98年12月23日の事件

 8年前の今日の話。
 朝から冷え込んでいたが父が妙に寒がっていた。それだけ
ならいいのだが朝食の味付け海苔が「どこにあるか見えない」
と言っていた。
 そして営業が始まるとヘアダイの黒タオルが見えないと言う。
 ‘何をとぼけとるんじゃ?’と母と言っていたのだが夕方に
なるといよいよおかしな事ばかりやり始めた。
 お客さんの髪を左右互い違いにカットするし、タオル蒸しの
蓋は開けっ放しで顔を剃り、やたらとぶつかる。
 そして夜になると櫛ですくい上げた所と全然違う所を切って
いるではないか!「こりゃまずい」と私が代わって修正したが
「左手が利かない」と父は言う。
 祭日なので病院は休みだが行き付けの開業内科医に電話すると
「往診しましょうか?」と言ってくれたが母が動けると言ったの
で「すぐ連れてきてくれ」という事で私の車で連れて行った。
 するとそこの病院でまもなくひきつけを起したので近所の総合
病院へ救急車で搬送してもらった。本来脳外科の先生は当直では
ないと言われたが、開業医の先生が付いて来てくれたので担当の
先生が出て来て診てくれた。
 結果は軽い脳出血、幸い出血箇所が悪くなかったし治療に取り
掛かるのが早かったので翌朝には左手が動くようになっていた。
 問題は血圧は異常ないのになぜ脳出血を起したか?だったが
調べて見ると脳の静脈に動脈血が流れ込む脳動静脈奇形が原因だっ
たのだ。そして手術しないとまた再発する可能性があるという事で
年明けに手術が決まり、父は年末年始は入院するハメになったのだ。
 当然残る7日間は私と母で営業したのだった。
 結局手術は成功し退院と同時に父は仕事を再開、72歳になった今
でも元気に働いている。
 皮肉な事に父が最後にグチャグチャにカットし私が修正したお客
さんは3ヵ月後に酔っ払って階段から転げ落ちて頭を打って亡くなっ
たらしい。また退院後、父の体を心配していた母も04年の6月に急性
リンパ性白血病の治療中に肺炎を併発して亡くなった。
 人の運命とは分らないとつくづく思う。
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コメント
 
 
 
Unknown (溝の口のかねちょん)
2006-12-23 23:09:09
突然すみません。TBさせてください。ほんとにすみません。
 
 
 
いらっしゃいませ (こーじ)
2006-12-24 08:49:36
>溝の口のかねちょん様
 いらっしゃいませ、TBありがとうございます。
 怪しげなヤツでなければ大丈夫ですよ、これからも宜しくお願いします。
 
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