大野、オール一本で金=中矢は連覇ならず―世界柔道(時事通信) - goo ニュース
26日からリオデジャネイロで始まった今年の世界柔道選手権は最初の3日間を
終えて男子では60㌔・66㌔・73㌔の軽い3階級が実施されたのだが、昨年の
ロンドン五輪で史上初の金メダル0に終わった日本男子が高藤直寿・海老沼匡に
続き大野将平もオール一本勝ちで3個の金メダルを獲得した。
特筆するべきは60㌔級の高藤に続いて初出場での優勝で、3年後のリオ五輪に
向けて ようやく明るい日が差し始めた感じだ。
これを見ると監督が代わると ここまで違うのかと思ってしまう。
前任者は‘選手を叱る事ができる’という理由で起用されたようだが今時の選手
には理解できないような精神論の押し付けとスパルタ的な指導が目立ち、ただで
さえハードな代表合宿を増やしただけでなくケガなどによるコンディションを無視
したやり方で試合に臨むという状態だった。
実際にロンドン五輪では他国の選手や首脳陣達は‘日本の選手達は精気が
ないし、かなり疲れてコンディションが悪そうだった’と口々に言っていたという。
プロ化してレベルアップした時代に選手のコンディションを無視してハードな練習を
押し付けて疲弊した状態では勝てるものも勝てないし、選手達の心も首脳陣から
離れていたというのも頷ける。
コンディションの差というのは勝負の行方を左右する重要なファクターで、ロンドン
でも60㌔級の平岡拓晃と73キロ級の中矢力が決勝進出しながら敗れた理由の
1つではないか。
今回の井上康生監督は現役時代にシドニー五輪の頂点とアテネ五輪の挫折を
経験しているし、引退後は海外にコーチ留学しコーチングの勉強を やっての代表
監督就任で選手達としっかりコミニケーションを取っているようだ。
こういうやり方は組織内部の保守的な面々からは‘選手を甘やかしているだけ’
と不評だろうが、今時の選手は前任者のように精神論を頭ごなしに強制しても反発
しこそすれ心酔する事はない。
そういう意味で現役時代の実績だけでなくコーチングの勉強をした井上康生は
代表監督には適任という事だろう。
もっとも軽い3階級はロンドンでもメダルを獲得している階級で、むしろ後半の
重量級での結果が気になるところだが少なくとも試合をしている選手達の表情も
吹っ切れたように生き生きしているようだから3年後に光が差した感じがする。