うえぽんの「たぬき鍋」

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プロ野球観戦記2006「地底対決」

2006-05-11 19:35:54 | 野球
横浜で所用を終えたあと、「運が良ければ石井琢朗の2000本安打を目撃出来るかも…」と、急遽横浜スタジアムへと足を向けた私。



写真は、スタジアムそばの天ぷらや「天吉」。サザンオールスターズ原由子の実家である。

そんなことはどうでも良くて、横浜楽天である。セ・パ両リーグのドベ対決だ。昨年は横浜が6戦全勝と圧倒的な結果を残したが、今年はわからない。なにせ楽天の新監督は、ヤクルト時代にイヤというほどいじめられたノムさんだ。「なんかヘンなコトしてこないだろうなぁ…」ドキドキしながら試合開始となった。

横浜の先発は新人の高宮和也。初めて生で見たのだが、思っていたよりゆったり投げるタイプだ。イメージとしてはチームメイトの土肥義弘に近いものがある(ただし、土肥よりも直球の比率が圧倒的に高い)。直球のスピードは140キロ前後ながら、打者の手元で伸びるようで、差し込まれるようなゴロが多かった。

楽天先発の山村宏樹は、前回の登板(5月3日の対オリックス戦)では7回を1失点に抑えて勝ち投手。その好調を維持出来ているようで、多彩な変化球を上手く使い、上下左右に散らして的を絞らせない。4回まで被安打1のほぼ完璧なピッチングである。

試合が動いたのは5回表。簡単に2死を取った高宮だったが、球が高めに抜けはじめていた。8番・藤井彰人がライトの頭上を破る二塁打を放つと、続く9番・投手の山村がフルカウントからレフトへ痛烈にはじき返して先制のタイムリーヒット。さらに代打・飯田哲也がセンター前ヒットでつなぐと、この日大当たりの2番・高須洋介が藤井と同じような打球の二塁打で2点を追加。3-0と楽天がリードを広げた。しかし、もう一押し!というところで高須がなぜか二塁から飛び出してしまい牽制死。もったいない!これが後々の流れに響くこととなる。

高宮は試合を壊さない程度の制球力はあるが、基本的には荒れ球の投手なので、どうしてもムダ球が増えて中盤以降にへばる傾向があるようだ。あと、変化球は一通りあるのだが(カーブ・スライダー・チェンジアップ・フォーク)、カーブ以外はイマイチ弱いようで決め球に使えていないのがツライ!結果、ピンチを迎えるとピッチングが単調になって連打を食らっちゃうんだなぁ。今後の課題である。

さて、高須のミスで助けられた横浜はその裏、山村に襲いかかる。山村も、直前にランナーとしてかなり走った疲れがあったかも知れない。先頭打者の5番・村田修一が、内角の甘いシュートを右中間に高々とぶち込む12号ソロ。続く6番・内川聖一もセンターへ痛烈な当たりの二塁打。さらに7番・吉村裕基が二遊間をしぶとくゴロで破るタイムリーヒットで2-3と1点差に迫った。この回は追いつけなかったが、琢朗にこの試合初ヒットが出て通算1998本。

6回から横浜は、本来のローテーションならこの日の先発と思われた門倉健がマウンドへ。これがまぁひどいもんで、2イニング投げたのだがよく無失点で済んだものだと。代わりっぱな、3番・礒部公一への初球をいきなりライト前に運ばれ、1死後に5番・リック・ショートに三塁線を抜かれ(二塁打)、1死2・3塁!6番・山下勝充はピッチャーゴロに抑えたが、続く代打・憲史には散々粘られた挙げ句に根負けしてフォアボールで2死満塁。ヲイヲイヲイヲイ!8番・藤井に対してやっといいボールが行くようになり、最後は外角いっぱいの直球で見逃し三振に仕留めたが、ファンの胃はキリキリと痛んだ。

門倉が今年良くないのは、やっぱり直球が悪いからだ。何が原因かはわからないが、スピードもキレもコントロールも…要するに全てダメ。もともと球種が少ないから(スライダー・フォーク。今年からシュートも時折投げるようになったが)、1つダメだと全部に与える影響が余計に大きいのである。それに、ピッチングの基本は何と言っても直球。それがダメだったら変化球の威力も半減だし…結果は見えてるよねぇ。今回は楽天の選手層の薄さと巡り合わせの良さに助けられたようなものである。2イニング無失点でやっと防御率9.47か…orz

さて、横浜の攻撃の方は6回裏、先頭打者の3番・金城龍彦がレフト線へ技ありの二塁打を放つと、続く4番・佐伯貴弘がジャンプしたショートが差し出したグラブのわずか上をライナーで抜くセンター前タイムリーヒットでついに3-3の同点となった。ここで山村は無念の降板、投手は小倉恒に交代。

そして8回裏、この回先頭の1番・琢朗がレフト線へ二塁打(通算1999本目)を放ち、続く代打・小池正晃がキッチリとバントで送って1死3塁。勝ち越しの大チャンスで迎えるはクリーンアップ!と、ここで楽天ベンチは3番・金城敬遠の指示。我々ライトスタンドはブーイングを送りながらも、「まぁ、金城と佐伯を天秤にかけりゃあ、佐伯勝負だわなぁ」と半ば納得顔。ところが、楽天バッテリーは佐伯が打席に立ってもキャッチャー藤井が立ったまま。え?え??えええええ?????佐伯も敬遠!?これはもう訳がわからない。ライトスタンド大混乱。満塁で村田勝負だと!?ノムさん正気か!?
まぁ、今冷静に考えたら、わからんでもない。なにせこのクリーンアップ、全員得点圏打率が3割を超えている(5月10日現在で、金城.379、佐伯.342、村田.500)。だったら誰に投げても同じようなものだし打たれて元々。全ての塁を埋めてゲッツーをより取りやすくした方が得策だ。ノムさんはあくまで正気だったのである。
小倉は初球に、ゴロが出やすい外寄り低めへのスライダーを持ってきた。打ち気に逸った村田はまんまと引っかかり、サードゴロ!しかし、誤算だったのは村田が思いきり叩きつけるように打ったためにバウンドが高かったこと。一塁アウトが精一杯で、4-3と横浜勝ち越し。

9回表、横浜はクローザーのマーク・クルーンが登場で逃げきりかと思われたが、今季のクルーンはスピード自体は昨年と変わらないが、キレが足りない。スタンドから見ていてもはっきりわかった。2死2・3塁のピンチを招くと、ラッキーパーソンの2番・高須がこの日3打点目となるセンターへの同点タイムリーで4-4。なおも2死1・3塁で3番・礒部の当たりも痛烈なセンター前ヒットかと思われたが、金城が懸命に走り込んで最後は拝み捕りでピンチ脱出。死ぬかと思った!

頼みのクルーンは打たれてしまったのだが、横浜ファンは「これでもう一度琢朗に打席が回るかも知れないぞ。2000本安打達成が見られるかも!」という期待を抱きはじめていたのも事実である。果たして、延長11回裏。1死から、6番・内川、7番・吉村、8番・相川亮二の3連打で満塁。打席には代打・鶴岡一成
ファンの複雑な感情が渦巻く。

「できればツルちゃんでとっとと決めて欲しい!でも、ツルちゃんがダメでも(ゲッツー以外なら)琢朗に回るんだよなぁ。サヨナラで2000本安打達成!それもオイシイよなぁ」

ツルちゃん、空気読んで三振(爆)。

2死満塁で琢朗登場!本来なら、鳴り物入りの応援は22時以降は禁止なのだが、この時ばかりは応援団もたまらず鳴り物解禁である(あとで怒られたりしなかったかな)。いよいよスタジアムのボルテージは最高潮だ!楽天の投手は、谷中真二からベテラン左腕の河本育之に交替。河本がベテランならではの技で攻めれば、琢朗も必死で食らいつく。カウントはいよいよ2-3、次が勝負の一球!河本の左腕から、渾身のストレートが投じられた…!!!!

次の瞬間、琢朗は小さくガッツポーズをすると、さっさかと一塁ベースに向かって早足で歩き出した。三塁ランナーの内川が満面の笑みでバンザイしながらホームへと走り寄る。スタンドは、一瞬何が起こったのかわからずフリーズした。

押し出しフォアボール。

河本のストレートは、外角高めにわずかに外れてしまったのだった。どわぁ~!喜んでいいのかわからず、歓声とため息が入り交じるスタンド。こんなの長いことファンやってて初めてだよ。途中まですごく面白かったドラマの最終回がとんでもない不条理な結末だったようなもんだわね。まぁでも、琢朗がこのボール球にヘタに手を出して凡退してたら、横浜は中継ぎが不安定なだけに次の回はわからなかったからなぁ。勝ったからまぁいいか。でもなんか煮えきらねぇ~(笑)!



ヒーローインタビューの琢朗さん。持ち前のユーモアたっぷりトークで笑わせてました。最後の球は「手が出なかった」そうです。謝ってましたがもういいってことよ。勝ったんだから!



スタンド前までやってきて声援に応える琢朗さん。

※今日の試合の第1打席でセンター前にはじき返し、
2000本安打達成!!
おめでとう~!!
コメント (2)
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