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民主党・菅改造内閣の大企業法人税減税の議論に大反対の世論を

2010-09-27 06:20:19 | 国内政治
優遇税制 巨大な内部留保
それでも法人税減税か
大畠経産相「5%下げ」論を考える

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 大畠章宏経済産業相は19日のNHKの番組で、「世界の法人税(率)の平均は30%から25%だ。日本は40%程度」と高いから「雇用の維持や中小企業、輸出産業を日本国内にとどめるために5%程度の法人税(率)引き下げを決断する時機に入っている」と主張しました。

財界の意向に

 これに先立ち、日本経団連の米倉弘昌会長は17日、法人税率引き下げをめざす菅改造内閣の「新成長戦略」について「一刻の猶予も許されない」と強調しました。大畠経産相の発言は、日本経団連の意向をくんだ素早い対応といえます。

 しかし、日本の法人税率は、本当に高いのでしょうか。

 日本企業の実際の税負担率は、研究開発減税など数々の優遇策を受け、法律で定められた税率(国と地方の合計)約40%をすでに大幅に下回っています。

 輸出中心の大企業(資本金10億円以上)で見ると、実際の税負担率はソニー12・9%、パナソニック17・6%、本田技研工業24・5%、トヨタ自動車30・1%(03~09年度決算データから試算)。経常利益上位100社の平均でも33・7%です。

なぜ海外進出

 そもそも、日本企業は、日本の法人税率が高いから海外進出したわけではなく、低賃金の労働力や現地の市場を追い求めて海外へ出て行きました。

 自公政権から「政権交代」した民主党政権は、海外に進出した日本企業に対して、外国で課税された法人税分を日本国内の法人税から差し引く「外国税額控除」などの恩恵を与え続けています。そればかりか、自公政権が09年4月から導入した「海外子会社配当益金不参入制度」も引き継ぎ、海外子会社が日本の親会社に配当する利益の95%を非課税にする制度も開始しています。日本企業を国内にとどめるどころか、海外進出をあおっているのが実態です。

 大企業(金融・保険業と郵政3社を除く)の内部留保が09年度、前年度より約11兆円も増え、総額243兆9000億円となるなか、法人税減税は必要でしょうか。

 “一握りの大企業が潤えば、それが滴り落ちて、中小企業も労働者も豊かになる”という民主党の「新成長戦略」は、自民党政権が行ってきた破たん済みの経済政策そのものです。暮らし最優先の経済政策への転換こそが求められています。(松田繁郎)

(出所:日本共産党HP 2010年9月21日(火)「しんぶん赤旗」)

主張
法人税減税
財界奉仕の議論に根拠はない

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 発足したばかりの菅改造内閣の閣僚から法人税率引き下げを求める発言が相次いでいます。

 大畠章宏経済産業相は19日のNHK番組で「雇用の維持や中小企業、輸出産業を日本国内にとどめるため(法人税率の)5%程度の引き下げを決断する時期に入っている」とのべました。野田佳彦財務相も記者会見で「法人実効税率の見直し」を強調しています。

実際の負担率は低い

 法人税を減税すれば雇用や中小企業にも恩恵があり、輸出産業を国内にとどめることができるという議論には根拠がありません。

 経産省や財界は、日本の「法人実効税率」40%は飛びぬけて高いと言っています。しかし、40%はアメリカと同等の水準で、カリフォルニア州などでは日本より高い税率です。財界が注目する世界企業番付では、そのアメリカの企業が上位2000社のうち500社以上を占めています。

 「法人実効税率」は国の法人税率30%と地方の法人所得課税を併せた表面的な税率を示しているにすぎません。大企業は研究開発減税や外国税額控除をはじめとする数々の優遇措置を受け、実質的な税負担率は平均で30%程度にとどまっています。

 企業の公的負担は税金だけでなく社会保障の負担もあります。それを合わせて比べた財務省の調査によると、日本の大企業はドイツやフランスの大企業より2、3割低い負担にとどまっています。

 法人税を減税すれば雇用や中小企業にも恩恵があるかのように言うのは、“大企業優遇”の批判をかわす虚構でしかありません。

 大企業は5年連続で過去最高益を更新した2000年代にも、正社員を減らして非正社員に置き換え、正社員の賃金も抑制するリストラを進めました。その結果、過去10年のうち8年間は所定内給与が前年よりも減っています。大企業は空前の大もうけをあげながら雇用の破壊を続ける一方で、株主配当や役員報酬を増やすとともに巨額のため込み金を積み上げてきました。減税で大企業の利益を増やしてやっても、雇用に回る見込みはまったくありません。

 中小企業は内需低迷や大企業の下請け単価の買いたたきで7割が赤字決算を余儀なくされ、法人税を払えない状態です。しかも、中小企業は一定の所得までは軽減税率(18%)が適用されるため、法人税の基本税率(30%)引き下げで恩恵を受けるのは専ら大企業になります。

大企業本位を改めて

 経産省などの調査によると、企業が投資先を決める最大の要因は現地の市場としての魅力にほかなりません。だから、東京都の調査でも、8割の企業が法人税を10%減税しても日本に「回帰しない」と答えています。問題は法人税率ではなく、長年にわたって家計と内需を冷え込ませてきた日本経済のあり方そのものにあります。

 雇用と中小企業にしわ寄せし、ため込み金と利益を拡大してきた大企業の身勝手な行動が暮らしと経済を壊し、日本を「成長の止まった国」にしています。

 再び財界・大企業の身勝手な要求に従って法人税を減税し、その財源として消費税を増税する道は日本経済の未来を閉ざす道です。

 大企業本位から暮らしと中小企業優先へ、日本経済のかじを大きく切るときです。

(出所:日本共産党HP 2010年9月26日(日)「しんぶん赤旗」)

主張
経団連税制提言
身勝手が内需にとどめを刺す

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 日本経団連が14日、来年度「税制改正」の提言を発表しました。

 国民の不安と閉塞(へいそく)感を払しょくし、経済成長と豊かな国民生活のために税制と財政、社会保障を一体で「改革」していくことが急務だ―。提言は、このようにのべて消費税率の一刻も早い引き上げと法人税率の引き下げを改めて要求しています。

「究極のバラマキ」

 経団連の提言は、消費税率を速やかに「少なくとも10%」へ、さらに「2020年代半ばまでに…10%台後半、ないしはそれ以上」へ引き上げるよう求めました。法人税率は「先行して少なくとも5%」の引き下げ、早期に2けたの引き下げを求めています。

 暮らしと内需が冷え込んでいるときに、庶民に重くのしかかる消費税を大幅に増税して、大企業に減税を求めるという身勝手極まりない要求です。

 円高が進むと暗雲が立ち込めるように不安が広がる原因は、内需が弱くて外国の需要にしか希望を持てないような日本経済のあり方を抜きには考えられません。家計と中小企業に重い負担を強いる消費税増税は、低迷する内需にとどめを刺す無謀な財源策です。

 京都大学の中野剛志・助教は次のように指摘しています。「需要のない中での法人税減税は、この法人部門の貯蓄を増やすだけで国内投資を促進しない。…法人税減税こそ究極のバラマキだ」(『日経ヴェリタス』6月27日号)

 大企業はこの1年でため込み金を10兆円以上増やして250兆円規模に膨らませています。大企業は配当や役員報酬を増やす一方で賃金も研究開発投資も減らして利益をため込んでいます。法人税を減税しても株主や役員を潤わせ、「カネ余り」を広げるだけです。

 1990年代以降の大型プロジェクトと大企業・大資産家減税の大盤振る舞いで一気に膨らんだ財政赤字も、国民の不安と閉塞感の大きな原因です。「巨額の赤字は将来の増税となってはねかえってくるのではないか」「財政赤字があるから暮らしの予算を増やせないのではないか」という不安と閉塞感です。

 “だからいま、消費税を増税すべきだ”というのは何の解答にもなりません。国民の「将来の増税」への不安は、数ある税金の中でも特に国民の暮らしにかかる税金の増税に対する不安です。消費税の増税は、この国民の「将来の増税」への不安を現時点で実現してしまう最悪のやり方です。

 菅直人首相も「社会保障と財源は消費税を含めた一体的な議論が必要だ」と繰り返しています。暮らしの予算確保のためには消費税増税しかないかのような財界流の議論が横行し、国民の閉塞感をますます強めています。何より、消費税増税で生み出す財源のほとんどは大企業向けの法人税減税に消えていく計算になります。

閉塞状況打開の道は

 必要なのは雇用や中小企業にしわ寄せして利益を増やす大企業の行動を民主的なルールをつくって改めさせ、巨額の利益とため込み金を社会に還流させる改革です。それを通じて内需主導の成長を実現して税収を増やすことです。

 同時に5兆円もの軍事費にメスを入れ、行き過ぎた大企業・大資産家減税を是正する以外に閉塞状況を打開する道はありません。

(出所:日本共産党HP 2010年9月16日(木)「しんぶん赤旗」)
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尖閣諸島の領有権を主張する中国側の抗議が続く尖閣諸島の領有問題-日本共産党の主張ー

2010-09-21 03:16:28 | 国際政治
日本の領有は正当
尖閣諸島 問題解決の方向を考える

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 沖縄の尖閣(せんかく)諸島周辺で今月、中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突し、漁船の船長が逮捕されたことに対し、尖閣諸島の領有権を主張する中国側の抗議が続いています。日本共産党は、同諸島が日本に帰属するとの見解を1972年に発表しています。それをふまえ、問題解決の方向を考えます。

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歴史・国際法から明確

 尖閣諸島(中国語名は釣魚島)は、古くからその存在について日本にも中国にも知られていましたが、いずれの国の住民も定住したことのない無人島でした。1895年1月に日本領に編入され、今日にいたっています。

 1884年に日本人の古賀辰四郎が、尖閣諸島をはじめて探検し、翌85年に日本政府に対して同島の貸与願いを申請していました。日本政府は、沖縄県などを通じてたびたび現地調査をおこなったうえで1895年1月14日の閣議決定によって日本領に編入しました。歴史的には、この措置が尖閣諸島にたいする最初の領有行為であり、それ以来、日本の実効支配がつづいています。

 所有者のいない無主(むしゅ)の地にたいしては国際法上、最初に占有した「先占(せんせん)」にもとづく取得および実効支配が認められています。日本の領有にたいし、1970年代にいたる75年間、外国から異議がとなえられたことは一度もありません。日本の領有は、「主権の継続的で平和的な発現」という「先占」の要件に十分に合致しており、国際法上も正当なものです。

中国側の領有権主張は70年代から

 中国、台湾が尖閣諸島の領有権を主張しはじめたのは1970年代に入ってからです。1969年に公刊された国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の報告書で、尖閣諸島周辺の海底に石油・天然ガスが大量に存在する可能性が指摘されたことが背景にあります。台湾が70年に入って尖閣諸島の領有権を主張しはじめ、中国政府も71年12月30日の外交部声明で領有権を主張するにいたりました。

 たしかに、尖閣諸島は明代・清代などの中国の文献に記述が見られますが、それは、当時、中国から琉球に向かう航路の目標としてこれらの島が知られていたことを示しているだけであり、中国側の文献にも中国の住民が歴史的に尖閣諸島に居住したことを示す記録はありません。中国が領海法に尖閣諸島を中国領と書き込んだのは92年のことでした。それまでは、中国で発行された地図でも、尖閣諸島は中国側が「領海」とする区域の外に記載されていました。

日本の主張の大義を国際的に明らかに再発防止の交渉を

 日本共産党は72年、「尖閣列島問題にかんする日本共産党の見解」(同年3月31日付「赤旗」、『日本共産党国際問題重要論文集9』掲載)を出し、日本の領有権は明確との立場を表明しました。これは、歴史的経過や国際法の研究にもとづき、これらの島とその周辺が日本の領土・領海であると結論したものです。

 その後明らかになった歴史資料に照らしても、当時のこの見解を訂正しなければならない問題は、あらわれていません。

 領海は、国際法上、その国が排他的に主権を行使する領域です。尖閣諸島付近の日本の領海で、中国など外国漁船の違法な操業を海上保安庁が取り締まるのは、当然です。

 同時に、紛争は領土をめぐるものを含め「平和的手段により国際の平和、安全、正義を危うくしないように解決しなければならない」のが、国連憲章や国連海洋法の大原則です。その精神に立って日本外交には、第一に、日本の尖閣諸島の領有権には明確な国際法上の根拠があることを国際舞台で明らかにする積極的活動が必要です。

 第二に、今回のような事件の再発防止のため必要な交渉をおおいにすすめることが求められています。

 中国側も、事実にもとづき、緊張を高めない冷静な言動や対応が必要でしょう。

(出所:日本共産党HP  2010年9月20日(月)「しんぶん赤旗」)

尖閣諸島は日本領なのですか?

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 〈問い〉 尖閣諸島を日本領土としたのは、日清戦争中だったと聞いています。日清戦争で日本の植民地となった台湾は戦後、中国に返還したのに、なぜ、尖閣諸島は日本領なのですか?(東京・一読者)

 〈答え〉 尖閣諸島は、魚釣島、北小島、南小島、久場島、大正島の五島と、沖の北岩、沖の南岩、飛瀬岩の三岩礁からなり、面積は5・56平方キロメートルで、甲子園球場の約百四十個分の広さです。

 一八八五年(明治十八年)以降、日本政府は再三にわたり現地調査し、これが無人島であるだけでなく、清国の支配が及んでいる痕跡がないことを確認の上、一八九五年一月十四日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行ない、日本の領土に編入しました。その後、日本人が居住して、かつお節工場がつくられるなど、日本が実質的に支配してきました。

 この時期が日清戦争(一八九四年八月~九五年四月)と重なっていたことから、中国は、日本が戦争に乗じて尖閣諸島を不当に奪ったと主張しています。しかし、尖閣諸島の編入は不当な領土拡張ではなく、日清戦争とはまったく無関係です。

 日清戦争終結のための日清講和条約(一八九五年四月)は、台湾・澎湖諸島の日本割譲を決めました。これが日本側の不当な領土拡張であることは明らかですが、このなかに尖閣諸島は入っていません。交渉過程でも尖閣諸島の帰属問題はとりあげられませんでした。

 一九四五年、日本の敗戦により、カイロ宣言およびポツダム宣言にしたがって、台湾と澎湖諸島など日本が中国から不当に奪った地域は中国に返還されました。尖閣諸島はこのなかに含まれず、中国側も日本のポツダム宣言の受諾当時、尖閣諸島を要求していませんでした。

 この事実から、尖閣諸島の領有権が日本にあることは明らかですが、一九七一年以後、中国も領有権を主張しています。

 日本共産党は、領有権問題は平和的な話し合いを通じて、解決することが必要だと表明しています。(喜)

(出所:日本共産党HP 2004年4月1日(木)「しんぶん赤旗」)

尖閣列島の領有権問題をどう考える?

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  〈問い〉 最近、一部の新聞が、衆院安全保障委員会が尖閣諸島を視察すると報じました。日本共産党は、視察には反対であると表明しましたが、尖閣諸島の領有権の問題をどう考えていますか。(鹿児島・一読者)

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 〈答え〉 七月二十九日付産経新聞は、衆院安全保障委員会が尖閣諸島が「日本の領土であることを宣言」するために同諸島を視察し「魚釣島に上陸して日の丸を掲揚する予定」であるとして、日本共産党を含む各党がそれに賛成しているかのようにゆがめて報道しました。しかし、八月三日に開かれた同委員会理事会での再度の論議でも結論はでず、日本共産党、公明党、社民党は視察に反対しました。

 尖閣諸島の領有権が日本にあることは明らかですが、中国も領有権を主張しています。日本共産党は、この問題は話し合いを通じて、平和的に解決することが必要だと考えています。国会が挑発的な行動をするなどは論外です。

 尖閣諸島の最初の領有行為は、一八九五年(明治二十八年)にさかのぼります。日本政府は、それまで無人島でどこの国の領土とも決まっていなかった尖閣諸島を日本に編入。沖縄県の所轄とし、日本人が居住してかつお節工場がつくられるなど、日本が実質的に支配しました。

 この日本への編入自体は、侵略戦争などによる不当な領土拡張ではありません。たとえば日清戦争で日本が中国から不当に略取した台湾・澎湖(ほうこ)諸島などの地域は、第二次世界大戦後、中国に返還されましたが、それに尖閣諸島は含まれていません。当時中国も尖閣諸島を要求することはありませんでした。中国は七一年以降、尖閣諸島の領有権を主張するようになりましたが、それ以前の中国や台湾の地図でも、尖閣諸島は自国の領域外におかれていました(六〇年代までの中華人民共和国発行の全中国の地図など)。(絹)

(出所:日本共産党HP )
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1949年から開始された「レッド・パージ」被害者の名誉回復と国家賠償を今こそ

2010-09-13 04:28:53 | 国内政治
主張
「レッド・パージ」
名誉回復と国家賠償を今こそ

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 日本共産党員やその支持者であるというだけの理由で「企業破壊者」などのレッテルを張られ、職場を追われた「レッド・パージ」被害者の人権救済申し立てを受け、日本弁護士連合会(宇都宮健児会長)があらためて被害者の名誉回復と補償などの措置を政府に勧告しました。2008年10月に続き2回目の勧告です。

 長崎や横浜の弁護士会でも勧告がだされており、国家賠償を求めた裁判も始まっています。申立人の救済にとどまらず、3万人ともいわれる犠牲者すべての名誉回復と補償が急いで求められます。

歴史の誤りをただす

 「レッド・パージ」は、戦後の日本が、連合国軍総司令部(GHQ)の支配の下、事実上アメリカの単独占領下に置かれた1949年から50年にかけ、労働運動が活発だった公務員や民間の職場などで無法・不当な解雇や免職処分を受けた事件です。有無をいわせず職場から追い出された人は、苦しい生活のなか解雇の撤回を求め、粘り強くたたかってきました。

 日弁連の勧告は、日本共産党員かその「同調者」であることだけを理由にした「レッド・パージ」について、「思想・良心の自由及び結社の自由の侵害であり、重大な人権侵害行為であった」と指摘しています。それは文字通り、歴史の誤りへの断罪です。

 「レッド・パージ」は、米占領軍と日本政府による労働運動の右傾化と民主運動の弱体化をねらった日本共産党への大弾圧でした。日本政府はGHQの指示を絶好の機会として、閣議決定まで行い、使用者・経営者を扇動し、解雇を強行しました。

 勧告は、この歴史的経過について、レッド・パージは「日本政府も自ら積極的にその遂行に関与し、または支持して行われた」として、日本政府の責任を明らかにしています。08年の日弁連勧告は自公政権の麻生太郎首相に提出されました。麻生政権は勧告にこたえませんでした。今回の勧告は、民主党政権の菅直人首相にあてられています。菅政権が2度目の勧告にどうこたえるかが問われます。

 日弁連勧告が前回も今回も、52年のサンフランシスコ条約で日本が形のうえでは独立を回復した後、「日本政府として…被害回復措置を容易に行うことができたにもかかわらず、今日までこれを放置してきた」とし、「国の責任は重い」とのべていることは重大です。

 これまで日本政府は、「レッド・パージ」が占領軍による超法規的な命令だったことをたてに解雇された人たちの救済を認めてきませんでした。人権侵害を救済すべき司法も、その責任を果たしてきませんでした。そうした誤りはいまこそ正されるべきです。

民主主義をすすめるため

 弁護士会という日本の司法の一翼を担う法律家の公的組織が、再三の勧告で「レッド・パージ」被害者の救済を求めたことは重く受け止められるべきです。憲法にもとづき民主主義を前にすすめるために、歴史の誤りはあいまいにされるべきではありません。

 同時に日弁連の勧告が、職場の思想差別が克服されていない現状をあげ、思想信条の自由、法の下の平等の保障を「現代的な人権課題」としていることも重要です。「レッド・パージ」被害救済の今日的な意義も、ここにあります。

(出所:日本共産党HP 2010年9月4日(土)「しんぶん赤旗」)

日本共産党 知りたい聞きたい
レッド・パージってなんですか?

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 〈問い〉 レッド・パージとはなんですか? どれくらいの人が職を追われたのですか?(千葉・一読者)

 〈答え〉 レッド・パージとは1949年~50年、アメリカ占領軍の指示で政府や企業が強行した日本共産党員とその支持者にたいする無法・不当な解雇のことです。推定で4万人以上が職場を奪われました。

 戦後、日本を占領したアメリカは、労働運動や民主的運動の発展、49年総選挙での日本共産党の躍進(35人当選)、中華人民共和国の成立(同年10月)などに直面して対日政策を180度転換させました。48年12月のA級戦犯容疑者釈放につづき、戦争協力者約20万人の公職追放を解除する一方、49年4月には、「団体等規正令」を公布して、共産党員を登録制にし、戦前の特高警察の流れをくむ公安警察を復活させるなど、民主的な勢力にたいする凶暴な弾圧にのりだしました。

 とくに、職場や労働組合への共産党の影響力をいっきょに壊滅させるため、松川事件(49年8月)など一連の謀略事件をでっちあげ、国民に共産党への恐怖心をあおりたてました。

 レッド・パージは、こうした情勢のもとで3つの段階を経て強行されました。49年の定員法による官公庁の「行政整理」のなかで1万人以上、民間の企業整備のなかで2万人以上の活動家が追放され、つづいて一方的な「不適格者リスト」によって、民主的な教員1100人が教壇から追われました。

 朝鮮戦争の勃発(50年6月25日)を前後し、連合国軍最高司令官マッカーサーは共産党中央委員の公職追放を指令するとともに公然とレッド・パージを指示し、政府は「共産主義者等の公職からの排除に関する件」を閣議決定しました。こうして、新聞、放送を皮切りにした文字通りのレッド・パージはやがて電力、石炭、化学、鉄鋼、造船、国鉄、電通など全産業に広がり、「企業の破壊者」「暴力分子」の烙印(らくいん)を押され職場から追われた犠牲者は1万3000人を超えました。

 レッド・パージは国民の基本的人権を明確にうたった憲法をふみにじった無法な弾圧でした。いま各地で犠牲者が名誉回復と国家賠償を求めて立ち上がっているのは当然です。多くの労働組合などがこれに協力しているのは、ふたたびこんな無法を許さない保障をつくる上で重要な意味をもつからです。(喜)

(出所:日本共産党HP 2005年4月2日(土)「しんぶん赤旗」)
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衆院比例定数80削減は大政党独裁への道ー民意を最大に反映する選挙制度へすることが必要ー

2010-09-06 13:53:18 | 国内政治
比例定数80削減
小選挙区制の害悪いっそう

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 菅直人首相(民主党代表)が執念を燃やす衆院比例定数の80削減。同党代表選でも菅首相は「衆議院で80議席、参議院で40議席の国会議員の定数削減について年内に党の方針を取りまとめる」と政見に明記しました。民主党としても2003年総選挙以来、マニフェストに「比例定数80削減」を掲げ続けています。しかし、比例部分の削減論議は、現在の選挙制度の導入の経過に照らしても、選挙制度のあるべき基準に照らしてもまったくなり立たないものです。

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大政党本位に民意歪める

 小選挙区比例代表並立制が導入されてから、これまで5回の総選挙(1996年、2000年、03年、05年、09年)が行われました。浮き彫りになったのは、大政党本位に民意を大きくゆがめ、少数政党を排除する小選挙区制の害悪です。

 グラフ(1)は、直近2回の総選挙で民主、自民両党が小選挙区で得た得票率と議席占有率(小選挙区全300議席に対する割合)です。

 05年総選挙で自民党が得た296議席のうち219議席は小選挙区のもの。小選挙区での同党の得票率は47・8%でしたが、議席占有率は73%にもはねあがりました。

 政権交代がおきた09年総選挙でも“4割台の得票で7割議席”となりました。大勝した民主党は小選挙区の得票率は47・4%で過半数に達しませんでしたが、議席占有率は73・7%(221議席)となったのです。

 こうした得票率と議席占有率のズレが生まれるのは、小選挙区制が民意をゆがめる制度だからです。各選挙区で最大得票数の候補者1人しか当選できないため、それ以外の候補者の得票は議席に結びつかない「死に票」となります。「死に票」は、05年衆院選で3300万票(小選挙区投票総数の48・5%)、09年総選挙では3270万票(同46・3%)にのぼります。

 一方、比例代表は180の定数を全国11のブロックに分けているため、大政党に有利ながらも、小選挙区に比べれば格段に民意を反映したものとなっています。

 仮に衆院の総定数(480)を各党の比例票で配分すると、グラフ(2)のようになり、民意をふまえて少数政党の議席も確保されます。

民主党“一党独裁”状態に

 小選挙区制の弊害が浮き彫りになるなか、民主党が主張する比例定数の80削減が強行されればどうなるでしょうか。

 小選挙区定数300、比例代表定数100となり、総定数に対する小選挙区の比重は62・5%から75%へと一気に高まり、単純小選挙区制に限りなく近づきます。

 各比例ブロックの定数は四国ブロックが6↓3、北海道が8↓4、中国ブロックが11↓6、北陸信越ブロックが11↓6など大幅に減り、民意を正確に議席に反映する比例代表制の長所が大きく損なわれ、大政党に有利な仕組みにほぼ完全に“変質”してしまいます。

 これらの問題は、各党の議席に端的にあらわれます。

 09年衆院選結果で比例定数80削減のもとでの議席を試算すると、民主党は42・41%の比例得票率で、小選挙区も含め衆院議席の68・50%を占め、同党だけで3分の2以上の議席を得ることになります。自民党の議席占有率は比例得票率とほぼ同じ。一方、日本共産党をはじめ他の党は30・86%の比例得票率を得ながら、議席はわずか8%に押し込められます。(グラフ(3))

 3分の2以上の議席を占めれば、参院で法案が否決されても、民主党単独で衆院で3分の2以上で再議決・成立させることが可能となり、まさに“一党独裁”状態となってしまいます。

“虚構の多数”で悪政次々

 「消費税など国民につらくて苦しいことを訴えるのが選挙制度改革の本質」。いま自民党政調会長を務める石破茂衆院議員は1993年当時の国会で小選挙区制導入の狙いをこう述べ、細川首相(当時)も「まったくその点は同感だ」と答えました。国民に痛みを強いる政治をすすめるうえで、それに反対する声を締め出すのが小選挙区制導入でした。

 表は、この10年間に政権与党が国会で強行した主な法律や政策です。なかでも「聖域なき構造改革」を掲げて2001年に小泉政権が誕生して以降、医療・介護・年金の大改悪や労働法制の規制緩和、自衛隊の海外派兵などが急速に推し進められました。

 05年総選挙は小選挙区制の“虚構の多数”の害悪を劇的に示しました。小泉政権は郵政問題一本に争点をしぼるという国民を欺く手法をとり、自公は衆院議席の3分の2を超える327議席を獲得。政権退場となる09年総選挙まで「与党3分の2議席」を使って国民が反対する法案を強行してきました。福田、麻生両政権下では実に9回も再議決が強行されています。

共産党 民意反映の制度に

 日本共産党は、比例定数の削減は議会制民主主義を根底から覆す問題だとして、断固反対し、比例定数削減反対の一点で一致する、すべての政党、団体、個人に日本の議会制民主主義を守るための共同のたたかいをよびかけています。同時に、「国民の声を反映する民主的選挙制度とは何かを正面から議論すべき」(志位和夫委員長)だと考えています。

 選挙制度のよしあしを測る最大の基準は、民意を正確に議席に反映するかどうかです。この立場から日本共産党は、衆院選挙制度について主権者・国民の意思を正確に反映できない最悪の選挙制度である小選挙区制を廃止し、比例代表など民意を反映する選挙制度に改めるよう提案しています。

 また政党助成金の撤廃、選挙供託金の国際水準なみへの引き下げ・選挙活動の自由化などを求めています。

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導入の経過からも成り立たず
「比例で民意を反映」と約束

 現在の衆院の選挙制度である小選挙区比例代表並立制は、「金権腐敗をなくす政治改革」を口実に、「非自民」の細川護煕内閣が1994年に導入しました。

 そもそもの政府案は、小選挙区250、全国区の比例代表250という内訳でしたが、細川首相と野党だった自民党の河野洋平総裁との「修正」協議で、小選挙区300、全国11ブロックの比例代表200へと、比例部分が大幅に切り縮められてしまいました。

 日本共産党は当時から「国民の民意が議席に正しく反映する、これが選挙制度の最大の基準だ」(志位和夫書記局長=当時)と主張。小選挙区比例代表並立制は3割台、4割台の得票率で、6割もの議席を占めることになるとの試算も示し、民意をゆがめ、国民多数の意思を切り捨てると批判しました。

「民意集約」を批判

 政府は「小選挙区によって民意の集約を図っていく、比例制によって多様な民意の反映を図っていく、(民意の)集約と反映が相まって、健全な議会制民主主義が実現される」(細川首相)などと、「民意の集約」論を持ち出してきました。

 それにたいしても、日本共産党は「結局、国民の少数の支持しかなくても国会で多数を握り、政権をつくれる。少数の支持しかなくても政権をにぎりつづけようというのが民意の集約論だ」(志位氏)と批判。「代表民主主義の原点に立って、正確、正当な選挙によって国会が選出されることが憲法の要請」だと主張しました。

 政権選択に向けた「民意の集約」としての小選挙区制をあくまでごり押しする一方で、細川首相も、「確かに小選挙区というのは、いわゆる『死に票』などが多いというようなことが言われておりますが、その『死に票』などを補うということで今度の改正案におきましては比例制度を加味したわけであります」(94年1月10日、参院政治改革特別委員会)と答弁。小選挙区の負の部分と、多様な民意を国政に反映させるという比例代表の役割を認めざるを得ませんでした。

比例部分切り縮め

 実際には、細川首相が小選挙区と比例制と半々で「相補う」とした並立制は、自民党との「修正」で比例部分が200に減り、その後、180にまで削られました(2000年)。その結果、日本共産党が一貫して主張してきた通り、民意をゆがめ、“虚構の多数”をつくりだすという小選挙区制の害悪はいよいよあからさまとなりました。

 細川氏や、細川内閣で首相特別補佐を務めた田中秀征元経済企画庁長官らは最近、比例定数削減を批判する発言(別項)をしています。

細川護煕元首相も批判

 「最初の政府案は小選挙区250、全国区の比例代表250でしたが、法案成立時は小選挙区300、ブロック制の比例代表200。いまは300と180。だんだん二大政党制に有利になっています」「(民主党の比例代表80削減案について)それはよくない」「私は選挙制度は中選挙区連記制がいいとずっと思っていました。日本人のメンタリティーからすれば、小選挙区で『白か黒か』という選択をし、敵対的な政治になるのは好ましくない」(「朝日」09年8月9日付)

田中秀征元経済企画庁長官

 「比例定数の削減は容易だが、これは制度の根幹理念に抵触する。単に『政治の無駄使い排除』の政策目的のためにすることは許されない」「菅首相は、自ら93年の細川護煕政権で、小選挙区250、全国比例250の“並立制”を推進したではないか。比例定数の大幅削減は“並立制”の根本理念に反するものだ」(「ダイヤモンド・オンライン」10年8月5日付)

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 小選挙区比例代表並立制 衆院議員の総定数480を、1選挙区から1人の議員を選ぶ小選挙区選挙(定数300)と、政党の得票に応じて議席を配分する比例代表選挙(同180)という二つの選挙から選ぶ制度。比例代表は全国11にわけた比例ブロックで選びます。有権者は1人2票もち、小選挙区選挙で候補者名、比例代表選挙では政党名をそれぞれ書いて投票します。

小選挙区制は世界の流れにも逆行

 民主党の比例定数80削減の方針は、単純小選挙区制への“一里塚”とでもいうべきものですが、それは世界の流れにも逆行するものです。

 OECD(経済協力開発機構)加盟32カ国中、日本の衆院にあたる下院の選挙区すべてが小選挙区という国は、英、米、仏、カナダ、オーストラリアの5カ国にすぎません。ヨーロッパを中心に約20カ国が比例代表制度を採用し、その他もほとんどが、小選挙区と比例の併用、並立制となっています。

 民主党が議会制度の「モデル」としている英国でも、現在、小選挙区制見直しの動きが出ています。

 英国では従来、保守党と労働党の「二大政党」のいずれかが過半数を占めてきましたが、今年5月の総選挙の結果、どちらも過半数をとれず、保守党と第3党の自由民主党との連立政権が誕生しました。同連立政権は、新しい選挙制度(修正小選挙区制)を提案し、来年5月5日には国民投票が準備されています。

 また、同国はEU(欧州連合)諸国のなかで唯一、EU議会選挙を小選挙区制でおこなってきましたが、1999年の選挙から比例代表に変更しています。

(出所:日本共産党HP  2010年9月6日(月)「しんぶん赤旗」)

参議院改革・政治的民主主義

参議院の「一票の格差」を抜本是正し、民主主義が花ひらく社会をめざします

 参議院の「一票の格差」を抜本的に是正します……09年9月、最高裁は、選挙区間の格差が最大4・86倍だった07年参院選挙をめぐる「一票の格差」訴訟で、「投票価値の平等の観点から大きな不平等があった」とし、国会が速やかに「適切な検討」をおこなうよう求めました。さらに、格差の大幅な縮小を図るためには「現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘しています。これは、憲法で保障された「選挙権の平等」からみて当然です。日本共産党は、2013年の選挙までに、民意を正確に反映させるためにも現行の選挙制度を見直し、「一票の格差」を抜本是正することが必要と考えます。

 その際、参院の現行総定数(242人)削減に反対し、民意を正確に反映する比例代表制度を守ります。参院議員数は他国の第二院と比較しても、人口に対する議員比率からみても多すぎるということはありません。定数削減は、主権者である国民の声を国政に反映しにくくするものです。現行の全国一区の比例代表制は、実際の選挙でも得票率と獲得議席比率はほぼ同じです。比例代表制は、主権者である国民の意思と選択を議席の上に正確に反映させることのできる民主的な制度です。

 民意が参議院の審議と運営に正しく反映されるためには、少数会派の意見が尊重されることが必要です。ところが、参院では、10人未満の会派を議会の交渉団体として認めず、議院運営委員が割り当てられていません。本会議質問も著しく制限する議会運営が続けられています。

日本共産党は、ただちに、以下の内容で改善をもとめてゆきます。

(1)10人未満会派にも、議院運営委員会の委員を割り当てること。

(2)重要法案などについては、小会派にも本会議質問の機会をふやすとともに、十分な質問時間を確保すること。

 国会議員定数削減に反対し、国民主権にふさわしい民主的な選挙制度をめざします……09年8月の総選挙について、「1票の格差」があるとして、全国10カ所の高裁(1支部を含む)で提訴され、そのうち現在まで4つの高裁で「違憲」、3つの高裁で「違憲状態」との判決が下されました。衆参各選挙での格差是正にとりくむ課題は、基本的人権と民主主義の観点から、党派を超えた焦眉の課題となっているといわなければなりません。

 同時に、日本共産党は、衆院の選挙制度について、民意を乱暴にゆがめる小選挙区制をただちに廃止し、全国11のブロック別比例代表で選出できるようにすることを提案します。また、各党との協議の中で、かつての中選挙区制に戻すことについても検討に値すると考えます。

 ところが、自民・民主両党はもちろん、最近次つぎと誕生した新党は、「国会議員定数削減」を競い合っています。

国会議員定数についての各党の参院選にむけた主張

民主党
衆院比例定数を80削減、参院定数は40削減

自民党
国会議員定数を3年後に1割、6年後に3割削減

公明党
衆参それぞれ選挙制度を変えて、定数を削減

みんなの党
衆院180削減、参院142削減

新党改革
国会議員の定数を半減させる

たちあがれ日本
衆院80、参院42削減

日本創新党
国会議員や地方議員の定数を半減

 定数削減が強行された場合を2009年総選挙の結果にあてはめると、民主党と自民党の「2大政党」を中心とした勢力で95%前後の議席を独占してしまいます。そうなれば消費税増税反対、辺野古への米軍新基地押しつけ反対、憲法9条を守れなどの国民多数の声が国会から締め出され、暮らしや平和を破壊する政治が思うままにすすめられてしまいます。定数削減の真の狙いは、ここにあります。日本共産党は、国会議員定数の削減に反対し、主権者国民の意思を反映できる議員数を確保するよう主張します。

 衆参の国会議員は、80年代には、それぞれ512(衆院)、252(参院)の定数がありました。ところが、この20年のあいだに衆参ともに定数が削減され、現在では、衆院480(最高時からマイナス32議席)、参院242議席(同10議席)となっています。ただ定数が削減されただけでなく、前述のように選挙制度そのものが民意をゆがめる制度とされたために、国民の声が国会に届きにくくなりました。

 もともと日本の国会議員定数は、人口比で比較すれば、世界でも最下位の部類に属します。人口1000万人以上の国で、二院制がある国は、世界で41カ国となりますが、人口10万人あたりの国会議員数は、日本は下から9番目の33位です。G7(主要7カ国)で比較した場合でも、州議会が独立国家なみの権限をもつ連邦国家のアメリカをのぞけば、日本が最下位(人口10万人あたり0.38人)です。(イタリア1.07人、イギリス1.06人、フランス0.93人、ドイツ0.74人)

「むだの削減」というなら政党助成金の全廃を……定数削減を主張する政党は、その理由について、(1)国会議員も“痛み”を分かち合う必要がある、(2)ムダを削減するため――などと主張しています。しかし、これらは道理も根拠もないどころか、国民主権の原理からみても有害な議論でしかありません。真剣に“痛み”を分かち合い“ムダを削減する”というのであれば、なによりも年間320億円にもたっする政党助成金をきっぱり廃止することこそ求められています。かりに全額廃止することになれば、その影響は、現在の国会議員の6割に相当する450人を削減した分に相当します。

 政党助成制度は、もともと「政治とカネ」の黒い関係が次つぎと暴露されるもとで、「企業・団体献金の禁止」とセットで1994年に導入されたものでした。ところが、「政治とカネ」の黒い疑惑は、政権交代後も途切れることなく国政の大問題となりつづけてきました。片方の手で国民の税金である政党助成金をうけとりながら、もう一方の手で企業・団体献金を受けとり、さらに闇のカネまで手にしていることが明らかになっているのです。いまこそ、政党助成金を全廃するとともに、企業・団体献金の全面的な禁止が必要です。日本共産党は、政党助成金も企業・団体献金も廃止や禁止を主張しているだけでなく、それをうけとらないことをみずから実行しています。心ある政党なら、こうした行動は、いますぐにでも実行できるはずです。

 政党助成金制度が導入されて15年がたち、この間に各党が受け取った金額は、自民党2364億円、民主党1381億円、公明党375億円、社民党323億円にもなります(2010年予定額を含む)。この制度は、“企業・団体献金をなくす代わりに”などという口実で設けられたものですが、この約束は反故にされつづけ、いまや“企業・団体献金も、政党助成金も”のありさまです。

民主党の収入の8割、自民党の収入の6割が政党助成金でまかなわれています。自民党も民主党も「官から民へ」などといいますが、自分たちこそ税金を食いものにする“国営政党”“官営政党”です。日本共産党は、国民の税金から政党が活動資金を分け取りすることは、その党を支持していない国民にも有無をいわせず“献金”を強制するものであり、「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」に反する憲法違反の制度であると厳しく指摘し、受け取りを拒否してきました。政党助成金制度はきっぱり廃止します。

 一方で、永田町のなかでは、ひきつづき「世襲」が問題になっています。少なくない自民党や民主党の議員が「世襲」議員です。しかも、政治資金団体を世襲しても、税金をおさめる必要はいっさいありません。これも、多額の相続税を負担している国民からみれば政治家の異常な特権の1つというべきものです。日本共産党は、政治家の世襲に反対するとともに、最低限、政治資金団体の世襲については、世間並みかそれ以上の相続税を課すことを要求します。

 公選法改正など、選挙活動の自由拡大を求めます……日本の公職選挙法は、「べからず選挙法」といわれるように、さまざまな規制が設けられています。これは政治的民主主義や国民の参政権の保障という点でも、重大な問題です。国政選挙に立候補する場合、供託金は比例代表で600万円、選挙区で300万円必要です。1回の選挙に立候補するのに、これだけの資金を融通できる一般国民がどれだけいるでしょうか。諸外国の供託金は、隣の韓国が180万円、欧米諸国は、ほとんど10万円前後です。日本共産党は供託金を大幅に引き下げることを求めます。

 また、戸別訪問の禁止をはじめ、選挙期間中のビラ、ポスターの配布規制、インターネットを使った選挙活動規制など「禁止・規制法」としての性格をもっている公職選挙法を改め、主権者である国民が気軽に多面的に選挙に参加できる制度に変えることを要求します。

 世界の8割以上の国で実施されている18歳選挙権の実現をめざします。

議会制民主主義の形がい化につながる「国会改革論」に反対します……民主党などは、「政治家同士の議論をおこなうために」などという口実のもとに、「国会改革」を強行しようとしています。その内容は、(1)内閣法制局長官をはじめとする官僚の国会答弁をいっさい禁止し、(2)国会審議とは別に行政官僚などの「意見聴取会」を設定する――などというものです。

 こうした議論は、国会の機能を否定し、議会制民主主義を形がい化するものでしかありません。第1に、予算の策定や法律の制定、条約の承認などとともに、行政を監督するという国会の権能を事実上、否定することになるということです。国の行政が法律にもとづいて中立・公正に運営されているかどうか、執行状況に問題点がないかなどは、国会審議を通じて国民の前に明らかにされます。行政監督権を立法作業から切り離してしまえば、法律そのものの制定にも重大な支障をきたすことになりかねません。

 第2に、なによりも重大なのは、法制局長官を国会答弁にたたせないことによって、国連などの「国際機関」や「国際社会」の要請があれば、日本の自衛隊も武力行使に参加できるという民主党流の解釈改憲を現実のものにしようという思惑があります。

 「国会改革」というなら、いま早急に必要なのは、衆参いずれかの院で10議席以上なければ党首討論ができないというような、少数政党を不当に国会審議の場から排除したり、発言の機会を少なくしたりしている規定を抜本的にあらためることです。

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