28年ぶりの再会

　我々の業界は8月に盆休みがあり、かつては遊んで回るだけでよかった。
　しかし所帯を持ったら遊んでばかりはいられない。
　ご存知のようにウチは私で3代目、祖父の代から来られていたお客さんの
初盆参りをするようになったし、そういった責任がある。
　今年もお客さんの初盆参りに行ったのだが、今回は幼馴染のK君の母
親がいた。
　K君の年の離れた兄がウチのお客さんという事での初盆参りだったが、
訪れるとK君がいた！

‘おお、Kちゃん！’

‘おお、元気にしとった！’

と、どちらからともなく抱き合って喜んだ。

　かつてK君の家はウチの2,3軒隣で小学校低学年までは、いつも一緒に
遊んでいたのだ。
　ヒーローものが互いに大好きでK君は工作が得意、だから
‘大きくなったら新兵器をオレが設計するから、オマエが作れ’ みたいな
事を言っていたし、すっかりその気になっていた。

　残念ながら高学年になって以降は私は野球に熱中し始め、バンドなどを
中心にした文科系のK君とは疎遠になっていた。
　高校も別々になっていたし卒業後はK君は地元を離れ結婚していた
のだ。

　消息はK君の兄がカットに来たときに聞かされていたが、K君の実家も
引っ越していたので帰省しても顔を合わせる事はなかった。
　それが高1以来の再会である。

　こんなに嬉しい事はない！

　15分ほどの滞在だったが同じクラスだった小1と2年の頃の話をしたら
K君も覚えていて盛り上がり、あっという間に時間は過ぎた。
　互いに年は取ったが止まっていた時間が再び動き出したような感覚
だったし、濃密な時間を過ごす事ができた。