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草むしりしながら

読書・料理・野菜つくりなど日々の想いをしたためます

古事記あらすじ12

2019-11-29 06:49:32 | 古事記
内田英雄文  古事記あらすじ12

第五章大国主命

㈤赤いいのしし

 稲羽の白うさぎを助けた大穴牟遅命はたいそうお優しい方で、出雲の国の人々や動物までもが、命をお慕いしていました。
 
 これを妬んだ兄さんたちは命をやっつける相談を始めました。ある日のこと命を呼びつけ、手間(てま)の山の「赤いのしし」を退治に行こうと誘いました。命はおかしいと思いましたが、兄さんたちの誘いは断れません。

 すると兄さんたちは「赤いいのしし」を生け捕りするように命令しました。もし赤いいのししを逃がすようなことがあれば、ただでは置かないと言いました。そして山のふもとまで来ると、兄さんたちが「赤いいのしし」を追い出すので、出て来たら抱きとめて捕まえるようにいいました。

 しばらくして山の上から、「いのししだぁ」という叫び声がして大きな赤いものが激しい勢いで降りてきて、命の方に向かってきます。

 命は両手を広げて抱きつきました。ところがそれは、いのししの形をした岩を火で真っ赤に焼いた物でした。命は体中に大やけどを負って倒れておしまいになりました。

㈥大木に挟まれる

 大穴牟遅命のお母様は命が帰って来ないのでたいそう心配になりました。先に帰った兄さんたちに聞いても知らないと言います。その様子がおかしいので、手間の山まで行くとの、命が息もたええになって倒れています。

 お母様は急いで高天原にのぼって、神産巣日之神(かみむすびのかみ)に赤貝とはまぐりをいただいて帰り、細かく砕いた赤貝の貝殻とはまぐりの出す水を混ぜ合わせ、命の体中に塗りました。すると命はもとのように元気になりました。

 命が元気になって帰って来たので、兄さんたちは命に大木の中に入っている「夜行のたま」を取るように言いました。命はなんだか変だともいましたが、断れませんでした。

 兄さんたちは割れた大木の両端に縄をかけ、両方から引いて広げた木の裂けめの中に命を入らせ、綱を離しました。命は大木に足を挟まれ気を失ってしまいました。

 お母様は帰って来ない命を探し出し、いろいろと手当てして、もとの元気な体にしておやりになりました。

 このままではお前は殺されてしまう。もっと強くなるために、須佐乃男命様の所に行って、生太刀(いくたち)と生弓矢(いくゆみや)をいただいて来なければなりませんと仰せられました。

古事記あらすじ11

2019-11-28 07:32:35 | 古事記
古事記あらすじ11

第五章大国主命

㈢毛皮をはがれた白うさぎ

 おこりん坊のわにざめが仲間を集めてやって来ました。「おれの仲間の多さに驚いたか」とわにざめが言うと、「どちらが多いか数をかぞえるから一列になんで」と白うさぎは言いました。わにざめは一列に並びました。

 向こう岸までとどいています。うさぎは喜んでわにざめの頭の上を飛びながら数えて行きました。白うさぎはもうひと飛びで稲羽の国の海岸に飛び上がれそうです。
うさぎは嬉しくてたまりません。「ぼくはこの国に渡りたかっただけさ、本当はぼくの仲間なんて一人もいない」と言って、岸に飛び移ろうとした時です。それを聞いていた一番最後のわにざめに、つかまってしまいました。

 哀れな声で謝ったのですが、許してもらえません。うさぎは白い毛をむしり取られ、丸裸にされて岸に放り上げられました。

㈣親切な神様

 毛をむしられた白うさぎは恥ずかしいのやら痛いのやら、ひいひい泣いておりました。するとうさぎに声をかけたものがおりました。
 
 うさぎは今までのことを正直にお話しました。それを聞いた人たちは大笑いして、海の塩水をよく浴び、丘に行って風に吹かれ、日で乾かして、一日中寝ていれば治ると教えました。そして笑いながら行ってしまいました。
 
 うさぎは喜んで教えられた通りにしましたが、前よりも傷が重くなり、うんうん唸っておりました。そこへ「これこれうさぎ、いったいどうしたのだ」と優しい声がしました。
 
 うさぎは涙の目をあげて、声のした方を見ますと、大きなふくろを担いだ一人の神様が立っていました。うさぎは泣きながら残らず話をしました。神様はうさぎを騙したのは自分の兄さんたちだと言い、川に行って塩をよく洗い、がまの穂をほぐして、その上に寝転んでいればいいと教えてくれました。
 
 教えられた通りにすると、また元の白い毛が生えてきました。うさぎはあなた様はやがてこの出雲の国を治める、偉い神様におなりになるに違いありませんと申しました。


古事記あらすじ10

2019-11-26 20:12:58 | 古事記
古事記あらすじ10

第五章 大国主命(おおくにぬしのみこと)

㈠稲羽(いなば)の白うさぎ
 
 須佐乃之男命の孫のまた孫にあたる方に、大穴牟遅命(おおなむじのみこと)いう方がおいでになりました。この方はのちに大国主命と呼ばれ、今も人々に親しまれている偉い神様です。今からその大穴牟遅命のお話をいたしましょう。
 
 出雲の国の北の海の沖に浮かぶ隠岐の島に、一匹の白いうさぎが住んでいました。島は小さくて友達もいません。白うさぎは海の向こうに見える出雲の国に行ってみたいものだと、いつも思っていました。
 
 もし向こうの国に行けたなら、友達作って鬼ごっこをして遊ぶんだ。赤耳くん見つけた。黒耳君見つけた……。白うさぎは夢中になって独り言を言っていました。
 
 すると突然「やかましい!」と怒鳴ったものがおりました。うさぎは驚いて岩の上に飛び乗りました。

㈡仲間比べ

 怒鳴ったのは、一匹の大きなわにざめでした。こぎりのような歯を出して、そこで何をしていると言うわにざめに、友達とかくれんぼをしていたと白うさぎが答えました。するとわにざめは、うさぎなんかお前しかいないないじゃないかといいます。白うさぎは悔しまぎれに、おじさんの顔が恐いからみんな隠れているんです。本当はおじさんの仲間よりもっと多くいるんですと、言ってしまいました。
 
 これを聞いたわにざめはますます怒り出し、どっちの仲間が多いか、これから仲間比べをしようじゃないかと言い出しました。

 ぼくの仲間は臆病だから、なかなか出てこないよ。でもおじさんが仲間を集めて見せたら、仲間比べは本当だと思って出て来るかもしれない。おじさんは偉いんだから、仲間を集めて見せておくれと白うさぎは言いました。
 
 うさぎに偉いと言われてわにざめは少し得意になって、仲間を集めに海の中に沈んでいきました。さあ困った。白うさぎは海の上に橋がかかったらといいと思いました。その時白うさぎはうまい考えが浮かびました。

古事記あらすじ9

2019-11-25 12:51:28 | 古事記
古事記あらすじ9

第四章八俣のおろち

㈤争う八つの頭

 一番目の頭がいい匂いがすると言い出し、他の頭がさじきの上の酒を飲みに行こうとしました。しかし今年姫を食べる番になっている、八番目の頭がそれを止めました。でも他の頭たちは宝剣があるから何度でも生き返られると言い、争いになりました。 

 結局一番目の頭が門に頭を入れて酒を飲み始めると、他の首も門から頭を入れて酒を飲み始ました。酔っぱらった頭たちは、雷のようないびきをかいて眠ってしまいました。

㈥天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)
 
 しかし八番目の頭だけは娘を諦めきれずに、あたりを見回しています。ところが他の首の酔いが八番目の首にも回ってきて、自分も酒を飲んで寝てしまいました。

 そのようすを物陰から見ていた須佐乃男命は、八番目の頭の首を切り落としてしまいました。これは大変。目を覚ました他の首は頭をあげよとしても、門から首を出すこともできません。大きな口を開けて大暴れしています。

 命は姿が見えないので、次々に大きな首を切り落としていきました。さすがの怪物八俣のおろちも、見事に退治されました。そして二度と蘇らないようにと、命は大蛇の体をずたずたにお切りになりました。

 そのとき尾から天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)という立派な剣が出てきました。須佐乃男命は大気津比売神にもらった種をつけて、天照大御神に送りまし。

 この剣は後に倭建命(やまとたけるのみこと)がこの剣で草をないで危ういところを助かったので、草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれ、天皇のみ位(くらい)のみしるしといわれる三種の神器のひとつです。

 須佐乃男命は櫛名田比売を妻にして、出雲の国を天照大御神の代理として治め、大気津比売神からもらった種を人々に分け与えたので、人々は幸せに暮らしました。

古事記あらすじ8

2019-11-25 07:04:26 | 古事記
古事記あらすじ8

第四章 八俣のおろち

㈢ おろち退治の計略

 須佐之男命はお爺さんの話を黙って聞いておいででしたが、今までに大蛇を退治しようとした者はいなのかとお尋ねになりました。  

 八俣のおろちというのは、ひとつの体に八つの頭と尾があり、十六個の目がギラギラ光って、山のように大きくて気を失うほどおそろしい大蛇なので、とても退治できるものではないとお爺さんは身を震わせて言いました。

 人々を苦しめる魔物は必ず退治してやろう、ただし自分の命令の通りに支度をするようにと、命は仰せになりました。半信半疑のお爺さんに、自分は天照大御神の弟の須佐之男命だと、ご身分を明かされました。それを聞いた三人は大喜びでお礼を申しあげました。

 それからすぐにおろち退治の支度にかかりました。これを聞いた一族の人々も集まり、お手伝いをしました。八つの大きなかめに強い酒をつくり、八つのさじきに酒かめを一つずつ置きました。そしてさじきごとに門をつくり、他からは入って来られないよう丈夫な垣根で周りを囲いました。

 ㈣おろち現る

 やっと支度が整った頃、北の山の上に黒雲がかかりました。もうじきおろちがやって来ます。命は櫛名田比売に息を吹きかけ、櫛に変えました。そして御自分の髪にその櫛をさしました。この櫛をさしていれば魔物に見つからないという、魔法の櫛です。

 全ての支度が終わりました。おろちが来ても決して騒くではないぞと、命は仰せられ皆を隠れさせました。そして御自分も物陰に身を潜め、おろちを待ち構えました。やがて生臭い風が吹き始めました。

 黒雲の中から十六の目玉が櫛名田比売を捜して辺りを見回しています。しかし娘の姿どころか匂いもしません。櫛になっている櫛名田比売が見つかるわけはありません。