呼びかけ出演者を公募した取り組みで、昨年につづき2回目。憲法の「公共の福祉」を問いかけます。

 環境破壊の公共事業、諫早干拓(長崎県)によって命を奪われた干潟の生き物たちの声を出演者はダイナミックに表現。海を失った漁師とムツゴロウの間に連帯が生まれます。

 昨年6月、潮受け堤防の排水門開門を国に命じた(佐賀地裁)「よみがえれ! 有明海訴訟」の馬奈木昭雄弁護団長ら4人が長崎からかけつけ観劇しました。馬奈木氏は「自然の営みの中の命の大切さが表現されていて素晴らしかった。破壊するのは国だが、再生するのは国民の力。戦争を防ぐのは、国民の力です」と話しました。

 身をのりだして見ていた少女(10)=堺市=は「生き物が死んでいくところは悲しかった。水門が開いたら少しずつ増えると思う」と話します。母親(41)は「大勢の人が歌っているパワーがすごかった。一緒にやりたい気持ちになりました」と語りました。

 今後の日程 21日(日)午後5時、メイシアター(吹田市)。7月4日(土)午後6時、高槻現代劇場(高槻市)。7月5日(日)午後6時、プリズムホール(八尾市)。7月12日(日)午後3時半、ラブリーホール(河内長野市)。連絡先=同実行委員会06(6180)6900

(出所:日本共産党HP 2009年6月21日(日)「しんぶん赤旗」)

平和への思いを描いて
子どもの本・九条の会がつどい

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 絵本作家、画家、編集者など子どもの本にかかわる人が会員となっている「子どもの本・九条の会」の設立一周年記念「被爆ピアノと朗読・うたのつどい」が二十五日、開かれました。会場となった東京都児童会館ホールには、六百八十席が満席となる参加者が雨の中つめかけました。

 いわさきちひろが描いた子どもたちがスクリーンに映し出され、ピアノの演奏で始まりました。千羽鶴が両脇に下げられた被爆ピアノです。

 作家の松谷みよ子さんが登壇。調律師によってこの被爆ピアノがよみがえった実話をもとに書いた絵本『ミサコの被爆ピアノ』を朗読しました。松谷さんは「子どもの本・九条の会」の代表の一人でもあります。「音色とともに原爆のおそろしさを語りついでいきたい」と話しました。

 画家の太田大八さんは、被爆直後の広島の様子や、東京大空襲のときの体験を語り、「絵は言葉の垣根をこえて、どの国の人とも分かり合え、仲良くなれる。愛国心よりも愛球心でいきたい」と話しました。

 昨年、絵本『ぼくがラーメンたべてるとき』で日本絵本大賞を受賞した長谷川義史さんが登場。世界のいろいろな子どもたちをつづり平和への思いを描いた同作品を朗読しました。

 NHK教育テレビで活躍中の、おおたか静流(しずる)さんも、広島の民謡や、手話の入った歌をうたいました。会場には、平和をともにつくりあげようとの思いがあふれました。

 ロビーでは、世界の平和絵本が約百冊並び、子どもたちが熱心に読んでいました。

(出所:日本共産党HP 2009年4月26日(日)「しんぶん赤旗」)

主張
こどもの日
安心して成長できる社会に

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 風薫る五月、笑いながら駆けていく子どもたち。見ている側も思わずほほえみます。子どもは社会の宝、未来をつくる主人公です。

 その子どもたちが安心して成長していけるようにすることは、おとなの責任です。

心の声に耳を傾けて

 何より、すべての子どもに衣食住、保育や教育を行き届かせることです。ところが、この当たり前のことにほころびが生じています。「子どもの貧困」の拡大です。

 構造改革による雇用破壊、不十分な社会保障のなか、親たちは子育ての余裕を奪われ、食事もままならない子どもが増えています。

 本紙は現場からその姿を伝え、問題解決を呼びかけてきました。今後も力を注ぎたいと思います。

 日本の子ども関連の予算は、フランスの四分の一の水準にすぎません。そのもとで養育費や学費の調達は親の自己責任にされています。親の収入がなくなれば、子育てが行き詰まる仕組みです。

 子ども関連の予算が多いフィンランドでは、国から母親全員にベビー服やかけ布団、哺乳びんや絵本などがぎっしりつまった箱が届きます。十七歳まで子ども全員に月一万三千円程度支給され、専門学校や大学を含め教育は無償です。学生は月々数万円の返済不要の奨学金をもらえます。

 日本も予算の使い方を変えれば、そうした国になれます。次の総選挙で新しい政治への道を開き、子どもの貧困のない国へ大きな一歩を踏み出しましょう。

 教育に目を転じれば政府や財界の「いまの子どもはこれが足りない。だからこれをやらせよ」という姿勢が気になります。例えば学力がないから授業時数を延ばし全国テストで尻をたたくなどです。

 学力とは何か、人間はどう育つのかの冷静な議論なしに、支配的な人々の「こうあるべき」から発せられる号令は、子どもを貧しい人間観の枠にはめ、未来の芽をつむものでしかありません。

 いま必要なことは、子ども一人ひとりをよく見ること、心の声に耳を傾けることです。

 なぜ学習がつまらないのか。なぜ人間関係で傷ついているのか。そんな自分のことを理解し、一緒に歩いてくれるおとなを、子どもは求めています。そして、そうした関係を通じてこそ、子どもは人類が築いてきた学問や文化をわがものにしていくはずです。

 その仕事の中心に教員がいます。それだけに、教員を上から言われた通りの業務をこなす“実務者”に変質させる、政府・財界の教育統制を許してはなりません。

 憲法と「子どもの権利条約」を生かし、子どもたちの豊かな人格形成を支える教育をつむぎ出すための共同を発展させましょう。

「世界の宝」手渡そう

 世界では戦火がやむ日がありません。アフガニスタン、イラク、そしてガザ…自分を守る力が弱い子どもは真っ先に殺され、心身を深く傷つけられます。

 日本には憲法九条があります。九条は戦争のない世界を築くための「世界の宝」です。高校の教職員組合の調査でも高校生の六割が九条を支持しています。憲法九条を守り、子どもたちに手渡そうではありませんか。

 力をあわせて、子どもたちが安心して育つことができる社会をつくっていきましょう。

(出所:日本共産党HP 2009年5月5日(火)「しんぶん赤旗」)
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地球温暖化対策ー90年比で25%削減しても、可処分所得は逆に増えていくし、光熱費も変わらないー

2009-06-22 13:09:44 | 国際社会
温室効果ガス削減の消極目標
「国民負担増」は口実
NHK番組 市田書記局長、政府を批判

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 日本共産党の市田忠義書記局長は21日、NHK番組「日曜討論」に出席し、地球温暖化対策について各党代表と討論しました。

 市田氏は、温室効果ガス削減の2020年までの「中期目標」として、麻生太郎首相が2005年比15%(1990年比8%)と発表(10日)したなかで示した、「(毎年)可処分所得が4万3千円減り、光熱費が3万3千円増える」との国民負担についての政府試算を追及しました。

 市田氏は、独立行政法人国立環境研究所が「(排出量を)25%削減しても、可処分所得は逆に増えていくし、光熱費も変わらない」との試算を出していることを紹介し、「国民への負担」を口実に消極的な数値目標に固執する政府の姿勢を批判しました。

 また市田氏は、政府の「中期目標」では「産業界は、総排出量の8割で一番多い排出量を占めているにもかかわらず、負担をほとんど求めていない」と述べ、8%減の削減数値は「産業界が容認する許容範囲内のギリギリの数字だ」と指摘しました。

 自民党の野田毅衆院議員(同党地球温暖化対策推進本部委員長)は、政府が示した数値目標でも「可処分所得もGDP(国内総生産)も伸び得る」とし、“負担増”という試算は「適切なデータでない」と認めました。

 市田氏は「環境対策と経済対策・雇用創出の両立のために何をすべきか」と問われ、「国民一人ひとりは今、レジ袋をやめてマイバッグにしたり、冷暖房を控えめにするなど大変努力をしている。そういう一人ひとりの努力を実らせて、生かすためにも、大量生産・大量消費・大量廃棄という今の社会経済システムを改めて、自然エネルギーにもっと力を入れるべきだ」と主張。

 自然エネルギー産業を育て、雇用も増やすドイツの例を示しながら、「化石エネルギーに頼らず、自然エネルギーに傾斜する経済構造へ変えていくことが、経済の発展にもつながる」と強調しました。

 市田氏は、温暖化対策の名で原発増設を進めようとする政府に対し、この間の事故や災害で、活断層の上に原発があったことなどが判明していると指摘。「もし大きな事故が起これば環境どころか壊滅的な打撃を受ける」と述べ、原発依存から抜け出すべきだと述べました。

NHK「日曜討論」
市田書記局長の発言

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 日本共産党の市田忠義書記局長は21日のNHK番組「日曜討論」に出演し、政府が決定した地球温暖化対策の「中期目標」などについて各党代表と討論しました。出席者は市田氏のほか、自民党・野田毅地球温暖化対策推進本部委員長、民主党・岡田克也幹事長、公明党・山口那津男政調会長、社民党・福島瑞穂党首、国民新党・亀井久興幹事長。司会は影山日出夫解説委員です。

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麻生政権は末期状況

 冒頭、支持率が急落した麻生政権の現状をどうみるかが議論となりました。市田氏は次のように述べました。

 市田 一言で言うと政権末期の状況です。統治能力、政権担当能力を喪失した状況じゃないか。それは支持率にも表れています。

 ある世論調査によると「今の政治に不満だ」という人は91%で、どういう点で不満かというと「将来像が示されていない」という人がまた91%くらいある。(麻生自公政権は)当面の選挙目当てのばらまきはあるけれど、今後の日本経済を景気悪化からどう立て直していくか、外交を自主・自立の外交にどう転換していくかという旗印は全然みえない。

 片や(民主党は)「政権交代」とおっしゃるけれど、政権交代して日本経済、外交をどうするのかという中身が問われている。

 環境対策をやる場合も、当面のことと将来像を示せる内閣でなければだめだ。

 2020年までの日本の温室効果ガス排出量削減の中期目標を05年比で15%にするとした政府の「中期目標」について自民党の野田氏は、15%は真水(国内での直接的な削減努力)による目標であり、外国の排出枠の買い取りなどを「追加すれば20%を超える数字になる」などと説明。市田氏は次のように答えました。

 市田 (15%は)経済界が容認するぎりぎりの数字です。世界の科学者の知見を結集したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)報告や先進国は少なくとも中期目標は25%~40%と(しています)。それからみて全然その要請にこたえた科学的、野心的なものになっていない。

 しかも、90年比でみますとわずか8%で、(京都議定書の)第一約束期間の6%に2ポイント上積みするだけの話です。この間(排出量を)増やし続けてきたために、数字を大きくみせる。そういうごまかしをやめて、真剣に排出量を削減するという立場に立つべきです。

 もともと今度の政府の案をみると日本経団連副会長をやっておられる新日鉄会長が責任者の総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通しがもとになっているわけです。それの最大導入が(05年比)14%だったのですよ。それに太陽光を10倍から20倍にすることで1%増やして15%。

 先ほど真水だからとおっしゃいましたが、これは長期需給エネルギーの見通しに基づいてやっているわけですから、森林吸収とか京都メカニズムが入っていないのは当然の話です。今後の中期目標でも原発を9基増やして80%の稼働率という机上の計算であって、うまくいかなかったら当然森林吸収やそういうところに傾斜するわけで、真水論は成り立たないと思いますね。

 公明党の山口氏は「中期目標は国際交渉に臨む第一歩だからもっと努力する余地はある」と認めました。

温室効果ガスの一番の排出元は産業界

 政府の温暖化対策での「国民負担」について野田氏は「家庭での跳ね返りはできるだけ小さくしようとしている」などと発言。民主党の岡田氏は、政府が25%削減なら国民1人あたり36万円負担になるなどと述べていることは「脅しに近い話だ」と批判しました。市田氏は、次のように語りました。

 市田 あまり削減率を高くすると国民の負担も増えますよと麻生総理はいいました。可処分所得が4万減る、光熱費が3万増えると。これは長期エネルギー需給見通しに基づく試算ですよ。25%削減しても、(独立行政法人の)国立環境研究所がやった調査ではむしろ可処分所得が逆に増えていくし、光熱費はそう変わらないという試算が出ているわけですよね。だから自然エネルギーに傾斜して化石エネルギーに頼らないという方向に経済の構造を変えていくことが大事で、ドイツは自然エネルギー、この分野で3・7兆円もこの間売り上げを増やしていますし、雇用も28万人増えているわけですよね。だからそういう環境にやさしい経済に切り換えていくことによってかえって経済の発展にもつながる。大企業もきちんと負担する。国民も環境に役立つなら負担したいとみんな思っていると思うのですよ。

 しかし一番の排出量、大量に出しているのは産業界で、総排出量の8割を占めています。今度の案を見ますと総排出量の一番多い産業界の負担、その削減なんてことはほとんど求めていない。そういう不公平感を国民の多くが持っているのではないかと私は思います。

 CO2削減に伴うコストを誰が負担するのかで政府案が産業部門は10%削減、家庭部門は25%削減が必要だとしているのに対し、影山氏は「これは産業部門に少し甘すぎないか」と質問。野田氏は「電力を使うのは最終的には家庭部門、業務部門だ。最終的にエネルギーを使うところの努力がなければ電力会社にばかりに負荷をかけてもうまくいかない」と発言。山口氏も「産業界にはそれなりの言い分はあるだろう」と理解を示しました。市田氏は次のように反論しました。

 市田 全体の総排出量を調べて見ましたら、排出量13億7400万トンなのですね。そのうち88の発電所で、30・1%ですよ。鉄鋼セメントの78の巨大工場で2割です。その他大口の1500事業所で、2割と圧倒的な部分を占めるわけですね。

 京都議定書でマイナス6%約束しましたが、この間、90年比で9%逆に増えていますよね。そうなった最大の要因は、経団連の自主行動計画まかせ。やっぱり、自主行動計画にまかせていたら、利益追求が目的なんですから、積極的に減らそうとはしない。政府と産業界との、公的な協定ですね。ヨーロッパでは、ほとんどそういうことをやっているわけですから、そういう一定の規制が不可欠です。利潤追求のためには、“後は野となれ山となれ”ではだめです。一刻の猶予も許さない、このまま放置すれば、取り返しのつかないような人類の生存にかかわるような重大事態であるわけですから、そこ(産業界)が一定削減したからといって、経済ががたがたになる、とはオーバーな言い方です。

 昨日、環境大臣も、可処分所得がものすごく減り、光熱費が増える、というのは、過大ないいかたで事実は違いますよ、とおっしゃったわけで、麻生さんの言い分を否定せざるを得なかった。

自然エネルギー普及を

 影山氏は、05年比15%削減は、企業の負担増で雇用に影響が出て、家庭の可処分所得が4万3千円減り、水光熱費支出が3万3千円増えるとする政府試算を示し、「家庭の理解はえられるか」と質問。野田氏は「この数字は誤解を招くのであまり使わない方がいい。15%削減でもいまに比べれば可処分所得もGDP(国内総生産)も伸びる」と試算の問題を認めました。市田氏は次のように述べました。

 市田 たとえば家庭の太陽光発電の固定価格買い取り制度。余剰電力だけでなく、総量買い取り制度にして、風力にも当然拡大すべきだ。その分、電気料金への上乗せということは一定はあり得るでしょう。ただ、電気・ハウスメーカーの太陽光発電パネルやシステムにかかるコストまで、電気料金に上乗せするやり方はまずい。

 原発のための電源開発税というのは、毎年3千数百億円あるわけです。これで負担すべきです。共産党は原発はOKできません。どういう理由かというと、安全性が確立されていないということです。この間、事故とか災害が相次いだ。活断層の上に原発があったということも明らかになっているわけですし、もし大きな事故でもおこれば環境どころか、壊滅的な打撃を受けるわけですから重大です。そういうところに頼らずに、自然エネルギーのほうにもっと傾斜していくことが非常に大事だと思います。

国民の努力実らせる社会経済システムへの転換を

 温暖化対策の今後について、「経済対策、雇用創出にもつながるために何をすべきか」と問われた市田氏は、次のように述べました。

 市田 一人ひとりの国民がいま大変、努力をしていると思うのですよ。たとえばレジ袋をやめて、マイバッグにするだとか、冷暖房をなるべく控えめにしようだとか、シャワー、照明を節約しようだとか。そういう一人ひとりの国民の努力を実らせて、生かすためにも、いまの社会経済システム、大量生産、大量消費、大量廃棄っていう、利潤のためだったら“後は野となれ山となれ”という社会経済システムを改めて、もっと自然エネルギーに傾斜していくと(いうことが重要です)。

 日本は、原発依存ですから、事故がおこってそれが稼働しないと、ということで安い石炭をずっと買ってきた。アメリカでさえも、この間、石炭依存は、90年比でたしか63%に減らしていますよ。イギリスでもドイツでも6割から7割ぐらい減らしています。日本だけが十数%ぐらいしか減らしていない。いまだに石炭依存が82%です。そういう産業構造のあり方、化石燃料に頼る経済体制を変えていくことが非常に大事です。自然エネルギーにもっと力を入れるべきです。

(出所:日本共産党HP 2009年6月22日(月)「しんぶん赤旗」)
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トヨタとパナソニック出資会社が派遣切りして期間工大募集ー政権交代で労働法制と所得再分配を強化しようー

2009-06-21 12:22:30 | 国内労働
トヨタとパナソニック出資会社
派遣切りして期間工大募集
「腹が立つわよ。私たちを中途解雇しておいて」

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 減産を口実に「派遣切り」をした製造企業で、増産が必要になったからとして労働者の募集を始めるところが出ています。人員削減から時間がたたないうちに人員増に転じるという身勝手さが浮かびあがっています。(酒井慎太郎)

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 パナソニックEVエナジー(静岡県湖西市、従業員2200人)は13日に「100名大募集」とした期間工の選考会を開き、採用枠を大きく上回る160人が参加しました。

 今春、専門学校を卒業した愛知県豊橋市の男性(21)は、ハローワークでは1社に1、2人の募集しかなく、「正社員になりたいが仕事を選んでいられない」と話しました。

 同社はトヨタ自動車とパナソニックが出資し、自動車用電池を製造。トヨタが燃料電気両用車を増産するため、増員に動きました。

最長2年11カ月

 期間工は時給1150円と、派遣会社の時給1300円より低く抑え、契約期間は最長2年11カ月しかありません。失業中の静岡県内の40代男性は、「この年齢になると働き口は限られる。雇用は安定しないが仕方がない」と言いました。

 しかし、同社は1月末に「派遣切り」を行ったばかりでした。

 「腹が立つわよ。辞めさせておいて、また募集するなんて」と憤るのは浜松市の女性(46)。減産を理由に4月半ばまで契約があったのに、中途解雇で人員削減されました。

 労働契約法で、中途解雇は原則禁止されています。しかも、派遣先指針で定められた中途解雇者への再雇用あっせんなども行わず、放り出したのです。

 「私のいたラインでは半数の9人が中途解雇されました。私は高校生と中学生の子ども2人を育てる母子家庭で、明日からどう生活するか途方にくれました」と語ります。

 昨年12月末、解雇を告げられてから、「辞めろと言う職場で働きたくない。有給休暇を消化したい」と言っても、「生産が回らなくなる。有休を使うなら自主退社になる」と脅されたと言います。

 ところが、同社は2月1日、派遣労働者を全員、期間工に採用する方針を発表しました。減産を口実に派遣切りをすすめる一方で、期間工に切り替えていく計画だったのです。その朝礼で製造課長は、「わが社は派遣切りなんてことはしない。期間工として雇うから、安心して働くように」とうそぶきました。

 この女性ら5人は1月、「声を上げてたたかいたい」とJMIU(全日本金属情報機器労組)静岡西部地域支部に加入。派遣会社に解決金を支払わせましたが、いまだに仕事が見つかっていません。

法令にも抵触か

 そんななかで持ち上がったのが、今回の100人採用でした。労働者派遣法では、派遣をやめて労働者を採用する場合、派遣労働者を優先して雇用しなければなりません。同社が派遣切りをやってすぐに期間工を採用したり、新たに期間工を増やすことは、こうした法令にも抵触しかねない問題です。

 同社は、「派遣切りなど一人もしていない」といって自らの責任は棚上げし、派遣会社の問題だと開き直っています。中途解雇した派遣労働者を優先して雇う考えはないとしています。

 解雇された労働者は再就職先のあっせんもないため、全員が今も仕事に就けず、今月で失業保険も切れます。

 JMIU静岡西部地域支部の青木克之書記長は、「中途解雇して放り出したまま、新たに期間工を雇い入れる身勝手さは許されません。大企業の社会的責任を果たすよう求めたい」と話しています。

(出所:日本共産党HP  2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」)

「ルールある雇用」の経済効果とは?

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 〈問い〉派遣労働者を正規労働者にしたり、サービス残業をなくしたりするだけで内需拡大になると聞きましたが、どういうことですか。その効果は微々たるものと思えるのですが、違いますか?(東京・一読者)

 〈答え〉「アメリカ発の金融危機」が“外需・輸出頼み”の日本経済を直撃し、景気が悪化しています。そのなかで、これまで、金融・住宅バブルにわくアメリカ市場に進出して大もうけをつづけてきたトヨタやキヤノンなどの大企業が、不況を口実にして「派遣切り」「非正規切り」をすすめています。

 大企業の横暴を放置していては、日本経済は、雇用悪化と景気悪化という際限のない悪循環におちいることになります。

 この状況を打開するためには、日本経済の体質を外需・輸出頼みから内需主導に抜本的に切りかえていくことが必要です。

 非正規雇用の正社員化、サービス残業根絶、年休完全取得など雇用の安定と働くルールの厳守、つまり「ルールある雇用」を実現することは、日本経済を内需主導の方向に転換させていくうえで大きな役割を果たし、経済効果も抜群です。

 そのことを具体的に明らかにしたのが昨年10月に発表された労働総研の試算です。この試算では、(1)ワーキングプアの解消のため非正規の正社員化363万人を実現する、(2)サービス残業を根絶すると118・8万人の雇用が生まれる、(3)完全週休2日制と年次有給休暇の完全取得を保障すると153・5万人の新たな雇用が必要になる――という三つのケースを明らかにし、それによってどのような経済効果が生まれるかを算出しています。

 その結論は、労働者の賃金は21・3兆円増え、国内生産は24・3兆円増えるということです。その結果、日本のGDPは2・52%押し上げられます。日本の経済成長率は、景気拡大局面の時期で、04年度2・0%、05年度2・4%、06年度2・5%でしたから、それに匹敵する経済効果があることが明らかになりました。しかも、04~06年度のGDPを押し上げたのは大企業の設備投資が中心でしたが、今回は労働者の懐を直接あたためることになるので、大企業だけでなく、中小企業にも経済効果が波及することになります。

 労働者の賃金支払いは21・3兆円増えることになりますが、大企業がため込んだ内部留保は、02年度の167兆円から07年度には228兆円に増えています。5年間で61兆円も積み増しているので、その3分の1をあてれば「ルールある雇用」を実現でき、経済効果も生まれます。(藤)

(出所:日本共産党HP 2009年1月29日(木)「しんぶん赤旗」)

社会保障関係費の「自然増」とは?

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 〈問い〉 社会保障関係費の「自然増」はなぜ発生するのですか。政府はこの「自然増」の推移をどう予測しているのですか? 日本共産党はどのように考えていますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 日本の社会保障の財源は、多くが国民や企業から集めた社会保険料でまかなわれ、一部を国と地方の税金で負担しています。

 このうちの国庫負担分が一般会計予算の「社会保障関係費」として計上されます。

 06年度予算ではそれが20・5兆円で、主な内訳は、年金の国庫負担金(6・7兆円)、医療保険・老人医療関係(6・3兆円)、介護保険関係(1・7兆円)、生活保護費(2兆円)などです。

 このうち、年金や医療、介護、は、いずれも国庫負担の割合が決まっていますから、高齢化によって年金受給者や介護サービスを受ける人が増えれば、国庫負担も当然増加します。(具体的にいうと、基礎年金の受給者は、毎年約100万人ずつ増え、受給額一人平均年60万円を掛けると6千億円、その3分の1が国庫負担なので毎年2千億円の国庫負担増となる。同様の計算で、介護保険関係で約1千200億円、医療関係で数千億円規模の「自然増」となる)

 厚生労働省が04年5月に発表した「社会保障の給付と負担の見通し」では、社会保障の「公費負担」は04年度の26兆円から、2025年度には64兆円に増えるとしています。この予測自体は、将来の経済成長率などをどう仮定するかによって違ってきますが、これまで政府が出してきた試算は、いずれも現実の推移よりも過大なものになっています。

 政府は、社会保障関係費の「自然増」が財政を圧迫する最大の要因であると描いて、「財政再建のためには社会保障を削らなくてはならない」とか「消費税を増税しなければならない」という方向に世論を誘導しようとしています。

 しかし、高齢化が進行すれば社会保障関係費が増えるのは、わかっていたことであり、それに見合った政策を進めてこなかった政府の方に問題があるのです。発達した資本主義国のほとんどが、「国の予算の中心は社会保障」です。アメリカの連邦予算の約6割、イギリスは約4割、ドイツは約5割が社会保障関係予算です。日本の06年度予算に占める社会保障関係費は26%です。もともときわめて貧しい日本の社会保障なのに、さらに高齢化を理由にその予算を削り、低所得者層に重い負担となる消費税率をアップするのでは格差社会が広がるばかりです。

 いまこそ予算の使い方にメスを入れ、大企業・大資産家優遇の税制を見直すことこそが求められています。(喜)

(出所:日本共産党HP 2006年5月13日(土)「しんぶん赤旗」)

7年間に13兆円もの負担増 年間なの? 累計なの?

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 〈問い〉日本共産党の総選挙政策(「赤旗」9月26日付)で、「自公政権は、この7年間に13兆円もの負担増を押しつけました」とありますが、13兆円というのは1年間あたりの数字でしょうか? それとも7年間の負担の累計額ですか?負担の内訳も教えてください。(東京・一読者)

 〈答え〉小泉内閣の2002年以来、庶民への増税や社会保険料の引き上げなど直接の負担増に加えて、社会保障給付の切り下げなどの形で、国民に負担増が押しつけられてきました。増税や社会保障改悪が重なることによって、負担増の額は毎年増え、いまでは年間13兆円の規模に達しています。02年度から08年度までの7年間に国民に押しつけられた負担増を累計すれば、50兆円近くにもなります。

 金額が一番大きいのは増税です。06年・07年に実施された所得税・住民税の定率減税の廃止(約3・4兆円)、04年・05年に実施された配偶者特別控除の廃止(0・7兆円)、05~08年に実施された高齢者への増税(0・4兆円)、消費税の免税点の引き下げ(0・6兆円)など、増税額の合計は年間5兆円以上になります。

 この間、02年と06年の2回にわたって、医療制度の改悪法が強行され、保険料の引き上げにくわえて、サラリーマンの窓口負担が2割から3割に引き上げられ、高齢者の患者負担も増えました。さらに後期高齢者医療制度が実施されました。これらの医療改悪による負担増は、年間2兆円近い額になっています。

 04年に強行された年金法改悪によって、毎年、年金保険料が引き上げられています。一方、03・04・06年度には、「物価が下がった」という理由で年金の給付額が引き下げられました。これによる負担増は、08年度分までで年間4兆円近い額に達しています。保険料は今後も0・7兆円くらいずつ増え続けます。

 その他、介護保険料の引き上げとホテルコストの導入、障害者への自己負担押しつけ、生活保護の削減、失業手当の削減、国立大学授業料値上げなどを含め、負担増の全体では年間13兆円近い金額になっています。このほかに、国保料の引き上げなど地域ごとの負担増もありますが、集計が難しいため、この計算には入っていません。

 このように、7年間で累計50兆円近い負担を国民に押しつけたことが、家計を痛めつけ、内需を冷え込ませる原因の一つとなってきたのです。1回限り、数兆円の定額減税をばらまいたくらいでは、くらしの不安は解消しません。国民負担増を続けてきた政策の抜本的な転換が求められています。(垣)

(出所:日本共産党HP 2008年10月4日(土)「しんぶん赤旗」)

所得再分配って?

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 〈問い〉 貧富の差を広げる小泉「構造改革」を批判する中によく「所得再分配」という言葉がでてきますが、よくわかりません。どんな意味ですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 「所得再分配」とは、ごく簡単に言えば、大企業や高額所得者など所得の大きいところにはより多く税負担してもらい、それを社会保障給付などの形で渡すことで、所得の低い人も生活できるようにすることです。

 資本主義では、放っておけば貧富の格差が広がる一方ですから、これを是正しなければなりません。この仕組みは、長年の民衆のたたかいの結果、つくりあげられてきて、現代国家の財政政策では当たり前になっています。ところが、小泉内閣の新自由主義路線のもとでそれがこわされてきているのです。

 資本主義の市場経済では、働く者が働いてつくり出す価値(商品)が富の源泉となり、それが企業の利潤や賃金などのかたちで分配されています。その利潤や賃金にたいして、国家が税をとり、それを再分配する仕組みがあります。

 資本主義社会の初期には、利潤追求のための競争がなんの規制もなく「自由」におこなわれたため、労働者は非人間的な長時間労働と低賃金を強いられ、過酷に搾取されていました。それに加えて、徴収された税金の多くは軍事費や、国家権力を握る人たちに都合よく使われていました。その結果、不平等が広がり、一部の金持ちと多くの貧乏人ができるという対立が広がりました。

 しかし、20世紀前半にはこの矛盾が恐慌や社会革命となって爆発し、その修正を余儀なくされます。1929年の大恐慌後の米国のニューディール政策などがそれで、国家が市場経済に介入し、矛盾をやわらげる仕組みをとっていきます。(当時、アメリカの正統派の財政学者とされるマスグレイブは、市場機構を通じて実現される所得分配は社会的に最適なものではないとして、財政政策の目標として所得の適正な分配、経済の安定、資源の効率的配分の三つをあげている)

 こうして、かつては一部の金持ち階級のためにだけ使われていた税金が、いまでも軍事費や財界奉仕の予算部分は残していますが、しだいに、国民一般に、教育、保健、医療、保育、福祉、住宅、交通の便などのかたちで分配される部分が大きくなっていきます。

 戦後の日本国憲法が第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と明記したのもその流れです。

 小泉「改革」の結果、所得や雇用の不平等、地域間や産業構造のアンバランス化、「勝ち組」と「負け組」という極端な分解、亀裂が広がっています。憲法体制で守られてきた「所得再分配」構造を崩させない社会的反撃が求められています。(喜)

(出所:日本共産党HP 2006年4月6日(木)「しんぶん赤旗」)
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参議院で野党に否決されたソマリア「海賊対処」派兵新法案を自民党・公明党が衆議院で強行再議決

2009-06-20 15:49:08 | 国際政治
重要3法案再議決強行
民意とかけ離れる異常国会
自公政治、行き詰まる

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 参院でいったん否決された法案を3分の2以上の賛成多数で次々と成立させる―。与党が3つの重要法案の再議決を“乱発”した19日の衆院本会議は、国民の願いから、大きくかけ離れた国会の異常な姿をまざまざと見せつけました。

 海外での自衛隊の武力行使に道を開く「海賊対処」派兵新法。大企業優遇減税を優先する租税特別措置法。年金財源確保を口実に消費税増税にレールを敷く改定国民年金法…。

 いずれも、日本の外交・安全保障と国民の将来の暮らしに深刻な影響を与える重要な法律です。野党が多数を占める参院で否決されたから、「即、再議決」というやり方は、あまりにも乱暴で道理がありません。

与党の悪あがき

 同時に、この暴挙は、「数の力」にしか頼ることができないという政府・与党の深刻な行き詰まりそのものです。

 現在の衆院の与党3分の2以上という議席は、2005年の「郵政民営化」を唯一の争点にした選挙で獲得したものでした。しかし、貧困と格差の広がりのなかで、「郵政民営化」に象徴される「構造改革」路線に、国民の批判と怒りが集中。07年の参院選では与党を惨敗させ、参院では野党多数という政治状況の変化が生まれました。

 その後、安倍首相・福田首相と2代続けての政権放り出しがあり、いま麻生政権は「構造改革」路線から転換をはかることができないまま、国民との深刻な矛盾を拡大しています。

 世論調査での支持率が10%台に急落した政権が、再議決という手段しかとれないのは、「郵政選挙」で獲得した議席という「遺産」があるうちに、できる限り悪法を通そうという悪あがきにほかなりません。

競う民主の対応

 行き詰まった与党の暴走にたいして、民主党のとった対応も、国民の願いからかけ離れたものでした。

 同党の幹部は早くから「海賊対処法案を含め重要法案といわれるほとんどすべても第2週に上げる方向だ」(5月30日、山岡賢次国対委員長)、「(重要法案の参院審議は)少なくとも6月いっぱいには終わってしまうと見るのが普通だ」(6月4日、輿石東参院議員会長)と表明。与党の審議促進に積極的に呼応しました。

 西松建設違法献金事件で小沢一郎前代表の公設秘書が逮捕された3月以降、民主党の国会での追及は完全に腰砕けとなりました。しかし、審議促進の姿勢はそれだけではありません。

 同党は昨年段階で、「海賊対処」を口実にした自衛隊派兵の提案を最初におこない、法案具体化の端緒をつくりました。政府案にたいする「修正案」を提示しましたが、その内容は、政府案とほとんど変わりないものでした。

 国民年金法改定の審議をはじめとする社会保障財源をめぐっても、同党は、もともと「年金財源のための」消費税3%引き上げを主張してきた立場です。「財政のムダをなくせ」とはいいますが、大企業・大資産家へ応分の負担を求めるという姿勢もありません。

 自衛隊海外派兵や消費税増税という、自民党と民主党の共通部分の危険性が、三つの重要法案の審議をめぐっても浮き彫りになっています。

解散総選挙こそ

 政府が「重要法案」と位置づけた3法の成立によって、7月28日までを会期とする「延長国会」は大きな節目を迎えました。

 麻生政権は、いつまでも国民の審判から逃げ続けるのでなく、ただちに解散・総選挙で民意を問うときです。新しい国会では、古い枠組みでの競い合いをする自民・民主の二大政党でなく、21世紀の日本のすすむべき道を明確に掲げ、国民の願い実現に向け積極的に国政を動かす日本共産党の前進こそが痛切に求められています。(宮沢毅)

海外派兵政策の強行にストップかける転換を
「海賊」派兵新法

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 「海の安全航行は死活問題、日本の国益に照らして一番大事」

 麻生太郎首相は18日の参院外交防衛委員会での「海賊対処」派兵新法案の締めくくり総括質疑でこう述べました。

視線の先には

 「海賊対策」を名目として「国益」「権益」を盾に軍隊を世界に派兵する―。戦争違法化以前の、古く危険な発想が示されています。その視線の先には、海外派兵恒久法の制定もあります。

 2001年の9・11テロ以降、米国の「対テロ戦争」にアジアと世界が揺れ動いてきました。「9・11テロの最大の被害者は国際法だ」という声も出されました。

 しかしいま、イラクもアフガニスタンも泥沼となり、各地の紛争に安易に軍隊を出すことへの反省が強まり、武力では紛争もテロも解決できないという流れが強まっています。「海賊」派兵新法は、二重三重に歴史と世界の流れに逆行するものです。

 さらに派兵新法は、海賊行為からの“防護”のための自衛隊による武器使用、海外での武力行使を認めました。戦後60年、政府の行為で一人も殺さずにきた日本の誇るべき歴史と、その核心である憲法9条を覆す重大な危険をもたらします。

 政府・与党は参院で否決された「海賊」派兵新法を衆院の再議決で強行しました。旧テロ特措法期限切れ後の新テロ特措法の強行(福田内閣、07年12月)、同法の延長の強行(麻生内閣、08年12月)も衆院での再議決でした。

 「数の力」を頼みにした再議決による自衛隊海外派兵が常態化しつつあります。

 しかし、政府・与党による海外派兵政策の強行は、いよいよ矛盾を深めています。麻生内閣の歴史的な支持率低迷の中で、総選挙を前にして自公両党は政権維持の重大な危機に直面しています。総選挙で海外派兵政策に審判を下し、ストップをかける転換点に差し掛かっています。

民主が助け舟

 ところがこうした流れの中で、「対決ポーズ」の一方、与党と海外派兵推進を競い、事実上これを助けているのが民主党です。

 ソマリア海賊対策で、最初に国会で議論を持ち出し、麻生首相に自衛隊派兵をけしかけたのは同党の長島昭久衆院議員でした(08年10月)。

 いま、ある同党幹部議員はこう語ります。

 「海賊(派兵)法にはインド洋での中国の拠点拡大、インドの台頭に対抗するという地政学的な背景がある。『シーレーン(海上兵たん線)防衛』の観点からは、民主党政権になったとき、海上保安庁主体にすべきだといって自衛隊を引き揚げさせたら、物笑いになる」

 民主党の「修正」案は、自衛隊派兵そのものも、武器使用基準の拡大も、追認するものでした。

 07年に新テロ特措法への「対案」として民主党が提出した「アフガニスタン復興支援法案」は、自衛隊のアフガン本土派兵と任務遂行型の武器使用を認めるもので、与党の国防族を驚かせました。昨年、同法の延長に際して、小沢グループの幹部は「政権交代を前にアメリカと衝突するのは避ける。給油法は生かしておいたほうが政権運営は楽だ」と語り、徹底抗戦を投げ出しました。(中祖寅一)

(出所:日本共産党HP 2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」)

「海賊」派兵法案を否決
井上議員が反対討論
参院外防委

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 参院外交防衛委員会は18日、自衛隊の海外派兵を拡大する「海賊対処」派兵新法案を、日本共産党、民主党、社民党の反対多数で否決しました。19日の参院本会議でも否決される見通しですが、与党は同日の衆院本会議で3分の2以上の賛成多数で再可決し、成立させる構えです。

 法案への反対討論に立った日本共産党の井上哲士議員は、ソマリア沖の海賊多発の背景には、長期間の紛争と外国の介入による荒廃と貧困があり、軍隊派遣は「ソマリアの人々の外国への不信を広げるだけだ」と指摘。「ソマリア再建への支援や、ソマリアと周辺国の海上警備能力の向上への財政的・技術的支援を強めるのが憲法9条を持つ日本の役割だ」と強調しました。

 また井上氏は、同法案が自衛隊に船体射撃の権限を与えていることをあげ、「実力組織である自衛隊が戦後初めて人を殺傷しかねないものであり、到底容認できない」と主張しました。

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和平・貧困対策支援こそ
参院外防委 井上議員が質問

 日本共産党の井上哲士議員は18日の参院外交防衛委員会で、ソマリア沖の海賊問題について麻生太郎首相をただしました。

 井上氏は、軍事介入等でソマリアに「破たん国家」と呼ばれる事態をつくり出した先進諸国の歴史的責任を強調。貧困に拍車をかけ、住民を海賊行為に駆り立てている外国船の違法操業・水産資源の乱獲や、廃棄物の不法投棄について「国際的な取り組みはどうなっているのか」と質問しました。中曽根弘文外相は、「ソマリア暫定政府や周辺国から、違法操業や不法投棄の問題が提起されている。取り組みが十分とは言い難い」と認めました。

 井上氏は、「外国船の乱獲や不法投棄は取り締まらず、(海賊行為をする)ソマリア人は外国軍隊が取り締まるという状況だ。ソマリア人は、外国部隊の活動は、不法な漁業の事業活動を守るためのものととらえている」と指摘し、「ソマリアの紛争と貧困の解決こそ取り組むべきだ」と追及しました。

 麻生首相は「(支援の)いろいろな努力はしているが、われわれの船が襲われるのを放っておいて、そちら(支援)だけするのはおかしい」と答弁。井上氏は、「和平の足をひっぱる軍事的対応でなく、和平や貧困対策の支援に集中してこそ、早期の海賊問題解決につながる」と強調しました。

(出所:日本共産党HP 2009年6月19日(金)「しんぶん赤旗」)

「海賊対処」派兵新法案の再議決動議
赤嶺議員の反対討論
衆院本会議

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 「海賊対処」派兵新法案の再議決を求める動議に対し、日本共産党の赤嶺政賢議員が19日の衆院本会議で行った反対討論は次の通りです。

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 本日参議院で否決された、「海賊対処」法案、租税特別措置法案、国民年金法案の三つの法案について、政府・与党が、参議院の意思を一顧だにせず、ただちに衆議院で再議決し成立させようとしていることに強く抗議するものであります。

 参議院で与野党の議席が逆転して以降、福田内閣での新テロ法をはじめ、3分の2の多数による再議決が計6回行われましたが、今回は、たった1日で、内容の異なる重要法案を3本まとめて押し通そうとしています。前代未聞の暴挙であり、断じて容認できません。

 本法案は、「海賊対処」を口実にして、自衛隊の海外活動と武器使用権限を拡大し、憲法9条が禁ずる海外での武力行使に道を開くものであり、断じて容認できません。

 この間の審議ではっきりしたことは、軍隊の派遣でソマリア沖の海賊問題を解決できないことです。

 そもそも、ソマリアは、欧米列強やエチオピアの植民地として分割・統治され、1960年の独立後は、米ソが競い合って軍事政権を援助し、大量の武器の流入を招きました。

 91年に内戦状態に陥って以降は、国連の平和執行部隊の派遣が失敗し、「対テロ戦争」の名による米軍の空爆と軍事介入が行われてきました。その下で、外国船による違法操業、有毒廃棄物の不法投棄が横行し、追い詰められた漁民らが海賊に動員される状況を生み出したのです。

 外部勢力の不当な介入に翻弄(ほんろう)されてきた歴史をもつ国で、「海賊対処」と称して軍隊を派遣することは、ソマリアの人々にさらなる不信をひろげるだけです。

 昨年から、各国がソマリア沖に軍隊を派遣しましたが、海賊事件は減るどころか、増えているのが実態です。4月には、米軍が人質救出のために海賊3人を射殺し、海賊が「報復」を宣言する事態になりました。力でねじふせるやり方は、事態を悪化させるだけです。

 ソマリア沖の海賊問題を解決する道は、軍隊を派遣することではありません。長期にわたる内戦を終結させ、人々が生活できる環境をつくる、そのための支援こそ必要です。

 ソマリアでは、地域主導の粘り強い和平努力が行われ、昨年8月、暫定連邦政府とソマリア再解放連盟の穏健派グループが武力行使の停止などで合意しました。いま、かつてない広範な勢力が結集した暫定連邦政府を中心に、さまざまな問題を抱えながらも、内戦終結と国民的和解に向けた努力がつづけられています。

 憲法9条をもつ日本は、こうした地域主導の和平努力への支援、民生支援こそ積極的に行うべきです。船舶の安全確保は、航路の迂回(うかい)などで可能であり、現にそうした方法をとっている商船も少なくありません。

 それでも政府が自衛隊派遣に固執するのは、結局、米軍支援が目的と言わなければなりません。

 シーファー前駐日米大使は、1月の講演で、オバマ新政権に対し、日本ができることを自ら提案するよう促し、その一つに海賊からのシーレーン防衛をあげました。

 海上自衛隊のP3C哨戒機の派遣は、米軍の要請を受けたものであり、対アフガン作戦に哨戒機を集中させた米軍の肩代わりにほかなりません。

 P3Cによる情報提供は、「海賊対処」だけでなく、対テロ戦争、ソマリア本土への空爆など、米軍の軍事作戦全体を支援することになるのです。

 しかも政府は、治安の安定が指摘されるジブチに、海外派遣の中核部隊として新編した陸上自衛隊中央即応連隊を派遣しました。インド洋で給油活動を行う海上自衛隊と合わせ、陸海空3自衛隊約900人がアデン湾周辺に展開する事態になっているのです。

 アメリカ言いなりで、自衛隊を海外に派遣するのは、やめるべきです。法案を押し通し、自衛隊海外派兵恒久法への突破口にするなど、言語道断です。

 法案は廃案にし、海賊問題の解決に逆行する自衛隊派遣はただちに中止するよう重ねて求めます。

(出所:日本共産党HP 2009年6月20日(土)「しんぶん赤旗」)
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