箱根駅伝の 功罪

 新春の風物詩である箱根駅伝が、昨日で終わった。
 2日続けてスポーツ紙の一面を飾り、高視聴率を叩き出す
番組になっているので大いに盛り上がっているが、その反面
影の部分も目立ち始めた。
 その最たるものが、今回の前代未聞である3校もの途中棄権
だろう。 

 スポーツライターの生島淳氏が書いた‘駅伝がマラソンをダメに
した
’という本の中で‘特に箱根駅伝を中心にした駅伝が、
男子マラソンの低迷とリンクしている’という事を記している。
 面白いのが、著者は熱烈な箱根駅伝ファンだ。
 詳しくは この本を読むのが一番だが、確かに87年にNTVの
中継が始まってから箱根OB達の五輪出場や、活躍が激減している。
 特に現在 早稲田の監督である渡辺康行などは、箱根のスーパー
スターで‘五輪で金メダルを取れるのは、彼が最有力’ と言われて
期待されていたがケガで低迷し、大した活躍もできず引退してしまった。
  高視聴率を誇る番組というのは、少子化が問題になっている大学に
とっては格好の宣伝の場である。
 だからマラソンで活躍するより、箱根で活躍してもらった方が好都合
と考えている大学が、かなりあるようだ。
 特に最近は、レベルが限界に近いぐらい高くなっているので大学同士の
力の差は僅かだ。
 実際に予選会で落選した選手達で組織した、関東学連選抜が
4位に入る大健闘を見せたのが、いい例だろう。
 そうなると、ちょっとした事で順位がコロッと変ってしまう。
 予選会終了から2ヶ月近く、極限状態で過ごすのだからコンディションを
維持するだけでも大変だ。
 瀬古利彦や谷口浩美らが活躍していた頃は、マラソンの息抜きという
位置付けだったが今やコチラの方が真剣勝負になっている。
 いわゆる‘手段と目的が入れ替わった’状態だ。

  実際 女子では、ここまでメジャーな駅伝はない。 あっても高橋尚子や
野口みずきら、マラソンの代表クラスは基本的に出場しないではないか。 

 とはいえ箱根駅伝が、ここまでメジャーになったおかげで長距離陣の
裾野は広がっている。
 しかも高視聴率になる番組ではあるが、通常の俗悪なスポーツ中継と
一線を画しているのも好感が 持てる。
  ここまでメジャーになっているイベントを 今さら止めるのは現実的
ではない。ただ、今のままではダメなのは確実だ。
 これを男子マラソンの強化に転用できるかが、これからの日本長距離
界の課題だろう。

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