ウルトラマンネクサス憐編最大の見どころは死を覚悟した憐が最
強ビースト・イズマエルに挑むのと同時に、自らを監視していた野
々宮瑞生に対する切ない心情が描かれているところだろう。
プロメテの子である千樹憐はプロメテウスプロジェクトのアカデ
ミー育ちで、ここは外界から完全に遮断された世界だから人間関係
でも純粋培養されて生きてきているだけに人の心情には疎いところ
がある。
プロメテの子特有の細胞アポトーシスが起きる可能性が高かった
憐は自らの命が短いのを察知し、周りの人を悲しませたくないと考
え日本にやって来て人知れず死のうと考えていたようだ。
ところが憐を監視する役割としてTLTから使わされた野々宮瑞
生と交流を持つうちに互いに惹かれ合う事になったのだが、憐にし
てみると自らの命がいよいよ尽きるのを察知していたので瑞生との
別れが辛い。
そこで瑞生に看病させている間に目をつけたのがメモレイサーで
ビースト被害者の記憶を消すアイテムを使って瑞生に自分との思い
出を忘れてもらおうと考えるのだが、瑞生にしてみると憐との思い
出は決して忘れるものではなく愛する人との別れ以上に思い出がな
くなるのが辛いという事を涙ながらに伝えるのだった。
ネクサスの素晴らしさは瑞生の任務がビースト被害者の記憶を消
すという事で、そのためのアイテムであるメモレイサーを持ってい
るだけでなく首藤リーダーや三沢と違ってビースト被害者の記憶を
消す事に対する罪悪感を持っているというもの。
だからこそ余計に自分が憐を愛した記憶がなくなる事に対する抵
抗があるし、例え悲しく辛い思い出でも記憶をなくすよりはマシだ
という事を思い知っているから憐への訴えになったと思うのだ。