内山高志や山中慎介が熱望している海外でのビッグネーム相手の
試合を実現したのは西岡利晃と三浦隆司の2人だが、それ以前に
ビッグマッチを期待されたものの惜しいところで逃した選手では
浜田剛史と平仲明信に三原正が上げられる。
WBC:Jウエルター級王者だった浜田剛史は強豪のレネ・アルレ
ドントを1RでKOして戴冠したのだが、アルレドントとの再戦で
勝った場合Jライトとライト級を制していたヘクター・カマチョが
3階級制覇を狙っており浜田との対戦の話が出ていた。
WBA:Jウエルター級王者だった平仲明信も3階級制覇王者だった
エドウィン・ロサリオを1RでTKOして戴冠し、同じ興行でWBC
王者だった名王者フリオ・セサール・チャベスとの統一戦の話が出
ていたのだ。
残念ながら浜田はアルレドントとの再戦で敗れ、平仲もモーリス
・イースト相手の初防衛戦をオーバーワークが原因で逆転KO負け
してビッグマッチの実現はならなかった。
浜田や平仲はビッグネームの選手に勝っているからこその対戦オ
ファーだったのだが、そんな中で異色だったのはWBA:Jミドル級
王者だった三原正で何とシュガー・レイ・レナードとトーマス・ハー
ンズという5階級制覇をしたスーパースターとの試合が設定されて
いたのだ。
プロ入り5戦目でOPBFタイトルを奪取した三原は世界1位に
ランクされて迎えた81年6月にヒューストンのアストロドームで
開催されたレナード&ハーンズのWメインの前座でOPBFタイト
ル防衛戦で倒したラモン・ディオニシオをKOして名を上げると、
レナードの返上で空位になったWBA:Jミドル級タイトルを2位
ロッキー・フラット相手の決定戦を敵地・ロチェスターで行いダウ
ンを奪う判定勝ちでタイトルを奪取。
この2試合で評価を上げた三原は‘オリエントエクスプレス’と
現地で言われ、専門誌などによれば1位のアユブ・カルレとの指名
試合をクリアしたら82年の秋あたりに統一ウエルター級王者のレナ
ードとノンタイトルで対戦する話が出ていたらしい。
残念ながら三原はデビー・ムーアとの初防衛戦で緊張から動きが
硬く6RでKO負けしてタイトルを失い、レナードも網膜剥離で一時
引退する事になる。
三原は その後 日本タイトルから出直し84年にロベルト・デュ
ランを倒したばかりのトーマス・ハーンズからのオファーを一旦受
けたものの、持病の腰痛が悪化して最終的にキャンセルする事に
なってしまった。
凄いのはアルレドントやロサリオといった大物と戦ってないにも
拘らず、レナードやハーンズから対戦オファーが来たのはアメリカ
での2試合が素晴らしかったというわけで アメリカなどを含めた
海外で戦わないとダメだという事を証明しているのではないか。