岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

果実店の歌;尾崎左永子の短歌

2022年10月23日 21時07分12秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・果実店に冬の苺の匂ひして空気の波動なき地底街
「「尾崎左永子八十八歌」所収。2015年段階の代表作。

 冬の情景が浮かぶ。地底街とは地下街だが「地底街」と表現すると「空気の波動なき」が活きて来る。地下深い鍾乳洞をも連想させる。「冬」をこのように鋭い感覚で切り取った作品を僕は知らない。

どこの「地下街か」は「捨象」されている。佐太郎の言う「表現の限定」、作者の言う「言葉の削ぎ落し」。

 この鋭い感覚が作者の独自性だ。



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