岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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書評『佐藤佐太郎全歌集』現代短歌社刊

2017年12月07日 21時25分03秒 | 書評(文学)
佐藤佐太郎。斎藤茂吉の愛弟子である。「斎藤茂吉を抜きにして近代短歌は語れない」と言ったのは国文学者の故▪今西幹一。同様に「佐藤佐太郎を抜きに戦後短歌は語れない」と僕は思う。

 佐藤佐太郎の歌集は12あるがそれを通観できるものはいくつかある。『佐藤佐太郎歌集』(岩波文庫)、『佐藤佐太郎秀歌集』(角川書店)、『佐藤佐太郎全歌集』(講談社)。

 この内『佐藤佐太郎歌集』は志満夫人の選歌によるもので、志満夫人の目を通した作品が収録されている。佐藤佐太郎の歌業を通観はできるが、戦時中の戦争詠などは検証ができない。

 また『佐藤佐太郎秀歌集』は秋葉四郎の目を通した選歌。同じように資料的価値に劣る。この二冊は佐藤佐太郎入門には適している。

 『佐藤佐太郎全歌集』は分厚く高価だ。自宅で読むのにはよいが、入手しにくく、持ち運びに不便である。

 その点、現代短歌社刊の『佐藤佐太郎全歌集』は824ページと分厚いが、文庫本。持ち運びができる。

 佐藤佐太郎の歌集の全ての作品が読める。また、巻末の年譜、解説も行き届いている。別冊として文庫本の索引もある。

 佐藤佐太郎の全歌業を検討できる好著と言えよう。

 現代短歌社刊 2315円+税



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