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軍事・安全保障に関する情報を覆い隠すための「秘密保護法制」の制定に向けた新たな動き

2008-08-24 00:19:35 | 国内政治
主張
「秘密保護法制」
狙いは国民の目をふさぐこと

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 軍事・安全保障に関する情報を覆い隠すための「秘密保護法制」の制定に向けた新たな動きが、政府のなかで強まっています。最近注目されるのは、経済産業省の「技術情報等の適正な管理の在り方に関する研究会」(座長=土肥一史一橋大学大学院教授)が先月二十八日出した報告書です。

 報告書は企業や大学の技術情報の管理強化を狙ったものですが、そのなかで、軍事情報の秘密化と漏えい防止の「適切な規律を設けるべき」だと「秘密保護法制」の制定を求めています。

戦争態勢づくりと一体
 経産省の報告書は、軍事や原子力施設防護の秘密情報の保全が「秘密の対象、行為主体、対象行為は非常に限定的」であり、罰則も個別法で他の分野との「差異が大きい」とのべて、「秘密保護法制」の必要性を説いています。「秘密保護法制」について政府の情報機能強化検討会議が今年二月に示した、「研究の継続」に比べ、今回の報告は一歩ふみこんでいます。

 「秘密保護法制」は軍事・安全保障の秘密情報の漏えい防止をたてに、マスメディアと国民の知る権利をじゅうりんする憲法違反の悪法です。日米軍事同盟の侵略的強化やアメリカとともに海外でたたかう態勢づくりを進めるために、国民の目と口をふさぐなどとうてい許されることではありません。

 政府はこれまで、アメリカいいなりに秘密保護の措置をとってきました。日米相互防衛援助協定にもとづく秘密保護法や米軍地位協定にもとづく刑事特別法、国家公務員法や「改正」自衛隊法によって秘密漏えい防止措置は強まっています。戦争態勢づくりの実態を国民は知ることが困難になっているほどです。

 アメリカは日本政府がとったこれまでの措置に満足せず、適用対象者や対象情報などを拡大し、保全措置の強化を求めています。

 とくに、日本を海外で米軍とともに戦争させるため、米軍の秘密情報を日本に共有させる条件としてアメリカ並みのきびしい秘密保護法の制定を求めています。実際、経産省の報告書も秘密保護法の制定を求める論拠に、「機密情報を保護する法律の立法化」を日本に要求したアーミテージ元米国務副長官の二〇〇〇年の報告をあげています。

 政府は、昨年八月結んだ「日米秘密軍事情報保護協定」にもとづく国内法化も狙っています。

 見過ごせないのは、経産省の研究会の提起には国民すべてを適用対象にする危険があることです。報告書ではアメリカの秘密保護法が一般国民を対象にしていることを詳しく図示しています。自衛官など特定の人々だけでなく、メディアや一般国民も秘密保護法の対象にすることを含んだ提案であるのは、否定できません。

過ちをくりかえすな
 戦前、政府は「軍機保護法」などの秘密保護法をつくり、国民が政府・軍部の情報を知ることをいっさい禁止しました。国民の目と口をふさいだことが侵略戦争につながったことは、歴史的な事実です。

 戦前の過ちをくりかえさせるわけにはいきません。知る権利を保障した現憲法のもとで「秘密保護法制」は認められません。平和の願いに反する危険なくわだてを許さないたたかいが重要です。

(出所:日本共産党HP 2008年8月21日(木)「しんぶん赤旗」)
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「教育のつどい2008」(教研全国集会)-京都市内の各会場で二十八の分科会討論-

2008-08-24 00:17:32 | 国内教育
教育のつどい始まる
父母・教職員語り合う 21世紀の未来ひらく
京都で開催

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 父母・市民、教職員が子どもや教育について語り合う「みんなで二十一世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2008」(実行委員会主催)が二十一日、京都市の「みやこめっせ」で開かれた開会全体集会でスタートしました。

 四千人がつめかけた会場には、仮設の能舞台がしつらえられ、教育をテーマにした狂言師の茂山あきらさんの創作狂言に笑い声がはじけました。作家で九条の会呼びかけ人の井上ひさしさんの講演に参加者が大きくうなずいていました。

 実行委員会を代表してあいさつした全日本教職員組合の米浦正委員長は、改定学習指導要領の押しつけに対し、それぞれの学校で教育課程の民主的編成と豊かな教育実践をつくりあげ、貧困と格差の拡大を許さず子どもたちの学び、働く権利を守るため、父母・国民、教職員が力を合わせようと訴えました。

 地元・京都の教職員、父母、高校生が「いま翔(と)ぼう! きみと」と題して構成劇を披露。学校現場を描いたコントに「うちと同じや」の声が会場からおき、「先生うちの子頼んます」との父親たちのコーラスに大きな拍手がわきました。

 京都府宇治市の主婦(54)は、「憲法は生かせると希望がわいた。『愛国心』押しつけをはねかえすため教師だけでなく父母も力をだしていかなければ」と語りました。大阪府の小学校教員(55)は「困難なクラス、多忙化に負けそうになるけど、みんなで集まることではねかえせると思った」と語っていました。

 「教育のつどい」は二十四日まで四日間、開かれます。

(出所:日本共産党HP 2008年8月22日(金)「しんぶん赤旗」)

教育のつどい2008分科会
学校で自分好きに

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 二十二日、京都市内の各会場で二十八の分科会討論が始まった「教育のつどい2008」(教研全国集会)では教育をよくしようという親たちの活動、平和学習の実践など多彩な報告がありました。定時制の高校生も文化祭の取り組みを紹介するなど活発な議論が繰り広げられました。

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文化祭 一緒につくる
定時・全日 生徒が交流
 すれちがいだった定時制と全日制の生徒が、文化祭の取り組みを通じてあいさつを交わすようになった―。「思春期・青年期の進路と教育」の分科会では長野県の木曽・木曽青峰高校夜間定時制から生徒会を中心とした活動が報告されました。

 生徒会顧問の教師(48)は、赴任した二〇〇〇年の文化祭で定時制の生徒がファイアストームに参加せず、廊下からながめているのを見て心をいためました。定時・全日の文化祭の準備の様子をビデオに撮り全生徒で見るなど、全員参加の文化祭への取り組みをすすめました。

 男性(18)は、「全日との交流」を掲げ〇七年に生徒会長になりました。みんなの意識を踏まえて取り組もうと、全日の生徒も対象に意識アンケートを実施しました。そこには「一緒に盛り上がろう」「まずあいさつしあえば?」など交流への思いが書かれていました。生徒会はこれを「定時制と全日制の相互理解のために」という小冊子にまとめ、配布しました。

 その年の文化祭には定時制の生徒も前夜祭にカラオケとダンスで参加、ジャズ喫茶も出店しました。定時制側の実行委員長(18)は、「全日制の人にあいさつをしても返事がないことが多かったが、『お疲れ。今からか、大変だな』と声がかかるようになった」といいます。

 今年も先月、文化祭が開かれました。準備の打ち合わせをやろうと全日制から声がかかってきました。模擬店も出し定時制のしめる役割は毎年、大きくなってきています。

 生徒会会長を引き継いだ実行委員長はいいます。

 「小学二年から中学三年まで、引きこもっていました。そんな僕がどうして変わったか。一つ言えるのはこの学校に入ったことが大きかった。定時は自分が好きになるところです」

学校訪問10年 予算増
教育条件
 「教育条件確立の運動」をテーマにした分科会では、住民の42%の署名を集める運動でいったん民営化された学校給食を公営に戻した(兵庫県稲美町)など、教職員と父母・住民の共同を広げている経験が出されました。教職員だけでなく二人の父母からもリポート報告がありました。

 福岡県久留米市の新日本婦人の会の女性は、十年間、「学校ウオッチング」を積み重ねるなか、学校施設関係予算を三、四倍に増やしたことを報告しました。

 一九九九年、「学校の雨漏りがひどい」との話から「公共施設を考える会」を結成し、初めて「ウオッチング」をしました。予想を超えたすさまじさでした。雨が降れば生徒たちが机を動かして雨を避け、廊下にはコウモリの巣、水を入れると学校中が断水するプール、使えない消火栓…。

 「このような状態で子どもたちの心は豊かに育つのか」と話し合い、地域のイベントやスーパーの一角で学校の写真を展示し、改善署名を集めました。

 それから十年。当初は市民団体の訪問に消極的な学校もありましたが、いまでは「ここを見てほしい」と歓迎され、改修も大きくすすんでいます。

 新日本婦人の会の京都・右京支部の女性は、教育基本法改悪反対の運動にとりくむなか、地域の中学校区ごとに父母と教職員が連携して「子育て懇談会」を開き、同法改悪後もいっせい学力テスト反対の申し入れを各校でおこなったことを報告しました。

戦争加害にも目向け
平和教育
 「社会科教育」の分科会では、千葉県の小学校教師(57)が六年生のクラスでの戦争学習を報告しました。

 本や祖父母からの聞き取りで調べた児童たちは当初、日本の戦争被害に目が向いていました。

 戦争への認識をさらに深めてもらうために、「アジアで日本と戦争のかかわりがあった国のことを調べよう」と提起。韓国の小学校教師などを講師に招き、インタビュー学習をしました。

 児童たちは「ベトナムでは餓死者が二百万人出ている。こんな状況に追い込んだのはいったい誰か」「シンガポールを調べるたびに、日本がアメリカにされたことを日本軍が他の国にしていることに気づいた」などと、日本の加害に目をむけていきました。

 「平和と国際連帯の教育」の分科会では、大阪府羽曳野市の小学校教師(56)が実践報告をしました。平和学習で三・四年生の祖父母に戦争体験を語ってもらおうとしたところ、ほとんどが戦後生まれ。そこで校区内の戦争体験者を探すと、五人が快く応じてくれました。

 体験者の話に二百二十五人の児童は二時間、聞き入りました。多くの子が泣きながら聞いていたといいます。

 八十代の被爆者の女性は背中のケロイドを児童に見せながら、初めて人前で被爆体験を語りました。男性の体験者は「なんとはなしに平和を感じているだろうが、絶対戦争はいかんということを心に思っていないといけない」と児童たちにメッセージを送りました。

 京都府の小学校教師(25)は一年生クラスで初挑戦した平和教育について報告しました。

 「八月六日は何の日?」という問いかけから始まって、読み聞かせなどで、戦争で傷つくのが「自分や家族だったら」と児童が考えるまでの取り組みを紹介。手探りの奮闘ぶりに温かい拍手があがりました。

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貧困から子を守ろう
教育のつどいシンポ
 「教育のつどい2008」の現地特別企画として二十二日夜、シンポジウム「貧困の中の子どもたち―今、私たちになにができるか」が京都教育文化センターホールで開かれました。主催は同つどい京都実行委員会で、二百二十人が参加しました。

 学校や教育相談、医療、福祉などの現場に日々持ち込まれる過酷な相談をもとにした寸劇で始まり、京都社保協・京都民医連の勘解由(かげゆ)貢一さんは、「子どもの体重減少で診療所にきた母親はほとんど一日一食といい、所持金が四百円だったという事例が京都でありました。分野の違いを乗り越えて交流し、子どもたちを守るために歩みをすすめていきたい」と語りました。

 全京都生活と健康を守る会連合会の高橋瞬作さんは、高校を卒業しても初任給が十万円余、社会保険もない職場では生活保護世帯から巣立っていけない事例が増えていることを指摘しました。

 府立高教組の佐野幸良さんは、京都の定時制高校の募集停止などを批判し、「高校教育を受ける権利を保障することが行政の責務だ」と話しました。子どもの権利にかかわる弁護士も発言しました。

 子どもたちをとりまく貧困の増大と格差の広がりの打開への道を考えていこうと、会場からも保護者や相談員、医療・福祉現場の人たちが、つながりあっていく大切さについての発言が続きました。

「荒れる学級」の克服
親と教師が悩み共有
「教育のつどい」分科会始まる

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 京都市内で開かれている「みんなで二十一世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会2008」二日目の二十二日、二十八の分科会での討論が始まりました。

 「学校づくりへの子どもの参加、父母・教職員・地域の共同」分科会では、子どもたちと必死に向き合う中で保護者との共同が生まれた、小学校教師の実践が報告されました。

 山口県の女性教師(38)は、五年生の担任でした。子どもがうろうろ歩き回り、大声でわめき、ボールを黒板にぶつけるなど「嵐の学級開き」で新年度がスタート。せっかくの楽しい企画もムチャクチャにされ、一週間で早くもヘトヘトでした。

 「『我慢してがんばらなくちゃ』と思ってたのに、数日後の保護者会で思いが弾けてバーッとしゃべっちゃったんです」。親は担任を責めるどころか「先生よく言ってくれた。私たちにできることがあれば協力させてください」と受け止めてくれました。

 都合がつく限り夫婦で授業に入ってくれた親もいました。月一回の茶話会で子どもの様子を共有。臨時保護者会では親が進行役を務めました。

 クラスがしだいにまとまって、落ちついてきました。六年生を送る卒業式の準備も積極的に取り組みました。

 学校への不信感が強かった親も、周囲の一生懸命な姿を知り懇談会に顔を出すように。担任の持ち上がりが決まった時は「先生、うれし~」と電話をかけてきてくれました。

 「この一言が本当にうれしくて、一年の疲れが吹っ飛んだ。『しんどいんです』と言ったら周りがつながってくれたんです。親や周りの教師とつながりながら、みんなで子どもたちを見守っていこうという輪ができました。ドタドタバタバタの毎日ですが、私はとても充実しています」と、率直に悩みを出し合って共同していくことの大切さを語りました。

(出所:日本共産党HP  2008年8月23日(土)「しんぶん赤旗」)
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チェコスロバキア事件から40年-米ミサイル防衛反対運動が盛り上がるー

2008-08-24 00:11:42 | 国際政治
チェコスロバキア事件から40年
米ミサイル防衛反対
プラハ 国民投票求め行動

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 【プラハ=岡崎衆史】ソ連軍のチェコスロバキア侵攻四十周年にあたる二十一日、チェコの首都プラハで、米軍のミサイル防衛(MD)基地建設に反対するデモ行進と国会包囲行動が行われ、チェコ各地から四百人以上が集まりました。反基地団体「ノー・ベース・イニシアチブ」が主催しました。

 集まった参加者は、ソ連軍の侵攻に抗議して焼身自殺した学生の名にちなむプラハ市中心部のヤン・パラフ広場から国会議事堂まで約一・五キロを行進し、議事堂を包囲。MDのレーダー基地建設を受け入れたチェコ政府と押し付けた米政府を批判し、基地建設の是非を問う国民投票の実施を求めました。

 チェコ南部から四時間かけて参加したペトル・スミーシェクさん(25)=男性、建設作業員=は「MD基地は軍拡競争につながるだけ。かつての米ソの軍拡競争のような時代を二度と繰り返させないために参加しました」と述べました。

 十四歳のときに、チェコスロバキア事件を経験したミハル・ビーチェズさん(54)=男性=は「かつてはソ連の戦車が侵攻して主権が侵害されました。レーダー基地建設と米軍の駐留によって、主権侵害を再び招いてはならない」と訴えました。

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 チェコスロバキア事件 ソ連を中心とする軍事同盟・ワルシャワ条約機構に参加する五カ国(ソ連、東ドイツ、ポーランド、ブルガリア、ハンガリー)の軍隊が一九六八年八月、チェコスロバキアを侵略し、ソ連への従属と抑圧体制から抜け出そうとする知識人と人民を中心とした民主化運動「プラハの春」を弾圧した事件。五カ国軍は、政府・党の指導部を逮捕して、全土を占領。日本共産党は侵略を厳しく糾弾し、ソ連軍などの速やかな撤退と不当な干渉の即時停止を要求しました。

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世論・議会の反対根強く
 米国の欧州ミサイル防衛(MD)のレーダー基地受け入れを閣議決定したチェコでは、MD反対世論が六割を占めていることが明らかになりました。世論調査会社STEMが二十日に発表しました。

 七割を超えていた反対世論はロシアのグルジア進攻の事態を受け、やや減少しましたが、引き続き多数を占めています。

 チェコのクラウス大統領は同日のラジオ・インタビューで、米国とポーランドのMD迎撃ミサイル基地合意について、「ミサイル防衛がロシアを狙ったものではないということをロシアに説得できていない」と懸念を表明しました。

 同大統領は「ロシアとは正常で平和的な関係を築かなければならないし、私は努力する」と述べ、ロシアと関係が悪化することを望まない姿勢を明らかにしました。

 チェコではMDレーダー基地設置協定に政府が調印した後も、議会で半数近くを占める野党のチェコ社会民主党とチェコ・モラビア共産党が反対。与党の一角を構成する緑の党も承認をめぐって党内が分裂しており、議会で批准されるかどうかは微妙な情勢です。

 また、MDレーダー基地設置協定批准には国民投票をすべきだという請願署名が十万人以上も集まっており、すでに議会に提出されています。

 与党の市民民主党は現在、支持率が30%弱で第二位に落ちています。STEMの調査は、「市民民主党の支持者と、緑の党の支持者の半分がレーダー基地設置を支持しているだけで、残りの有権者は反対している」とコメントしています。(片岡正明)

(出所:日本共産党HP  2008年8月23日(土)「しんぶん赤旗」)
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自公政権・法務省が国民の知る権利を侵害ー国会図書館に圧力をかけ、日米密約資料の閲覧を禁止ー

2008-08-24 00:08:06 | 国内政治
主張
裁判権資料隠ぺい
密約の後ろめたさゆえにか

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 犯罪を起こした米兵への日本の裁判権を不当に制限した日米密約の内容を盛り込む法務省資料を、同省が五月になって国会図書館に圧力をかけ、閲覧禁止にさせていたことが明らかになりました。

 問題の文書は一九七二年三月に法務省刑事局が作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」です。米兵の犯罪処理にあたって特権的な扱いをするよう、全国の検事長と検事正に指示したマル秘文書です。日本の裁判権を事実上放棄したうえ、行政から独立した国会図書館に圧力をかけ、閲覧を禁止させたことは絶対に許されません。

国民の知る権利を侵害
 法務省は、国会図書館に閲覧禁止を求めた理由として、外国との信頼関係に影響を及ぼすなどをあげていますが、これは通用しません。資料そのものは国会図書館が二十年近くにわたって公開してきたもので、今年になって改めて密約の存在が問題になってあわてて「閲覧制限」を求めたというのが経過です。まさに密約の後ろめたさゆえに、政府に都合の悪いものを閲覧させるなという、国会図書館に対する乱暴な干渉です。

 国立国会図書館は、国会の審議のために資料を集め提供するとともに、国民にも資料を利用させることを任務とする国会の付属機関です。国会図書館法は、「党派的、官僚的偏見に捉われることなく」議会に資料を提供することや、資料を「国民が最大限に享受することができるようにしなければならない」と明記しています。閲覧禁止が、こうした法律にも違反するのは明らかです。

 国際問題研究者の新原昭治氏の調査や「しんぶん赤旗」などの報道で明らかになった米兵の刑事裁判権に関する日米密約は、米軍地位協定が「公務中」の米兵の犯罪は米軍に裁判権があるが「公務外」の犯罪は日本が一次裁判権を行使すると明記しているのに、それさえふみにじって日本が裁判権をできるだけ行使しないようにするとした屈辱的な約束です。

 一九五七年十一月のアイゼンハワー米大統領への世界の米軍基地問題での極秘報告書「ナッシュ・レポート」は、「秘密覚書で日本側は、日本にとり著しく重大な意味をもつものでない限り、一次裁判権を放棄することに同意している」と明言しています。

 法務省マル秘資料にある五三年の刑事局長通達も、「実質的に重要であると認める事件についてのみ」一次裁判権を行使するのが「適当」とのべています。通達は日米密約を実施するための指示文書にほかなりません。

日米密約を破棄せよ
 米軍基地のある地域住民は、米兵による犯罪の危険を常に強いられています。政府・法務省が米軍を優遇し甘やかしている限り、米軍犯罪はなくなりません。

 「公務外」の犯罪でも、「公務中」犯罪とみなして米軍任せにするやり方を法務省の通達は指示しているため、交通事故の処理でも捜査に支障をきたしていると沖縄県の監査報告が指摘するほどです。

 犯罪の危険を押し付けられている国民が、日米密約とそれを具体化している法務省の文書を知ることは当然の権利です。政府は裁判権放棄の日米密約を破棄し、裁判権行使にかかわる全容を明らかにすべきです。

(出所:日本共産党HP 2008年8月23日(土)「しんぶん赤旗」)
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