ルールを変えてまで野球を五輪に復帰させないといけないのか

仙さん、五輪野球「競技として戻ること最優先」(サンケイスポーツ) - goo ニュース

　先日行われたIOC理事会でレスリングだけでなく野球&ソフトボールが最終
候補に残った事がマスコミでは かなり喜ばれていて、星野仙一などは「五輪
種目に戻れるなら7回制だろうが2アウト制だろうが3ボール＝四球でもいい」と
ルールを更に変更してでもという姿勢を明確にしているし中畑清も‘WBCより
五輪が大事’と熱弁している。

　正直言って個人的に野球の五輪種目復帰はルールをIOCに媚びて
いじっても、MLBが協力しなければ無理だろうと思うし、2人の元五輪代表監督
の見解には大いに違和感がある。

　MLBは162試合とギッチリ詰まった日程を変更しようがないし本気で勝とうと
思えば1ヶ月近く公式戦を中断しないといけないのに五輪の開催時期である
7月～8月に中断できるわけもなく公式戦を行いながらというのもシーズン前の
WBCですらチームによって温度差があるので厳しいだろう。

　そもそもプロは誰から契約金を貰うかといえばチームのスポンサーからであり
代表チームがスポンサーではない。

　サッカーなどでも国別対抗の最高峰であるW杯と その予選ではスター選手の
所属しているクラブも協力するだろうが、それ以外の親善試合や五輪のような
年代別の大会への出場には難色を示すのは そのためだ。

　かつてサッカーの五輪とW杯が16カ国での大会だった時に五輪では最大
6試合を2週間以内に終わらせていたのに対し、W杯では1ヶ月かけて行って
いたようにプロ参加の大会は選手達のコンディションに配慮している。

　だからラグビーは15人制が最低5日前後は休養期間を設けなければいけない
のでW杯で行い、2週間以内で行える7人制を五輪種目にするという対策を立て
ている。

　野球でいえばシーズン開幕前に行われるWBCは自分達の主催という事で協力
しても、シーズンを中断しなければいけない五輪にMLBのオーナー達が難色を
示すのは火を見るより明らかだろう。

　星野仙一が言う‘7回制・2アウトチェンジ・3ボール四球’という競技を新たに作る
ならばいいが あまりに付け焼刃的な感が拭えないし、中畑清の‘WBCより五輪の
方が上’発言はサッカーでいえばW杯優勝よりも五輪で金メダルを取る方が価値が
あるというのと同じで彼らの不見識を禁じえない。

　特に星野仙一らは球数制限に否定的な一派なのに、こういう時だけルール変更に
理解を示すのには違和感がある。

　プロ競技の価値観でいえばサッカーはW杯優勝、ゴルフやテニスでは賞金王、
スキーなどもW杯総合優勝であって五輪の金メダルではないので野球も現実的に
WBC優勝の方が五輪の金メダルより上という価値観を受け入れるべきなのに、
元五輪代表監督達の見識を大いに疑いたくなる。