先ほど日刊スポーツのサイトを見ていたら元世界Sフェザー級王者のヘナロ・
エルナンデスがガンのため6月7日に亡くなっていたというニュースが載って
いたのを見て驚いた。
以前ボクシングマガジンにヘナロ・エルナンデスの近況が載っていたのだが
妙に やつれて小さくなっていたので‘病気か?’と思ったら案の定ガンを患い
闘病中だとの事。
それからしばらくして「抗がん剤が効いて回復している」という情報があった
ので一安心していたのだが・・・・45歳とはホントに早過ぎる死である。
91年11月にブライアン・ミッチェルが返上したWBAのSフェザー級タイトルを
決定戦で獲得したヘナロ・エルナンデスは帝拳ジムとプロモート契約していた
関係で92年に日本で2度防衛戦を行った。
最初は7月に2度目の防衛戦を福岡国際センターで竹田益明と戦い大差の
判定勝ち。
続いて11月には3度目の防衛戦を東京体育館で日本王者だった渡辺雄二と
戦ったのだが、この試合は衝撃的だった。
試合前の予想ではテクニックはエルナンデスだがパワーは渡辺も引けを取ら
ないので強引に接近戦に持ち込んでリズムを崩せば十分タイトル奪取は可能と
いうもので、特に前回の竹田戦でもそうだが右拳を痛めていたため接近戦で
ボディ攻めをすれば勝てると私も考えていた。
ところが渡辺の強引なアタックを巧く受け止めると早くから右拳を痛めていた
のを感じさせないぐらい多彩な左連打、特に左アッパーが渡辺を痛めつけ6Rに
TKO勝ちしたのだった。
‘このクラスでは180㌢と長身だったので減量もきついだろうから前半から
ボディを叩けば勝機あり’的な報道もあったが、試合前の計量では服を着用しても
リミットを下回っていたのだから減量苦はありえなかったのだ。
渡辺が完敗したためかエルナンデスに挑戦する日本人挑戦者はいなくなりプロに
転向したバルセロナ五輪金メダリストのオスカー・デラホーヤとのビッグマッチが
決まりそうだったもののエルナンデスが かなりの強敵と悟ったデラホーヤはWBO
のタイトルに挑戦し後に6階級制覇する中の最初のタイトルを奪取した。
そこでエルナンデスはタイトルを返上して1階級上のライト級に上げ2階級制覇
していたデラホーヤに挑戦したのだった。
残念ながら鼻骨骨折でTKO負けしたのだが、アズマー・ネルソンからWBCの
Sフェザー級タイトルを奪取し3度防衛した後にフロイド・メイウェザーJrの挑戦を
受けて8R終了TKO負けでタイトルを失い引退していた。
結局生涯成績はデラホーヤとメイウェザー戦の2敗のみ。
時は流れて今年1月に このタイトルを持っている内山高志が三浦隆司相手の
防衛戦で右手を痛めていた内山が左のみで三浦の目を腫れ上がらせてTKO勝ち
したのを見て‘ヘナロ・エルナンデスが こんな試合をしていたな’と思い出したの
だった。
名王者のご冥福をお祈りします。