先日BSプレミアムのシリーズ深読みの中で悪魔の手毬唄が八つ
墓村、犬神家の一族に続いて特集されてきた。
次の週にはプレミアムシネマの中で市川昆監督作品の犬神家の一
族や獄門島と一緒にOAされるなど、悪魔の手毬唄にスポットが当
たっている感があるのだが個人的には映画版よりも古谷一行主演の
TV版の方が面白味があったと実感する。
というのも先述した犬神家の一族や獄門島は原作の世界がしっか
りと反映されているのだが、悪魔の手毬唄はTV版で6話にわたり
描いていたので原作の雰囲気をより忠実に再現してくれていた形だ。
ヒロインにあたる大空ゆかり役が映画版が仁科明子だったのに対
しTV版は夏目雅子だったという事もある一方で、印象的だったの
が物語の鍵となる手毬唄の存在だ。
歌の歌詞通りに人が殺されていくというのはアガサ・クリスティ
原作の そして誰もいなくなったや怪奇大作戦の死神の子守唄を思い
出すが、重要なのは視聴者の耳に残るメロディで‘10人のインディ
アン'あたりは童謡として広く知られているので覚えやすいし死神の
子守唄も然り。
当然ながら映画版とTV版では音楽担当が違う事から手毬唄の歌
詞は同じではあるもののメロディが違うわけだが、映画版よりTV
版の方が耳に残っているしTV版が6週連続で聞いていたのに対し
映画版は1度聞いたら次まで大きく間が開くという事もあるだろう。
ちなみに映画版は座等市物語などの音楽を担当した村井邦彦だが
1つ前の作品・犬神家の一族はルパン三世の大野雄二で、1つ後の
獄門島は田辺信一と それぞれ担当が変わっていた。
一方でTV版はゴジラ対ヘドラなどの真鍋理一郎だったわけだが
特にTV版は半年続いていた事から、横溝正史ワールドのおどろお
どろしい雰囲気を醸し出していたので そちらの方が馴染みがある
のかもしれない。