この会社では、
出張先から、
さらに出張を命じられる、
ということが、
茶飯事にある。
しかし、
温泉宿のない出張先からの、
温泉宿のある町や村への出張ならば、
僕は歓迎だ。
大体が、昭和の趣ある、
いわゆる「激渋」な宿だが。
そういうとこへ泊まると、
僕は、あるものを探す。
オーロラタウンだったと思うが。
小鳥が飼われていた辺りに、
こういう飲みものを売る、
露天のような店が出ていた。
雪印だったか、四つ葉だったか、
オハヨー(?)だったか。
ハチワレ猫の顔みたいなマークが、
ついてたような気もするが。
そのシリーズのなかに、
りんごジュースがあった。
といっても、
今みたいな白色のじゃなくて、
飴色のやつ。
牛乳瓶に入った、
あのりんごジュースが飲みたいと、
かれこれもう30余年、
探しています。
32年かぁ……
この9月末で、札幌地下街の3分の1が、
なくなってしまいました。パセオ。
燃料と材料とが、ますます、
不足していくのが確実なこの時期に。
本当に新幹線走れるのか、
走って採算とれるのか、
まだ全然不透明なこの時期に、
「4プラ」に続いての、
「勇み足閉店」を迎えた、
パセオですけれども。
すでに半世紀を経たポール、
オーロラの両地下街に比べれば、
まだまだ若々しい雰囲気がして、
もったいないなぁ……
テルミヌス広場への道も、
閉ざされてしまいました。
ここにも
インスタレーションとレリーフとが、
あったということは、もう、
誰も知ることはないでしょう。
閉店作業の最中かな。
まだ何かしら、
時の流れを感じさせる。
それも間もなく、止まるでしょう。
行き交う人も、
閉店のご挨拶に目をやる。
まだ明かりの灯る窓に、
salut!(ごきげんよう!)
の文字がさびしい。
フランス語の俗語で、
「そいつは御免だ!」
という意味もあるとか。
工事の予定では、
間もなくここらは、大穴があけられて、
新たな地上部の建設に従い、
新たな地下街が出来るのだそうで。
僕は、かなり本気で心配しています。
大穴あけたままに、ならないかと。
真夜中の、一歩手前の時刻。
地下街のテナントの人たちが、
それぞれの家路につく、最終の時刻。
おつかれさまです。
何年かあとにはもう、
見ることも、触れることもできなくなる、
地下3メートルの街並み。
この時計屋については、まだ何も聞かないが。
時計の電池の交換を、毎度、お願いしている。
知り合いでもなんでもない。
ただ、ああ時計屋があるな。
ここでいいや、と、立ち寄って以来、
ここを使い続けている。
ちらり、ほらり、
空き店舗も、出始めている。
過去、駅前のアーケード街や、
地元のテナントを集めた商業施設で、
僕も経験した。
たった1店舗でも、
シャッターをおろしたその存在は、
現実を突きつけて、余りある。
夢が覚めると、言ってもいい。
けれど、ここは明るい。
終わらない時間が流れている。
もう6時間もすれば、疑いも無い。
そこかしこで、ドアの閉まる音が聞こえだす。
キッ、キキッ、キキキッ、と、
あちらこちらで、シャッターが、下半分だけ開かれる。
この脇道を、何度、通っただろうな。
都市間高速バスの、札幌ターミナルへと出る道。
近年、ずいぶんと整備された。
この待合場所から、左右の階段を登って、
各都市へのバスに乗る。
僕だって若かりし頃、希望を胸に、
ここから北へ、南へと、旅立ったものさ。
この景色も、見納めとなる。
まだ先のことだが。
振り向けば、
もうひとつ、近々、
見納めとなるであろう景色。
結局、泊まれなかったなぁ。
でも、ここも明るい。
明日が予感される。
だがここは……
しかし、開店前夜のようでもあるな。
自社の広告以外は無く、
柱の広告枠も、
あの日の白紙に戻り。
もう間もなく、
永遠の眠りにつく。
♪汽笛一声新橋を♪の楽しげなメロディーが、
旭川までの、心地よい旅の終わりを知らせ、
ここより北へ行くすべての乗客たちに、
苦難の道のりの始まりを告げる。
快速と言いながら、何も鈍行と変わらない。
一両編成の、その蒸し暑い車内で、まずは繰り広げられる、
もの言わぬ、座席の争奪戦。
敗者は1時間30分、立ちんぼだ。年齢も性別もない。
老人は老いを、若者は機敏さを、男は疲労を、女は粛々と、
それぞれの武器で静かに火花を散らす。
旅人はただ見守るばかりだ。
そんななかで、現地の人たちにまみれ、
我先に、体よく1人座席をせしめた奴がいる。
私だ。
こうなればもう、車内の一切のことは考えない。
ただただ一刻も早く名寄へ着くことを願うばかりだが。
願って1時間半を過ごすのは無理というもの。
どうしても、旭川までの楽しい時間が思い出される。
始まりは、そう、ちょっとした実験があった。
お得な切符「Sきっぷ」に、指定席をつけられることは、
当初から知っていたのだが。
どうせ別途に指定席料金を取るんだろうと思っていた。
もとがお得な切符だから、当然だろう。
なんて、すっかりわきまえた気分でネットを見ていたら、
+530円で指定席に乗れるという情報にでくわした。
は?2360円の間違いだろw
買ってみた。
特急は旭川止まり(特急「宗谷」を除く)。
行きの「宗谷」は時間も遅いから、何とかなるとして。
帰りはもう、指定席じゃないとダメなくらい混んできている。
自動券売機で、「指定席」の選択、次の画面で「中止」とボタンを押すと、
帰りの指定席だけを選べるようになる。
当日、面倒でなければ、みどりの窓口でゲットしてもいいそうだ。
先に選んで、乗り遅れると、もう自由席しか使えない。
しかし当日だと、希望の席を取るのは難しい。
本当に+530円だった(笑
該当する「かえり」の券面に、赤で別途の印字がされる。
へぇ。「Sきっぷ」ってこんな機能があるんだねぇ。
「Sきっぷ」指定席、初体験(笑
人生ムダに年齢だけ増えたが。
まだ初体験なんてものが転がってるんだな。
そうだ。
列車の指定席だ。
列車の指定席といえば!
もうアレをやるしかない。
自由席ではまず無理な、久々の、
若いのころの憧れだったアレを。
駅弁と、持込みの立ち食い。
ずいぶん久しぶりだったから、忘れてたかもしれんが。
持ち込み容器って、フタついてたっけ?
そしてまた、肝心のそれ(フタ)を撮り忘れる定期 orz..
このお弁当、前の客がホクホク顔で買ってたから、僕も買ってみた。
デザートの、ひとくちメロン大福は好印象。
お茶じゃなくてコーヒーがよかったかもしれない。
そして相変わらずのスカスカな麺。
ふにゃふにゃじゃない。スカスカ。
でもこれ食べないと、札幌駅に立った気がしない(笑
なんて、帰りの弁当のことを考えていると、
行きの晩飯のことを思い出した。
三星食堂の定番メニューらしい。
名寄食べ歩きマップにも、この料理で出ている。
今回は大盛りにした。そしてやはり美味い(笑
メニューが新しくなっていて、
前回食べて驚いた、「ジンギスカン定食」が消えていた。
なんだか悲しくて、店員さんに聞いてみたら、
裏メニューらしく、レジのホワイトボードにその名前が。
よかった。
そしてその正式名称を「煮込みジンギスカン」と言うらしいことを、
名寄観光協会のホームページで知ったのだった。
また次回、いただくことにしよう。
季節ものな可能性も無きにしもあらずだが。
いつもあるというのは、いいことだな。
このケーキとは、またいつ会えることか。
ちょうど暑かった日でもあり、
何か冷たいものを飲みたいなと。
じゃあお別れに、ベリーづくしにしよう。
お酒を使わない、ベリーのモクテルと一緒に。
注文して気づいたが。どっちも甘い(笑
若い奥様方の間で、
先の見えたオッサンが、こういうものを幸せそうに食っている。
そういう構図を、自分で想像して笑ってしまう。
このモクテル、ジュースの部分は、なめらかで丁度いい大きさの、
いわゆる「かちわり氷」が入っていて。
長話をするうちに、解けて、ちょうどいい甘さになっていく。
普通はあまりオススメされない、氷食べちゃう派の自分としては、
この「かちわり氷」を匙ですくって食べられるのが、
すごく気持ちいい。だって、匙がついてる。
食べていいんだよと。
これから暑い(熱い)季節になっていくなかで、
こういうモクテルはいい。すごくいいなぁ。
「次は、名寄にとまります。」
電子的な男声のアナウンスが聞こえて、
はっと、我にかえる。
この快速列車とも、まだしばらくは、つきあうことになるのだろうな。
札幌にいたときは、思うこともなかったが。
今はこうして、自分も札幌へ旅行に行く立場となり、
何か札幌の菓子をと、考える立場になった。
南に「月寒あんぱん」あり。
中央に「山親父」あり。
西に「白い恋人」あり。
北にロイズコンフェクトあり。
東は、幻のたまねぎ「札幌黄」とか、
昭和のころなら、サッポロ★ビールもアリかな。
菓子じゃないけどw
悩んで、ふと、「とうまん」を思い出した。
最近はとんと、名前を聞かなくなった「とうまん」。
まだあるのだろうか。
札幌駅が、青い七宝のタイルに覆われていた時代。
立ち寄った「とうまん」のお店で、
初めてあの機械を見た。
思い出の場所、丸ス・ステーションデパートは、すでにない。
しかし確信はあった。札幌駅と一緒にある。
まったく別々の会社なのだが、札幌駅と「とうまん」は、
あのときからずっと、僕の中で1つだ。
地下鉄の改札を出て、とことん探して回るつもりでいたんだが。
最初に左へ折れて、道なりにぐるっと回ったら見つかった。
小さな店舗だが、機械もある(動いてなかったけど)。
いくつか姉妹品は出来たようだが、
店頭には「とうまん」が、メインで積まれてある。
するってぇと、なにか?
あの時分から、「とうまん」で続いてきたのか。
何と言うことも無い丸い形。
中身も当時の、白いあんこだ。
あのころは、旅といえば列車だった。
誰もが札幌駅に降り立つ。
札幌駅が、札幌だった。
「とうまん」はそこにあった。そこにしかなかった。
「とうまん」こそが、札幌の菓子だった。
この素朴な菓子以外に、何を買って行こうか。
6個で398か? そんなもんか?
確認しようと、レシートを見て、和んだ。
創業60年がコレを言うんだ(笑
ちなみに、時間が経って固くなった「とうまん」は、
温かい緑茶や紅茶にひたして食べてます。
お試しあれ。
北国のさらに北とはいえど、晴れた日は少しく春の匂いがして。
町なかを離れ、誰来るともない野原に車を停めて、
遠くにヒバリのさえずりを聞きつつ、
UCCのブラック缶コーヒーをあけ、緑のHOPEをくゆらす。
煙草の煙を風が運んでいくのだが、
何やら白いものを運んできたなと。タンポポかしら。
いいねぇ風まかせ。あちらへフワリ、こちらへフワリ。
ああ俺は、俺は、
いつまでこんなところにいるんだろうなぁ。
綿毛をつまんで、手のひらに乗せて、
車の窓の外へ高く差し出すと、
そよ風に乗って、どこへか飛んでいった。
オホツクの、冷たく青い海が、
ここ数日間も続く嵐のために、土色に濁ってしまっている。
ビル・エバンスを聞きながら、次の現場へと車を走らせる。
一群の白い翼が、濁った海の上を渡っていく。
幅の狭い、先の尖った白い翼。
あんな狭い翼で、よくもこの暴風を渡り得るものさ。
駐車帯に車を寄せて、緑のHOPEに火をともせば、
ここがどこかも、忘れ去られる。
しばしの安らぎは過ぎて、ハザードはウインカーにかわり、
次の現場への、短くて遠い旅路は続く。