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海自隊員自殺訴訟ー福岡高裁が上司の言動は違法だと国に賠償命令ー

2008-08-28 02:20:56 | 行政裁判
海自隊員自殺
上司の言動は違法
国に賠償命令
福岡高裁

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 海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦「さわぎり」(三、五五〇トン)の艦内で一九九九年に三等海曹=当時(21)=が自殺したのは上司のいじめが原因として両親が国に謝罪と損害賠償を求めている訴訟の控訴審判決が二十五日、福岡高裁でありました。牧弘二裁判長は上司の言動と自殺の因果関係を認定、否定した一審判決を変更し、国に対し三百五十万円の賠償を命じました。

 判決は、「国家公務員が職務上、他人に心理的負荷を過度に蓄積させるような行為は、原則として国家賠償法上違法である」としたうえで、直属上司の言動を「指導の域を越える違法なもの」と認定しました。

 さらに直属上司は国に代わって隊員に対する安全配慮義務を果たすべきところ、「逆に侮辱的な言動を繰り返したもので、この義務に違反した」とし、上司の言動と自殺の因果関係を「認められる」と断定しました。

 原告側が主張した軍事オンブズマン制度の創設は棄却しました。

 自衛隊員の自殺で自衛隊に管理責任があることを認める判決は初めて。毎年百人前後の自殺者が続出する自衛隊に対し、本格的対応を迫る司法判断です。

 原告弁護団は「審理での証拠調べや原告らのメモをしっかりと受けとめ、判決では、自殺した三曹の脆弱(ぜいじゃく)な性格との国側の主張も『安定した性格』と正面から切り返し、国の安全配慮義務違反を認定したものとして恐らく初の画期的な判決」と評価しました。

息子の無念に応えた
 「被控訴人(国)は隊員の父に百五十万円を、母に二百万円をそれぞれに支払え」―。二十五日、自衛官いじめ自殺事件の控訴審で裁判長が判決主文を読み上げると、原告席の母親(60)はハンカチで目頭を押さえておえつし、隣の女性弁護士と抱き合いました。

 支援者の一人として証人にも立ち、「さわぎり」でのいじめがきっかけで退職した元自衛官(34)も「自衛隊の不法行為が一部でも認められた。うれしい」と目を真っ赤にはらして話しました。

 海上自衛隊での「いじめ」が原因でうつ病になり、神奈川県内で電車にひかれて死んだ息子=当時(24)=の父親(60)もかけつけ、「よかった。この判決に励まされ、全国で声があがるとよい」と判決をかみしめていました。

 福岡市内で開かれた報告集会には百五十人がつめかけました。

 弁護団の福留英資事務局次長が「(自殺した三曹の)人生がこのような判決文を残してくれた」と言葉をつまらせながら報告すると、参加者からすすり泣く声が漏れました。

 あいさつに立った原告の母親は「今日の判決で親として、(息子の思いに)応えられたような気がします。(自衛隊には毎年百人もの自殺者が出ていて)まだまだやらなければと思います」と語り、大きな拍手に包まれました。

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解説
戦争する部隊の体質
 毎年百人前後の自殺者が続出している自衛隊。これまで、隊内のいじめが原因だとして国に賠償請求を求めている訴訟は今回の福岡高裁のほか、横浜地裁、静岡地裁浜松支部の三件。しかし、自殺した本人が「いじめが原因」と遺書に書き残していても、自衛隊側が「いじめはなかった」などと否定するケースは後を絶ちません。

 海上自衛隊の護衛艦隊司令部幹部は内部の会議で公然とこう述べています。

 「学校で嫌いな先生を辞めさせるためには、わざと殴らせるように仕向ければいいことを知っている者がいる。それを逆手にとって殴らせるように仕向ける隊員がいるのも事実であり、優秀な隊員が処分をもらうのはもったいない」

 この発言は「私的制裁」についてのものですが、今回判決で問われた「いじめ」に対する自衛隊上層部の本音が見てとれます。

 その本音は、アメリカとともに世界の紛争に自衛隊を投入する海外派兵にむけ、「精強」「任務必遂」をスローガンにする「戦争する自衛隊」の危険な体質とつながっています。

 複数の元自衛隊幹部も共通して「いじめなどがくりかえされる不祥事も憲法違反の海外派兵の動きと無関係ではない」と指摘しています。

 「直属上司」に限定したとはいえ、隊員の安全配慮義務違反を認定した意義は大きく、原告らが主張する「再発防止策」としての軍事オンブズマンの創設を迫る世論による包囲が求められます。

 あわせて、憲法違反の海外派兵を許さないことが、最大の再発防止策でもあります。(山本眞直)

(出所:日本共産党HP 2008年8月26日(火)「しんぶん赤旗」)

海外派兵歯止めの力に
自衛隊人権問題でシンポ
福岡

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 いじめ、自殺など自衛隊内で深刻化する人権問題をテーマにしたシンポジウムが二十五日、福岡市内で開かれました。

 同日、福岡高裁の控訴審判決で逆転勝利した、海上自衛隊佐世保基地の護衛艦「さわぎり」の艦内で自殺した三曹の両親による国家賠償請求訴訟を支援する会がよびかけたもので、百五十人が参加しました。

 「さわぎり」裁判原告弁護団のほか、同様に息子を自衛隊内のいじめで自殺に追い込まれ、横浜地裁、静岡地裁浜松支部で賠償請求訴訟に取り組んでいる遺族と同弁護団代表、自衛隊問題に取り組むジャーナリストの三宅勝介氏、吉田敏浩氏らが報告、発言しました。

 共通して強調されたのが、自衛隊が憲法違反の存在であることと、自衛官の人権擁護を対立的に考えるのではなく人権問題として追及することで、イラク、インド洋など危険な海外派兵への“暴走”に歯止めをかける世論を広げる力になることへの確信でした。

 「さわぎり」事件の控訴審で自らの体験を証言した元海上自衛官(34)は「十代、二十代の隊員は知識はあっても技術がなく、上司や先輩の言動は絶対で逆らえない。今回の判決は“新しい風”でこれを“波”に変えてつらい思いをしている隊員を助ける力にしたい。今後も協力したい」と発言、参加者は大きな拍手でこたえました。

(出所:日本共産党HP 2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」)
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太田誠一農水相(衆院福岡3区)の事務所費疑惑ー実態ない秘書宅 なのに「経費」2345万円を計上ー

2008-08-28 02:16:15 | 国内政治
農水相に事務所費疑惑
実態ない秘書宅 「経費」2345万円
05―06年

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 太田誠一農水相(衆院福岡3区)の政治団体「太田誠一代議士を育てる会」が二〇〇五年と〇六年に、秘書の自宅を事務所所在地として届け、二年間で計二千三百四十五万円を事務所費などの経費に計上していたことが二十六日、わかりました。活動実態のない事務所などに多額の経費を計上した一連の事務所費疑惑は、赤城徳彦元農水相が辞任に追い込まれるなど重大問題です。福田康夫首相の任命責任も問われています。

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 東京都選挙管理委員会に提出された政治資金収支報告書によると、「育てる会」は〇五年に千四十五万円、〇六年に千三百万円を経常経費として計上していました。内訳は、事務所費が三百四万円(〇五年)、二百四十七万円(〇六年)。人件費が三百三十一万円(〇五年)、六百七十四万円(〇六年)。備品・消耗品費が四百九万円(〇五年)、三百七十八万円(〇六年)となっています。

 一方、「育てる会」の主たる事務所となっているのは太田農水相の当時の政策秘書で、現在、農水相秘書官を務める中里浩氏の自宅です。自宅には事務所の看板は出ていません。連絡先には議員会館の太田事務所の電話番号が記載されていました。

 太田農水相は同日の会見で「便宜的な措置として秘書宅を事務所とした。家賃は払っていないが、活動実態はあり、経費は実際に支出している。人件費は非常勤職員に対するもの」と釈明。「まったく問題ない」と強調した上で、経費の内訳を明らかにする意向を示しました。

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閣僚の資格問われる
市田書記局長が会見
 日本共産党の市田忠義書記局長は二十六日、太田誠一農林水産相の事務所費疑惑について国会内で記者団に問われ、「太田農水相自身が自らの責任で事実を国民の前に明らかにすべきだ」と強く求めました。

 市田氏は、今回の疑惑をめぐる問題点として、家賃が払われておらず、事務所としての専用のスペースもなく、専任の職員も雇用されていないという三点を挙げ、「これは安倍内閣のときに相次いだ事務所費問題と同等の問題だ」「報道が事実であれば、閣僚の資格が問われる重大問題」と強調しました。

 そのうえで、太田氏自身の説明責任とともに、任命権者である福田康夫首相にたいしても、「太田氏に、きちんと事実を国民の前に明らかにするよう指導すべきだ」と指摘しました。

 市田氏は、太田氏が同日の閣議後の会見で「問題は全くない」と表明したことについて問われたのに対し、「国民はだれも納得しない」「そういう態度を取り続けるならば、閣僚失格と言わざるを得ない」と批判。九月十二日の臨時国会召集までに太田氏自身が事実を明らかにすべきであると述べるとともに、そうでないならば、国会審議を通じて追及すると表明しました。

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 「事務所費」問題 家賃ゼロの衆参議員会館に資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら、年間数千万円もの「事務所費」を計上しているという問題は、本紙が二〇〇七年一月三日付でスクープしたものです。

 このなかには、伊吹文明財務相や、松岡利勝元農水相(故人)、中川昭一元自民党政調会長など、三千万円を超す政治家もいました。

 松岡氏の場合、多額の「光熱水費」を計上していることも判明、追及を受けた末、昨年五月に自殺しました。

 後任の赤城徳彦元農水相も実家などを政治団体の事務所として届け出て、十年間に約一億円を計上していたことが発覚し、辞任に追い込まれました。

秘書官は“金庫番”
“問題ない”ではすまない
太田農水相「事務所費」疑惑

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 事務所費疑惑が浮上している政治団体「太田誠一代議士を育てる会」は、自治省(現総務省)に届け出の全国団体として一九八三年に設立。九五年からは東京都選挙管理委員会に所管を移しています。

 都選管によると、九五年当時の代表者は故花村仁八郎氏で、旧経団連副会長などをつとめた人物です。

 花村氏は自民党の政治資金団体である国民政治協会の前身「経済再建懇談会」の事務を取り仕切り、自民党の企業献金の受け皿作りに深くかかわりました。

 「育てる会」は九五年からだけでも、政治資金パーティー「モーニングセミナー」を毎年のように開催。同会の収入は、パーティーだけで三千万円をこえる年が四回ありました。

 同会の事務所は九八年まで東京・渋谷区内にありましたが、二〇〇三年に港区六本木のアークヒルズにある「太田誠一事務所内」に移転を届け出。〇五年の収支報告書からは、問題となった目黒区の中里浩農水相秘書官宅を「主たる事務所」としています。

 中里秘書官について、自民党国会議員のベテラン秘書は「もともと、金庫番で先生と一心同体の人物」と指摘します。太田農水相の弁明について「秘書がかかわっていて、大臣が『知らない』ではすまないと誰もが思っている」と話します。

本紙の報道で パーティー一部中止
 太田誠一農水相が、九月二十九日に予定していた政治資金集めパーティー「太田誠一セミナー」を中止することが二十六日、分かりました。

 本紙は二十四日付で、太田氏が内閣の自粛規範に反して資金集めパーティーを計画していると報道していました。

 太田氏のホームページによると、「この度の国務大臣就任にともない大臣等規範に基づき、開催を自粛致します」としています。

 ところが、九月二日、東京・帝国ホテル「光の間」での「モーニングセミナー」については、開催するとしています。

農水相秘書官宅 団体の看板なし
 太田誠一農水相の政治団体「太田誠一代議士を育てる会」が事務所を置くとする秘書官宅は、東京都目黒区の住宅街にあります。秘書名の表示はありますが、団体の所在を示す看板などはありません。

 近所の男性によると、三年ほど前、自宅に差出人が太田事務所の郵便物が誤配達されたことがあったといいますが、太田議員を含め住民以外が頻繁に出入りする様子は見たことがないといいます。

 近くの無職女性(70)は「何十年も住んでいるが、政治家の事務所があるという話は聞いたことがない」と話しました。

農水相の事務所費疑惑
問われる首相の任命責任

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 「特に閣僚については政治資金の透明性を確保するという責任が格段に大きく、よりいっそう厳格な管理と説明責任が求められている」

 これは、福田康夫首相が昨年十月五日の参院本会議で答弁した内容です。一昨年の安倍前内閣の佐田玄一郎行革担当相以来相次いでいる事務所費疑惑を受けての答弁でした。

真っ向から背く
 ところが、福田首相がはじめて“自前”で組織した閣僚に、またもや事務所費疑惑が発生しました。太田誠一農水相が自分の政治団体の事務所を当時の政策秘書宅に置き、家賃も払わず、専属の職員も置いていないのに、巨額の事務所費を計上していたのです。

 政治資金は、金の出入りについて透明性を高め、国民の監視と批判の中で、政治家の倫理をただすというのが基本です。事務所としての実態のないところに、巨額の事務所費を計上し、不透明な資金をねん出するという事務所費問題は、これに真っ向から背くものです。

 福田首相の言明からいっても、太田農水相は政治資金の透明性確保で「格段の責任」が求められる閣僚として失格といわざるをえません。同時に、首相の任命責任も重大です。

 ところが町村信孝官房長官は「秘書の自宅を事務所として届け出ていたからといって、事務所の経費が全部不正であるとは言い切れない」(二十六日)とかばいました。太田農水相自身も「次善の策として秘書の自宅を届け出た」「問題はまったくない」などと開き直るばかりです。

解決姿勢の欠如
 そこには、政治とカネの問題での福田首相自身の姿勢が反映しているといわなければなりません。就任当初こそ、安倍前内閣で相次いだ閣僚の事務所費疑惑を受けて、「まず閣僚から襟を正す」などと述べていました。しかし、自衛隊の海外派兵推進や貧困と格差を招いた「構造改革」の継続には固執する一方、政治とカネの問題には次第に触れなくなりました。今年一月の施政方針演説では政治とカネの問題については一言しかなく、今月一日、初の内閣改造後の記者会見ではまったく無視しました。

 国民が批判すれば不承不承、「襟を正す」というけれども、みずから抜本的に問題解決をはかろうとする姿勢が欠如しているからです。その根底には、企業団体献金と政党助成金に依存する政治資金での無節操ぶりがあります。

 首相がこうした姿勢だからこそ、事務所費疑惑を抱える政治家を平気で閣僚に任命するのです。その意味でまさに、首相の責任が問われます。(藤田健)

(出所:日本共産党HP 2008年8月27日(水)「しんぶん赤旗」)
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