ヒーローもののファミレス化について

　最近気になるのがヒーローのファミレス化である。
　ファミリーレストランは大多数の家族で楽しめる最大公約
数をターゲットにした経営である。
　ただし、どんな物でも欠点はあってファミレスの味が画一
的でイマイチという声も根強くあるのだ。
　最近のヒーローものを見ているとスポンサーのおもちゃ屋
との提携が際立っているように見える。
　確かに特撮系は予算がかかるし、綺麗事を並べたところで
みなさん霞を食べているわけでもないのでスポンサーとの提
携についてうるさく言うつもりはない。
　ただ考えないといけないのが例えば戦隊モノの場合はファ
ミレス的な作品でいいかもしれないが、仮面ライダーやウル
トラについてはどうだろう？
　例えば昭和の仮面ライダーはストーリー的にシンプルで、
ほぼワンパターンだったが、今見ても新鮮味がかなりある。
　仮面ライダーや人造人間キカイダーは原作者や製作会社は
同じだが、途中から全く違った作品になっている。
　これに対し昨今のライダーシリーズは戦隊モノとの区別が
つきにくくなってしまっているのだ。
　これは結局おもちゃを売りたいスポンサーの意向が絡むの
だろうがあまり露骨にやると心有るファンが逃げてしまう。
　ファミレスばかりでなく、それぞれの専門店があるように
ヒーローものももう少し専門性を意識してもらいたい。
　何度も書いて恐縮だが、そういう意味でウルトラマンネク
サスは貴重な作品だった。
　このネクサスは大人向けの作品で、開始当初はかなりムー
ドも暗く陰鬱なシーンが多かった。
　それがあったからこそ終盤の盛り上がりにもつながったの
だが、残念ながら何度も記したように3ヶ月早く打ち切られる
事になってしまった。
　1クール終って人気が出ないとTV局やスポンサーからの梃入
れが始まる。
　確かにネクサスを子供でも分るように、単純明快に路線変更
したなら1年間しっかりとOAできたかもしれない。
　それでも打ち切りという憂き目にあったにも拘わらず、最後
まで路線変更を受け入れず骨太のドラマを作り上げたネクサス
のスタッフの方々の苦労たるや想像を絶するものがあるだろう。
　ネクサス好きの面々にはそれが分るからこそ今でも心に留め
ているのだ。　
　今は消費文化の時代と言われているが、ヒーロー作品までも
視聴者から消費されているとしたら決して作品としては好まし
いものではないだろう。