フルスイングを否定する事なかれ

松田、柳田がなぜ育つ? ソフトバンクに根付く「裏付けあるフルスイング」

 今シーズンはホークスの柳田悠岐や、ライオンズの森友哉のフル
スイングが話題になっている。

 彼ら2人を含めたパ・リーグの強打者達が迫力のあるスイングが
ようやく世間からポジティブに語られ出したのを聞くと隔世の感が
強いし、昭和の時代に日本球界ではフルスイングがネガティブなイ
メージで語られていたのを思い出す。

 王貞治は評論家時代に‘現役20年間に868本もHRを打って凄いと
言われるが、自分的には全打席HRを狙っていたので868本しか打て
なかったと思っている'と語っていたのだが、通算756号を打った頃は
‘ヒットの延長がHR’と語っていたのを覚えているので当時の日本が
HR狙いをチームプレーの精神を害するとネガティブに捉えていた証拠
だろう。

 私も高校野球をやっていたクチだが高校時代に監督やコーチから
‘バットを短く持ってセカンドの頭を越すイメージ’で振るように
教わっていたし、バットを長く持ってフルスイングなどしようもの
なら‘そんなにHRを打ちたいか’と怒られていたのを思い出す。

 つまりチームプレーの概念が強過ぎたので一発で点が入るHRは
あくまで偶然の産物だからバントなどを絡めて短打をつないで得点
する事こそ王道と言われ、甲子園で結果を残していた伝統校のほと
んどがそのスタイルで戦っていたのだからミート中心主義は当然
だったろう。

 実際にフルスイング=当たれば大きいが打率は低いし三振も多い
というイメージが強かったし、同じアウトでも三振のアウトを批判
する日本でプロの一部を除いてフルスイングする打者は希少だった。

 一方70年代まで日本の球場は狭かったしドーム球場ができて広い
球場が増えると反発係数の高いボールが出回り始め、フルスイング
しなくてもHRは出ていたので‘ヒットの延長がHR’という理論が
蔓延っていたのだ。

 ところが反発係数の少ない統一球の導入やWBCなどで使用される
公式球はミート中心では飛ばないため‘ヒットの延長がHR’という
理屈は否定され、ミート中心主義に拘ってHRでの得点を諦める傾向
が強かったセ・リーグのHR数は減ったしフルスイングに肯定的だっ
たパ・リーグに比べて大きくレベルダウンしたようだ。

 大学時代からHR数は多いものの三振も多かった柳田悠岐を先頭に
立って獲得しただけでなくコーチ陣に打ち方を絶対にいじらないよう
厳命して覚醒させたのが‘全打席HRを狙った’王貞治だったという
のも何らかの縁ではないだろうか。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
テラス効果 (テコンドーを五輪から除外しろ!!)
2015-07-03 23:24:17
ソフトバンクは「ホームランテラス」を設置して球場を狭くしてフェンスも低くなったのはもちろん大きいが、昨年に比べると打者が力まずに余裕を持って臨めるのがかなり大きいみたいだな。
阪神もソフトバンクを見習って甲子園に再び「ラッキーゾーン」を作ればいいのにな(笑)。
 
 
 
広さよりも (こーじ)
2015-07-04 22:19:56
>テコンドーを五輪から除外しろ!!様
 福岡ドームの場合は球場の広さよりもフェンスの高さの方が問題だったようですね。

 だから甲子園はラッキーゾーン撤廃よりタイガースの打者の意識の差でしょう。

 例えば浜風を有効利用する打ち方などですね。

 かつての神宮では古田や池山らがポール際を狙って最短距離HRを打ってましたから。
 
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