日本男子、37年ぶり金=アテネ五輪以来の団体制覇―世界体操
日本時間の今日未明から早朝にかけて行われた体操の世界選手権・
男子団体で予選を1位で通過した日本は宿敵の中国や、開催国のイ
ギリスを上回り78年ストラスブール大会以来37年ぶりの金メダルを
獲得した。
上海で行なわれた昨年の世界選手権では中国の最終演技者に0,1P
上回られて優勝を逃した日本は予選を1位で通過すると、最初の床で
トップに立つと あん馬でも得点を伸ばしてリードを広げる。
更に つり輪と跳馬でも得点を伸ばして行ったのだが平行棒で田中
佑典が落下してリズムが狂い最終種目の鉄棒でも2番手の田中と最
終演技者のエース内村航平までが落下するミスが出たものの、2位
に上がってきたイギリスの追い上げもかわして逃げ切った。
大会前に内村に次ぐポイントゲッターの加藤凌平が足のケガで
出場が危ぶまれたのに続いて大会前の練習で長谷川までがケガで
出場不能となり代役に早坂尚人が出場する事になったのだが、そ
の早坂が床で好演技を披露し内村だけでなく白井健三が得意の床
と跳馬で高得点を出す。
更に あん馬でも萱和磨が大技を成功させるなど稼いだ前半の
リードが終盤のベテラン選手達のミスをカバーした形だ。
60年代から70年代にかけて五輪と世界選手権を含めて10大会連続
優勝を果たすなど‘体操ニッポン'といわれたのだが、最後にストラス
ブールで優勝したメンバーが塚原光男や笠松茂などモントリオール
五輪のメンバーから加藤沢男が抜けただけという状況だっただけに
王座陥落は時間の問題だったし実際79年のフォートワースでソ連に
敗れて2位に終わる。
その後は黄金期のメンバーとの世代交代の失敗や中国やアメリカの
台頭に旧ソ連がロシア・ウクライナ・ベラルーシに分裂するなど強豪
国が増えて来た事もあってメダルは取れるものの、金メダル奪回は
困難な状況が続いたしアテネ五輪で金を奪回した翌年に中国有利の
ルール改正まであったので世界選手権の金は あと一歩で逃し続けて
いた。
昨年の上海では金まで あと一歩まで迫りながらホームアドバンテ
ージの影響か0,1ポイント差での2位だったのを考えると、ミスが
出ながらの優勝は勝利の女神が‘借り’を返してくれたのかもしれ
ない。
これで審判団には‘日本強し’というイメージができたようだから、
来年のリオ五輪での金メダル奪回への道が開けたのではないだろうか。