94W杯アジア最終予選20年目のレビューVol・4

 10月15日から約2週間にわたって行われていたW杯アジア最終予選も いよ
いよ最終日。

 迎えた最終戦の相手はイラクで、日本は これまでイラクには勝った事がない
ものの宿敵である韓国に完勝した勢いがあれば勝てるのではという楽観的な
ムードがあった。


 とはいえ当時 祖父母宅にしかなかったBSで日本以外の試合を見ていると
イラクの強さは驚異的で、残り20分をきるとペースダウンする韓国よりも強いの
ではと思っていたし初戦で北朝鮮に2-0から退場者を出して逆転負けしてなけ
ればトップに立っていたのは むしろイラクではないかと思えるほどだった。


 日本は警告累積から戻った森保がボランチのポジションに戻った北朝鮮戦と
同じメンバーで臨むのに対し、イラクはボランチと両ウイングが出場停止だから
メンバー的には日本に有利ではあった。


 試合は開始5分に中山が右から突破して上げたクロスを長谷川がヘッドで合わ
せたシュートがクロスバーに跳ね返ったところを三浦カズがヘッドで決めて早くも
先制する。


‘カズが点を取った試合は負けない’というジンクスが合ったし過去4試合の中で
最も早く得点したのだが、この1点が勝たなければ敗退が決まるイラクの闘志に
火が付き これまでとはケタ違いの激しい当たりでボールを奪われて凄まじい猛攻を
受ける展開が続いて何とか前半は1-0とリードを奪ったまま終わる事ができた。


 考えてみれば日本は中2日に対してイラクは中3日で4試合目にして初めて
日本の方が相手より休養日が短い中での試合になっていた。


 ハーフタイムを終えて他会場の途中経過は韓国が北朝鮮相手に0-0だった
ものの勝つというのは分かっていたのに対し、あまり得点力がなかったサウジが
堅いディフェンスを誇るイラン相手に3-1とリードしていたのが想定外で‘サウジ
とイランが引き分ければ日本も引き分けOKなのに’と思っていたから これで
イラクに勝つしかなくなった。


 後半イラクは中盤を減らして4トップの形で総攻撃をかけ1度はオフサイドで
同点ゴールが取り消されたものの54分にラディから決められ遂に追い付かれて
しまう。


 これで勢い付いたイラクは更に猛攻を仕掛けGKとの1対1を外されシュートを
打たれるが勝矢が戻ってクリアして逆転を阻止すると、69分にラモスのスルー
パスにオフサイドぎりぎりで反応した中山が決めて2-1とリードを奪い流れを
引き戻す。


 イラクも残り10分をきるとペースダウンしていたのでオフトは中山に替えて
韓国戦同様 武田を起用するのだが、その武田が残り5分をきったところで敵陣の
深くまで持ち込みながらボールをキープせず誰もいないにも拘らずセンタリングを
上げてGKにプレゼントしてしまう。


 そこから逆襲されサイドから放り込まれたクロスからの強烈なシュートを松永が
コーナーキックに逃れた時点で90分が過ぎてロスタイムに入る。


 この予選ではロスタイムを殆ど取らなかったのでラスト1プレーと思われ、ハイ
ボールを放り込んで来るだろうと思われたコーナーキックをイラクはショート
コーナーでつないで上げたクロスが途中出場のオムラムの頭に当たってゴール
左下に吸い込まれ同点。


 このまま引き分けに終わり日本はアメリカへの出場権を土壇場で逃してしまった。

 最後のコーナーキック前にレフェリーはラモスに向かって‘あと1プレー’と伝えた
らしく、実際に状況からいって本当にラストプレーと分かっていたのでイラクも少し
でも早く始めたいと思っているだろうからハイボールをエースのラディの頭にと
考えていたのではないか。


 ところがイラクは時計を背にして戦っていたので時間が分かってなかったため
全員がPエリア内に入っていた状況を見てショートコーナーを仕掛け、虚を突か
れた日本はセンタリングを許してしまいラディへのマークは完璧だったものの
後半から出場したオムラムの頭に当たって ゆっくりと日本のゴールラインを
割った形だった。


 これを見るとサッカーの神様が‘日本が世界に出るには まだ早い’と判断しての
事としか思えないのだ。

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