「自民圧勝」だが、意外な感じはしない。なにしろ、私のようなものまで自民党に入れたのだから勝って当たり前。周りのものに聞いてみると自民党に入れたーというものが多かった。やっぱりそうかーという思いだ。
投票所で(訂正)全国区→比例区用の薄いオレンジ色の投票用紙に「自民党」と書いたとき、少し手が震えた。「党」の字がうまく書けなかった。意外だった。最初から決めていたのだが、いざとなるとこうなった。
考えてみれば、「自民党」と書くのは初めてだった。身体がそれを教えてくれた。自民党候補の名を書いたことはあるが、こんなに違うとは思わなかった。
青春の一時期、自民党は私にとって不倶戴天の敵だった。(笑) 打倒すべき対象だった。そのころの若者は大抵そうだった。「金権腐敗」が自民党の代名詞だった。そういう時代が長く続いたが、今はほとんど言わない。クリーンかどうか分からないが、だいぶ反省はしただろう。
いま一番柔軟性に富んでいるのは自民党だろう。この柔軟さが長期にわたって政権党でいられた秘訣か。融通無碍、アメーバーのように形を変え、現実に対応していく。
私は、まぁー、左の人間だろう。しかし今、左翼は格好よくない。昔は左翼がトレンドだった。はやりで左翼を気取ったつもりはないが、あのころはみんなそうだった。右翼はダサくて、格好悪かった。いまはプチ右翼がはやりらしい。気の利いた若者にこれが多いようだ。本物ではなく、ちょっと右翼。微妙だ。なぜかネットにこれが多い。流行のようなものか。左翼がカッコ悪すぎるせいかもしれない。今の時代に青年だったら、私もプチ右翼だったかもしれない。
左翼はネットではやらない。無理に定義付ければ、プロ市民と呼ばれているのが左翼か?これは格好悪い。考えも行動も硬直化している。古臭く進歩がない。こんなことを書いていると両方から袋叩きか?(笑)田中支持者の中にもこれが多い。
ある大宅賞作家はこれを「馬鹿市民」と吐き捨てるように言う。この人はバチバチの左翼だ。あんまり売れていない。いまでも「あいつはあっち、彼はこっちだろう」と普通に言う。あっちは保守、こっちは左翼ーだ。
右の左のと言うこと自体がはやらないが彼は自然にそう言う。懐かしいー。二十年ぐらい前までは、私もそういう会話をよくしていたものだが、すっかり忘れていた。
この作家に、
中川暢三さんが加西市の市長に当選したと電話で話したら、最初、信じなくて、
「ふーん、またどっかの市議選にでも出たのか?」みたいな感じでいたのだが、
「いや、そうじゃなくて、市長ですよ市長」
「ほぉーっ、どうせ落ちたんだろ」
「いや、当選しちゃったんですってば」
「なぬぅ!当選したぁー、そりゃ本当か?近頃にない明るい話題だ」
といって二人でその話で二十分ぐらい盛り上がった。
中川さんの市長振りを取材に行くよう薦めておいた。
「おぅ、おうー」と言っていたが、フリーの場合雑誌からお呼びが掛からなければ書きたくても書けない。中川市長にどの程度のニュースバリューがあるか微妙だ。その人は朝日新聞系の出版物にしばしば書いている。そのうち載ることがあるだろうか。
民主党は自民党の改革反対勢力と同じ行動をとるのだから話にならない。野党の価値はない。そんな野党ならいらない。郵政に賛成できなかったのは労働組合への遠慮からだろう。選挙になってから、改革には賛成だが法案には反対ーとか訳の分かんないことを言い出した。年金のほうが大事ですーとも言った。そうかぁ?しかし、どっちが本当に大事か庶民には分からない。
郵政改革をやってから年金ではないのか?小泉さんの言ってることの方が分かりやすかった。細かいことを言い出したら改革なんて出来ない。田中康夫はまったく別。あれは改革詐欺師だ。
刺客候補は、それが立ったところだけでなく、全選挙区に小泉・自民党の覚悟の程を示した。小泉さんは本気だ、ということを全国に知らしめた。
杉村太蔵くん(26)が比例南関東ブロックの自民名簿35位で当選してしまった。当選の知らせを携帯電話で受けるこの写真が面白い。びっくりして、意外な感じがよく撮れている。
テレビニュースでも
「派閥に入ってしっかり勉強しなくては」と言ったら
「総理は派閥はいかんと言ってますが」と記者から突込みが入ると
「そ、そうですかぁー、それじゃー、総理が言っているならー」とあっけらかんと前言撤回している。
こうまであっけらかんとしていると怒る気にもならない。逆に彼がこの先どう変わるか見てみたい気がしてくる。とりあえず人間くさく、キャラは立っている人物だ。政治家タイプではある。
彼のブログを見ると
http://sugimurataizo.net/2005/08/post_5.html
<小泉さんに「君はいい目をしてる、がんばれ」と激励をされた。>
と書いてある。
小泉さんはスカウト名人でもある。これまでにもいろいろ変わった人を取り立てている。
民主党が杉村くんのような若者を公募で候補に採用しただろうか。出来なかっただろう。それが勝敗の分かれ目のような気がする。
*テレビの選挙報道
選挙報道をテレビで、ながら視聴した。全部で一時間ぐらいをこま切れに見ただけだが、丁度いいところを見たらしい。
各局を流して見たが、印象的だったのはTBSに出ていた久米宏だった。
亀井静香がダラッと椅子に座っていた。なんか疲れているようだな、と私が思った瞬間、久米の突込みが入った。
「亀井さんダラッとしてますね。」言葉はこの通りでなかったかもしれないがそういうニュアンスのことを言った。亀井は、何を言うかみたいな感じで姿勢を直して「そんなことはないゾー」と反応した。
おそらくこの時テレビを見ていた多くの人が久米と同じことを思ったのではないか。久米はそういうのを掴むのが非常にうまい。視聴者の代弁者としてあそこにいる。後日のスポーツ紙、週刊誌の報道を見るとその場面に触れているものが多くあった。
久米は自身をジャーナリストとはいわないで、司会者といっているが、彼ほど優れたジャーナリスト感覚を持っているものはそうはいない。久米と田中康夫が向かい合ったらどうだろう。田中康夫の化けの皮がはがれるだろう。
久米が筑紫哲也の代わりに、「NEWS23」のキャスターにという話があるようだが、面白そうだ。筑紫は見ていてつまらない。キラッとひかるものがなにもない。言葉にも行動にも。完全に賞味期限切れだ。ディリーのニュース番組に出てくるのはいろんな意味でキツイ。もっと違った形でならまだ働き場所はあるのではないか。
テレ朝の古館一郎と田中康夫の場面。途中から見た。
田中康夫が
「だからぁー、日本で一番売れている立派な月刊雑誌も見ていないでぇー、そういうこというのは・・・」
という言葉を受けて、古館が
「だから、これから見るっつてるじゃーないですか!」
とマジ切れしている画面に出っくわした。
どういうやり取りがその前にあったか分からないが、ドキッとした。古館はマジに切れているように見えた。これだけでなく古館は「切れキャラ」で売っているのではないかと思うようなことをしばしばする。いただけない。そもそも、古舘にニュースは似合わない。この場面も後日話題になっていた。
久米のいないテレ朝の選挙報道は灯が消えたようだった。地味で寒々しかった。テレ朝は元は日本教育テレビといっていた。NETというのが局のコールサインだった。東京の地方局みたいな感じだった。やってる番組もつまらなかった。いまでもその残滓はある。久米のニュースステーションが始まって、局のステータスが上がり、ようやくキー局らしくなった。久米に育てられたようなものだ。