岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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薄明の意識を詠う:佐藤佐太郎の短歌

2022年07月18日 09時54分43秒 | 佐藤佐太郎の短歌を読む
・薄明のわが意識にてきこえくる青杉を焚く音と思いき
  「歩道」所収。

 「薄明」は薄明り。この場合は夜明けであろう。目が覚めるか覚めないか微妙な瞬間だ。この瞬間に作者は音を聞いた。聞いた気がしたのかも知れない。「青杉を焚く」とあるから、枯葉ではなくてまだ青々とした杉の葉だろう。

 どのように聞こえたのか。乾燥した「チリチリ」という音だろう。

 この一首を読んで感じるのは。感覚の鋭さだ。薄明で意識が鮮明でないのも関わらず、感覚が鋭敏である。曖昧模糊とした印象がない。

 また音楽性の高さ。音感・語感が心地良い。

 佐藤佐太郎の代表作である。



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