高校野球にドーム球場は そぐわない

　ここ数年 夏の酷暑を受けて‘夏の甲子園を空調の利いた京セラ ドーム
あたりでやれば’という意見があるのだが、個人的にドーム 球場は高校
野球にそぐわないと思うのでは大いに違和感がある。

　たしかに夏の暑い日差しを浴びながらのプレーは高校野球で最も 絵に
なるし雨などでの中止によるスケジュールの遅れや、それに伴 うスケジュ
ール消化のための雨中戦は選手にとっては過酷だろう。

　しかし野球というのは元々自然の中でプレーするものだから多少 の雨
中での試合や強風やイレギュラーによるハプニングもプレーの うちで、
本来なら野球に付き物の要素を排除したのがドーム球場の プレーだか
らグランドの荒れ具合から来るイレギュラーや打球が風 に流されるなど
という要素は排除されてしまう。 　

 　おりしも9月上旬にタイのバンコクで開催されたBFA－U18野球選手
権では日本はバンコクの赤土による劣悪な環境のグランドでプレーする
事になり、大事なところでのエラーが目立ち決勝ではエラーに よる失点が
命取りになって準優勝に終わる。

　両チームとも条件は同じとは言うものの素晴らしい甲子園のグラン ドで
プレーし慣れている日本と、手入れができてない劣悪な環境での プレーに
慣れている海外勢が戦う場合は劣悪なグランドでのプレーに 慣れている
方が有利なのは当然だし一方で国際試合が人工芝のドーム 球場を使用
するケースは少ない。 　

　また日本人選手がMLBでプレーする場合に最も通用しないのが 内野
手で、これなど人工芝でプレーする機会が多い弊害ともいえる。

　更に外野手でもイチローや田口に青木らアウトドア球場を本拠地に して
いたチーム上がりの選手が活躍するケースが多いのも特徴だし、 日本人
選手をレベルアップさせるには人工芝のドーム球場は決して いい環境では
ない。

　しかも駒大苫小牧あたりが始めた内野手のスライディングキャッチ などは
雪上ノックによる副産物だが、あくまで土のグランドだから可 能なプレーで
人工芝では危なくてできない。

　こういう事を考えると人工芝のドーム球場は雨天中止がないので 営業的
には理想だろうが、選手達のレベルアップという観点からすれ ば百害あって
一利なしという事になるのだから高校野球だけはアウト ドア球場に拘るべき
だろう。