岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

星座α23号・作品批評:茂吉と佐太郎の歌論に学んで

2021年01月02日 19時45分37秒 | 作品批評:茂吉と佐太郎の歌論に学んで
星座α23号が刊行されました。選者としての作品批評です。

 【今だから心を落ち着かせて】

 今回の詠草を一読してやや乱調気味か、と感じた。秀作がある一方で、毎号よい作品を出詠していた作者作品が軽くなっていたり、日常報告的になっていたり。それ故、選んだ歌数にバラツキが出てしまった。添削を希望しない作者の作品にも手を入れた。ご了承願いたい。

 乱調はコロナで生活が落ち着かないせいかと思うが、こういう時だからこそ心を落ち着かせたいもの。

・故郷が消えるように梅雨に入る歌

 四句までが比喩。、間伸びしやすい歌の構造だが、言葉の情感が重いので、それを感じさせない。

・体温を測られて劇場にはいる歌

 最近のカラオケもライブハウスもそうだが、額の部分に機器をかざされて体温を測る。コロナの症状が出ていないかの確認だが上手いこと作品化した。コロナ=自粛ではなく、切り込み方がなかなかようい。

・父母ありし家を訪ねる歌
・不器用に生きる歌

 内容は違うが、世に対する異議申し立てと見た。社会詠というほどではないが、世の中と自分の有り様(ありよう)をしっかりと見詰めている。

・白き帽子の女学生の歌
・天声人語を読むようになった歌
・夕餉にビールを飲まなかった歌

 一首目。美しくさわやかな光景が浮かぶ。2首目。自粛のなかでの新生活。3首目。孤独感が印象的。

 ほかにも「岡井隆の訃報」など紹介したい作品があったが、紙数の関係で割愛した。




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