95、５、２・野茂英雄メジャーデビュー

　今から12年前の今日は野茂英雄がLAドジャースでSF
ジャイアンツを相手にMLBデビューを果たした記念すべき
日である。
　野球は日本のスポーツ人気No1を自称していながらNLB
で活躍したのは村上雅則のみ、日米野球では物見遊山気分
で来日した連中に1回のシリーズで勝ち越し僅かに1回とい
う絶望的なレベル差があると思われていた。
　しかも村上以降では85年にライオンズを退団した江夏豊
がミルウォーキーに挑戦したものの、メジャーには残れず
引退しているのだ。
　つまり江夏以来10年ぶりのMLB挑戦だったのだ。
　悪い事に野茂はバファローズフロントと衝突しての挑戦
だっただけに球界の反応は冷ややかで、特に球界きっての
理論派を自認していた広岡達郎などは‘野茂が向こうで通
用するわけがない。ロマンや憧れだけで通用するほど甘く
ない、なぁにすぐに音を上げて帰ってきますよ’と酷評す
る始末。
　MLBでは94年の7月からストライキに入っており、一時は
再開のメドが立たず95年の4月30日からようやくシーズンが
再開される事になったのだ。
　そんな紆余曲折があってのシーズンインだったが我々の
心配をよそに野茂はマイペースで仕上げて行き、コーチ陣の
評価も上々でMLBデビューを飾る事となった。
　デビュー戦の相手はサンフランシスコでのジャイアンツ戦。
　かつて村上雅則が所属したチーム相手だから因縁めいてい
るではないか！
　しかもMLBきっての3,4番であるバリー・ボンズとマット・ウ
イリアムスがいるのだ。彼らに野茂のストレートとフォークが
通用するのだろうか？
　期待と不安が交錯する中4:30に起きて衛星放送の画面に見
入ったものだった。
　立ち上がり2アウトからボンズ以下を3連続四球で満塁のピン
チを招いたもののフォークで三振に討ち取ると、3回にボンズ
をレフトフライにウイリアムスを三振に討ち取って我々の溜飲
を下げる。特にウイリアムスの三振シーンは鳥肌モノだった。
　結局5回を1安打7三振無失点の好投でデビュー戦を終える事
になったのだ。
　これ以降5日に1度はMLBの衛星生中継を見る事ができるよう
になり、私も必ず生中継に拘って見る事になった。
　もっとも当時は野茂が降板すると放送は終了するという、今
では考えられない暴挙が平気で行われていたのが残念だった。
　そしてこれを境に日本のプロ？（実業団）野球が世界標準に
晒される事になったのだった。